著者
浜中 耕平
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

クリッペルフェイル症候群は頸椎癒合などの骨の症状を呈する遺伝性疾患であるが、その原因は特定されていない。我々は過去の研究において、本症候群を呈する家系に染色体転座を同定した。染色体転座はその周辺の遺伝子の発現を変えることで疾患を起こすことが知られている。本研究では、オミクス解析により本転座の周辺の遺伝子の発現を網羅的に解析し、発現が変化している遺伝子を同定する。次にその遺伝子の骨分化に与える影響を解析し、クリッペルフェイル症候群の病態メカニズムを明らかにする。これらの解析により、本研究はクリッペルフェイル症候群の原因を明らかにし、その診断や治療の開発に貢献するだろう。
著者
山崎 和美
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本科研では、ガージャール朝(1796~1925)末期~パフラヴィー朝期(1925~1979)初頭の近代イラン、特にイラン立憲革命(1905~11)と第一次世界大戦(1914~18)を経た1910~1920年代の女性教育推進を訴える女性運動について、現在に至るまでの社会の変容も考慮に入れつつ考察した。『結婚と離婚』『イランの歴史を知るための50章(仮)』『教養の中東イスラーム近現代史(仮)』『(アカデミー外国語映画賞受賞イラン映画)セールスマン(公式プログラム)』『大学事典』の執筆、日本中東学会公開講演会、イラン大使館や川崎市民アカデミーなどでの講演、科研に関わる研究会での報告を行った。
著者
大川 智子
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、アトピー性皮膚炎におけるコラーゲントリペプチドの効果を検討した。申請者はこれまで、乾燥肌モデルマウスにおいてコラーゲントリペプチドが真皮のヒアルロン酸のヒアルロン酸産生を促し、乾燥にともなう痒みを改善することを明らかにした。その機序を明らかにするために本研究では、炎症性サイトカインであるIL-13、TNF-α、IFN-γを添加したヒト表皮角化細胞にコラーゲントリペプチドを添加し、TARC、TSLPの産生を測定することにより、コラーゲントリペプチドが炎症時の表皮角化細胞に与える影響について解析を行った。TARCの産生をRT-PCRで測定した結果、コラーゲントリペプチドを添加していない表皮角化細胞と比べて、TARCの産生が抑制されていた。また、TSLPについても同様の結果が得られた。ELISA法でTARCの蛋白定量を行った結果、コラーゲントリペプチドにより表皮角化細胞のTARCが低下する傾向がみられたが、有意差はみられなかった。同様に、TSLPをウエスタンブロット法で確認したところ、コラーゲントリペプチドの添加によりTSLPのタンパク量が減少することが明らかになった。さらに、13人のアトピー性皮膚炎患者に対して、コラーゲントリペプチド(7人)、コラーゲンペプチド(6人)を12週間投与し、SCORAD、角質水分量、痒みの評価、血清中のTARC、IgE、LDHおよび好酸球数を測定した。その結果、コラーゲントリペプチド投与群でのみ、内服投与開始前と比べて皮疹面積、SCORAD、TEWLが改善していた。コラーゲントリペプチド群では投与前と比べてTARCの減少がみられた。血清中のIgE、LDHおよび好酸球数についてはいずれの群でも投与前後で有意差は認めなかった。
著者
井上 佳祐
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

我が国の自殺率は、低下傾向ではあるものの、諸外国に比べて依然として高いままである。自殺は、世界的にみても主要な死因の一つであり、メンタルへルス問題を基盤にした「防ぎ得る死」である。自殺予防のためには、精神科疾患に罹患した者を見つけ・適切な治療を行うことが重要である。しかし、精神疾患に罹患した者は、精神科以外の診療科を受診し、精神科を受診しないことが多く、精神科医以外の医師であっても、精神科疾患についての知識を有していること、さらに、自殺リスクの評価ができることが重要である。精神科以外の医師を対象とした、自殺予防に関する研修会は、全国各地で行われてきたが、その効果測定は不十分なものが多い。さらに、臨床研修医に限ると、自殺予防について体系だって学ぶ機会はほとんどなく、またどのような教育内容が効果的かすらわかっていない。本研究では、臨床研修医が自殺予防について必要な知識が習得でき、自殺リスクを評価できるようになるための、教育プログラムを開発し、その効果測定を行うことを目的とする。2018年度は、国内外の自殺予防の教材・資料を元に、講義資料を作成した。2019年11月より、初期研修医に対しての講義を行い、その前後で、評価尺度を用いた、自殺の危険性が高い者に対する態度や対応技術の測定を開始した。2020年1月で講義は終了となった(3月より、新型コロナウイルスの影響により講義が中止となったため)。講義は合計2回実施し、計15名が参加した。2020年度に研究結果の解析を進めた。
著者
高須 曜 廣田 誠
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

