著者
永井 泰樹 板橋 隆久 嶋 達志 高久 圭二 井頭 政之 大崎 敏郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

長寿命r-過程核^<187>Reとその娘核^<187>Osとの存在比^<187>Re/^<187>Osから宇宙年齢を推定する上で、^<187>Osがs-過程でも合成されるため^<187>Reのみの崩壊による^<187>Osの量の精度よい評価が重要である。その量はσ_γ(A)×N(A)=一定=σ_γ(^<186>Os)×N(^<186>Os)=σ_γ(^<187>Os)×N(^<187>Os)の関係から評価できる。{σ_γ(A)及びN(A)は夫々質量Aの核の中性子捕獲反応断面積及び存在量}。そのためσ_γ(^<186>Os)及びσ_γ(^<187>Os)の測定が不可欠であるが、特に問題はσ_γ(^<187>Os)である。s-過程が進行する恒星内温度では^<187>Osの第一励起状態(10keV)を通して中性子保護反応が進行するため励起状態のσ_γ(^<187>Os)の値も極めて重要である。我々は、σ_γ(^<186>Os)、^<187>Osの基底状態のσ_γ(^<187>Os)に加え励起状態(3/2^-)のσ_γ(^<187>Os)を知るため類似の構造を持つ変形核^<189>Os{基底状態(3/2^-)}の中性子捕獲反応断面積σ_γ(^<189>Os)を高感度のNaI(Tl)検出器を用い即発ガンマ線法により測定しその解析を行った。その結果従来に無い高精度で断面積を決定できた。得られた値は過去の値と10-20%異なる。又ガンマ線エネルギー分布を測定できたので^<187>Osの励起状態のσ_γ(^<187>Os)を推定する上で重要な知見を得た。更に^<187>Osの基底状態及び第一励起状態への弾性散乱及び非弾性散乱断面積の測定を新たに構築したLiガラス検出器4台を用い従来に無い高精度で測定した。これらの結果Re-Os対による宇宙年齢の高精度の推定に大きな貢献ができた。
著者
裵 泰秀
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2013

14401甲第16276号
著者
野村 美明 福澤 一吉 奥村 哲史 久保山 力也 D・H Foote 蓮 行 太田 勝造 大澤 恒夫 江口 勇治 金 美善 竹内 俊隆 新田 克己 平井 啓 仁木 恒夫 森下 哲朗 加賀 有津子 小野木 尚
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内でも国際的にも交渉の必要性は増大しているが、一般市民にはその教育と学習の機会は少ない。本研究の課題は、交渉の非専門家や一般市民に交渉教育・学習へのアクセスを広げることである。本研究は、交渉の要素を説明する理論とこれらを解説する実例を組み合わせた要素理論表と「要素・理論・ケースサイクル」法によって、以上の課題の解決を図った。本研究によるよりよい交渉実践の普及が、秩序形成と価値創造を促進することが期待される。
著者
原田 走一郎 ハラダ ソウイチロウ
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2016

14401甲第18322号
著者
岡田 裕成
出版者
大阪大学
雑誌
フィロカリア (ISSN:09112510)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-53, 1987-03

