著者
野崎 あさみ 遠藤 由香 松尾 良子 三石 淳之 塚本 健二 Reva Ivan 高野 智洋 岩尾 泰久 樋口 渉 西山 晃史 山本 達男
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.686-690, 2011-12

平成17年度から山本正治医学部長 (当時) の支援のもと, 日露学生交流を従来の直流から交流に変えるべく, 学生の訪ロ計画を再開した. 内山聖医学部長 (当時) のもとではレベルアップとchangeに取り組み, 高橋姿医学部長のもとでは最大規模の日露ワークショップを開催した. 活動の基本方針 (キーワード) は強い信念と最低限の費用. この方向性のもとで, 学生交流については部活の趣を前面にだし, 学生は学生目線でロシアを見つめてきた. 活動6年間の軌跡をまとめた.
著者
高田 恒郎 吉住 昭
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.369-370, 1996-09

As a member of the medical aid staff of Niigata prefecture, I stayed and worked for the children physically and mentally damaged by the devastating disaster in Nagata-ku, Kobe, from January 31 to February 7, 1995. There were few patients in a critical condition, because it was two weeks after the disaster, when I arrived there. However, there were adverse influences on children's psychosomatic states. Some children apeared apathetic and wouldn't smile, and great anxieties against coming aftershocks and irregularities in daily life were observed in other children. Several schools were partially reopened on February 4. Children complaining PTSD (psychological post-traumatic stress disorders) like symptoms just after the disaster, gradually got better after resuming their school life and begining to play as vigorously as before in the ground. It was impressed that resuming school life as soon as possible might be important for suffering children.
著者
山崎 理
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.615-619, 2014-12

2009(平成21)年の新型インフルエンザA/H1N1対応の経験を踏まえ, 2012(平成24年)に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が制定され, 政府行動計画, ガイドラインが策定された. これを受け, 新潟県においても新たに行動計画を策定し, 対応を行うこととなった. 新たな政府行動計画では, 「新型インフルエンザ等対策の強化を図り, 国民の生命及び健康を保護し, 国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小限になるようにする」ことが目的として掲げられ, 対策に伴う外出自粛要請や物資収用等の私権制限も盛り込んだ体系となっている. 県行動計画では, 県知事による県内の対策の総合調整, 特措法に定める緊急事態措置(外出自粛要請等)の実施, 病原性・感染力の程度に応じた対策の選択・切替がポイントとして挙げられる. 今後の総合的な対応及びその準備に向け, 関係各位の一層の御協力をお願いしたい.
著者
岡村 太郎
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.4, pp.201-208, 2007-04
被引用文献数
2

近年,高齢者の転倒予防対策は高齢者の筋力トレーニングが重視されている.また,生活環境の改善として,特に家屋等の改造によるバリアフリー対策が行われてきた.一方,段差や障害物等への認識力の低下,不注意や身近な転倒原因に気づいていないことも重要な要因である.さらに,新潟県の如く積雪地帯では凍結・積雪という自然環境にも目を向ける必要がある.そこで,作業・理学療法士が直接,戸別に行う訪問(以下,在宅訪問)による生活環境調査で把握された転倒要因の認知と転倒要因回避対策を試み,日常生活の環境改善・指導が高齢者の転倒予防に有効かを検討した.対象は新潟県田上町在住で転倒経験のある高齢者29名である.環境等の改善対策は介入群15名(男性7名,女性8名.平均年齢74.3±4.0歳)に12月から2ヶ月間実施し,その効果を対照群14名(男性6名,女性8名.平均年齢76.4±5.5歳)と比較する対照試験を実施した.介入群には作業・理学療法士が在宅訪問し,生活環境調査と対応可能な改善対策を戸別毎に行った.その後,担当全員で全家庭における転倒要因を再検討後,在宅訪問による追加の改善対策と電話による実施状況確認をした.介入の転倒予防効果の検討は,介入前後に行った介入の有無を知らない訪問調査員による聞き取り調査と,介入後に行った郵送アンケートで検討した.統計分析においてP<0.05を統計学的有意とした.聞き取り調査では,介入前には過去1年間の転倒者の割合が介入・対照群の間で有意な差はなかったが,介入後には過去2ヶ月の転倒者が介入群0/15人(0%)と,対照群7/14人(50%)より有意に低率となっていた.さらに,介入後の郵送アンケートでは前年同時期と比較した「屋内の歩行に対する不安」「つまずきやすいものに注意」「部屋の中や玄関の歩行困難」「屋外のつまずきやすべり」が介入群では対照群に比べて有意に改善傾向を示していた.なお介入に要した物品費は一人当たり3,100円程度であった.以上の事から,作業・理学療法士の在宅訪問による生活・環境評価に基づく戸別毎の転倒要因の説明,動作改善の指導及び簡便な環境改善活動は転倒予防に即効性のある安価で有用な手段であることが強く示唆された.
著者
川俣 治
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.633-646, 1997-10

