著者
王 治文 張 〓 外里 冨佐江 飛松 好子 岩谷 力
出版者
東北文化学園大学
雑誌
リハビリテーション科学 : 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-22, 2007-03

社会的不利は障害を受けた個人が従来の役割を果すことに制限を受けることと考えられる.社会的不利の測定が重要であるにも関わらず,台湾では信頼性と妥当性が確認された尺度はない.この研究の目的は広く用いられる社会的不利の尺度Craig Handicap Assessment and Reporting Technique-Short Form (CHART-SF)の信頼性を繰り返してストにより検証することである.我々はCHARTの原作者の許可を得,CHART-SFとその採点法を中国語に翻訳し逆翻訳と確認作業を行った.信頼性の検証は再テスト法を用い,21名の脊髄損傷者に電話インタビューで行われた.分析はピアソンの積率相関係数と対応のあるt検定を使用した.結果では,社会統合領域以外CHART-SFのすべての領域において1回目と2回目のテスト間の相関係数は0.80以上であり,すべての項目回答において有意な相関があり有意な差はなかった.この結果からCHART-SF中国語版は社会的不利を測定するための信頼できる尺度であることを検証した.
著者
本田 春彦 仙道 美佳子 高橋 絵理 平田 ちあき 植木 章三
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-61, 2005-03-31
被引用文献数
2

本研究は,身体機能と抑うつとの間にどのような関連があるのかを明らかにするために,宮城県S町に在住する75歳以上の在宅高齢者281人を対象に,面接調査と体力測定を実施した.握力,10M最速歩行時間,UP&GO,開眼片足立,長座位体前屈の体力測定項目や老健式活動能力指標の得点といった身体機能と老年うつ病スケール(Geriatric Depression Scale)の得点に着目し,分析をおこなった結果,抑うつ症状と関連している身体機能は歩行機能であり,また生活機能の低い群は高い群に比べうつ傾向が高いことが明かとなった.また,身体機能の状態を良好に保つことが抑うつ傾向を予防することにつながると考えられた.
著者
立花 顕一郎
出版者
東北文化学園大学
雑誌
総合政策論集 : 東北文化学園大学総合政策学部紀要 (ISSN:13468561)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-24, 2006-03-31

Members of U.S. Congress have been engaged in a debate over whether to pass a federal media shield law. If passed, the law will give reporters a privilege to avoid disclosing their sources and confidential information. Journalists insist that such a law is necessary for them to serve their critical role as a watch dog on the U.S. government without fear of retribution. The debate has heated up after a Time Magazine reporter accepted a grand jury request for disclosing his source: a high-ranking government official who leaked the name of a CIA undercover officer. The debate may not end anytime soon because opponents argue that the law will corrupt the media. This paper scrutinizes the merits and demerits of the shield law.Members of U.S. Congress have been engaged in a debate over whether to pass a federal media shield law. If passed, the law will give reporters a privilege to avoid disclosing their sources and confidential information. Journalists insist that such a law is necessary for them to serve their critical role as a watch dog on the U.S. government without fear of retribution. The debate has heated up after a Time Magazine reporter accepted a grand jury request for disclosing his source: a high-ranking government official who leaked the name of a CIA undercover officer. The debate may not end anytime soon because opponents argue that the law will corrupt the media. This paper scrutinizes the merits and demerits of the shield law.
著者
馬内 里美
出版者
東北文化学園大学
雑誌
総合政策論集 : 東北文化学園大学総合政策学部紀要 (ISSN:13468561)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-87, 2007-03