顎骨切除後の下顎骨は骨の形態が非対称であり、特に正中部は応力がかかりやすく、咬合負荷をする場合には骨の強度を考慮する必要がある。チタンインプラントは顎骨機能の回復に有用であるが、顎骨切除後症例では残存骨やインプラント周囲への負荷を考慮する必要がある。本研究では、骨再建用スキャホールドによる再建を念頭におき、咬合応力をどのように分布させることが最適であるかインプラントシミュレーションを実施して検討した。インプラントを作用点とした下顎応力解析ではそれぞれを結合させることで3点分布においても4点分布と同等の応力軽減を図ることが可能であり、その分布は切除部から離れた片側1点、反対側2点が最適であった。
著者
横浜市立大学
出版者
横浜市立大学
巻号頁・発行日
vol.A, 1952
著者
中村 拓
出版者
横浜市立大学
雑誌
横浜市立大学紀要 A 人文科学 (ISSN:05128129)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-98, 1957-03-01
著者
舩橋 利也 美津島 大
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、申請代表者の「内分泌撹乱物質は、ノン・エストロジェニック中枢作用により、特に前頭葉機能に影響を及ぼし、学習獲得能力を障害する」という仮説を検証するために行った。卵巣摘除成熟ラットに、40mg/kgのビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノール(NP)、もしくはオクチルフェノール(OP)を投与して24時間後に、PR mRNA発現量が変化するか否か、ノーザンブロットにより検討した。その結果、前頭葉新皮質ではBPA、NPおよびOP投与によりPR mRNAの発現が有意に増加した。さらに、側頭葉新皮質ではBPAのみがPR mRNAの発現を有意に低下させた。頭頂葉新皮質ではいずれの内分泌撹乱物質も有意な変化を惹起しなかった。BPAの作用の時間経過を検討した結果、前頭葉新皮質のPR mRNA発現はBPA投与6時間後の時点で既に有意に増加し、24時間後の時点でも、発現量は有意に増加していた。エストロジェンもBPAと同様に前頭葉新皮質のPR mRNA発現を有意に増加させたが、その効果は一過性で、24時間後には、もとのレベルまで減少することが明らかとなった。BPAは、後頭葉のPR mRNA発現には影響を及ぼさなかったが、側頭葉では時間経過とともに有意な減少、海馬では24時間後においてのみ有意な増加を惹起した。これらのことから、エストロジェンと異なり、前頭葉新皮質では、内分泌撹乱物質の影響が長期間残存することが、エストロジェン作用との異同であり、また、記憶・学習に関与する海馬に内分泌撹乱物質がなんらかの影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
嶋 秀明
出版者
横浜市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は新規粘膜ワクチンの創出を最終目的とし、ドラッグデリバリーの標的分子として腸管粘膜において抗原取り込みに特化したM細胞上に存在している事が示唆されているSIgA受容体の探索を行うものであった。初年度、次年度において、いくつかの試験方法を試みた結果、適切にSIgA受容体を探索することが困難であり、また、新たにM細胞上にはIgGと結合する分子の存在が示唆された。本研究が新規粘膜ワクチンの創出であるため、同時期に同定されたM細胞特異的な抗原取り込み受容体「GP2」を標的としたワクチン創出を行った。ビオチンと特異的に結合するストレプトアビジンと抗GP2抗体の可変領域を繋いだ融合タンパク質をドラッグデリバリーツールとして用いた。当該タンパク質をanti-GP2-SAと名付け、精製度やGP2に対する結合能、糞便中抗原特異的IgA量および誘導されたlgAによる感染防御の評価をマウス組織や、マウスに対する投与試験によって確認した。その結果、anti-GP2-SAは抗体の可変領域とストレプトアビジン領域を同時に持ち、GP2に対する結合能も損傷を受けていないことが示された。さらに、anti-GP2-SAをマウスに経口投与した結果、抗原特異的な分泌型IgAの力価が、対照群に比べ有意に増加している事が示された。抗原を異なるタンパク質、且つ、複数のタンパク質を同時に結合させたものを投与した場合においても、抗原特異的な糞便中IgAの力価が上昇している事が示された。新規粘膜ワクチンanti-GP2-SAによって誘導された抗原特異的なIgAは、致死性のSalmonellaを感染させた場合に、有意に生存率を上げることが出来ることが示された。また、生存率と誘導された糞便中IgA量との間には有意な相関があろうことが示唆された。なお、これらの結果をまとめた論文は英語論文誌へ投稿されている。本研究結果は、腸管に存在するM細胞を標的とした粘膜ワクチンが、これまで経口粘膜ワクチンが実用化されてこなかった原因となるいくつかの課題をクリアし、さらに、腸管免疫の研究をより詳細に解析することの出来る有用なシステムとなる。
著者
上村 博司 窪田 吉信
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

