著者
株式会社アルム開発本部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.S253-S254, 1992

OKY-500の安全性を評価するため, 各種毒性試験を実施したところ, 本剤はきわめて安全性の高い薬剤であることが示された.<br>OKY-500のラットおよびマウスにおける急性毒性は普通薬に相当した.<br>眼粘膜一次刺激性, 皮膚一次刺激性, および皮膚感作性は陰性であった.<br>変異原性は, 枯草菌を用いたDNA修復試験, 細菌を用いる復帰変異試験および染色体異常試験のいずれにおいても陰性であった.<br>アルムグリーン (試験名OKY-500) は, 平成3年5月に芝用植物成長調整剤として登録を取得した.<br>本剤は日本薬局方第11版の生薬より構成されており, 人畜無害で魚毒性もまったく見られなかった. さらに急性毒性や眼粘膜一次刺激性試験などについても完全に無毒であることが証明された. さらに, 本剤はゴルフ場周辺の樹木に対し何ら影響を与えず, かつ芝の根の生長を促進する効果を示した.<br>このように本剤は漢方薬独特の効能・効果と総合作用を示して, 結果的に病気にかかりにくい芝生を育成するゴルフ場芝生管理用の漢方農薬 (植物成長調整剤) である.
著者
Li Min-Yi Zhang Jing Feng Gang Satyanandamurty Tirumani Wu Jun
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.22-26, 2011
被引用文献数
10

熱帯地域において,Brontispa longissima(Gestro)はヤシの木に重大な被害をもたらす害虫である。我々は,熱帯マングローブの潜在的殺虫剤リード化合物探索研究において,インドマングローブXylocarpus moluccensisの種子からΔ8,14二重結合をもつメキシカノライドであるカヤシンと2'S-メチルブタノイルプロセラノリドを単離した。これらの化合物の構造は文献データと比較して同定した。50μg/mlの濃度では,カヤシンはB. longissimaの2齢から5齢幼虫に対して強い殺虫効果を示し,2'S-メチルブタノイルプロセラノリドは5齢幼虫に対して顕著な殺虫効果を示した。B. longissimaの5齢幼虫に対する24時間と48時間暴露のLC50(半数致死濃度)は,カヤシンは7.27と3.39μg/ml,2'S-メチルブタノイルプロセラノリドは10.57と4.03μg/mlであった。2種の化合物のB. longissimaの5齢幼虫に対する殺虫活性は,アザジラクチンとトオセンダニンよりも強く,ロテノンと同程度であった。しかし,Prodenia litura(Fabricius)の3齢幼虫に対しては,これらの化合物は中程度の摂食阻害活性しか示さなかった。以上の結果は,カヤシンと2'S-メチルブタノイルプロセラノリドは,B. longissimaの幼虫に対して選択的な殺虫活性を持っていることを示唆しており,B. longissima防除用の有力な殺虫剤候補になると思われる。
著者
奥本 剛司 尾添 嘉久
出版者
日本農薬学会
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.145-146, 2002 (Released:2011-03-05)

α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に選択性を示す[3H]エピバチジンを用いて、最適化した条件下で結合阻害実験を行い、ネオニコチノイド殺虫剤6種のラット脳ニコチン性アセチルコリン受容体に対する親和性を評価した。イミダクロプリドが最も高い親和性を示し(10μMで60.6%の阻害)、次いでアセトアミプリド、クロチアニジンの順となった。その他の3種にはほとんど親和性が認められなかった。
著者
遠藤 正造 鶴町 昌市
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-86, 2001-02-20
参考文献数
14

1989&acd;1992年に東南アジアと日本で採集したトビイロウンカとセジロウンカの感受性を比較した.トビイロウンカ : 1989, 1990年に採集したマレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/7と低く, ダイアジノン, カルボスルファン感受性も若干低い傾向が認められた.また1992年の検定結果では, ベトナム南部及びタイ個体群のマラソン感受性は, 日本及びベトナム北部のそれより若干低かった.しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間で大きな差はなかった.セジロウンカ : 1989&acd;1990年個体群の薬剤感受性を比較した結果, マレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/6と低かった.しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間でほとんど差はなかった.また, 熱帯地域においてもこれら2種のウンカは1977&acd;1992年の間に各種薬剤に抵抗性が発達したことが確認された.
著者
石川 莞爾 中村 安夫 仁木 良夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.17-25, 1977-02-20
被引用文献数
2

^<14>C-標識および非標識化合物を用いて, 紫外線および太陽光線下でのベンチオカーブの光分解を研究した.水溶液中でベンチオカーブは紫外線により速やかに分解し, 比較した他の7種類の農薬より速やかに分解した.ベンチオカーブの分解生成物として, ベンチオカーブスルホキシド, デスエチルベンチオカーブ, 4-クロルベンジルアルコール, 4-クロルベンツアルデヒド, 4-ヒドロキシベンツアルデヒド, 4-クロル安息香酸のほか, 同定された化合物8種類および未同定の化合物約20種類が検出された.これらのうち, 4-クロルベンジルアルコールおよび4-クロルベンツアルデヒドが多量に生成した.太陽光線下でも水溶液中でベンチオカーブは速やかに分解し, そのさい検出された分解物の大部分は紫外線照射で生成した分解物と同じものであった.ガラス板上の薄層へ紫外線を照射した場合も, 水溶液と同様の分解物が生成した.
著者
アグロ・カネショウ株式会社開発部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.S159-S164, 1992-05-20

