著者
高橋 優輔 舘 知宏 横山 ゆりか
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.3-9, 2014 (Released:2015-12-01)
参考文献数
12
被引用文献数
3

本論では,キヌガサタケの網目構造の特徴を抽出し,これを満たす形状のバリエーションを生成するシステムを提案する.キヌガサタケの網目は六角形による曲面メッシュ形状として捉えられるが,従来の六角形メッシュのモデルの多くは曲面形状を決めてから均質に分割して生成される.本論で扱うキヌガサタケの形状にはバリエーションがあり,セルの密度が均質でないため,既往のものとは異なる手法が必要である.キヌガサタケでは,網目の形状とセルの密度分布が菌網内の水分分布に従うという原理が推察される.そこで均質な網目構造の各線材がある分布(乾燥度のグラデーション)に従って局所的に収縮変形し,そのつり合い状態として均質でない網目構造が生成されると仮定した.これを,回転面に沿ったボロノイ図の各線分と頂点をそれぞれバネと質点とした力学モデルによって再現し,バネの縮みと全体の変形をシミュレーションした.
著者
畠山 絹江 飯田 尚紀 長江 貞彦 中谷 吉次 宮本 貴朗
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.7-16, 1988 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

Recently, computers have been getting avalable for making patterns on women's wares. Generally speaking, it is quite difficult to measure lady's body, because it has more complicated surfaces than man's; such as which observed at shoulder part, breast part, waist part and so on than men's. This paper reports the construction of new measuring system; measuring human body without touching and destroying the object, analizing the data and making patterns on ladies' wares automatically with an image processing unit and a micro cmputer. Furthermore, SUPER ELLIPSE method is applied to get the data on human body's circumference length which has weight with making patterns where the error and accuracy are considered. Nontouch measuring is performed by the automatic measuring system consisted of two CCD cameras and image processing unit. Four pictures aretaken; they are upper front view, upper right side view, lower front view and lower right side view. All these pictures are proccessed by a personal computer connected with the system, calculating the necessary length automatically for making patterns. The error is to be within the allowance of JIS size table. SUPER ELLIPSE method is found to be useful for measuring ladies' body.
著者
川崎 寧史
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement1, pp.175-178, 2006 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

本研究では複雑系および画像処理の技術を利用して、景観画像の複雑さを計量的に計測し、景観評価に有用な情報としてこれを提示することを目的とする。具体的には、様々な都市や自然景観、夜景および風景絵画の画像を対象に、2次元フーリエ変換を利用してパワースペクトル曲線を導き出し、その傾き変化から被写体となる景観の性質とゆらぎ特徴の関係について考察する。その結果として、白色ノイズや1/f、1/f2ゆらぎを示す景観の類型や、夜景におけるゆらぎ特徴の傾向等の整理を行った。ただし本研究は実施途中であり、最終的な分析結果や一定の結論を得ているわけではない。そこで本稿では上述した研究の経緯や内容について報告する。
著者
森田 克己
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.73-78, 2003 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

自然界には様々な分岐パターンがある。河川と樹木の分岐パターンはその代表的な例として挙げることができる。分岐パターンは自然界の複雑な条件の関与により様々な形状を示すが、ある規則に従って形成されることが知られている。本稿では、種々の分岐パターンのうち、植物の生長における葉序の螺旋パターンに注目した。例えば、樹木の軸に対する柄あるいは茎の配列あるいは、サヤエンドウの軸に対する蔓の関係等に螺旋の分岐パターンが確認できる。本稿では植物の形態イメージをベースにして、独自の造形イメージにより、CGを用い数理造形的に分岐パターンを生成した。螺旋の分岐パターンを生成するアルゴリズムは1.平面曲線の生成2.旋回条件の設定3.チューブ状螺旋の生成である。螺旋の分岐パターンを生成する条件を次の通り設定した。第1に、平面曲線を生成するために、螺旋の種類・分岐段階・分岐数・分岐間隔・分岐位置をパラメータとして設定した。第2に、旋回条件の設定をするために、旋回形状・旋回数・旋回方向をパラメータとした。本稿では、旋回数に対する分岐数の関係に着眼し、旋回分岐比を定義して、分岐パターン生成の基準とした。以上の設定より螺旋の分岐パターンのバリエーションを生成し、検討を加えた。
著者
村上 晋一
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.31-39, 1971 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
著者
安藤 直見
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.11, 2016 (Released:2017-09-01)
参考文献数
10

映画には,作品としての表現の一部として,あるいは背景として,建築が描かれる.本論は,映画から建築のイメージを読み取るための方法について論じ,映画を通して歴史的な建築の特徴を学ぶための教育資料を提示することを目的としている.その端緒として,本稿は,古代エジプト建築を描いた映画を取り上げ,そこに表れた古代エジプト建築のイメージの特質を検証する.古代エジプトの建築は,大ピラミッドの他,アブシンベル神殿の巨像,ルクソール神殿の大列柱など,石造の量塊的な巨大さを特徴とする.
著者
櫻井 良昭 大野 義夫
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.129-132, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