論文中に用いられている図版は著作権の都合により削除
著者
湯浅 邦弘
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大學文學部紀要 (ISSN:04721373)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-45, 1999-03-10
著者
後藤 晋
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は(前年度までに開発した)複数の異なる境界条件下における乱流の数値シミュレーションプログラムを実行することで順調に研究を進展させることができた。具体的には、壁乱流の典型例である『平行平板間乱流』、『境界層乱流』、『滑らかな容器内乱流』の大規模数値シミュレーションを実行し、その動力学の解明に向けた研究を進めた。主な成果は以下の通りである。(1)高レイノルズ数の境界層乱流の数値シミュレーションを実行し、得られた乱流の粗視化解析によりこの乱流中の渦の階層構造を同定するとともに、その生成機構を渦力学を用いて解明した。とくに、対数層における小規模乱流渦の生成機構がレイノルズ数の増加とともに質的に変化することを示した。さらに、渦の階層構造の時系列解析(4次元解析)により、渦の生成過程の典型例を示すことができた。(2)平行平板間の発達した乱流を数値シミュレーションし、その渦の階層構造を同定した。また、各スケールの運動が保有するエネルギーと渦の階層との関係を明らかにした。これは壁乱流におけるエネルギーカスケードの物理機構を明らかにするための基盤を与える。(3)平行平板間乱流に輸送される微小固体粒子群の挙動を調べ、そのストークス数依存性を明らかにした。とくに、粒子群のクラスタ構造と渦の階層構造との間の関係を明らかにした。(4)歳差運動をする回転楕円体容器内の乱流の数値シミュレーションを世界で初めて実行し、その3次元の流れ構造を明らかにした。とくに、容器の微小な楕円率が維持される乱流構造に与える影響を明らかにした。
著者
岡澤 敦司
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

我々は,進化的に光合成能を失った全寄生植物および腐生植物について,その光シグナル伝達経路を光合成を行う植物と比較した場合に,どのような相違点が存在するかを明らかにすることを目的として研究を行っている.その相違点は,これらの植物が光合成能を失ったことに関連する遺伝子の変化によってもたされていると考えられ,この遺伝子の変化を明らかにすることによって,植物の光シグナル伝達経路に重要な情報が得られると期待されるからである.本課題では,特に光シグナル伝達経路の最上流に位置する光受容体,フィトクロムA(PHYA)に着目して研究を行った.三種の寄生植物および一種の腐生植物についてそのcDNAをクローニングし,光合成を行う高等植物との配列比較を行った.その結果,光合成植物では保存されているアミノ酸において残基の置換が観察された.特に,実験室レベルでも栽培が可能であるヤセウツボのフィトクロムA(OmPHYA)についてさらに詳細に研究を行った.その結果,OmPHYAは光合成を行う植物のPHYAと同様に,光によってその発現量ならびに局在が制御されていることが明らかになった.さらに,OmPHYAの機能を調べるために,これをシロイヌナズナのPHYA欠損変異株より調整したプロトプラスト内で一過性に発現させた.このプロトプラストに遠赤色光を照射し,この条件でPHYAによって誘導される遺伝子の発現量を測定した.この結果,OmPHYAは一部の転写因子の発現を誘導出来るが,PHYA二よって誘導される光合成関連の遺伝子の発現を誘導出来ないことが明らかになった.これらの実験によって,光合成能の喪失に伴う,PHYAの機能変化が明らかになり,光シグナル伝達経路の解明に光合成を行わない植物を用いることの有用性が示された.
著者
小林 康
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

これまで解剖学的、あるいは断片的な生理学的知見より脳幹のアセチルコリン作動性ニューロンの核である脚橋被蓋核(PPTN)が報酬に基づく学習や動機付けの形成に必要であることが明らかにされてきた。眼前のいくつかの場所に一定時間、光点を順番に呈示すると、ヒトやサルは光点を一定時間注視し、新しい光点があわわれると、その光点を標的として衝動性眼球運動(サッカード)とよばれる非常に速い眼球運動で視野移動を行う。注視中に新しい標的が現れてからサッカードが起きるまでの反応時間は空間的注意や動機付けと関係していることが良く知られているが、たとえばサルが「どの点に向かって」、あるいは「いつサッカードするのか」ということは誤差信号や報酬による学習によって系統的に修正され得るものと思われる。学習には外部から与えられる誤差信号、報酬と内的状態(報酬や誤差信号の履歴による動物の動機付けや空間的注意)が重要な要素となるはずであるが、これら要素の相互関係は明らかにされていなかった。サルの視覚誘導性サッカード課題において、課題成功後に与えられる報酬量を増加させると課題の成功率が上昇すると同時に課題開始時に点灯する注視点へのサッカードの反応時間が減少すると同時にPPTNニューロンの注視点点灯時の持続的応答が上昇するという実験結果を得た。この反応は課題の遂行度合い〔成功率〕という動機付けや課題に対する注意を反映する指標と密接に関係していると思われる。さらにこれらのニューロンはサッカード運動時や課題後の報酬に対して直接あるいは予測的に反応することを明らかにした。この結果は単一PPTNニューロン上で誤差信号、報酬信号、動機付けに関する情報が収束することを示しており、誤差信号や報酬に基づく学習の際に必要な、異種感覚情報の統合にPPTNを含む神経回路が重要な役割を果たしていることを示していると思われる。
著者
竹内 俊隆 星野 俊也 ホーキンス ヴァージル 敦賀 和外
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

