著者
稲川 郁子
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.2027-2034, 2022

This study examined the background of roller coaster accidents at amusement parks and the related safety measures based on a study of the “Do Dodonpa” accidents, a coaster-type attraction owned by Fujikyu Highland. Since 2019, multiple accidents involving fractures and other injuries to passengers’ spines have been attributed to “Do Dodonpa”, which has become a serious hazard. From several news articles, I could know that the most important measure by which passengers could avoid accidents was to hold the back of their heads against the head restraint during in starting, since “Do Dodonpa” is characterized by rapid acceleration at the time. Furthermore, although roller coasters are installed and operated in accordance with strict safety standards, both owners and passengers need to be fully aware of the dangers inherent in them. Therefore, I consider it important for owners to thoroughly implement safety measures including not only the maintenance and management of equipment but also the issue of in-depth warnings; passengers must also take the owners’ warnings seriously while enjoying the attractions.
著者
服部 辰広 松田 康宏 伊藤 譲 久保山 和彦
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1001-1009, 2022

The purpose of this study is to clarify the learning effects of online classes. Online classes started in 2020 are not well prepared by teachers, and there is not enough analysis about the learning effects of the online courses. This study classified the type of lessons into four categories: lectures (re-al-time); lectures (on-demand); practical training (real-time) and practical training (on-demand). Then, the author conducted a questionnaire survey regarding the learning effects for the students from the Judo-therapist course. In addition, students’ attitude during the exam and the motivation for the second semester were examined as well. The results of the survey suggested that the on-demand lectures were useful and effective as in-person lectures. However, online practical trainings showed a limitation of learning environments, thus virtual reality lessons or hybrid lessons were necessary. In terms of the students’ attitude for the study, a lot of cheating has been reported in the regular tests, thus new measures to control injustice acts are required. Approximately 66% of the students showed a decreased motivation for classes in the second semester, and establishing more supports for students seemed to be important.
著者
竹腰 誠 柏木 悠 神 和人 平野 智也 藤戸 靖則 相馬 満利 石濱 慎司 船渡 和男
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1051-1061, 2021-08

本研究の目的は,日本代表選手を含む大学アルペンスキー選手の体力測定値とパフォーマンスの関係性を検討し,その測定値の有効性と世界一流選手(World)と大学アルペンスキー選手(College)の体力レベルの差を明らかにすることでトレーニングへの一助とすることを目的とした。被験者は,17名の日本代表選手を含む大学男子アルペンスキー選手(Collage)であった。測定項目は,形態・身体組成,柔軟性,筋力,非乳酸性パワー,乳酸性パワー,そして有酸素性パワーの測定であった。アルペンスキー競技のパフォーマンスには,国際スキー連盟(FIS)が定めるFISポイント(回転,大回転,スーパー大回転)を採用した。体力測定項目とFISポイントの関係性には,ピアソンの積立相関係数およびスピアマンの順位相関係数を用いて評価した。また,CollageとWorldの体力の差の検討には,先行研究Neumayr et al.(2003)の報告を参考した。FISポイントと体力測定値の関係性は,形態・身体組成と柔軟性以外の全ての項目と有意な負の相関関係がみられた。FISポイントとの関係性がみられた膝屈曲トルクは,WorldがCollageより大きな値を示し、最大43%の差であった。その次に大きな差がみられた測定項目は,2 mmol/lの相対的な有酸素性パワーであった。大学生アルペンスキー選手の膝伸展屈曲トルク,非乳酸性パワー,乳酸性パワーおよび有酸素性パワーの体力要素は,アルペンスキー競技パフォーマンスと有意な相関関係が認められ,世界レベルを目指すための体力トレーニングの目標値が示された。
著者
古澤 伸晃 岡本 瑞穂 新里 知佳野 八木沢 誠
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.3035-3039, 2020-08