In order to detect enterovirus and rhinovirus sequences as separately for the virus genera by single test of RT-PCR (reverse transcription-polymerase chain reaction), two sets of the primers were prepared covering the 5'-NTR (nontranslated region) to the VP4 in the virus genome for amplification. The sequences selected for detection included a deletion of ca. 120 b (bases) stretch in the rhinovirus genome so as to get the products separate in the electrophoretic mobilities for each virus groups. The first set of the primers consisted of P3 (5'-GGCCCCTGAATGCGGCTAAT-3') and P5 (3'-GTTCTGGGATCATTTAAGTG-5') and the second was of P4 (5'-ACTTTGGGTGTCCGTGTTTC-3') and P5;the P3 and P4 (for a closer site to the P5 compared to the P3 site) were complementary to the sequences in the 5'-NTR of 95~100% homology and P5 being in the VP4 region complementary to the sequence of 60~90% homology through the two virus groups, each. By considering the relatively low homology in the counterpart site, the P5 primer was employed for initiation of the reverse transcription at a low temperature of 37℃ for promoting the primer annealing to the template RNA. When applied to the prototype strains, the P3-P5 primers gave a single band equivalent to 460 b DNA for the enteroviruses (43/44 serotypes) and that of 340 b DNA for the rhinoviruses (8/8 serotypes), thus enabling to easily discriminate the two virus groups on the separate mobilities of the products. Similarly, the products by the P4-P5 primers were of 340 b and 220 b DNAs for enteroviruses (43/44 serotypes) and rhinoviruses (8/8 serotypes), respectively, again being of easy discrimination of the virus groups. Of these experiments, authenticity of the products was confirmed by base sequence analysis with selected product samples from the experimental groups. The primers prepared were also compared for the efficiencies of virus detection in the clinical specimens with the tissue culture method for virus isolation. Positive ratios resulted were 65/96 by the RT-PCR and 54/96 by the tissue culture method. The primers thus proved effective for rapid and discriminative detection of enteroviruses and rhinoviruses to the laboratory diagnosis.
著者
高橋 邦行
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = Niigata medical journal (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.132, no.11, pp.369-375, 2018-11

側頭骨は聴覚,平衡覚のセンサーなどの精密器官や,重要な神経,血管を内部に含む.一方で中耳炎などの炎症疾患が生じやすい部位であり,炎症制御や聴力改善を目的とした手術が行われる.側頭骨手術は,術野が狭い顕微鏡下の手術であること,一度重要構造物を損傷すると不可逆的になることなどの理由から,手術を行う際には三次元的な解剖の熟知が必須であり,難易度の高い手術と考えられていた.しかし近年,さまざまな模擬手術を行うことができるデバイスが発展し,実際の手術以外からも側頭骨解剖を学ぶことができる機会が増えてきた.現在ではカダバー,バーチャルリアリティー,3Dモデルを使用した側頭骨手術トレーニング,シミュレーションが可能であるが,それぞれ利点,欠点が存在する.そのうち3Dモデルは特に有用であり,高いトレーニング効果がみられる.コスト面や手間の問題が解決されることで,3Dモデルは今後さらに普及することが予想され,安全で確実な側頭骨手術に貢献できると期待される.
著者
安保 徹
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.51-56, 2014-02

