著者
大森 貴弘
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = TOKOHA UNIVERSITY FACULTY OF EDUCATION RESEARCH REVIEW
巻号頁・発行日
no.38, pp.409-425, 2017-12-31

ドイツでは、かつては日本と同じく離婚後単独親権を民法で定めていた。しかし、1982 年に連邦憲法裁判所は、離婚後の例外なき単独親権を定めた民法1671 条4 項1文の規定が、親の権利を定めた基本法6 条2 項1 文の権利を侵害すると判示した。これ以後、ドイツでは離婚後の例外なき単独親権は違憲となり、個別事例での対応が続いていたが、1998 年に親子法改正法(1997 年制定)が施行され、離婚後共同親権(共同配慮権)が法制化された。
著者
桜井 雄太 森 貴久
雑誌
帝京科学大学紀要 = Bulletin of Teikyo University of Science (ISSN:18800580)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-15, 2016-03-31

We investigated whether Japanese land snails like hydrangea in rain season, which is a typical image for Japanese. Wesurveyed five sites in Uenohara, Yamanashi, central Japan, to collect land snails and record vegetation between May andJuly, 2006. We found more than 400 snails of eight species, most of which were Euhadra peliomphala and Acusta despectasieboldiana. E. pelimphala were found on leaves of hydrangea more frequently than expected from vegetation at the sites,whereas A. despecta sieboldiana were frequently found on other leaves of plants than hydrangea, cherry and Poaceae grass.We also tested whether E. pelimphala prefer hydrangea leaves to cherry or Poacea leaves by experiments in a laboratory, andfound no preference of hydrangea to other species. These findings suggest that the image of land snails on hydrangea duringrain season is a biologically correct image at least for E. pelimphala , but the snail is not necessary prefer hydrangea leavesmuch better to other plants.
著者
森 晃爾 石丸 知宏 小林 祐一 森 貴大 永田 智久
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.179-198, 2022 (Released:2022-01-13)

感染症、特にヒト-ヒト感染を伴う感染症では、ワクチンによる集団免疫の獲得が、感染症制御のために極めて有効な手段である。しかし、ワクチンに強い反感を持っている一部のグループだけでなく、ワクチンに対する不安やその他の要因でワクチン接種を躊躇する層の動向によって、十分なワクチン接種率が得られないといった、Vaccine Hesitancy(ワクチン躊躇)の問題が存在する。本稿では、ワクチン接種行動に影響を及ぼす要因のうち、社会人口学的要因や心理社会的要因について紹介するとともに、ワクチン接種意思に与える職場要因および職域でのワクチン接種プログラムに関する知見についても検討する。
著者
中川 靖枝 原島 恵美子 森 貴芳 佐藤 学 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.704-709, 1999-11-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
18

サイリウムを配合する粉末飲料の便性に与える影響を検討するために,正常便性の青年期女性を対象に,それぞれサイリウムの摂取量を変化させて,排便状況への影響を調べたところ,サイリウムの便性改善作用が確認された.正常便性者に対して,サイリウム4g以上の摂取では,目視による観察により排便量の有意な増加がみられ,また,8gの摂取では排便回数の有意な増加が認められた.日本人で不足している食物繊維の摂取を補うとともに,排便状況の改善に対する有効性および安全性が示された.
著者
岸本 昌子 森 貴久
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.61-68, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
31

ニホンヤマネGlirulus japonicusの体毛の特徴を,下毛と保護毛の密度と長さに着目して,アカネズミApodemus speciosusと比較した.さらにヤマネの体毛の特徴の地域的な差異を調べた.各地の博物館所蔵のヤマネの標本30体と採集したアカネズミ5個体を解析に用いた.ヤマネとアカネズミの体毛の密度と長さについて比較すると,ヤマネの方がアカネズミよりも全体の下毛密度と下毛割合が高く,長さも長かった.保護毛密度はアカネズミの方が高かった.また,ヤマネでは,胸の保護毛密度が他の部位に比べて低かった.さらに,ヤマネの体毛の特徴に基づいて標本をクラスター分析した結果,主に山形県,群馬県,埼玉県,岐阜県産からなる集団と鳥取県,静岡県,兵庫県産からなる集団の2つの集団に大きく分かれた.この集団は,これまでに知られている遺伝集団とは必ずしも一致せず,寒冷適応の程度と関係している可能性が示唆された.
著者
藤井 仁美 森 貴幸 古川 綾 井上 岳 厚田 幸一郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.259-263, 2016 (Released:2016-02-01)
参考文献数
5

