著者
耒代 誠仁
出版者
桜美林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

古代木簡デジタルアーカイブをターゲットとした知的情報検索の実現に向けた研究を行った。パターン認識技術、画像処理技術、ペン・ユーザインタフェース技術を用いた破損字形検索技術を実現することで、解読が困難となった字形の類例検索を実現した。また、検索技術を含む古代木簡解読支援システム「Mokkanshop」の開発と一般公開を行った。このソフトウェアは古代木簡デジタルアーカイブ「木簡字典」と連動し、利用者に実用的な情報検索を提供する。
著者
藤澤 太郎
出版者
桜美林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近代日本語文学圏内各地方の地域的な文学活動の研究、及び地域間の文学的交流の研究と中央の詩歌俳句結社のネットワーク網の研究とを結びつけ、中央・地方の相互交流・影響関係について明らかにしていくことを目指すものである。資料調査・収集については、事前・事後調査を合わせて47都道府県立の図書館・文学館について基礎的な作業を終えており、順次収集した資料の整理分析と成果公刊への準備を進めている。現時点では、山形県の詩人を中心としたネットワークについて『山形・詩人と詩誌の系譜―鈴木健太郎と『血潮』・『詩脈』』にまとめた他、各地の詩歌俳壇のネットワーク等に留意した成果物の準備を進めている段階である。
著者
COOKSON Simon
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-33, 2011-03

1990年1月25日、アビアンカ航空52便は、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港へ着陸を試みたあとに、燃料切れで墜落した。いくつかの要因が墜落に関わっているが、その中には言語的要因も含まれる。そのためにこの事故は、ICAO(国際民間航空機関)によって、操縦士と管制官の航空英語能力の向上を、世界規模で目指すプログラムを立ち上げる必要性を訴えるために引用された。そして、2011年3月5日より、このプログラムの適応が開始された。本稿では、この事故を「スイスチーズ」の事故原因モデルを使って分析した。このモデルは、Reason(1990)が提唱したもので、後にWiegmannとShappell(2003)によって改定されたものである。分析結果は、言語的要因の重大性を確認するとともに、数々の言語以外の重大要因を示唆した。特に、ストレス、疲労、文化的要因が、フライト・クルーのコミュニケーションに影響を与えたことを明らかにした。
著者
平田 潤
出版者
桜美林大学
雑誌
経営政策論集 (ISSN:13474634)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-28, 2006-12

英国では1950年代以降、主にケインズ主義による総需要管理政策(財政・金融政策)と完全雇用追求、社会保障充実を基本政策とすることが、保守党・労働党を問わず、実質的な「政策の枠組み」となっていた。(Consensus Politics)しかし70年代石油危機を契機に、既に経済供給面に多くの構造問題を抱えていた英国ではスタグフレーションが亢進し、悲惨指数(インフレ+失業率)悪化、財政収支悪化、ストの頻発等に対する保守・労働党政権の政策が有効性を欠く中で、消費者の生活へのダメージが増大(78年、the Winter of discontent)する「政策危機」が進行していった。79年に成立したサッチャー政権は、深刻な政策危機から脱却するために、これまでのConsensus Politicsに囚われない、経済構造改革を断行した。改革は政策の有効性や効果において試行錯誤を含むものであった(当初目的未達成の政策や、効果が乏しい例も多かった)が、政策の一貫性と優先順位は明確であり、強力なリーダーシップにより長期にわたり国民の支持を取り付け、インフレ抑制、国営企業民営化や海外直接投資導入策、税制改革、労働組合政策、規制緩和(金融ビッグバン等)、行政改革(エージェンシー制の採用等)、成長軌道への復帰などに成果を挙げた。諸政策の実施面で、第一期(79〜83年)第二期(83〜87年)では、現実経済とのミスマッチは抑制されていたが、第二期後半から第三期(87〜90年)になると、通貨・金融政策の方向性に鮮明さを欠き、通貨ポンドのEMS加盟を巡る深刻な内部対立、87年以降の財政・金融緩和長期化に伴うインフレ再燃、経済のバブル化とその後の失速等、新たな問題が生じ、また改革の副作用ともいうべき、失業率の高止まりや所得格差拡大への対応は不十分な水準にとどまった。しかしながらサッチャー改革の「経済基本理念」はその後メージャー政権だけでなく、労働党ブレア政権にも「小さな効率的政府の追求の持続」、「伝統的な福祉依存からの脱却」などの理念として継承されている。
著者
村上 拓哉
出版者
桜美林大学
雑誌
国際学研究 (ISSN:21859779)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-82, 2011-03-20
著者
中崎 茂
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. ビジネスマネジメントレビュー (ISSN:21850658)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-62, 2010-03

近年、国内外の多くの観光地域において、社会経済、歴史文化、コミュニティや生態環境等の状況変化に対応しながら、持続的であるとともにライフサイクルに留意した取り組みが希求されている。とくに目先の動向にセンセーショナルに対応することは、環境、コミュニティなどの問題解決に無力であり一過性となることから、観光の中・長期にわたる動向を視野においた行政・企業・地域の役割と取り組み(責任遂行と連携)が、環境、経済、社会面からも重要であることに理解が広がってきている。 本稿は、アジア(中国)における世界遺産の指定地域であり、利用より保全を重視する特異な自然景観や少数民族をアトラクションとする地域:張家界国家森林公園を対象とし、ここにバトラーのライフサイクルを適用した事例研究を手掛かりに、この地域の観光化の展開パターンとその展開の段階における社会、環境、経済面のインパクト(効果・影響)との関連性を考察したものである。この一連の検討を通して、バトラーのサイクル論の汎用性の確認、実態面から観光化の展開パターンとその基本要因の把握、展開の各段階におけるインパクトの差異・特性の理解を深めることができる。今後の観光地域政策において持続性のある観光地域の展開や運営を図る上で、ライフサイクル的な中長期にわたる視座の必要性とその方向性について論究したものである