著者
稲塚 新一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.145-154, 1982-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

日本ハッカ油およびスペアーミント (スコッチタイプ) 中の忌避性成分の分離・同定を行なった. ガスクロマトグラフで分取を重ね, 効力試験を行ない, ほぼ単一成分である活性分画を得た. GC-MS, IR, NMR, 比旋光度, 屈折率の測定により, 日本ハッカ油の活性成分として (-)-limonene, (-)-menthone, (-)-menthol および (+)-pulegone を, また, スペアーミント油 (スコッチタイプ) の活性成分として (-)-limonene および (-)-carvone を同定した.さらに, それらの光学異性体である (+) 体およびラセミ体には, 弱い活性しか有していないことがわかった.活性を示す化学構造として cyclohexane 環の4位のイソプロピル基およびイソプロペニル基, および, C1・C2 (あるいはC1・C6) の2重結合の立体配置が大きく関与していることが考えられた.
著者
ファーマー ドナR. 脇森 裕夫
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.343-349, 2000-08-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

グリホサートの安全性を評価するため各種の毒性試験を実施した. 原体, および各種製剤の急性毒性は低く, いわゆる普通物に相当した.また, 眼に対する刺激性は軽度から中等度であり, 皮膚に対する刺激性は軽度であった. 皮膚感作性は認められなかった.亜急性毒性, 慢性毒性および発がん性試験では, 雄ラットの高用量群において白内障様レンズ変性が, 雌ラットの高用量群において体重増加抑制が認められた. また雄マウスの高用量群において肝細胞肥大および小葉中心性肝細胞壊死が, 雌雄マウスの高用量群に軽微な体重増加抑制が認められたが, いずれの動物種でも催腫瘍性は認められなかった. また, 繁殖試験において繁殖能に対する影響は認められず, 催奇形性試験において催奇形性は認められなかった. 発達毒性が認められたのは母動物に対する毒性の認められた投与量においてのみであった.変異原性は復帰変異, DNA修復, 染色体異常のいずれの試験系においても陰性であった.薬理試験において心臓・循環器系に対する影響を示したが, 極めて高用量の投与の場合に限られており, 通常の使用により本剤による中毒は発現しないと考えられる.グリホサートは1980年9月に除草剤として農薬登録された. 食品衛生法に基づく残留農薬基準が120種以上の作物に設定されている. 一日摂取許容量 (ADI) は0.75mg/kg/day である.
著者
高橋 正三 武川 恒 高橋 孝志 土井 隆行
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.501-503, 1988-08-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
11
被引用文献数
11 11

ワモンゴキブリの性フェロモンの一つペリプラノンA (PA) とそのエピマー (EPA) を使って, Periplaneta 属, Blatta 属6種の雄に対する性フェロモン活性を実験室内で生物検定した. PAのワモンゴキブリに対するフェロモン活性はペリプラノンB (PB) の約1/1000で, EPAの活性はPAの約1/1000であった. PA, EPAおよびPAとPBの混合物はワモンゴキブリ以外にヤマトゴキブリ, トビイロゴキブリ, コワモンゴキブリ, トウヨウゴキブリの雄にもフェロモン活性があった.
著者
林 茂 前野 真一郎 木本 隆啓 永田 俊浩
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.165-175, 1997-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
49
被引用文献数
3 3
著者
森田 雅之 米田 哲夫 秋吉 信行
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.127-133, 2014-08-20 (Released:2015-02-20)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4
著者
赤木 剛士
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.113-116, 2022-08-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
17
著者
本間 保男 高橋 広治 水野 宏 見里 朝正
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.33-40, 1977-02-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1

キュウリうどんこ病菌 Sphaerotheca fuliginea を供試し, 本菌の生育過程に及ぼす大豆レシチンの影響を検討した. キュウリ子葉裏面に大豆レシチン2000ppmを処理し, うどんこ病菌分生胞子を接種し, 分生胞子の発芽, 菌糸の伸長, 分生子梗, 分生胞子の形成を経時的に走査電顕により観察した. 分生胞子の発芽には著しい抑制はみられなかったが, 無処理区に比し, 発芽管がやや太く, 短くなり, 菌糸の伸長が遅くなる傾向がみられた. もっとも顕著な影響は, 処理区の接種3日目以降の菌糸先端部に現われた. すなわち, 伸長した菌糸の先端部周縁に薄膜が見られ, うなぎ尾状を呈し, 日数の経過とともに膜の部分が拡大することであった. また無処理区に比し, 分生子梗, 分生胞子の形成が遅れ, 数も少なく, とくに分生胞子が分生子鎖から離脱せずに, そのままたれ下がり, 全体的にゼンマイ状を呈するものがみられた.
著者
永山 敏廣 真木 俊夫 観 公子 飯田 真美 田村 行弘 二島 太一郎
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-45, 1989-02-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
12
被引用文献数
5 5