For prevention of the aggravation of diabetic nephropathy, a treatment method that combines self-care with medical guidance is becoming increasingly important, leading to the development of programs for lifestyle modification for the patients. To assess the effectiveness of such programs, we have conducted a feasibility study of a patient self-care support program with medical collaboration by registered pharmacists in community pharmacies involving patients with diabetic nephropathy who are under treatment at medical institutions, including our hospital. This study evaluated the two primary measurements, which are A) the actual execution rate versus planned programs, and B) the patient satisfaction rate. In addition, the achievement rate of behavioral objectives, satisfaction rate of diabetes treatment, degree of concerns (Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire; DTSQ, Problem Areas in Diabetes; PAID) and other physiological indicators have been evaluated. With the approval of the IRB at Kitasato University, sixteen out of 18 patients have continued to participate in the support program, and the study has shown high patient satisfaction with pharmacist coaching support. Patients have gained interest in managing their lifestyles, thereby increasing self-efficacy. Also, information shared between the pharmacists and the physicians has clarified patients' issues and concerns pertaining to their lifestyles, which were effectively utilized in the coaching program. Through meetings with pharmacists, patients have been reassured of the expertise of the pharmacist and thus gained mutual trust, which leads to the patient's behavioral change. We believe that the collaboration of patients, pharmacists and physicians has resulted in effective team-based patient care.
著者
後藤 拓朗 村田 尚道 前川 享子 神田 ゆう子 小林 幸生 森 貴幸 宮脇 卓也 江草 正彦
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.209-216, 2013-12-31 (Released:2020-05-28)
参考文献数
29

【目的】カプサイシンは赤唐辛子に多く含まれる成分で,嚥下反射の促進効果が認められている.咽頭の知覚神経からサブスタンスP(以下SP)を粘膜中に放出させ,SP濃度が上昇することによって反射が惹起されやすくなるとされている.現在,嚥下障害のある患者が容易に摂取できるように,フィルム形状のオブラートにカプサイシンを含有させたカプサイシン含有フィルムが市販されている.しかし,摂取後の嚥下反射促進効果については,十分検討されていない.そこで,本研究では,カプサイシン含有フィルム摂取後の嚥下反射と咳嗽反射への効果,および唾液中SP 濃度への影響について検討した.【方法】対象は,20 歳から40 歳までの成人男性(17 名)とした.カプサイシン含有フィルム(カプサイシン含有量1.5 μg/枚)とプラセボフィルムを用い,クロスオーバー二重盲検法にて行った.フィルムを摂取する10 分前の安静時の値を基準として,摂取後10 分ごとに6 回の嚥下反射および咳嗽反射を評価した.嚥下反射の評価として,簡易嚥下誘発試験による嚥下潜時を測定した.咳嗽反射の評価は,1% クエン酸生理食塩水を用いて咳テストを行った.さらに,摂取前10 分,摂取後10,20 分に唾液を採取し,ELISAキットにて唾液中SP 濃度を測定した.プラセボフィルム摂取時の値をコントロール群,カプサイシン含有フィルム摂取時の値をカプサイシン群として,両群を比較した.統計学的分析はFriedman test およびWilcoxon の符号順位和検定を用いて行った.【結果】カプサイシン群では,摂取前と比較して摂取後40 分で嚥下潜時の短縮を認め,コントロール群では差は認められなかった.また,コントロール群と比較して,カプサイシン群は嚥下潜時が摂取後20,40 分で有意に低値を示していた.その他の時間および他の評価項目では,有意差を認めなかった.【結論】カプサイシン含有フィルム摂取により,嚥下反射の促進効果が,摂取後40 分に認められた.
著者
森 晃爾 永田 智久 永田 昌子 岡原 伸太郎 小田上 公法 森 貴大 髙橋 宏典
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.165, 2020 (Released:2020-09-01)

