著者
早坂 大亮 鈴木 一隆 是永 知子 諸岡(斎藤) 歩希 野村 拓志 深澤 圭太 Francisco Sánchez-Bayo 五箇 公一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.101-107, 2013-08-20 (Released:2014-03-01)
参考文献数
36
被引用文献数
6 10

The effects of two successive annual treatments of imidacloprid and fipronil on dragonfly nymph communities, which are one of the best-known bioindicators in Japanese agroecosystems, were monitored in experimental paddies. The abundance of dragonfly nymphs was lower in both insecticides-treated fields than it was in the controls, particularly following fipronil treatments. Residues of both insecticides were found in the soil throughout the two years, and imidacloprid persisted in water up to three months following each treatment. A Principal Response Curve analysis (PRC) showed that the second annual treatments caused greater structural changes in dragonfly nymph communities than the initial treatments caused, particularly for fipronil. The community structures continued to change even after the insecticides dissipated from the water. This suggests that ecological impacts, and therefore risks, of imidacloprid and fipronil on dragonfly nymph communities depend more on soil residues than they do on waterborne residues. As expected, susceptibility of dragonfly nymphs to these two insecticides differed among species.
著者
Karr Laura L. Coats Joel R.
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.287-290, 1988-05-20
被引用文献数
85

リモネンのチャバネゴキブリ, イエバエ, ココクゾウ, ヒゲナガハムシに対する作用を, 経皮, くん蒸, 経口, 忌避, 残効, 殺卵, 殺幼虫性の生物検定法で検討した.チャバネゴキブリとイエバエにはわずかながら経皮毒性があり, ピペロニルブトキサイドの共力作用も認められた.高濃度蒸気にさらされたチャバネゴキブリとココクゾウは死亡した.経口投与による作用ではチャバネゴキブリの成虫, 若虫に殺虫活性はなく, かえって若虫の成育を促進した.処理した表面の素材の如何にかかわらず, チャバネゴキブリ成虫に対する残効性は認められなかった.高濃度処理でヒゲナガハムシの卵の孵化を抑制し, 土壌中で3齢幼虫に殺虫活性が認められた.以上の実験から限られた範囲ではあるがリモネンの殺虫作用が認められた.
著者
利部 伸三 東 明子 西村 勁一郎
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.267-271, 2002-08-20
被引用文献数
4

チアクロプリドの非環状類縁体およびシアノグアニジン関連化合物を合成し, それらのワモンゴギブリに対する殺虫活性を化合物単独, あるいは代謝阻害剤を併用して注射法により測定した.単独の場合には, チアクロプリドと2種のシアノグアニジン誘導体が最も高い活性を示し, イミダクロプリドの20分の1程度であった.チアクロプリドを含む含硫黄化合物の活性は, 代謝阻害剤の併用により100倍位にまで増大した.他方, シアノグアニジン誘導体の場合には, 代謝阻害剤による増大効果ははるかに小さかった.ワモンゴキブリの摘出神経に対しては, ほとんどの供試化合物は最初興奮を誘起した後, 遮断効果をもたらした.チアクロプリドとその非環状類縁体の遮断活性は, イミダクロプリドのものに匹敵していた.全体としては遮断活性が高いほど, 代謝阻害剤併用条件下での殺虫活性が高くなる傾向が見られた.
著者
小林 淳
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.63-66, 2000-02-20

バキュロウイルスは, 標的害虫を効果的かつ選択的に防除できるので, 化学殺虫剤の魅力的な代替物である.しかしながら, 遅効性などの制限要因により, バキュロウイルス殺虫剤の使用はあまり普及しなかった.即効性改善のための遺伝子操作法がいくつか考案された.遺伝子操作されたバキュロウイルス殺虫剤は, エクダイステロイドUDP-グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子(egt)を欠失させたウイルスと外来遺伝子(昆虫ホルモン遺伝子, ホルモン関連遺伝子, 昆虫特異的毒素遺伝子など)を挿入したウイルスの2種類に分類される.これまで試された中で, 昆虫特異的毒素を発現する即効性バキュロウイルスが化学殺虫剤と対抗しうる効果を示した.昆虫特異的サソリ毒(AaITやLqhIT2)を発現する組換えAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)の欧米における野外試験は, 野外での殺虫即効性と作物の食害の減少を立証した.現在までに蓄積したデータは, 昆虫特異的サソリ毒の挿入がバキュロウイルスの安全性を損なわないことを示している.組換えバキュロウイルス殺虫剤の実用化にとって重要な問題点についても考察した.
著者
近藤 圭 Boulange J. Phong T.K. 平松 和明 井上 剛 渡邊 裕純
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.312-322, 2012-11
被引用文献数
18