まず、シンポジウム(小規模およびマローン国連大学長や外務省関係書が参加した国際シンポジウム)を二回開催し、安保理改革の歴史やその停滞などを多角的に論じるなどし、専門家との議論ばかりではなく、一般への広報活動に努めた。また、HPを立ち上げ、随時研究成果を公表した。研究成果に関しては、各分担者の担当分野を主眼とした論文や分担執筆などを活発に行った。また、大阪大学において、大学院向けの科目をあらたに設置し、教育にも努め、その成果の一部として、安保理における投票行動の分類別データベースも作成した。本科研の研究期間以内に、その研究成果を書籍として世に問うつもりであったが、残念ながら間に合わなかった。
著者
霜田 求
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
1994

14401甲第05104号
著者
山中 浩司 岩江 荘介 香取 久之 野島 那津子 樋口 麻里
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間中、希少疾患当事者53件(医療費公費負担対象疾患(インタビュー実施時)25件、2)その他希少疾患20件、3)未診断8件)に対して56回のインタビュー調査を実施した。うち、40件については、2017年3月に、病の経験と社会的認知に関係する11項目について中間報告書(162頁)をまとめ、関係者に送付し、概要を協力団体のウェブサイトに掲載した。40件の聞き取りデータ(のべ76時間)から、希少疾患患者における「社会的宙づり状態liminality」を明らかにし、成果の一部については、国内外の学会で報告を行った。また、こうした状態の中核をなす就労問題について、関係者から意見聴取も行った。
著者
山西 弘一 岸本 忠三 審良 静男 菊谷 仁 木下 タロウ 山西 弘一 清野 宏
出版者
大阪大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1997

