著者
澤田 美和
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
人文社会科学論叢 (ISSN:0916913X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.133-142, 2015-03-01
著者
田中 一裕
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

クモのSCPを決定する要因として、餌虫が保持する氷核活性物質の関与が示唆されている(Tanaka 2001)。この点を明らかにするため、氷核活性バクテリアをもちいた操作実験をおこなった。氷核活性バクテリアを摂食した虫をクモに与えたところ、体組織の凍結開始温度である過冷却点(SCP)が上昇したのに対し、バクテリアを摂食していない虫を食べたクモのSCPは低いまま保たれた。このことは、氷核物質が摂食を通して餌虫から捕食者に伝わり、そのSCPに影響をおよぼすことを意味している(投稿中)。本種の凍結回避戦略を理解するうえで、この餌虫由来の氷核活性物質の同定は不可欠であろう。オオヒメグモは休眠という特殊な生理状態で冬を越す。休眠の誘導にともない、貯蔵栄養物質である脂質の蓄積が起きるか否かについて検討した。材料としては、冷温帯個体群(札幌)と亜熱帯個体群(沖縄)を用いた。両者ともに、休眠誘導にともなってTGの蓄積がおきた。このことは、(1)冷温帯でも亜熱帯でも、脂質が越冬時の主要な貯蔵栄養であること、(2)亜熱帯であっても冬季に飢餓の危険性が存在している可能性、を示唆している。貯蔵栄養をじゅうぶんに蓄えたクモは長期の絶食が可能であり、結果として捕食を介した氷核物質のとりこみを回避できる可能性がある。この点を明らかにするために、野外越冬個体の脂質含量とSCPの関連を調べた。まだ、解析は終わっていないが、暖温帯個体群(福岡、宮崎)では両者の間に弱い相関が見出された。飢えた個体は、冬のあいだも積極的に捕食するので、結果としてSCPが高まるのだろう。日本各地で越冬個体の捕食頻度を調査した。捕食頻度は南で高く、北で低かった。この傾向は、越冬個体のSCPの地理的傾向と一致していた。今後、冬季に活動する虫たちが氷核物質を保持しているか否かについての検討が必要だろう。
著者
平本 福子 足立 己幸
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

近年、児童や高齢者の孤食が問題化し、共食の重要性が提起されている。また、少子高齢化、核家族化の流れの中で、世代間交流による食育プログラムの開発が求められている。本研究では、2010~2012年に小学生95名、高齢者43名が参加して、共食によるプログラム開発を行なった。その結果、3プログラム(共食会、昔のおやつ探検、お弁当プレゼント)を開発することができた。また、プログラムへの参加により、児童は高齢者との共食を楽しいと思う割合が73.4% から96.7%に高まった。さらに、いずれの世代も、日常食べない食物を食べる機会や互いの世代の行動特性等のイメージを広げることにつながった。
著者
星 祐二
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
生活環境科学研究所研究報告 (ISSN:13466534)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.15-27, 2010-03-01

1)各デンプン試料を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ,文献に記載されているものと同様の形状を有していたが,市販離乳食用とろみ付与剤と高齢者用食品向け増粘剤には,光学顕微鏡による観察ではデンプン粒は認められず,パン粉のような形状となっていることが走査型電子顕微鏡観察により示された.2)保温効果については,ジャガイモデンプンと高齢者用食品向け増粘剤が室温放置,恒温槽放置とも高く,トウモロコシとコムギデンプンのそれは低いものであった.3)回転粘度計による各種デンプン試料の見かけの粘度を測定したところ,高齢者用食品向け増粘剤の粘度が非常に高く,測定中に一部ゲル化した.ジャガイモデンプンがデンプン試料の中ではもっとも高い粘度を示し,トウモロコシとコムギデンプン糊化液の粘度は低く,さらに同じ市販の増粘剤でありながら,離乳食用のとろみ付与剤の粘度がもっとも低かった.同一濃度における音叉型粘度計を用いた測定でも高齢者用食品向け増粘剤の粘度がもっとも高く,ジャガイモデンプンの粘度がそれに続き,それ以外のデンプン試料はいずれも低い値を示した.また,各デンプン試料の粘度値自体も回転粘度計による測定値の1/5から1/10以下となり,機器依存性が改めて確認された.4)細線加熱式粘度計は,デンプン懸濁液の糊化温度測定に応用可能であると考えられた.
著者
西浦 和樹 田山 淳 沖林 洋平 池田 和浩 澤邉 裕子
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、創造的問題解決における心理メカニズム解明を目的として研究を実施した。本目的を達成するために、ブレインストーミング法(BS法)を代表とする集団的思考の方法を気軽に体験し、学習することのできるカードゲームを開発し、ストレス軽減と認知的対処方略を理解することのできる心理データの取得を行った。BS法がアイデア創出だけでなく、抑うつ感の軽減を促進すること、制御欲求の高い被験者は状況をより改善するように努めていることを確認した。
著者
遊佐 典昭 小泉 政利 那須川 訓也 金 情浩 ニール スネイプ
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1)第二言語の熟達度における個人差を、脳活動の変化としてとらえることが可能である。(2)敏感期以降の日本人英語学習者でも、統語論においては経験以上の知識を得ることが可能であり、外国語環境でも母語で機能する生物学的制約が機能している。(3)統語論の基本原理(構造依存性)に関しては、敏感期以降でも機能する。(4)冠詞、時制の誤りはランダムではなく体系性があり、普遍文法と素性の再構成という観点から、原理的な説明が可能である。(5)明示的教授は少なくとも、言語運用面においては効果がある。(6)本研究の結果は、学習文法の改善に役立つ。
著者
足立 智昭 村井 憲男 川越 聡一郎
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