ジフルベンズロン原体およびその水和剤の急性毒性はきわめて弱く, 眼粘膜に対して弱い刺激性が認められているが, 皮膚刺激性および皮膚感作性は認められていない.亜急性毒性および慢性毒性では, 本化合物投与によって, 病理組織学的変化を伴う貧血および肝臓, 脾臓等の臓器重量の増加が認められたが, いずれも軽微な変化であり, 低用量群ではこれらの変化が認められなかった.ラットの繁殖に及ぼす影響もみられず, ラットおよびマウスにおける発癌性, ラットおよびウサギにおける催奇形性, 多岐にわたって実施した変異原性も陰性であった.ジフルベンズロンを有効成分とする兼商デミリン水和剤は1987年に農薬登録され, 従来の神経系に作用する殺虫剤とは作用機構の異なる優れた昆虫生育制御剤であり, 安全性が高く, 有用な農業資材の一つとして広く実用に供せられている.
著者
坂井 道彦
出版者
日本農薬学会
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.548-554, 2010 (Released:2012-12-06)
著者
山本 敦司 米田 渥 波多野 連平 浅田 三津男
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.37-42, 1996-02-20
被引用文献数
1

静岡県榛原郡の日本曹達(株)榛原農業研究所内の柑橘園から採集し, ヘキシチアゾクスで抵抗性および感受性への淘汰を繰り返したヘキシチアゾクス抵抗性および感受性ミカンハダニ(Panonychus citri MCGREGOR)を実験室内で混合することにより, 抵抗性の安定性を調査した.感受性と抵抗性を50 : 50および30 : 70で混合した集団では, 第1世代ですみやかに感受性復元が認められたが, 10 : 90および2 : 98で混合した集団では第12世代でも感受性復元は不十分であった.次に, ヘキシチアゾクスを7年間に19回連続処理し抵抗性発達が認められた柑橘園において, 調査樹6本に寄生するミカンハダニのヘキシチアゾクスに対する感受性変化と個体数変動を調査した.その結果, いずれの樹においてもヘキシチアゾクスの使用を中止した後33か月の間に感受性が徐々に復元した.またミカンハダニ雌成虫の個体数変動は, ヘキシチアゾクスの使用中止前と直後では樹ごとに異なったが, 使用中止約1か月後からは樹間で同調する傾向にあった.圃場における感受性復元の原因は, 感受性個体群の柑橘園内での残存と他園からの移入, 不完全劣性であるヘキシチアゾクス抵抗性の遺伝, および抵抗性個体の繁殖能力の低下であると推察された.
著者
吉本 武雄 小川 三郎 宇田川 隆敏 沼田 智
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.259-268, 1989-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
23
被引用文献数
8 10

Etofenprox is a new synthetic insecticide discovered and developed by Mitsui Toatsu Chemicals, Inc. In 1979 we began searching for a compound with insecticidal activity, comparable to existing pyrethroids, but with low toxicity to fish as to be used in paddy fields. While examining a new active substance after repeatedly testing a number of hypotheses and ideas, we found a lead skeleton that has ether linkage within the molecule, not ester linkage as in the case of existing pyrethroids. Then we tried to optimize the insecticidal activity around the lead skeleton, and as a result, 2-(4-ethoxyphenyl)-2-methylpropyl 3-phenoxybenzyl ether (etofenprox) was selected as a candidate for development. It is now registered for agricultural use in Japan and some countries in Southeast Asia. Etofenprox is a compound composed of carbon, hydrogen and oxygen only, and effective as a contact and stomach poison against many kinds of insect pests in crops, animals and public health fields. Etofenprox has several favourable properties compared with conventional insecticides: It is low in acute mammalia toxicity and fish toxicity, high in compatibility with other pesticides, causes no skin and eye irritation, has a small impact on natural enemies, no phytotoxicity, no cross-resistance to carbamates and organophosphorous insecticides, no BPH resurgence.
著者
塩野義製薬株式会社植物薬品開発部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.349-353, 1991

