著者
山本 毅士
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究課題ではオートファジー活性(フラックス)に焦点を絞り、フラックス異常を認める腎疾患の病態解明、またフラックス異常を是正する遺伝子改変マウス作成と治療薬の探索を行い、その疾患抵抗性を検証した。結果、(1)in vivoオートファジーフラックス評価方法を確立し、腎老化や肥満におけるフラックス調節異常を明らかにした。(2)オートファジー阻害因子Rubiconをノックアウトしオートファジー亢進モデルを作成した。このマウスは確かにオートファジーが亢進し腎疾患ストレスに抵抗性であった。(3)あるオートファジー活性化薬(EPA)に着目し肥満マウスに投薬したところフラックス異常是正と腎保護効果を認めた。
著者
朝長 啓造
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ボルナ病ウイルス(BDV)の病原性を利用してグリア細胞、特にアストロサイトの未知なる機能の解明を行うものである。BDVは、感染によりアストロサイトの機能障害を誘導することが示唆されており、グリア細胞機能異常による神経疾患の発症モデルとして広く用いられている。BDV感染によるグリア細胞の機能異常とその分子機序を総合的に解析することで、新たな視点でグリア細胞機能の本質に迫ることができると考えた。そこで、BDVによるアストログリア細胞の機能障害について詳細な解析を行った。前年度までに、BDVの病原遺伝子であるP遺伝子を発現させたC6グリオーマ細胞において68個の宿主遺伝子が有意な発現変化を示すことを明らかにした。そこで本年度、同定された遺伝子の中で、発現量の上昇が大きく、神経疾患との関連性が示唆されているIGFBP3に注目して解析を進めた。リアルタイムPCRを用いた解析の結果、BDVのP遺伝子をアストログリアで発現するトランスジェニックマウス(P-Tg)脳由来グリア細胞においてもIGFBP3 mRNAの発現が顕著に増加していることが確認された。野生型マウスより分離した神経初代培養に適量のIGFBP3を添加し、抗カルビンジン抗体で染色される神経細胞の生存数について経時的な観察を行った。その結果、IGFBP3を添加した神経細胞では培養10日目において生存数が顕著に減少していることが明らかとなった。また、P-Tg小脳ではインスリン様成長因子受容体のリン酸化が顕著に低下しており、P-Tg小脳におけるインスリン関連シグナルの異常が示された。このことから、IGFBP3には神経細胞脱落を誘導する活性があることが明らかとなり、アストログリア由来のIGFBP3の発現意義について明らかになった。
著者
大川 新之介 後藤 竜司
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

今年度は、主に非可換del Pezzo曲面および3次元AS正則2次代数の中心拡大から得られる3次元非可換射影空間(幾何学的には、非可換射影平面を超平面として含むという事。)について研究を行った。どちらも非可換代数幾何学の主要な研究対象である。非可換射影平面と非可換2次曲面にはAS正則Z代数を用いた厳密な定義がある。それ以外の非可換del Pezzo曲面については非可換射影平面の爆発による構成法が知られている一方で、十分に満足の行く定義は知られていなかった。今年度の研究では、Zよりも一般の添字集合を考えることで一般の非可換del Pezzo曲面をAS正則I代数を用いて定義できることを発見した。これはかなり重要な視点であると認識しており、今後研究を継続して、幾何学的データによる分類理論まで完成させる事を目指す。一方、上述の3次元非可換射影空間の中には3重平面をメンバーに含むような3次曲面のペンシルが含まれることがわかっている。このペンシルの構造の解析も行った。特に、3重平面で分岐する3重被覆を取ることによってペンシルの一般メンバーに丁度27本の直線が入ることの証明ができる、ということがわかった(証明の詳細は検討中)。非可換射影平面を楕円曲線で3重分岐させてできる非可換3次曲面の中の直線は容易にカウントできる、というところがポイントである。また、非可換射影空間内の直線のモジュライの主成分はペンシルの固定点集合としてあらわれる楕円曲線の2重被覆になるのであるが、これについても理解が進んできた。このペンシルのモノドロミーの計算は可換射影空間上でポアソンコホモロジーを計算する上でも重要であり、従って、そのポアソン構造で可換射影空間を変形して得られる一般化された3次元射影空間の倉西空間を理解する上でも役に立つと期待している。
著者
山口 和也
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