ABO血液型は日本ではごく一般的に受け入れられており,血液型性格診断や血液型占いなど娯楽にも用いられている。今日でもなお,血液型と人格は,スポーツの分野においても信じられており,インターネット上でも数多くヒットする。対峙する意見があり,結論に至っていない。本研究は,スポーツパフォーマンスと血液型の関係について,量的方法と文献を用いて考察するものである。私たちは,306名の武道(剣道,柔道,相撲)を専攻している学生を対象に,Web上でのアンケート調査を実施した。質問内容は,競技歴,競技成績,資格,そして血液型とした。回収率は,98.6%だった。血液型の分布は,A型116(38.4%),B型71(23.5%),O型84(27.8%),AB型26(8.6%),不明5(1.7%)であった。これは,日本人全体の血液型分布,A型37%,B型22%,O型32%,AB型9%の傾向と一致していた。このことは,武道種目に特化した血液型分布は存在しないことを示唆している。競技歴は95人が15年以上,169人が10年から15年未満,29人が5年から10年未満,9人が5年未満で,10年以上が全体の87.4%を占めている。10年以上を武道の熟練者とし,剣道,柔道,相撲の種目ごとと血液型を比較した。A型とO型の柔道の数値が同じではあったものの,分布は,A型,O型,B型,AB型の順に多く,この点についても,日本人の血液型分布と同じ傾向にあると言える。競技成績については,世界大会を含む全国大会以上(予選通過)と地方大会以下に区分し,血液型との関連を調べた。全国大会以上が最も多かったのはA型であるが,これはA型の競技者数が多いだけで,統計的な有意差はなかった。どの種目においても,全国大会出場以上の数が多いのは,この集団がもともと武道を専攻しているといった選択バイアスのためであると言える。つまり,武道系種目において,スポーツパフォーマンスと血液型には関係がないことが結論づけられた。血液型と人格については,擬似科学の分野でも説明されていて,それを信じる人もいる。血液型にまつわる研究はサイエンスとしては必須不可欠であるが,そのいっぽうで,いかに疑似科学を抑制するかの思考と方法論を見いだしていくかが今後の課題と言える。そして,スポーツにおいて最も重要なことは,日々のトレーニングとたゆまない努力と言えよう。
著者
丸澤 遼子 久保山 和彦
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.2001-2006, 2021-08

【目的】近年の柔道整復療養費が減少傾向にある。本調査においては,東京都23区・30市町村における「接骨院(公社)」の分布及び運営の現状を公開されているホームページなどの広告内容を資料として,柔道整復療養費の運用状況を調査し,減少要因を明らかにする。【方法】①「(公社)接骨院検索東京MAP」の検索ページを用いて,会員登録されている接骨院の分布状態を把握するために,[Geocoding and mapping(埼玉大学教育学部人文地理学谷謙二研究室)]のフリーソフトを基にして「接骨院一覧入力シート」を設けて,接骨院名,住所,施術内容を東京都の地区ごとに整理,入力して地図上にプロットした。②プロットする際には,接骨院の運営形態を,それぞれの接骨院のホームページ(インターネット検索調査)に掲載された業務内容をアイコンの色と形により分類した。③東京都内における昼夜間人口比率の高い渋谷区(240.1%),比率が低い杉並区(85.1%)及びその中間となる江東区(122.2%)の3区を抽出し,詳細地図に分布状況及び業務内容を図・グラフに表した。【結果と考察】①東京都における接骨院(公社)の展開状況は,都内全域にわたり1,118件が開設されており,運営形態の特徴については,「保険取り扱い」,「自費のみ」及び「保険と自費併用」などの運営方法がとられ,「保険と自費併用」する接骨院が全体の75.3%となっていた。②渋谷区では,痛みを保険で行う傍ら自費,美容,福祉などをさまざまに組み合わせて運営している接骨院が57.9%存在しており,多岐にわたる運営形態が確認された。杉並区では,痛みを保険で行う傍ら自費,美容,福祉をそれぞれ組み合わせて運営している。また,保険を用いずに「自費」のみが,2件(4.3%)存在していることも分かり,この地域では「痛み」に対する施術(保険・自費併用)を中心に運営されている。さらに,開院場所が駅近辺に集中していることが分かった。江東区では,「保険,自費併用」は32件(88.9%)と最も多く存在していることが分かった。また「福祉関係」の業務は行っていない。【まとめ】近年における柔道整復療養費申請額が減少傾向にあるのは,「療養費を適用」して施術を行うことが基盤となっているものの,「自費で行う施術」を併用させるなど,柔道整復師による積極的な運営上の工夫によるものと考えられる。
著者
市川 純
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.25-37, 2018-09