同じように健康増進プログラムを提供しても、成果が上がる組織と上がらない組織が存在する。その背景として、経営トップのリーダーシップ等の組織要因の重要性が指摘されている。そのような組織要因が整えられると、健康増進プログラムの継続によって、健康風土・文化が醸成されることになり、さらなる健康投資がより高い成果に結びつく。そのような組織では、人間中心的な経営理念のもと組織運営が行われているはずである。
著者
森 貴子 問田 千晶 六車 崇 齋藤 千恵子 横尾 由希子 金子 節志 稲元 未来 橋本 圭司
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.107-114, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
参考文献数
10

当施設PICUでは,2013年より重篤小児に対する早期リハビリテーション充実へ向けた取り組みを開始した。取り組み導入による効果を検証し,課題を呈示する。【対象と方法】PICUに3日以上滞在した16歳未満の小児に対する早期リハビリテーションの効果,施行率,PICU医師と看護師に対する意識調査を行った。【結果】重篤小児に対する早期リハビリテーションによる効果は実証できなかった。効果を認めなかった要因としては,リハビリテーション施行率の低さ,リハビリテーションに関する知識不足,理学療法士との協力体制の不備,効果の判定方法の問題が示唆された。【考察】今後は,小児の年齢や発達に応じた評価指標に基づき,リハビリテーションの効果を客観的に評価するとともに,年齢,疾患および重症度ごとに検証する必要がある。
著者
山口 昌樹 金森 貴裕 金丸 正史 水野 康文 吉田 博
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.234-239, 2001 (Released:2011-10-14)
参考文献数
15
被引用文献数
17

It is more than a half-century since Dr. Hans Selye proposed that the reaction to an external stimulus to a human be called a “stress.” However, an index that can quantitatively evaluate the stress has not yet been established. We have focused on the change of α-amylase activity in saliva (salivary amylase) and carried out an in vivo evaluation in six normal subjects to define the levels of mental stress through amylase activity. In this evaluation, the Kraepelin Psychodiagnostic Test was used as a mental stressor for the subjects. In normal subjects, a comparatively quick response was observed by the experiment for stress load, which verified a correlation between mental stress and salivary amylase activity. The sign of gradient calculated from the salivary amylase activity was negative or positive, depending on whether the stress reaction is comfortable. Furthermore, when the salivary amylase activity and salivary total protein were measured, the effect of the salivary flow rate could be estimated. The change of salivary amylase activity was confirmed as being originated from stress. These results suggest that the monitoring of salivary amylase could be used as a noninvasive indicator of stress reaction.
著者
泉 千尋 藤森 一真 金森 貴洋 桑原 洋平 西谷 彰紘 鈴木 学 菅原 誠一 太田 真之 佐藤 宏行 林 健太郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.173-182, 2021-12-23 (Released:2021-12-24)
参考文献数
11

