著者
金丸 裕之 松岡 恭二 中村 進 広瀬 謙次 佐藤 文明 玉ノ井 宗誠 平塚 保正
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.57-60, 1994-07-20 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

黒毛和種×ホルスタイン種 (以下F1と記す) 雌牛を10頭導入し2産取り肥育を前提にF1雌牛による泌乳能力についてホルスタイン種と同様の飼養管理のもとに試験を実施した。分娩後はNRC飼料標準 (1978版) に従い粗飼料としてトウモロコシサイレージおよびイタリアンサイレージをベースに混合飼料 (以下TMRと記す) を朝, 夕の2回給与した。乳質検査は1ケ月に1回の割合で行った。結果は次の通りである。1.初産次の8頭の平均乳量は1522.5kg, 最も多かったのは, 搾乳日数244日で3475.0kgであった。乳質の平均は乳脂肪率4.12%, 乳蛋白質率3.45%, 乳糖率4.81%, 無脂固形分率9.33%であった。2.2産次の平均乳量は2063.2kgで最も多かったのは搾乳日数391日で6149.5kg, 乳質の平均は乳脂肪率4.48%, 乳蛋白質率3.34%, 乳糖率4.62%, 無脂固形分率9.07%と大分県牛乳取引基準よりも高い値を示した。3.搾乳量1000kgを基準に群分けすると, 低乳量群は初産次3頭, 2産次3頭, 高乳量群は初産次5頭, 2産次6頭であった。低乳量群の初産次3頭の平均は搾乳日数55.3日, 総乳量410.5kg, 1日当たりの乳量7.1kgで, 2産次3頭の平均は搾乳日数30.3日, 総乳量278.2kg, 1日当たりの乳量8.5kgであった。これに対して, 高乳量群の初産次5頭の平均は搾乳日数179.0日, 総乳量2189.7kg, 1日当たりの乳量11.7kgで。2産次6頭の平均は搾乳日数207.8日, 総乳量2955.7kg, 1日当たりの搾乳量13.9kgであった。
著者
村田 正将 辻本 卓郎 玉城 政信 波平 知之 屋良 朝宣 仲村 一郎 石田 千華 鈴木 直人 二宮 恵介 風岡 雅輝
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.31-35, 2019

<p>沖縄地域で生垣として植栽されているケラマツツジ,ブッソウゲおよびクロトンにおける大気中のアンモニア除去能を評価するため,密閉型アクリルボックス(457 mm × 457 mm × 915 mm)を作成し,1%アンモニア水注入後のアクリルボックス内のアンモニア濃度の経時変化について検討した.アクリルボックス内のアンモニア濃度は時間の経過に伴い減少し,土壌のみの対照区より樹木を植えた処理区で有意(P < 0.01)に減少した.樹木によるアンモニア除去率はケラマツツジとブッソウゲがクロトンより有意(P < 0.01)に高く,その要因を各樹木の葉の特徴から検討した結果,最もアンモニア除去率が高かったケラマツツジは,ブッソウゲやクロトンに比べて鉢あたりの葉数および葉面積の値が高く,比葉面積の値が小さかった.このことから,肉厚で葉量の多い葉を有する樹木ほど大気中のアンモニア除去能が高くなることが示唆された.</p>
著者
中西 良孝 原口 裕幸 岩崎 絵理佳 萬田 正治 枚田 邦宏 飛岡 久弥 杉本 安寛 若本 裕貴 堀 博
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.43-49, 2001