Japan's most popular version of The Story of Little Black Sambo that had been out of print along with various versions is published again after 16 years. This paper is to study the problems that are found in the original and the recently published version and to examine the revised versions published in the late 1990s. Criticized racism is attributed mainly to the naming and the illustrations reflecting the racism in America. Three revised versions which try to rescue the classic of children literature have new names and setting, yet they have new problems. In spite of their attempts, the revised versions cannot be free from the problems of racism and colonialism inherent in the original. It reflects colonialist mentality of the time not only in the naming and illustrations of the boy and his parents but also in the relation between the boy and the tigers.Japan's most popular version of The Story of Little Black Sambo that had been out of print along with various versions is published again after 16 years. This paper is to study the problems that are found in the original and the recently published version and to examine the revised versions published in the late 1990s. Criticized racism is attributed mainly to the naming and the illustrations reflecting the racism in America. Three revised versions which try to rescue the classic of children literature have new names and setting, yet they have new problems. In spite of their attempts, the revised versions cannot be free from the problems of racism and colonialism inherent in the original. It reflects colonialist mentality of the time not only in the naming and illustrations of the boy and his parents but also in the relation between the boy and the tigers.
著者
西村 愛
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.71-85, 2006-03-31

近年、知的障害者の自己決定の支援が重要であるという認識がなされている。本稿では、先行研究において、知的障害者にとって自己決定はどのようなものであると定義されているか、その支援方法はどのようなものかをレビューした。また、現場でどのように自己決定が解釈されているかという事例を2つ紹介した。先行研究や事例から明らかにされた問題点は、現在の自己決定支援が障害特性やその結果付随して起こりうる困難を考慮したものではないということである。そのため、援助者と知的障害者との間に権力関係が生み出される危険性があることを指摘した。本稿の結論として、権力関係を打開するためには、援助者が既存の概念を問い直し、自らの障害者観を問うていくことの重要性を示唆した。Recently, We have been recognized that the support of self-determination for the persons with mental retardation is important. This thesis discusses the following development. At first, I reviewed the current thesises of the definition and methods of self-determination for them and introduce the two case of the support. Then I pointed out that the current support is not considered the character of mental retardation. As a result, the power structure is caused between the supporter and persons with mental retardation. To prevent that cases, I suggested that the supporter have to been asked the concept of existing and a view of disabilities on his own.
著者
志水 田鶴子
出版者
東北文化学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、生活モデル理論に基づくプログラムを実施している高次脳機能障害者の小規模作業所での実践を評価することで、生活モデル理論によるプログラムの有効性を実証し、高次脳機能障害者にとってより効果的な生活支援プログラムを開発することが目的である。昨年度末から今年度は、これまでの生活モデル理論に基づく高次脳機能障害者の生活支援プログラム評価に関する研究の成果を踏まえ、プログラムを途中で放棄(作業所を長期間休むなど)した利用者への支援と、就労支援のプログラムの評価を試みた。リハビリテーションプログラムを放棄する者は(1)通所開始間もない頃に「自分は(健常者であるので)他の障害者と一緒にされたくない」と、障害が認知できないことから早期にプログラムから離脱するケースと、(2)長期間リハビリテーションに参加し回復もみられるが、他の障害者が一般就労したといった情報や、家族等から回復を急がされる(「ずいぶんよくなってきたから、そろそろ就職できるんじゃないの」といった)言葉により、簡単に自分にとって必要なプログラムを見失うことが見受けられた。(1)の場合は、無理に通所開始を促すのではなく、自分なりに就労や復学をした結果やはりうまくいかないことを理解するまで待っしかない。しかし、(2)のケースでは、ある程度様々な状況や自分自身の障害も受け入れ理解することができるようになるため、今どのようなことで混乱し、何があるから慌てているのか、自分にとって何が必要なのか、今まで成功したことと失敗したことはどんな違いがあるかについて、繰り返し面接を行うことで、落ち着きを取り戻しプログラムに参加できるようになる。ただし、この面接を通じた支援が途切れてしまうとかなり長期間プログラムから離脱し、結果として混乱した状況も長期化する。電話などでも支援を行うが、直接面接し支援を行うケースよりもプログラムへの復帰率は低い。今後も引き続き、プログラムを長期離脱した利用者への支援のあり方を検討する必要がある。就労支援については、事例が1例みられたが、開始直後であるため評価には至っていない。しかし、復職に向けジョブコーチが復職先の上司と打ち合わせを繰り返し、試験的に受け入れてもらうなど進展は見られる。継続して就労支援プログラムについても研究する必要がある。
著者
坂本 保夫 佐々木 洋 佐々木 一之 山本 奈未 佐々木 洋
出版者
東北文化学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、紫外線によって発色・退色する調光型フィルターと、可視光線(主に黄色)の狭帯域吸収という2種類の特性な異なるフィルターを1枚のレンズとして合成作成し、中高年者・白内障患者の視機能に対して改善効果の高い発色濃度と吸収率の組合せ、および安全性を考えた調光濃度設定を探索した。最終的には特殊眼鏡の日常生活上での有効性を装用モニターで実施した。本検討では、屋外と屋内の移動における調光の悪影響はなく、本特殊眼鏡の有効性と有用性を確認することができた。
著者
太幡 英亮
出版者
東北文化学園大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、(1)既往研究を横断的にレビューする中で、環境の保全活用に効果を持つものとしての「物語」の働きが整理されたとともに、(2)具体的な「物語(アニメ作品)」を対象にした分析によって、永く愛される環境のもつ豊かな意味とそれをもたらす物語の構造について明らかにし、(3)具体的な「環境(保育園児の散歩環境)」を対象にして、物語が生み出されるための散歩環境との親密な関わり(ふれあい)を可能にする物理的空間の質を捉えた。以上、我々の持続可能で豊かな環境づくりのための、一つの強力なツールとなるであろう「物語」についての考察が深められた。
著者
西村 愛
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.99-111, 2008