光合成細菌にニッケル含有酵素ウレアーゼが存在することは、これまでほとんど知られていない。本研究において、紅色無硫黄細菌であるRhodobacter capsulatusがウレアーゼを生合成することを見いだし、さらにこの細菌のウレアーゼを単離精製することに初めて成功した。この光合成細菌は、通常の生育条件下ではウレアーゼを生合成することなく生育する。ところが、窒素源をアンモニウムイオンから尿素・アルギニン等に変え、窒素代謝系を制御することにより、この菌体におけるウレアーゼ生合成を誘導することができた。また、窒素飢餓条件下にすることで生合成されるウレアーゼの量が増加することも明らかになった。さらに、ウレアーゼ生合成過程においてニッケルイオンを添加するとウレアーゼ活性が著しく促進されることより、この細菌のウレアーゼも他の菌体のものと同様にニッケルを含む酵素であることも示唆された。光合成細菌中の色素や複合タンパク質の生成をおさえ、より多くのウレアーゼの単離精製を行なうために、暗所好気的条件下で培養した細菌からウレアーゼの精製を行なった。ウリアーゼ精製の際に用いるバッファーに2-メルカプトエタノールを添加することにより、精製効率は飛躍的に向上することが明らかになった。この添加剤は酵素の活性中心である複核ニッケルに架橋することにより酵素を安定化させる働きをしているものと考えられる。さらにイオン交換・疎水クロマト法により、従来単離されなかった光合成細菌のウレアーゼの精製に成功し、酵素比活性は38μmol(Urea)/min.mgまで向上した。SDSゲル電気泳動により、サブユニットの分子量は67KDであることも判明した。本研究により、高度に精製された新規の光合成細菌ウレアーゼが得られ、ウレアーゼの構造と機能の関連性を解明し生体中におけるニッケルイオン役割を明らかにするための礎が得られた。
著者
平田 健治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

指図による占有移転の方法による即時取得の要件は何か。この明瞭化が本研究の目的であった。その点については、ドイツ法、フランス法、英米法、さらにはローマ法の議論を参照することで、要件設定の際に考慮されるべき諸要素を析出したことが成果である。それを列挙すれば、日本の指図による占有移転の要件の沿革から見た欠陥の指摘、占有改定と指図による占有移転の方法が前提とする取引態様の定型的相違に着目すべきことの指摘、物権関係(所有権移転)と債権関係(賃貸借や寄託契約)の連携のあり方が絡むことの指摘、占有意思、とりわけ即時取得において占有意思変更を議論とすることの問題の指摘などである。
著者
中島 松一
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
1965

00694
著者
春名 正光 大和谷 厚 近江 雅人 玉田 康彦 玉田 康彦
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

交感神経の支配下で機能する汗腺や末梢血管は重要な微小器官であり、そのダイナミックな生理機能を解明することが重要である。本研究では、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を用いて、ヒト指汗腺や小動脈の生理機能を可視化した。汗腺においては、外部刺激に反応する精神性発汗の動的解析を行い、新たに内部発汗を見出した。小動脈においては、脈動を観測し、弾性型動脈と筋型動脈として同時に機能することを明らかにした。
著者
玉木 俊明
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2009

23259
著者
高橋 英之
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究プログラムでは,ロボットなどのシステムを用いることで,子供の主体性を促進して,その創発性を引き出すことを目的とする.具体的な平成29年度の取り組みとして,子供とロボットのインタラクションにおいて,子供の主体的想像力がどのように広がるのかを調べるため,子供とロボットのリズムインタラクション課題を行った.その結果,子供とロボットの相互作用は,子供のロボットに対する主体的想像力を増進することが示唆された.また主体性を引き出すための,ロボットを用いた自問自答システムを開発,その有効性を成人被験者に加えて高校生を対象に実証実験を行った.その結果,提案システムを用いることで高校生の主体性が引き出されることを示唆する結果を得ることができた.
著者
多田隈 建二郎
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

学術的な成果・意義として,これまでのロボットハンド機構では困難であった,様々な種類の対象物を容易に把持することが可能で,またその把持状態を維持するのにエネルギーが不要という点が挙げられる.従って,作業における使用エネルギーを抑えるという観点からも,社会貢献的意義も有する研究課題である.重要性として,社会貢献的には,工場内での搬送する製品の形状が変化しようと,グリッパ機構そのものの取り換えは不要であり,それに伴いライン自体を変更する必要が無いという点が挙げられる.学術分野においても,この内外連続式袋状構造体を,把持機構のみならず,移動体として拡張させ,外環境になじむ探査体として活用するなど,分野発展に寄与できる可能性を有するものである.
著者
工藤 眞由美
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

言語の活力がその内的多様性に支えられているとすれば、標準語文法とともに、方言文法の記述は極めて重要である。現在、世界中で消滅の危機に瀕した言語や方言の記録保存の必要性が叫ばれている一方、人々の移動の激しさが加速化している。国内における日本語の未来を考えるにあたって、人間のコミュニケーション活動の基本的単位である文の構造に関する調査研究を実施することにより、そのバリエーションのあり様を分析した。
著者
荒川 順生
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
1964

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