前立腺癌の発生および進展には、男性ホルモンであるアンドロゲンとアンドロゲン受容体が大きく関わっている。初期治療としてのホルモン療法は、完全に癌細胞を死滅させることはできず、治療を開始して数年後には多くの症例がホルモン非依存性を示し、再燃癌へと進んでいく。このメカニズムとして、ホルモン非依存性癌細胞からのパラクリンあるいはオートクリン作用として分泌される増殖因子やサイトカインが再燃への進展機序に関与していることが挙げられる。我々は、高血圧に関わるペプチドであるアンジオテンシンIIが前立腺癌細胞の増殖効果を持ち、降圧剤であるアンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)が癌細胞の増殖抑制および抗腫瘍効果を持つことを解明し発表した。興味あることに、前立腺癌細胞や間質細胞はアンジオテンシンII受容体(AT1レセプター)を発現していることも、我々は確認している。このことは、ARBが前立腺癌細胞や間質細胞にも作用することを意味しており、ARBが前立腺癌に効果があることを示唆している。この研究では、前立腺癌細胞と間質細胞に対して増殖作用のあるアンジオテンシンIIに焦点をあてた。前立腺癌組織においてレニン-アンジオテンシン系(前立腺RAS)が存在するかどうかを、real time RT-PCRを使って調べた。結果は、正常前立腺や未治療前立腺癌に比べ、再燃前立腺癌で、AT1レセプターやアンジオテンシノーゲン、ACEなどが有意に強く発現していた。また、前立腺癌細胞であるLNCaP細胞をアンドロゲン、エストロゲン、デキサメタゾンや抗アンドロゲン剤で刺激すると、AT1レセプターが強く発現していることが分かった。以上の結果より、再燃癌はエストロゲン剤やデキサメタゾンなど各種治療が行われており、その結果、癌細胞でのAT1レセプターが強く発現し、ARBの効果が得やすいと推測された。
著者
武部 貴則
出版者
横浜市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

人びとの健康行動の持続的誘発には、対象属性に応じたコミュニケーションが重要である。広告医学という新規概念を提案し、デザインやコピーライティングなどといった、わかりやすく、人々に影響を与える広告的視点を取り入れることで、生活する人々の行動変容を実現するコミュニケーション研究を進めている。本研究では、広告医学の基礎概念実証を目指し、運動量の増加を目指した介入施策を複数デザインし、それらによる歩行量の増加を実証した。本年度における成果を礎に、今後も広告医学の概念に基づくアイテム開発・実証実験を継続していくことで、疾病予防に大きく寄与する独創的なコミュニケーション手法が生み出されるものと期待される。
著者
勝瀬 大海
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

まず、前頭葉側頭葉変性症(FTLD)様の症状を呈した非定型な症例として3例のNasu-Hakola病とハンチントン舞踏病に神経線維腫症Ⅰ型を合併した1例について臨床病理学的特徴をまとめ報告した。次に66例のFTLDについて臨床病理学的特徴をまとめた。その結果、FTLD-TDPの臨床症状は多様だが亜型によって症状が異なる傾向がみられた。さらにFTLDの原因タンパクの1つであるFUS proteinは神経細胞の核内や樹状突起の後シナプスに存在し、FUS顆粒の量が増加していることが病態と関連しているのではないかと考えられた。
著者
高橋 寛人
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

教刷委で教員養成をめぐってアカデミシャンとエデュケーショニストの論争が展開されたことが知られている。しかし、本研究によって、教刷委での議論の前に、CIEの指示に基づいて、東京第一師範学校での新カリキュラムの開発と師範学校用の新教科書の編纂が精力的に進められていたことが明らかになった。すなわち、CIEと文部省は、教員養成を目的とする学校の存続を前提として改革に着手しており、そこでは当初から教職教育を重視していた。
著者
村田 聡一郎
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大腸癌は食生活の欧米化に伴って近年増加の著しい悪性腫瘍である。切除不能の進行大腸癌の唯一の治療法は化学療法であるが、その費用は高額であり医療費の高騰につながっている。モノテルペンはアロマテラピーで用いられる精油の主成分であり、抗炎症作用、殺菌作用に加えて、いくつかのモノテルペンは抗腫瘍作用を有することが明らかになっている。本研究では1,8-シネオール、テルピネン4オール、リナロールの3つのモノテルペンについてヒト大腸癌細胞株および免疫不全動物への腫瘍移植モデルを用いて検討した。その結果、3つの成分とも大腸癌に対する抗腫瘍効果を有することを明らかにした。