アイオキシニルの安全性評価のための各種毒性試験を実施した.本剤は原体, 乳剤, 水和剤とも劇物に指定されている.ウサギにおいて乳剤では高度の眼刺激性および中等度の皮膚刺激性, 水和剤では非常に軽度の眼刺激性が認められたが, 両製剤とも実使用濃度希釈液では眼・皮膚刺激性は認められなかった.また水和剤ではモルモットにおける皮膚感作性が陽性であった.亜急性毒性試験, 慢性毒性/発がん性試験では, 中間・高用量群においてラットおよびマウス肝障害, ラットに体重増加の抑制, 脱毛および甲状腺ろ胞上皮過形成の発生頻度の上昇が認められたが, 発がん性は認められなかった.マウスにおける2世代繁殖/催奇形性併合試験, ウサギにおける催奇形性試験では, 繁殖に及ぼす影響も催奇形性も認められなかった.変異原性に関しては, in vitro染色体異常試験の代謝活性化法の場合のみ疑陽性と判定されたが, 小核試験を始めその他の変異原性試験の結果はすべて陰性であった.薬理試験では特異的な薬理作用は認められなかった.アイオキシニルは昭和42年, 30%乳剤の麦類で初回登録を取得し, その後トウモロコシ, バレイショ, タマネギ, リンゴおよび公園・庭園等に順次適用拡大を行なった.さらに平成元年には芝専用剤である6%水和剤の登録を取得した.アイオキシニルの登録保留基準値は, 麦・雑穀, 果実, 野菜, イモ類についておのおの0.1 ppmと設定されている.アイオキシニルは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
著者
田母神 繁
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.100-103, 2001-02-20
参考文献数
15
著者
富沢 元博 山本 出
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.91-98, 1993-02-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
18
被引用文献数
81 123

ツマグロヨコバイへの殺虫力, ミツバチ頭部のニコチン性アセチルコリンレセプター画分のα-ブンガロトキシン結合部位への結合親和性に関して, イミダクロプリドと19種の類縁化合物の化学構造活性相関をニコチノイドと比較した結果, これら二つのグループは結合部位, 必須化学構造部分 (3-ピリジルメチルアミノ) を同じくし, 化学構造活性相関も類似していることを認めた. ニコチノイドではアミノ窒素原子の塩基性が高く生体内でのイオン化度が高いのに対し, イミダクロプリド関連化合物ではこの窒素原子に部分正荷電を与える隣接電子吸引性基を有する特徴を示す.
著者
高橋 正三 武川 恒 高橋 孝志 土井 隆行
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.501-503, 1988
被引用文献数
2 11

ワモンゴキブリの性フェロモンの一つペリプラノンA (PA) とそのエピマー (EPA) を使って, <i>Periplaneta</i> 属, <i>Blatta</i> 属6種の雄に対する性フェロモン活性を実験室内で生物検定した. PAのワモンゴキブリに対するフェロモン活性はペリプラノンB (PB) の約1/1000で, EPAの活性はPAの約1/1000であった. PA, EPAおよびPAとPBの混合物はワモンゴキブリ以外にヤマトゴキブリ, トビイロゴキブリ, コワモンゴキブリ, トウヨウゴキブリの雄にもフェロモン活性があった.
著者
WANG Kai-Yun GUO Qing-Long XIA Xiao-Ming WANG Hong-Yan LIU Tong-Xian
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.372-378, 2007

中国山東省の主要なワタ生産地4ヵ所および非生産地1ヵ所で,1985年,1999年および2004年に採集したワタアブラムシのフェンバレレート,オメトエート,イミダクロプリド,アセタミプリド,カルボスルファンおよびエンドスルファンに対する抵抗性を調べた.薬量応答曲線の比較から,ワタアブラムシのフェンバレレートに対する顕著な抵抗性が認められ,1985年に30~370倍であった抵抗性比は2004年には370~2150倍へと上昇した.イミダクロプリドおよびアセタミプリドに対しては,2004年に17倍から97倍の抵抗性比が見られた.オメトエートに対する抵抗性比は採集した地方によって大きく異なり,5倍から80倍であった.それに対して,すべての地方で1999年から2004年の間にはカルボスルファンに対する抵抗性比の上昇はなかった.この結果は,これらの地方におけるワタアブラムシの管理においての有用な情報であると考えられた.
著者
小波本 直忠
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.405-411, 1977-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
17

セスジツチイナゴの角膜および円錐晶体を含む複眼の組織は280nmまでの近紫外線および可視光線を, 牛の眼のレンズは380nmまでの可視光線のみを透過した. このことから, 280~380nmの近紫外線は昆虫の視覚にとっては重要な意義を持っているが, 脊椎動物の視覚には無意味であることが明らかとなった. 昆虫眼の紫外線受容複合体のモデルとしてのレチニル-チアゾリジン-4-カルボン酸の光反応および暗反応から, L-システインおよびヒドロキシルアミンはレチナールとの暗反応により昆虫眼における近紫外線の機能に異常を起こすモデル物質であり, 一方, これらの化合物とレチナールから生成された近紫外線感受性複合体は光吸収および光化学反応により昆虫の眼の構造と機能に選択的害作用を及ぼすモデル物質であることが示された. なお, この選択性を新しい昆虫制御剤の作用機構に利用する可能性も提案された.
著者
山本 優一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.127-133, 2020-08-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
25
被引用文献数
3
著者
本間 環
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.545-551, 1995-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
34