宮崎県諸塚村のクヌギ (<I>Quercus acutissima Carruth</I>) 林内放牧地 (標高約1, 000m) において, 1997年と1998年の放牧期間中 (5~11月) のマダニ類あるいは外部から飛来する昆虫を採集し, それらの種類構成と季節的消長を調べるとともに, 黒毛和種繁殖牛の血液所見から牛の健康状態との関連を明らかにした.1997年に草地 (フランネル法) で得られたダニはすべてフタトゲチマダニ (<I>Haemaphysalis longicornis</I>) 幼虫であり, 10月に放牧地外で多かった.牛体においてはフタトゲチマダニとヤマトマダニ (<I>lxodes ovatus</I>) の成虫がわずかに見られた.1998年の林床植生内ダニはフタトゲチマダニ幼虫がほとんどであり, 7~10月にクヌギ林地で多く見られた.牛体には主としてヤマトマダニ成虫が寄生しており, 5月で有意に多かった (P<0.05) .また, マダニ類は1997年よりも1998年で多くなる傾向を示した.ハエ類はノサシバエ (<I>Haematobia irritans</I>) とサシバエ (<I>Stomaoxys calcitrans</I>) が得られ, 前者が優占種であり, 8月に発生のピークを示した.アブ類はアカウシアブ (<I>Tabanus chrysurus</I>) とアオコアブ (<I>T. humilis</I>) が優占種であり, 放牧期間を通して比較的少なかったものの, 7月にピークを示し, 気温 (20℃以上) との関連が示唆された.ブユ類はすべてウマブユ (<I>Simulium takahasii</I>) であり, 5月で有意に多かった (P<0.05) .ハエ・アブ・ブユ類はいずれも刺咬性であり, ハエ・ブユ類の発生はアブ類と比べて長期にわたっていた.林内放牧牛の血中総蛋白質濃度, 白血球数, 赤血球数およびヘマトクリット値はいずれもほぼ正常範囲内であり, 小型ピロプラズマ原虫の寄生も認められなかった.<BR>以上から, 放牧年数の経過に伴ってマダニ類は増加し, 外部から飛来する刺咬性昆虫も認められたものの, 血液所見および外見上は異常が見られず, 本研究の林内放牧地は家畜生産環境として問題のないことが示された.
著者
平瀬 一博
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-20, 1974

CDとDDの同一飼養条件での比較において, 両者の発育, 飼料採食量, 飼料効率, 屠体成績, 経済性を検討した結果, 両者に有意差は認められなかった。ただし, 屠体においてCDの方が, 枝肉歩留, ロース芯面積, 腿やバラの厚さ等にすぐれ, 発育や飼料効率の面からは, DDの方が若干良いという傾向が見られた。以上この試験結果からは, シャロレー種の肉用形質に関する遺伝はかなり強力であったが, 交雑により発育性能や粗飼料利用性が高まり, 経済性が向上するとは期待されなかった。
著者
松崎 正治 竹本 裕子 村上 忠勝
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.64-66, 1994

強制休産後も産卵ピーク時から間欠照明を実施することによって, 点灯時間の短縮による電気代節約の他, 飼料要求率改善効果による経済性の向上が見られた。
著者
小荒井 晃 住吉 正 大段 秀記
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.183-192, 2010

飼料用イネの暖地向けを含む14品種について,暖地ですでに広く普及しているか,あるいは今後普及が見込まれる13除草剤に対する感受性を検討し,「ミズホチカラ」および「モミロマン」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤,「ルリアオバ」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤およびテフリルトリオン・フェントラザミド水和剤の処理により,白化症状を引き起こし,標準使用量でも枯死を伴う強い薬害が生じた.上記品種は,それ以外の11除草剤の処理では強い薬害は生じなかった.一方,上記品種以外の11品種は,いずれの除草剤でも強い薬害は生じなかった.薬害は,その症状より,トリケトン系の化学構造をもつ4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD)阻害型除草成分のベンゾビシクロンおよびテフリルトリオンが主因と推察された.したがって,混合成分による相互作用の影響などについては,さらに検討する必要があるが,「ミズホチカラ」,「モミロマン」および「ルリアオバ」の栽培にあたっては,ベンゾビシクロン,テフリルトリオンなどトリケトン系の4-HPPD阻害型除草成分を含有する除草剤の使用は避けるように,除草剤を選択することが重要である.
著者
出口 栄三郎 西中 川駿 後藤 和文 阿久沢 正夫
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.14-18, 1998-08-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