セルアニメーションや漫画制作の分野では, 線画を描く段階にノンフォトリアリスティックレンダリング (NPR) を利用した3DCGの導入が進んでいない.視聴者が手描きの絵と3DCGによる線画の組み合わせに違和感を覚えるからである.この違和感を解消するために, 本研究では漫画家や原画家が用いている線画に関するテクニックをNPRのシステムに組み込むことを提案する.まず漫画家や原画家の描いた絵の分析を行い, 線画に関するテクニックを分析, 整理した.そしてそれらを画法として定義し, 線画を生成するNPRに導入したシステムを作成した.そのシステムを用いて線画の作成を行ったところ, 一部の画法は違和感の原因である線画の無機質さを解消する上で有効であることが分かった.また複数の画法をシステム上で組み合わせると, 条件によってはその効果が打ち消しあってしまうといった, 画法の運用面での課題も浮き彫りとなった.
著者
三谷 純
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.19-22, 2012 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9
著者
牧 博司 加川 穂積
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Supplement, pp.119-122, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

表題の答えは簡単である。教師 (複数) が必要と考えるか不必要と考えるかである。我が国の社会体制は一応民主主義なので、カリキュラム編成の単位である学科内の大勢が不必要と判断すれば図学という科目は消えていくのである。不必要と考える教師の教育理念を聞く場もない。図と図面の違いも分からない、図の種類も知らない、図だからCADだと思い込んでいる教師に機械設計が分かるはずがない。故に図学の必要性が分かるはずがない。大学という教育機関の構成集団である教師と学生の水準に多大な差がある現状において、図学教育が必要と考える学科のみで教育すればよいのではないか。この考え方にたって表題の題目について議論したものである。
著者
加藤 千佳 太田 昇一
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement1, pp.103-108, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

葛飾北斎は, 国際的にも有名な日本を代表する絵師の1人である.彼は狩野派・土佐派・洋風画・漢画など様々な画風を学んだとされ, それらを吸収しながら彼独自の作風を作り上げた.北斎の構図は独創的であり, いくつかの著作の中でその構図の基礎を著している.「三ツワリ法」や「コンパスと定規を用いての作図法」を絵手本で紹介し, また遠近法と陰影を強調する手法を用いて「洋風木版画シリーズ」を描いている.本研究では, 彼の代表作である「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を対象に, 「神奈川沖浪裏」の芸術性を高めている重要な要因の1つが北斎独特の構図に因ることを, 「おしおくりはとうつうせんのづ」との関連性から検証した.さらに幾何学的観点から構図に潜む比の果たしている役割について考察を行い, 特に構図の要となる不変な黄金矩形が存在することを幾何学的に立証する.
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.33-38, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
著者
森 貞彦
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-50, 1997-03-01
参考文献数
15
著者
浜田 真理
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.125-128, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

空間が文学の中でどのように描かれるかということについて、村上春樹 (1949~) の初期の短編小説「パン屋再襲撃」 (1986) を示例として、図学的な観点から考察する。空間は、図や絵画のように視覚的なるもので示される場合が多いが、言語を使用して実体のないイメージの世界としてあらわしたものもある。言葉だけであらわされた空間や形は、それを読む者に、視覚で限定された図的表現よりも、読み手のイメージによって視点を固定したものではない自由度のある空間や形を思い起こさせる。また、言語表現により、現実にはあり得ない世界を描くことができる。さらに同時に別世界の物語をパラレルな形で表現することも可能で、異なる空間を現実の空間に入れ込むこともできる。そのように言語による空間表現は現実空間はもちろんのこと、存在しない空間やイメージの空間を自由に創り出し、想像の空間を示すことができる。本研究では、それらが実際に空間について書かれた文章を、象限の考え方に当てはめて考察していくことにより、言語的世界で構築された空間を解明していく。
著者
今間 俊博
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement2, pp.39-42, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

日本のアニメーションには, 米国アニメーションには無い「止め絵の美」が存在する.しかしMocapを利用したCGライブアニメーション制作は, アニメーション制作効率は高いが美しい止め絵を作るのが難しいという問題を内在している.また3DCGで制作したキャラクタには, 不気味の谷の問題があり, リアリティを追求し難いという問題がある.「FF THE MOVIE」「APPLE SEED」「VEXILLE」といった, 日本において制作された劇場公開アニメーション作品を通じて, 米国主導のCG技術開発とは違った, 映像表現技術の動向について過去の取り組みのまとめと今後の考察を行なった.

1 0 0 0 OA 清家正の思想

著者
森 貞彦
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-50, 1997 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
著者
山島 一浩
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement2, pp.101-104, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

Web上で利用者がインタラクティブに空間イメージ編集を支援するシステムについて述べる.まず空間イメージを記述する書式として, 1996年に開発された3DMLを取り上げ, その記述構造を再考した.次に編集対象と3DML書式の要素との対応付けを行い, 編集支援システムに組み込んだ.編集支援システムは, Tomcat (Webサーバ) 上で稼働する.空間イメージの書式は, 利用者の編集過程で動的に生成される.開発は, Web2.0を指向し, JSP (Java Server Pages) と, Ajax技術により, サーバ側とクライアント側の処理を分担するようにした.編集対象の空間イメージは, 室内とした.壁, 床, 天井の配置とそのテクスチャ, 照明を編集対象とした.本稿では, 和室の制作過程を例示し, 利用者に文化的な知識背景を反映させた設計支援策の可能性について述べる.