心房性頻脈性不整脈(AT/AF)のburdenを減少させる機能として,第2世代心房抗頻拍ペーシング(A-ATP)の有用性が報告されているが,導入後に治療が有効となる症例の特徴は明らかでない.そこでわれわれは,A-ATP(Reactive ATP, メドトロニック社製)作動症例22名の患者背景,心内心電図,12誘導心電図,エコー所見,BNPから治療が有効となる因子を検討した.AT/AF burdenの50%以上減少をA-ATP有効と定義し, AT/AF burden<5%の症例とAT/AFのエピソードが1件のみの症例は治療有効性の判断が困難なため,10名を除外した.有効群(5名)は無効群(7名)と比較して,心内AT/AF average tachycardia cycle length(AvCL)>300ms(28.6% vs 5.2%,p<0.05)および規則的なAT/AF(71.9% vs 48.5%,p<0.05)が多く,AT/AFに対するカテーテルアブレーション(CA)またはMaze手術既往が多かった(80% vs 14%,p<0.02).また,12誘導心電図において有効群はf波のCLが無効群より延長していた(220.5ms vs 141.4ms,p<0.05).A-ATPは延長したAT/AF AvCL,または規則的なAT/AF症例で有効であり,CAやMaze手術の既往,12誘導心電図のf波CL延長が植込み前に観察可能な有効性の予測因子として有用な可能性がある.
著者
森 貴史
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

オランダの解剖学者ペトルス・カンパーの顔面角理論、ドイツの解剖学者ザムエル・トーマス・ゼメリング、おなじく比較解剖学者ヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハ、博物学者フォルスターなどの18世紀後期の人類学理論が古典主義美学の影響下にあり、その人類学理論と言説が同時代のスイスの文筆家ヨハン・カスパー・ラーヴァターの観相学、ウィーンの神経解剖学者フランツ・ヨーゼフ・ガルの骨相学、19世紀後半の犯罪人類学イタリア学派創設者チェーザレ・ロンブローゾの生来性犯罪者説、フランスの犯罪学者アルフォンス・ベルティヨンの人体測定法、ナチスドイツの反ユダヤ主義人種論まで理論的な影響を与えたことが確認された。
著者
森 貴弘 國方 弘子 多田 達史 和田 晋一
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.33-41, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
22

本研究の目的は,新人看護師に対して自己効力感向上集団CBT介入を行うことで,介入前後の自己効力感,レジリエンス,認知とストレス反応に変化があるかを検証することである.新人看護師9名を対象に,全4回で構成する介入プログラムを実施した.実施前,実施直後,実施1ヶ月後に,一般性セルフ・エフィカシー尺度,看護師レジリエンス尺度,推論の誤り尺度を用いて自記式質問紙で測定した.プログラム毎回の実施前後に唾液アミラーゼを測定した.統計解析は一元配置線形混合モデルを用い効果量を算出した.結果,新人看護師を対象にした自己効力感向上集団CBT介入は,「行動の積極性」「能力の社会的位置づけ」の自己効力感ならびにレジリエンスを向上させる可能性があると示唆された.また,集団で行うCBT介入は,聴き手に負担がかかる可能性があることから,リラックス効果を得るために,セッション終了後にアイスブレイクを設ける必要性が示唆された.
著者
古川 綾 浅田 美子 森 貴幸 井上 岳 厚田 幸一郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.251-258, 2016 (Released:2016-02-01)
参考文献数
12

The Asheville Project® began in 1996 in Asheville, North Carolina, where community pharmacists, in collaboration with physicians, provide health coaching to patients with lifestyle diseases to accomplish their improved self-management of the disease. The project has now widely expanded across the United States. With periodical coaching by pharmacists, according to the reports of these programs, patients have been reported to show improvements in self-management and laboratory data, including the number of doctor visits, medication adherence and the number of foot examinations. Economically, the total medical costs for this disease have decreased 34% over a 5-year period by complying with the Asheville Project. In implementing this model in Japan, various questions, such as the feasibility for busy pharmacists to expend 30-60 min for meeting individually with patients, effective collaboration between pharmacy and physician, patients' acceptance of support by pharmacists to modify their behavior, etc. had to be answered. Thus, we developed a program entitled, “A Health Coaching Program by Community Pharmacists in a Collaborative Practice,” aimed at preventing the aggravation of lifestyle diseases; we evaluated its feasibility for the above mentioned concerns. The content of this coaching program has been prepared with reference to the Asheville Project® and with the support of Kitasato University School of Pharmacy and the Iowa Pharmacy Association, USA. We herein introduce this coaching program, as well as what the pharmacists have learned through this program.