鹿児島県トカラ列島の北端に位置する口之島に, 野生化牛の一群が生息している。1978年以降, 本牛の生息地域と生存頭数の現地調査を数度にわたり行った。野生化牛は15地域に生息し, いずれも標高200~300mの急傾斜と起伏に富んだ山岳地であり, 行動範囲は4区域に大別された。これまでの調査で確認された最大生息頭数は1990年の25頭であった。生息地域の環境は年々悪化し, 現在, 口之島野生化牛存続が危惧されている。
著者
津田 知幸
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.93-99, 2012-09-28 (Released:2012-12-29)
参考文献数
7

近年の国内畜産の規模拡大は生産性の向上をもたらす一方で、伝染病などの家畜疾病による被害が増大するというリスクをはらんでいる。また、近隣諸国における家畜伝染病の多発はわが国への病気の侵入リスクの増大をもたらしており、口蹄疫の発生を機に改正された家畜伝染病予防法では国の防疫対策の強化とともに農場における衛生対策の強化も求められた。畜産先進国においては農場段階での病気の侵入防止は農場バイオセキュリティとして畜産経営の一部となっており、衛生対策の観点からばかりでなく、消費者に対して安全な畜産物を提供する手段ともされている。農場バイオセキュリティを実行するためには、感染症の成立要件である感染源、伝播経路および動物に対する対策を適切に組み合わせて実施する必要があり、これを着実に実施することが今後の健全な畜産の発展のカギになると考えられる。
著者
中村 好德 福間 康文 金子 真 小林 良次
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.51-55, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
19

ホルスタイン種去勢雄牛16 頭の半腱様筋を用いて,熟成処理の違いが肉質に及ぼす影響を調査し た.熟成処理は無処理(NA),冷蔵熟成(2˚C で38 日間;WA),氷温熟成[ − 1˚C で54 日間(HA-S)と108 日 間(HA-L)] ならびに乾燥熟成(2˚C で38 日間;DA)に区分した.NA に比べてWA とHA-S でドリップロスが 有意に増加した.HA-L とDA で破断強度が有意に低下し,DA で過酸化物価が有意に上昇した.WA で一般生菌 数が有意に増加したが,大腸菌群数は全ての検体で陰性だった.遊離アミノ酸総量は有意に増加し,特にHA-L で 顕著であった.また,脂肪融点,タウリンとカルノシン含量,遊離アミノ酸組成は変化しなかった.と畜後の熟成 処理により肉質は変化し,熟成方法によりその変化は異なることが示唆された.
著者
沢村 浩
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本草地学会九州支部会報 (ISSN:18846408)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.13-18, 1983-01-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
著者
中村 好徳 金子 真 林 義朗 莟 博行 山田 明央
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.181-194, 2012-09-28 (Released:2012-12-29)
参考文献数
36
被引用文献数
1

褐毛和種去勢雄牛(4頭,8~9ヵ月齢)を用いて,配合飼料無給与で暖地型牧草(バヒアグラスなど)放牧地と寒地型牧草(イタリアンライグラス)放牧地で周年放牧育成(草地育成期間:293日)後,放牧を続けながら自家産のサイレージ(トウモロコシと大豆の混植)を併給する肥育方法により飼養(草地肥育期間:248日)し産肉性と肉質を調査した.放牧期間中の1日増体量は,草地育成期間で0.35 ±0.03 kg/日,草地肥育期間で1.02 ±0.10 kg/日であった.供試牛の血液性状は飼料成分(特に生草)の変化に顕著な影響を受け,季節変動が激しかったが正常値範囲内の変化に留まった.供試牛は26.8 ±1.0ヵ月齢で体重676 ±50 kgで出荷され牛枝肉格付評価はB-2であった.また,屠畜後の内臓廃棄率は0%であった.本研究で調査された食肉科学および栄養学的データを他の慣行肥育牛のデータと比較検討することにより,褐毛和種去勢雄牛の草地肥育牛は,1)産肉性として,‘まえばら’と‘そともも’の発育が良好であること,2)肉質として,ほとんどの部分肉の脂質含量が和牛肉と乳用肥育牛肉の間に位置すること,β-カロテン含量が高くコレステロール含量と脂肪酸組成のn-6系多価不飽和/n-3系多価不飽和比率が低いことが明らかになった.これらのことから褐毛和種去勢雄牛の草地肥育における産肉性や肉質の特徴が明らかになった.
著者
澤井 晃
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.135-141, 2012-09-28 (Released:2012-12-29)
参考文献数
35