(木下)1.ヒトのGPIアンカー生合成遺伝子群の解明に関し、PIG-Vが第2のマンノース転移酵素であること、PIG-Wがイノシトールへのアシル転移酵素であること、PGAP1がイノシトール・デアシラーゼであることを証明した。これにより、GPIアンカーが小胞体膜の細胞質側から内腔側へフリップするステップを除き、生合成の全ステップに働く遺伝子群が解明された。2.睡眠病トリパノソーマのGPIアンカー生合成遺伝子群の解明に関し、アンカーをタンパク質に付加するGPIトランスアミダーゼにヒトには存在しない2つのタンパク質(TTA1,TTA2)が必須であることを見いだした。これらのタンパク質は、睡眠病治療薬の標的に適している。(菊谷)これまでクラスIVセマフォリンSema4AがTIM2を介してT細胞を刺激することを報告してきたが、本年度はSema4A欠損マウスを作成し、その解析からSema4Aが抗原特異的T細胞の分化、特にTh1細胞に必須であることを示した。また、新規クラスVIセマファリンSema6Dをクローニングし、Sema6Dがその受容体Plexin-A1を介して心内皮細胞の遊走を調節し、心臓形態形成に必須の役割を果たすことを明らかにした。さらに、Sema6Dは免疫系においても樹状細胞のサイトカイン産生を誘導するなどの生物活性を有することが明らかになった。(審良)Toll Like Receptor(TLR)を介した細胞内シグナル伝達では、全てのTLRの炎症性サイトカインの誘導に必須のMyD88依存性経路と、TLR3,4を介しInterfron(IFN)-β,IFN誘導性遺伝子を誘導するMyD88非依存性経路が存在する。MyD88と同じTIRドメインを持つアダプター群のノックアウトマウスの作製、解析を行った。TIRAPはTLR2,4を介したMyD88依存性経路に関与していた。データベースから同定したTRIFはTLR3,4を介するMyD88非依存性経路に、TRAMはTLR4を介するMyD88依存性経路にだけかかわるアダプターであることを明らかにした。TLRを介したシグナルはアダプター群が制御しその特異性も規定していることがわかった。(山西)1.ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)U12遺伝子が機能的なβケモカインレセプターであることを明らかにした。これによりU12遺伝子産物が何らかのかたちで病態発症にかかわっていることが示唆された。ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)variant AのgH-gL-gQがCD46と相互作用すること、HHV6 A U100遺伝子産物がgH-gLコンプレックスの形成因子の一つになっていることなどが明らかになった。Variant Aとvariant Bではウイルス粒子膜分子の形成が異なっており、これが感染細胞の特異性を決めているものと思われる。2.カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)では、前初期遺伝子RTAがアポトーシスインデューサーであるにも関わらず、感染細胞ではXIAPの発現上昇によりこの機能が阻止されることを明らかにした。この機構にはORF57遺伝子産物と宿主細胞因子PCBP1が相互作用することにより、XIAP遺伝子のIRESの機能を上昇させることが主な理由であることを突き止めた。潜伏感染状態はウイルス遺伝子latency associated nuclear antigen(LANA)がヒストンメチラーゼSUV39H1と相互作用し、ゲノムをヘテロクロマチン化することにより誘導され、このことが潜伏感染での遺伝子発現プロファイルに強く関わっていることを明らかにした。
著者
小林 昭雄 藤山 和仁 梶山 慎一郎 福崎 英一郎
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では、食虫植物の栄養獲得機構に関する予備的な知見を得るために、モデル植物としてウツボカズラ科の食虫植物を用い、捕虫袋内部に分泌される消化酵素や分泌液に関する基礎データの収集を行った。まず、捕虫袋分泌液に含まれる消化酵素の種類を明らかにすべく、各種加水分解酵素の活性測定を行った。予備実験において、蓋(ふた)が開く前の未成熟捕虫袋分泌液は無菌状態であった。一方、昆虫が捕らえられた捕虫袋分泌液は、外見上透明であり、腐敗臭は全く認められないが、数種類の微生物の存在が確認された。その中にはプロテアーゼを分泌するものも存在することが判明した。そこで、植物由来の酵素のみを分析するために、ほぼ無菌的な蓋が開いた直後の捕虫袋分泌液を酵素活性測定に使用した。その結果、プロテアーゼ、エステラーゼ、ホスファターゼ、RNase.DNase、ホスホリパーゼD、キチナーゼといった、少なくとも7種類の酵素活性が存在することが明らかになった。このうちプロテアーゼに関しては、プロテアーゼインヒビターを用いた阻害実験がら、アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)である事が判明した。一方で、捕虫袋分泌液のpHは蓋が開いた直後で4.0 4.8、獲物が捕らえられると3以下にまで低下することが予備実験で観察されていた。そこで、分泌液が強酸性を示す原因を探るために、分泌液に含まれる各種無機イオン濃度を測定した。その結果、プロトンの他にK^+とCl^-が高濃度(それぞれ、650 760ppm、530 600ppm)含まれることが明らかとなった。このことから、分泌液の酸性pHは、哺乳類の胃の内部と同じく塩酸の分泌によるものと推測された。以上の結果から、捕虫袋分泌液には昆蚤の消化に必要な消化酵素が一揃い存在し、これら消化酵素と分泌液のpHの低下が本植物の栄養獲得過程において重要な役割を果たしていることが示唆された。今後のさらなる研究により、根以外の部位からの低分子の吸収機構が明らがとなり、葉面がらの効率的物質吸収に関する新しい知識が集積されることが期待される。