近年、インクルージョンという理念が障害者福祉の分野に浸透しつつある。しかしながら、インクルージョンは具体的などのような実践によって、達成できるのかについて、研究および紹介されたものは少ない。本稿では、インクルージョン実現に向けた「ちょこさぽ」の実践を紹介することにより、知的障害のある人たちが地域で生きるとは何かを考察したものである。「ちょこさぽ」の実践を重ねていくうちに、学生と知的障害者の間に自然な関係ができていった過程を紹介した。知的障害のある本人が参加を希望していても、 「ちょこさぽ」への参加の可否は親に委ねられていることを問題点として指摘した。その課題を解決するためには、知的障害のある子どもの将来の生活について、どのような悩みをもっているかということについて、支援していくべきであると結論づけた。そのような親をサポートするネットワークをつくることは、知的障害のある人たちが親亡き後も地域で生活していくことにつながると思われる。
著者
西村 愛
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.75-91, 2007

今、知的障害者福祉は大きな変動期にある。1970年代は、大規模入所施設であるコロニーを中心に、全国各地で知的障害者の入所施設が次々と増設されていった施設中心の福祉の時代であった。それから約35年以上経った現在、「重い障害があっても地域で暮らす」というノーマライゼーションの思想がようやく浸透しつつある。しかし、35年前と比較して、地域の基盤整備は整ったものの、親が抱く「親亡き後」の問題は厳然としてある。本稿では、日本全国に入所施設が次々と建設されていった時代から、現在の施設批判および地域生活移行に至るまでの35年間で、「何が変わったのか」「何が変わっていないのか」を明らかにした。そして、未だに家族のケアに依存している問題を指摘し、問題解決に向けて親子を分離して「どのように支援していくか」という視点が重要であると結論づけた。
著者
千田 富義
出版者
東北文化学園大学
雑誌
リハビリテーション科学 : 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.3-14, 2009-03-31

初期段階のアルツハイマー型認知症で注目されている上肢運動機能障害の特徴,発現機序に関する仮説,訓練効果について概説した.この上肢運動機能障害は運動障害を引き起こす神経症状がないこにも関わらず出現し,聞き手優位性の焼失などの特徴が報告されている.また,課題の難易度が高いときに上肢運動機能障害が鮮明になる.出現機序についての詳細は不明であるが,短期視覚記憶などの比較要素的な認知機能の障害が関与するとの立場と,注意機構など全般的な機能を司る機構の障害で発現するとの立場がある.上肢運動機能障害に対する練習・訓練の研究では,常に一定の条件で繰り返す練習で運動学習の保持,転移が出現することが報告されている.種々の条件で行う練習で学習効果が大きい健常者と大きく異なる点である.アルツハイマー型認知症のスキーマ形成障害によると推測されている.
著者
今城 周造 佐藤 俊彦
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-11, 2004-03-31