免疫系は二層構造になっていることを明らかにしました. 生物が上陸した後に, 外来抗原向けにクローンを構成したのが, 新しい免疫系です. 胸腺や骨髄で作られるT細胞やB細胞です. 一方, 生物が上陸する以前から存在したのが古い免疫系です. 腸や肝臓で作られるNK細胞, 胸腺外分化T細胞, 自己抗体産生B-1細胞です. 私たちは, 若い時はT細胞, B細胞中心の免疫系で守られていますが, 加齢やストレスや細胞内寄生感染症が起こると, 古い免疫系に立ち戻ります. これによって異常自己を排除しているのです. 自己免疫疾患も免疫系の失敗や異常で起こっているのではありません. ストレス反応なのです. この時, 進化した新しい免疫系は抑制状態になっています. 治療の問題点にも気付けるでしょう.
著者
温 雅楠
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.127, no.11, pp.605-619, 2013-11

臨床検体による大規模ゲノムワイド関連解析によって, SORL1(Sortilin-Related Receptor, L[DLR Class]A Repeats Containing)が晩期発症型アルツハイマー病(LOAD:late-onset Alzheimer's disease)と相関することが報告された. 臨床診断された検体のみならず, 神経病理学的に診断された検体においても, SORL1がLOADと遺伝統計学的に相関するかどうかを検討することは重要である. そこで本研究では神経病理学的に確定診断された検体を対象として, SORL1と日本人LOADとの関連を遺伝統計学的に解析した. 孤発性LOAD 213例, 対照370例の計583例を用いて, SORL1に位置する既報の19カ所の1塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)をTaqMan法でタイピングし, 各SNPの遺伝型を決定した. ケースコントロール研究によって19 SNPのうち5 SNPは多重比校補正後もLOADと有意に相関した(P_<allele><2.63E-03[=0.05/19]). 年齢, 性別, APOE-ε4アレルの有無を補正したロジスティック回帰解析でもこれら5 SNPはLOADと有意に相関した. HapMapデータベースの日本人SNPを用いたin silico解析から, SORL1には2つの大きな連鎖不平衡(LD:linkage disequilibrium)領域があり, それらは組換えホットスポットで分割されていることが分かった. 有意な相関を示した5 SNPのうち3 SNP(rs985421, rs12364988, rs4598682)はSORL1の5'側のLD領域に位置し, 残りの2 SNP(rs3781834, rs3781836)は3'側のLD領域に位置していた. 各LD領域内のSNP間では強力なLDが認められたことから, SORL1にはLOADと相関する領域が2カ所あることが明らかになった. ヒト凍結死後脳(前頭葉)からRNAを抽出しSORL1の遺伝子発現解析を行ったところ, LOADと対照との間に有意な発現量の差は認められなかった. 神経病理学的に診断された検体による解析でもSORL1は日本人LOADと遺伝統計学的に有意に相関することが再現できたので, SORL1はLOADの有力な感受性遺伝子の1つであると考えられる.
著者
島田 能史 松尾 仁之 小林 孝
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.17-20, 2004-01

症例は60歳女性.右乳癌の診断にて入院した.手術当日グリセリン浣腸施行中に強い疼痛を訴え,その後も強い肛門部痛と嘔吐が持続した.臀部は腫脹し,肛門内から少量の出血を認めた.直腸診で直腸粘膜の欠損を触知し,浣腸時の直腸穿孔およびグリセリン液の管腔外注入が考えられた.浣腸後から自尿は無く,約10時間後の導尿では少量の血尿が得られた.補液と強制利尿にも反応無く,翌日急性腎不全と診断し,血液透析を開始した.計3回の血液透析で,腎機能は利尿期を経て約2週間後に正常に回復した.臀部の発赤,腫脹も受傷10日目には自然に消失し,直腸周囲での膿瘍形成も無かった.本症例は高濃度のグリセリン液が血中に入ったことにより,赤血球の膜障害と溶血が起こり,急性腎不全を引き起こしたと考えられた.以前より高濃度のグリセリンが血中に入ると溶血を起こすことは広く知られている.グリセリンが溶血を起こす機序については,赤血球の膜障害による高度の溶血が原因として推測されている.溶血が起こると大量の遊離ヘモグロビンが発生し,尿細管上皮内に再吸収されヘムとグロビンに分解される.ヘムは細胞毒として作用するため腎不全が発生するとされている.腎不全発生を予防するためには,遊離ヘモグロビンの除去が重要とされる.遊離ヘモグロビンは大分子物質であるため,その除去には血漿交換が有効と考えられている.また,遊離ヘモグロビンと結合し肝臓に運び処理するハプトグロビン投与も有効とされている.グリセリン浣腸時に患者が疼痛や気分不快および強い疼痛等を訴えた場合には,浣腸による直腸粘膜の損傷や穿孔の可能性がある.さらに腸管外へのグリセリン液注入は溶血から急性腎不全を発症する場合もあり,注意深い観察と迅速な対応が必要である.
著者
小田 純一 Oda Jun-ichi
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.315-319, 1995-07

