- 著者
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木村 雅史
- 出版者
- 東北社会学研究会
- 雑誌
- 社会学研究 (ISSN:05597099)
- 巻号頁・発行日
- vol.100, pp.235-260, 2017-09-14 (Released:2021-12-12)
- 参考文献数
- 8
本稿の目的は、仙台市郊外A市の高齢者向け介護予防事業であるaサロン活動の支援者である地域サポーターへのインタビューを通して、地域サポーターがaサロン外における社会的役割や経験との関係性のなかで、どのようにサロン運営やサポート実践を行っているのかをアーヴィング・ゴフマンの相互行為儀礼論の視点から描き出すことである。 本稿では、aサロンのメンバーに対する地域サポーターの配慮や地域サポーター間の配慮のルールを相互行為儀礼と捉え、特徴の異なるX、Y、Zの三地区のaサロンについて分析を行った。X地区では、メンバー間の平等性と地域サポーター間の平等性が相互行為儀礼を通じて二重に維持されていた。Y地区では、地域サポーター自身が高齢化傾向にあるなかで地域サポーターの将来的な居場所づくりとして活動が捉え直されており、相互行為儀礼はさほど強く意識されていなかった。Z地区では、地域サポーターの個人的資源を活用したサポート活動が重視されており、相互行為儀礼は、地域サポーターがメンバーに対して適切な配慮を行うことと、地域サポーターが自らの個人的資源を活動に役立てることを両立させる調整的な役割を担っていた。 本稿の分析で明らかになったのは、メンバーと地域サポーターの適切な関係性やそれを維持する地域サポーターの適切な振る舞いを定義する役割を担っているのが相互行為儀礼であるという点である。