本研究の目的は喫煙行動の規定因の検討であった。計画的行動の理論によれば行動意図は、行動への態度や、主観的規範、統制認知の影響を受ける。本研究では、これらの変数を測定する質問紙調査を行った。対象者は大学生159人(男75、女84)であった。その結果、喫煙への態度には喫煙者と非喫煙者の間に差はなく、両者とも喫煙をむしろ否定的に捉えていた。一方、喫煙者は非喫煙者よりも、重要他者から喫煙を是認されていると感じていた。また喫煙者は喫煙を容易なことと認知するが、非喫煙者はむしろ困難と認知していた。階層的重回帰分析の結果、行動意図と統制認知の間には強い正の相関があった。態度と主観的規範はいずれも行動意図と正の相関を示すが、その関係は弱い。これらの結果は、計画的行動の理論が、喫煙行動の理解と予測に有効な道具となりうることを示す。また喫煙・禁煙に伴う困難さが、分煙・防煙の成否を左右する可能性が示唆された。
著者
佐藤 俊彦
出版者
東北文化学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究課題では,高血圧ラットSHRの驚愕反応に関する行動的特徴と,その生理学的基礎,特に循環器機能との関連を明らかにすることを目標としている。昨年度に行ったSHRとWKYの驚愕反応と恐怖増強(fear-potentiated startle, FPS)を調べる実験について,追加実験を行って,データを追加した。各セッションの前半と後半の試行とで別個に平均を集計したところ,恐怖条件づけ後24時間では,セッション前半の試行のFPSの指標(%FPS)には有意な系統差はなく,後半でのみ,SHRの%FPSが大きかった。この結果より,SHRの情動的性質について,情動的な興奮性が一般に高まっているというよりはむしろ,情動喚起刺激に対する慣れが遅いと推定できた。この研究成果については平成18年10月に開催された北米神経科学会(米国Atlanta)にて発表するとともに,驚愕反応ならびに恐怖増強の世界的権威Michael Davis教授のラボ(Emory大学)を訪問し,実験手法についてアドバイスを受けた。また,同年11月の日本心理学会においても,SHRの驚愕反応に関する研究成果の発表を行った。今年度には新たな実験も開始した。昨年度からの予備実験の結果を踏まえながら,Davis教授から受けたアドバイスも参考に実験をデザインした。血管拡張薬ヒドララジンの静脈内投与により,血圧の低下したSHRでは,FPSの程度が有意に減少していた。また,少数の個体に対して,別種の降圧剤を投与したところ,同様にFPSが小さくなった。SHRで比較的大きなFPSがみられる生理学的背景として,心臓血管系の高い機能水準が寄与している可能性が示された。この成果は平成19年度の国内外の学会において発表するとともに,論文投稿を準備している。なお,本研究における動物飼育と実験実施にあたっては,東北大学文学研究科心理学研究室の設備を借用した。
著者
大野 朝子
出版者
東北文化学園大学
雑誌
総合政策論集 : 東北文化学園大学総合政策学部紀要 (ISSN:13468561)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.125-135, 2004-12-31

Edith Wharton is one of the most important American writers of the era of great social changes at the turn of the 20th century. She is famous for her realistic descriptions of the high society circles of "Old New York" from which she originally came. A number of critics have pointed out that her ideas on human nature were influenced by the context of her times, especially Darwin, Darwinism and the theory of evolution. The object of this paper is to closely examine The Age of Innocence in order to find her views on human nature and look for the influence of the deterministic viewpoint on her depiction of characters.Edith Wharton is one of the most important American writers of the era of great social changes at the turn of the 20th century. She is famous for her realistic descriptions of the high society circles of "Old New York" from which she originally came. A number of critics have pointed out that her ideas on human nature were influenced by the context of her times, especially Darwin, Darwinism and the theory of evolution. The object of this paper is to closely examine The Age of Innocence in order to find her views on human nature and look for the influence of the deterministic viewpoint on her depiction of characters.