The photofluoloscopic examination is widely used in Japan for mass screening of lung cancer. But efficacy of mass screening used this method is not sufficient for improve the survival rate of the screened population. So, recently new radiological modalities are proposed for improve the efficacy of mass screening. We tried to evaluate the effectiveness of some of these new modalities, Computed Tomography (CT) and Computed Radiography with energy subtraction method (CR-ES). We used these two new modalities to the outpatients of our department who were detected by mass screening for lung cancer in Niigata City. In the first place, we compared CT with conventional radiography (CONV). These two examinations were done to the 342 outpatients at the same day in the last four years, and 334 abnormal lesions were found out by CT. Among these lesions checked by CT, 234 lesions (70 %) were detected by CONV. As a result, we concluded that if using CT for mass screening, the detectability of abnormal lesions will be improved at least 30 % than now. Next, we compared CR-ES with CONV. These two examinations and CT were done to the 36 outpatients in a last half year, and 43 abnormal lesions were detected by CT. Thirty-one of these 43 lesions (72 %) were detected by CR-ES, and twenty-six (60 %) by CONV. So, we concluded that if using CR-ES for mass screening, the detectability will be improved about 10 % than now.
著者
古泉 直也
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.320-324, 1995-07

High resolution CT (HRCT) images in 25 patients with pulmonary adenocarcinoma were compared with the histological structure of the resected specimen with paticular emphasis on growth pattern and interstitial change. The HRCT images were classified into twelve types of domains from two points of view ; density (L:homogeneously low, U:unhomogeneous, H:homogeneously high), and marginal pattern (s:smooth, i:irregular, c:coarsely spiculated, f:finely spiculated), which resulted in Ls:1, Li:9, Us:1, Ui:2, Uc:1, Uf:6, Hs:5, Hi:8, Hc:6, Hf:7. Ls and Li corresponded to bronchioloalveolar type of well-differentiated adenocarcinoma with mild interstitial change. Hc domain showed severe interstitial changes which might suggest poor prognosis.
著者
斎藤 眞理 清野 康夫 植松 孝悦 栗田 雄三 横山 晶 Saito Mari Seino Yasuo Uematsu Takayoshi Kurita Yuzo Yokoyama Akira
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.332-337, 1995-07

In comparison with operation, we observed more recurrence after external beam radiotherapy for roentogenographically occult lung cancer. Then, since July 1991, we have treated that lung cancer, with external beam radiotherapy and intraluminal afterloading irradiation using ^<192>Iridium thin wire. The indication of this method is roentogenographically occult lung cancer, diagnosed inoperable for their respiratory function, age, and complications, and for refusal of operation. Up to Sept. 1994, 36 patients (44 lesions) were treated by this method. The follow-up period ranged from 0 to 41 months. Recurrence occured in 2 cases on whom an operation was done:one is well and the other is alive with disease. Radiation pneumonitis required treatment was observed in another 2 cases. Other recurrence or severe complications from irradiation have not been observed. We think this treatment is effective for roentogenographically occult lung cancer.
著者
滝沢 恒世 寺島 雅範 小池 輝明
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.329-331, 1995-07

Nine patients with clinical stage T1NOMO lung cancer underwent video-assisted thoracic surgery (VATS) for lobectomy with mediastinal lymph node dissection. There were no major complications. We belive that a complete operation can be done by VATS for stage 1 lung cancer.