本研究では,農薬動態予測モデルであるPCPF-1モデルとモンテカルロシミュレーションを用いて日本の水田における除草剤流出抑制のための水管理評価を行った。まず,全国5都市における10年間の気象データを用いて,標準的な水管理シナリオのもとモンテカルロシミュレーションを行った。この結果から水管理手法が農薬流出低減に効果的であることが確認されたが,西日本では大きな農薬流出の可能性が示唆された。この結果を受けて,現地調査をもとにした茨城県桜川流域,福岡県筑後川流域における気象,水管理データを用いた,より詳細な農薬流出低減のための水管理解析を行った。この結果により,筑後川流域では,適切な間断灌漑の履行などを行っても多量の農薬が流出する可能性があることがわかった。また,感度解析によって水管理パラメータが農薬流出に及ぼす影響を定量化し,水田水管理と除草剤流出との関係性を明らかにした。
著者
永山 敏廣
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.418-425, 2005-11-20
被引用文献数
3 7

農薬は、殺菌、殺虫、除草などの効力が、カビの生育を抑える、害虫を駆除する、雑草が枯れるなど目に見える形で現れるため、消費者に不安を抱かせることがある。食品安全委員会が実施している食品安全モニターによる「食の安全性に関する意識等について」(平成17年5月実施)の調査結果1)によると、「農薬」に対して86.4%の人が不安を唱えた。「農薬」に対して不安を唱える人の割合は、平成16年5月の調査結果(89.7%)に比較して若干減ってはいるものの、調査を始めた平成15年度以降高い割合を維持している。このような状況の中、平成14年春から夏にかけて中国産冷凍ホウレンソウからクロルピリホスが残留農薬基準を超えて検出される違反事例が相次いだ。当該輸入食品に対する検疫所における検査の強化にもかかわらず、国内流通品からも同様の違反品が相次いで発見されたことから、食品の安全確保に関する新たな施策が求められるようになった。そしで、平成14年8月7日、「食品衛生法の一部を改正する法律」(平成14年法律第104号)が公布され(平成14年9月7日施行)、包括的な輸入・販売禁止制度が導入された。
著者
ファーマー ドナR. 脇森 裕夫
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.343-349, 2000-08-20

グリホサートの安全性を評価するため各種の毒性試験を実施した.原体, および各種製剤の急性毒性は低く, いわゆる普通物に相当した.また, 眼に対する刺激性は軽度から中等度であり, 皮膚に対する刺激性は軽度であった.皮膚感作性は認められなかった.亜急性毒性, 慢性毒性および発がん性試験では, 雄ラットの高用量群において白内障様レンズ変性が, 雌ラットの高用量群において体重増加抑制が認められた.また雄マウスの高用量群において肝細胞肥大および小葉中心性肝細胞壊死が, 雌雄マウスの高用量群に軽微な体重増加抑制が認められたが, いずれの動物種でも催腫瘍性は認められなかった.また, 繁殖試験において繁殖能に対する影響は認められず, 催奇形性試験において催奇形性は認められなかった.発達毒性が認められたのは母動物に対する毒性の認められた投与量においてのみであった.変異原性は復帰変異, DNA修復, 染色体異常のいずれの試験系においても陰性であった.薬理試験において心臓・循環器系に対する影響を示したが, 極めて高用量の投与の場合に限られており, 通常の使用により本剤による中毒は発現しないと考えられる.グリホサートは1980年9月に除草剤として農薬登録された.食品衛生法に基づく残留農薬基準が120種以上の作物に設定されている.一日摂取許容量(ADI)は0.75mg/kg/dayである.
著者
小澤 清水 石井 茂 平田 公典 広瀬 正宜
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.175-178, 1986-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
8

Cyano-(6-phenoxy-2-pyridyl)methyl trans-3-(4-t-butylphenyl)-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylate の4種の光学異性体を合成した. このエステル体の殺ダニ活性および殺虫活性の発現は, 酸部分の絶対配置に大きく依存するが, アルコール部分の絶対配置にはほとんど依存しないことが判明した. 一方, このエステル体の対応するcis体には殺ダニ活性は認められなかった.
著者
小澤 清水 石井 茂 平田 公典 広瀬 正宜
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.169-174, 1986-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

Cyano-(6-phenoxy-2-pyridyl)methyl trans-3-aryl-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylates の殺ダニ活性について定量的な構造活性相関の解析を行なった. 酸部分のフェニル基のパラ位の置換基について Hansch-Fujita 法による解析を行なった結果, 適当な疎水性を有し, かつα位に分岐を有する置換基, たとえば tert-ブチル基が殺ダニ活性に有効であることが判明した. 本化合物は殺ダニ活性に加えて, さらに農園芸上有害な昆虫の防除にも有効である.
著者
高橋 義行 和田 豊 小田中 芳次 古野 秀和
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.140-143, 2000-05-20
参考文献数
6
被引用文献数
2