ウィリアム・ワーズワスは『抒情民謡集』第2版(1800)の序文において,「狂った小説」や「気分の悪い馬鹿げたドイツの悲劇」によってシェイクスピアやミルトンの作品が無視される状況に追い込まれていることを批判している。ここでいう「狂った小説」とは当時のゴシック・ロマンスを指し,「ドイツの悲劇」は特にドイツの劇作家アウグスト・フォン・コツェブーによって書かれた作品を示している。コツェブーの悲劇の中でも『ペルーのスペイン人,またはロラの死』(1796)は英語への翻訳や翻案がいくつも作られ,イギリスの劇場で多大な人気を獲得していた。ここには『ペルーのスペイン人,またはロラの死』(1799)として翻訳したアン・プランプトリの他,『ペルーのピサロ,またはロラの死』(1799)のトマス・ダットン,『ピサロ』(1799)のリチャード・ブリンズリー・シェリダンに加え,『ロラ,またはペルーの英雄』(1799)の訳者「マンク」・ルイスの名も見られる。ゴシック・ロマンスの豊富な先行研究に比べ,『ペルーのスペイン人』はこれまでその文学的価値を十分議論されてこなかった。しかし,スペイン人征服者ピサロがペルーの民に行った残虐な所業,およびそれに対する彼らの抵抗を描くこの劇作品は,ゴシック・ロマンスと比較考察すべき特徴を十分備えている。この作品を文学的,歴史的,また社会的視点から考察することで,ピサロがゴシック研究において指摘されているある特徴を備えていることがわかる。つまり,ピサロの暴君的な行いや性格はゴシックにおける悪漢の性質を持ち,ペルーに対するスペインの残虐な行為の描写はイギリスの観客や読者の反カトリック的感情を煽る仕組みになっているのである。また同時に,スペインによるペルー人征服を劇化することは,当時のイギリスの文学潮流における反奴隷制論争や博愛主義運動の高まりとも関係している。これらの問題はイギリス・ロマン主義文学研究においても昨今取り上げられるようになったテーマである。『ペルーのスペイン人』はゴシック・ロマンス研究とイギリス・ロマン主義文学研究とをつなぐ作品であるといってよい。本稿はコツェブーの『ペルーのスペイン人』を同時代のゴシック・ロマンスと比較考察し,ゴシックの特徴と照らし合わせてその文学作品としての意義を探る。また,この劇の人気を歴史的文脈において実証的に検証し,その政治的側面についても議論する。さらに,このような比較検証によって『ペルーのスペイン人』で描かれている内容がポストコロニアル批評やオリエンタリズム研究によって提起される重要な問題とも関係していることを示す。この方法により,ゴシック文学研究とイギリス・ロマン主義文学研究双方に有益な知見をもたらす。本稿は2018年3月16日,アメリカ,フロリダで行われたThe 39th International Conference on the Fantastic in the Artsにおいて口頭発表した "'Pizarro' as a Gothic Villain" を日本語にし,大幅に加筆・修正を加えたものである。また,JSPS科研費 17K13413の助成を受けた研究成果の一部でもある。
著者
中島 龍一
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.45-70, 2017-09