抗酸化能がトウモロコシ茎葉の乾物分解率へ及ぼす影響を明らかにするため,紫トウモロコシ自殖系統と通常の自殖系統との一代雑種について,抗酸化能の指標であるDPPHラジカル消去活性とセルラーゼによるin vitro乾物分解率との関係を調査した.その結果,乾物分解率は抗酸化能と有意な正の相関を示した(r=0.450. P<0.001).その回帰係数は,分解された乾物の平均モル質量が,2,240 g/モルTrolox相当量であることを示した.抗酸化能測定に使った1%TFA抽出物は,セルラーゼで分解された乾物重の74%を占め,乾物分解率と直線的な関係にあった.1%TFA抽出物の加水分解物と薄層クロマトグラフィーはフェルロイル化糖類の存在を示し,その蛍光の強さは乾物分解率が高いほどまた抗酸化能が高いほど強かった.これらの結果は,紫トウモロコシの茎葉に含まれる抗酸化能により,通常は細胞壁の多糖類に酸化的に結合するはずのフェルロイル化糖類が可溶化するため,乾物分解率が増加することを示す.
著者
脇屋 裕一郎 勝木 宏昭 古田 祥知子 古川 敬通 坂井 隆宏
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.45-50, 2002-07-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

生物膜法による汚水処理施設の維持管理の簡易化及び低コスト化を図るため, 担体となる多孔質セラミックスを試作し, その処理能力を比較した.試験槽は, 水槽を用いて総容量61の汚水槽とし, そこに担体を40~50%充填した容器を設置し, エアポンプによる曝気処理を行った.担体は, 市販セラミックス, 低コストセラミックス, 軽石の3種類を用い, 試験区は, 市販セラミックスを対照区に, 以下セラミックス区, 軽石区とし、それぞれの区に担体充填率40%区と50%区を設けた.試験期間中の処理水の引き抜き及び汚水の投入量は, 1日1回11とし, 開始から約60日間は, BOD容積負荷を0.1~0.2kg/m3・dayの範囲で汚水投入を行いながら汚泥を形成させ, 測定期間中はBOD容積負荷を0.1~1.1kg/m3・dayの範囲で投入し, 試験に供した.試験の結果, 低コストセラミックスは, 気孔率で市販セラミックスと比較して低かったものの, 気孔径ではほぼ同等の結果が得られた.気孔率については各担体において終了時の減少が確認された.また, 試験期間中の担体重量減少率は, 軽石区が最も多く, セラミックス区が少なかった.処理能力について, BOD, SSは, 全ての試験区において高い浄化が確認されたが, T-Pは軽石区で低い結果となった.T-Nはセラミックス50%区, 対照50%区の順に, またNH4-Nは対照50%区が高い浄化が確認されたが, 対照区は充填率によるNH4-N除去率の差が高かった.CODについては, 対照40%区が最も高かったが, 試験区間における差はほとんど認められなかった.以上の結果より, 低コストセラミックスは, 市販セラミックスとほぼ同等の耐久性と浄化能力があることが示唆された.