さきに報告した1995年の人工降雨によるランオフ試験を実施した同じ傾斜圃場(6∿6.5°)において, 1996年7月の梅雨の合間に栽培キャベツ(7a)にTPN, ダイアジノン, ジメトエートの3剤混用1000倍液を167l/10a散布して, 翌日の降雨で0.6lの表流水を採取した.また, 9月には栽培ダイコン(8.4a)に同じ3剤混用液を101l/10a散布して, 2日後の台風通過よる降雨で290l (10 : 00∿12 : 30), 530l (12 : 30∿13 : 00)及び600l (13 : 00∿15 : 00)の計1420lの表流水を採取した.表流水の平均流出水量/m^2/hrは, 0.01l/m^2/hr(7月)及び0.12l/m^2/hr(9月)と少なかったが, 台風通過時の最大値(1.26l/m^2/hr)は既報の人工降雨試験による表流水量/m^2/hrに匹敵した.一方, 表流水中の薬剤濃度は0.001ppmから最大でも0.018ppmであり, 前年の人工降雨での場合の1/30から1/300の値であった.7月及び9月の薬剤散布後の表層土壌中(深さ5cm)の各薬剤はランオフの後では, TPNでは17%と84%が, ダイアジノンでは19%と78%が, ジメトエートでは90%と92%が, それぞれ表層より消失したと推定された.これらの結果は土壌の種類や状態, 天候及び地理的な相違によって異なると考えられるが, 少なくとも本圃場では自然降雨によるランオフは台風通過時などの強い降雨でないと発生が困難であり, また発生した表流水中の薬剤濃度は人工降雨試験の結果と比べて極めて低濃度であった.
著者
Keimei Oh Kouta Nakai Kazuhiro Yamada Yuko Yoshizawa
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.80-84, 2012-03-20 (Released:2012-02-20)
参考文献数
21
被引用文献数
4 8

A series of new triazole derivatives was synthesized and their inhibitory activity against allene oxide synthase (AOS, CYP74A), a key enzyme in jasmonic acid biosynthesis, was evaluated. Structure-activity relationship studies revealed that methyl 8-[1-(naphthalen-2-yl)-2-(1,2,4-triazol-1-yl)ethoxy]octanate (4i) and methyl 8-[1-(2,4-dichlorophenyl)-2-(1,2,4-triazol-1-yl)ethoxy]octanate (4g) exhibit potent inhibitory activity to allene oxide synthase, with IC50 values of 0.75±0.30 and 0.84±0.60 μM, respectively.
著者
嶋津 賢士 清水 基久 鈴木 幸一 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.337-339, 1996-08-20
被引用文献数
4

1, 5-二置換イミダゾール類と同様に1-置換イミダゾール類にも早熟変態誘起活性があることを見いだした.1-直鎖アルキルイミダゾール類ではデシルやドデシルの場合に活性が高く, これらより炭素数の増減したアルキル鎖では活性は低下した.1-アルキルオキシフェニルイミダゾール類は弱い活性であった.一方, 1-[3-(4-エチルフェニル)プロピル]イミダゾールに高い活性が認められたが, イミダゾール環窒素と酸素間の炭素数が2や4個では活性は著しく低下した.ベンゼン環上の置換基では4-エチルと4-プロピル基が強い活性を示した.これらの1-置換イミダゾール化合物の早熟変態誘起活性は1, 5-二置換イミダゾール化合物の場合と同様, メトプレンやテブフェノチドの同時局所施用により消失した.
著者
八瀬 順也
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.121-126, 2020-08-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
鈴木 勝士
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.175-184, 2013-08-20 (Released:2014-03-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The guideline of pesticide registration in Japan requires vast array of the toxicological studies. The driving principle is to present evidences for apparent toxicity, relevant dose–response, and the threshold as the real dosage in all studies to be written. For carcinogenesis and teratogenesis, when positive, mechanistic studies are mandatory. Otherwise, no mechanistic study would be necessary, because NOAEL should be obtained in all the studies. This is not always real; therefore, additional studies on the mode of action may help establishing the NOAEL. These studies are especially useful in cases with wide species differences in the NOAELs. Examples include (1) PPO inhibitors, (2) strobilurins, (3) simeconazole, (4) macrolide lactones, (5) 4HPPD inhibitors and (6) RyR activators, details of which will appear in the supplement. © Pesticide Science Society of Japan