In March 2017, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) of Japan announced the new-generation designated courses of study, following partial amendment of the enforcement regulations to the School Education Act. The designated courses of study are prepared by MEXT pursuant to the School Education Act to establish standards for curriculum development at every school, in order to ensure that students in any region of the country can receive a uniform level of education. They establish objectives and general educational content for each subject at each of the levels of elementary, junior-high, and high school. The new designated course of study for elementary school released this year will be implemented beginning in April 2020. The designated course of study for each subject in elementary school consists of overall objectives as well as objectives and content for each school grade. Its overall objective for music incorporates more detailed content than the current course of study. Its objectives and content for individual grades also are specified in more practical terms, while still observing the three pillars of expression, appreciation, and common matters. This paper summarizes the revisions to the designated course of study for elementary-school music, focusing on "devising musical expression," which is identified under Item 2 of the new designated course of study. The designated course of study establishes common teaching materials on singing. Four works are specified for each grade—for a total of 24 works over six years. These are considered extremely important works in elementary music education in Japan in light of Japanese traditional culture and classical song forms, their musical structures, and the Japanese historical background that can be identified from their lyrics. Focusing on piano accompaniment in the common teaching materials for singing, the authors use the expressive method of arrangement for piano to attempt to devise means of musical expression. With regard to arrangement, they focus on the important point of making works easier to play without losing the sound of the originals. They do so because this makes it possible even for instructors who have little experience performing on the piano to play songs on the instrument and sing along with pupils while also observing them. They then compare and contrast the original sheet music with that of the arrangements and discuss one teaching method for elementary music.
著者
上妻 歩夢 齋藤 未花 本間 洋樹 水野 増彦 横山 順一 小林 史明 畑山 茂雄 菊池 直樹
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
no.50, pp.3015-3020, 2021

自転車競技,アメリカンフットボールなどの競技を対象に見た目の魅力と競技パフォーマンスとの関連性が報告されている。本研究では,大学陸上競技選手を対象に,見た目の魅力及びfacial width-to-height ratio(FWHR)と競技成績との関連性について検討した。本研究の対象者は,93名の大学陸上競技選手(男性42名,女性51名,年齢19.8±1.2歳)であった。競技成績から全国入賞以上を上位群,全国出場以下を下位群に分類した。魅力度は,対象者のことを知らない241名(男性124名,女性117名,年齢20.81±1.5歳)の評価者によって評価された。評価方法は,10 cmの直線を用いたVAS法で異性の評価を行った。対象者1人あたりの評価者の人数は32–37名であった。本研究の対象者の内,86名(男性40名,女性46名,年齢19.74±1.2歳)を対象にFWHRの計測を行った。FWHRは,横幅は左右の頬骨の位置,高さは上唇の上部から眉毛の下部の位置を,ImageJを用いて測定し,横幅と高さの比を求めた。短距離選手において,上位群が下位群に比べて魅力度が高い傾向にあった(p=0.053)。一方,長距離選手においては,下位群に比べて上位群で魅力度,FWHRともに有意に低かった(p=0.039, 0.047)。本研究の結果,短距離選手では競技成績が高い群で,見た目の魅力が高く,長距離選手では競技成績が低い群で,見た目の魅力とFWHRが高かった。
著者
宮原 柔太郎
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.4021-4032, 2021

【目的】日本体育大学紀要に掲載された論文をもとに,過去50年間の歩みを振り返るとともに,掲載論文の動向を明らかにすることである。【方法】1巻1号(1971年4月)から49巻(2020年8月)までに「総説」「原著論文」「研究資料」「短報」「特別寄稿」として掲載された835編を調査対象とした。日本体育大学学術機関リポジトリからダウンロードした書誌情報を用いて,①論文数,②本文の言語,③単著論文と共著論文の割合,一論文当たりの平均著者数,④論文タイトル,⑤日本語キーワード,⑥主題を調査した。論文タイトル及び日本語キーワードは,KH Coder 3を用いて,計量テキスト分析を行った。【結果】①1971年から2000年まで掲載論文数は増加傾向にあったが,学内で刊行される紀要・学術誌の増加に伴い,2001年以降は論文数が減少している。②共著論文が主流になっており,平均著者数は創刊時の1.66人から3.68人に増加している。③外国語による報告は外国語研究室,自然科学研究室を中心に行われている。④掲載される論文の主題は体育・スポーツ分野が中心になっているが,近年では学部の改組・開設に伴い,その他の分野の掲載も増えつつある。