日本茶の茶葉中に検出された有機リン系農薬は, 茶の種類や生産地により特徴が見られた. また, 多種の農薬が同一の茶葉に残留し, とくに, MEP, EPNおよびイソキサチオンの検出率が高かった. さらに, CVP, イソキサチオンおよびプロチオホスは, 1ppmを超えて残留した茶葉が見られた. これら残留量の多かった農薬のうち, イソキサチオンおよびプロチオホスは茶湯中への浸出率が低く, 飲用上とくに問題はないと考えられる. しかし, CVPは3ppmを超えて残留した茶葉があり, 浸出率も高かった.今回の調査では, 茶葉中の有機リン系農薬の残留量は全般的には微量であり, 食品衛生上とくに問題があるとは考えられない. しかし, 登録保留基準値を超える農薬の残留するものが1検体とはいえ見いだされており, また, 同一の茶葉に多種の農薬が同時に残留していたことから, 今後生産者は農薬散布に当たり, その使用時期や使用方法などに十分配慮して, 茶葉中残留農薬量を極力減らし, 消費者の安全を図らなければならないと考える.
著者
大川 秀郎 辻井 久恵 下地 みゆき 今宿 芳郎 今石 浩正
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.197-203, 1999-05-20
参考文献数
39
被引用文献数
3

チトクロームP450モノオキシゲナーゼは農薬などの外来性化合物の解毒または活性化に, 並びに, 殺菌剤, 植物成長調節剤, 殺虫共力剤, 除草剤セイフナーなどの作用点として重要である.最近のゲノムプロジェクトの成果により, P450遺伝子は生物界のバクテリア, プロトゾア, 植物, 動物, 糸状菌のすべてに分布しており, 動物や植物の種には多くの遺伝子が存在することが明らかになった.特に, モデル植物であるシロイヌナズナには約400の遺伝子が存在すると推定されている.これらP450酵素の生化学的性質を明らかにすることが, 生理学的な役割の解明に重要である.高等植物では, シロイヌナズナT-DNA変異株を用いた研究が生理学的な役割の解明に有効であり, また, 酵母を用いた遺伝子発現系は実際に酵素機能の解明に広く用いられている.さらに, 薬物代謝に係わるP450分子種を発現したトランスジェニク植物の作出は, 除草剤選択性植物やファイトレメディエーション用植物の育成に重要である.
著者
米山 弘一 謝 肖男 米山 香織 竹内 安智
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.302-305, 2009-11-20
参考文献数
35
被引用文献数
3 3

被子植物の約1%(3000-4500種)は他の植物に寄生する寄生植物である。寄生植物のなかでも、農業生産に大きな被害を与えているのがハマウツボ科の根寄生雑草ストライガとオロバンキである。ストライガは光合成機能を有する半寄生性で、主にソルガム、トウモロコシ、サトウキビ、イネなどイネ科植物に寄生する。オロバンキは光合成機能を失った全寄生性で、主にトマト、ニンジン、タバコ、アブラナなどの双子葉植物に寄生する。これらの根寄生雑草は、巧妙な生存戦略によってその生息範囲を拡大している。それは、(1)大量の種子を生産し、(2)種子の寿命が長く、(3)種子発芽が宿主由来の化学物質によって誘導されることである。すなわち、根寄生雑草の種子は、宿主の根から分泌される発芽刺激物質にさらされて初めて発芽する。この発芽刺激物質には少なくとも3種類の化合物群、すなわち、ソルガムのジヒドロソルゴレオン、ヒマワリのセスキテルペンラクトン、そしてストリゴラクトン(SL)、が知られているが、最も多くの植物種が生産・分泌している発芽刺激物質がSLである。本稿では、SLの構造多様性と植物界における分布について解説する。
著者
三浦 友三 馬渕 勉 東村 稔 天沼 利宏
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.219-240, 2003-05

ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)は日本農薬(株)によって創製され、実用化されたプロトポルフィリノーゲン酸化酵素(Protox)阻害型除草剤である。本化合物はコムギに対して高い安全性を示すと共に広範囲の広葉雑草に対して10g a.i./ha前後の低薬量で極めて高い除草活性を示す。特にコムギ栽培における難防除雑草の一つであるヤエムグラ(Galium aparine)に卓効を示す。ピラフルフェンエチルは日本ではムギ用除草剤として、エコパートフロアブルの商品名で1999年に農薬登録の許可を得て販売を開始した。また同時に果樹園の下草防除や非農耕地の非選択性除草剤として、グリホサートトリメシウム塩との混合剤であるサンダーボルトの販売も開始した。さらに、2001年バレイショ枯凋剤として、デシカン乳剤の販売を開始した。これらは海外においても14か国で登録・上市され、数か国で開発途上にある。本稿では、ピラフルフェンエチルの創出の経緯、工業的製造法、構造活性相関、除草活性、作用機構、各種毒性試験結果について概要を述べる。