現在、小・中学校において、 LD・ADHD・高機能広汎性発達障害の児童生徒に対する指導および支援が緊急の課題 となっている。しかし、これらの発達障害は、それぞれ独立の障害というよりも、互いに重なりあう部分も少なくなく、そのアセスメントは専門家であっても容易ではない。そこで、本研究では、確率的に発達障害をアセスメントするエキスパートシステム(専門家の推論や判断に近い振る舞いをするソフトウェア)の構築を行った。
著者
平川 新 佐藤 大介 菊池 勇夫 モリス ジョン 斎藤 善之 菊池 慶子 中川 学 千葉 正樹 高橋 美貴 菅野 正道 畑井 洋樹 籠橋 俊光 水野 沙織 坂田 美咲 栗原 伸一郎 高橋 陽一
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究課題では、旧仙台藩領の個人宅など地域社会に残されている歴史資料の保全を実施すると共に、研究期間中に発生した東日本大震災に対しては、行政や市民と連携して被災した仙台藩関係の古文書資料を約6万点を救済することが出来た。上記の保全活動や、仙台市史など1990年代以降の自治体史編さん事業などで新たに確認された史料を活用し、仙台藩主の動向、家臣団の編成、年貢制度の実態、生業の発展による地域間関係、災害史、幕末の政治史などについて、新たな史実の発掘と解釈を示すことが出来た。
著者
阿部 隆 石澤 孝
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

名古屋市の都心ならびに都心周辺地域の既知利用の分布について、全市域的に修正ウィーバー法による土地利用の組合せの分析を行なって都心地域を画定し、画定された地域については、その中の建物の用途と階数を悉皆調査した。そして建物階数の分布や街区を代表する建物用途の分布の分析などを総合すると、名古屋市の都心ならびに都心周辺地域の土地利用の分布構造とその変化は、一部の用途に特化した核心地域と、それらの用途の周辺への拡大ならびにそれらの用途との機能的関係にもとづく土地利用変化によってもたらされていると考えられる。その用途による核心地域とは名古屋市の場合には、次の5種類が考えられる。1、シビックセンター(三の丸地区)、2、ビジネスセンター(名駅、錦、栄地区)、3、コマーシャルセンター(名駅、栄地区)、4、エンターテインメントセンター(錦、栄地区)、5、トランジットセンター(椿、金山、今池地区)次に近年の都心地域の土地利用の分布ならびにその混合構造の変化について建物用途現況図を資料として分析した。混合構造分析の結果は、ほとんどの用途の組合せにおいて、有意な混合・分離関係が認められず、名古屋市の都心地域の土地利用の分布が非常にランダムであることが明らかとなった。しかし、1967年と1986年には娯楽と教育との間に、1976年には官公庁と教育との間に弱い分離関係がみとめられた。また1986年には工業と工業的サービス、1986年には工業ならびに工業的サービスと公園との間に弱い結合関係が認められた。カナダのトロント市の中心地域の土地利用分布についても混合構造分析を適用した結果、住居を中心とする居住系の土地利用グループと工業を中心とする生産系の土地利用グループについて、グループ内の強い混合関係とグループ間の分離関係が明らかとなった。