著者
山田 洋子 岡本 祐子 斎藤 清二 筒井 真優美 戸田 有一 伊藤 哲司 戈木クレイグヒル 滋子 杉浦 淳吉 河原 紀子 藤野 友紀 松嶋 秀明 川島 大輔 家島 明彦 矢守 克也 北 啓一朗 江本 リナ 山田 千積 安田 裕子 三戸 由恵
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

質的研究とナラティヴ(語り・物語)アプローチによって、ウィーン、ロンドン、ハノイ、シカゴ、海外4都市の大学において、多文化横断ナラティヴ・フィールドワークを行った。心理学、医学、看護学による国際的・学際的コラボレーション・プロジェクトを組織し、多文化横断ナラティヴ理論および多声教育法と臨床支援法を開発した。成果をウェッブサイトHPで公開するとともに、著書『多文化横断ナラティヴ:臨床支援と多声教育』(やまだようこ編、280頁、編集工房レィヴン)を刊行した。
著者
松嶋 秀明
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.449-459, 2013 (Released:2015-12-20)
参考文献数
40
被引用文献数
2

わが国の発達心理学研究と,発達にかかわる臨床実践の双方がよりよい結びつき方になることを模索するために,著者自身が非行少年の更生をテーマとしておこなってきた2つの研究(松嶋,2005, 2012)を素材として紹介しつつ,それらが臨床実践に対してどのように寄与すると考えられるのかについて論じた。非行へのリスク因子として発達障害や被虐待体験に注目したこれまでの諸研究の流れをふまえながら紹介された2研究は,それぞれに共通する特徴として,(1)特別な治療的セッティングではなく,生活をともにすることで営まれている臨床実践であること,(2) 少年の「問題」を自明なものとせず,周囲との関係のなかでいかにそれが見いだされているのかを検討したものであることが挙げられた。これらの研究は,(1)質的研究の方法論をいかして実践を詳述することにより,実践者を疲弊させがちな「問題」状況の相対化をはかれること,(2) 協働性の基盤として機能しえる記述がえられることを寄与として挙げて考察した。
著者
松嶋 秀明
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.165-185, 2005 (Released:2020-07-05)

本論では,中学校教師たち,なかでも生徒指導にかかわった教師たちは,生徒をいかなる存在としてとらえ,自らの関わりをどのように意味づけているのだろうか,この問いに答えるべく,教師へのインタビューの解釈的な探求を試みた。語りの内容を総合すると,(1)生徒を集団の一部として/個人としてとらえる視点軸,(2)生徒を教師に比べて未熟な存在として/生徒を教師と対等な存在としてとらえる視点軸という,2 つの相矛盾するような視点対によって構成される軸に言及していた。なかでも教師がそれぞれの生徒とのかかわりのなかで重視しているのは,「人間的なつきあい」と称される,生徒への半ば対等な関わりである。そのことは教師に葛藤を感じさせることもあれば,重要な思い出として本人の指導観を大きく左右することもある。また,この軸は明確な境界というよりも,教師の実践のなかでその都度,揺れ動くものである。揺らぎをふくみつつ,教師が対話的に生徒にかかわることで,生徒からは次第に教師が「動かない/不変の」対象として存在するように体験されること,それが生徒にとっては肯定的に評価され得ることが仮説として示された。
著者
嶋 秀明
出版者
横浜市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は新規粘膜ワクチンの創出を最終目的とし、ドラッグデリバリーの標的分子として腸管粘膜において抗原取り込みに特化したM細胞上に存在している事が示唆されているSIgA受容体の探索を行うものであった。初年度、次年度において、いくつかの試験方法を試みた結果、適切にSIgA受容体を探索することが困難であり、また、新たにM細胞上にはIgGと結合する分子の存在が示唆された。本研究が新規粘膜ワクチンの創出であるため、同時期に同定されたM細胞特異的な抗原取り込み受容体「GP2」を標的としたワクチン創出を行った。ビオチンと特異的に結合するストレプトアビジンと抗GP2抗体の可変領域を繋いだ融合タンパク質をドラッグデリバリーツールとして用いた。当該タンパク質をanti-GP2-SAと名付け、精製度やGP2に対する結合能、糞便中抗原特異的IgA量および誘導されたlgAによる感染防御の評価をマウス組織や、マウスに対する投与試験によって確認した。その結果、anti-GP2-SAは抗体の可変領域とストレプトアビジン領域を同時に持ち、GP2に対する結合能も損傷を受けていないことが示された。さらに、anti-GP2-SAをマウスに経口投与した結果、抗原特異的な分泌型IgAの力価が、対照群に比べ有意に増加している事が示された。抗原を異なるタンパク質、且つ、複数のタンパク質を同時に結合させたものを投与した場合においても、抗原特異的な糞便中IgAの力価が上昇している事が示された。新規粘膜ワクチンanti-GP2-SAによって誘導された抗原特異的なIgAは、致死性のSalmonellaを感染させた場合に、有意に生存率を上げることが出来ることが示された。また、生存率と誘導された糞便中IgA量との間には有意な相関があろうことが示唆された。なお、これらの結果をまとめた論文は英語論文誌へ投稿されている。本研究結果は、腸管に存在するM細胞を標的とした粘膜ワクチンが、これまで経口粘膜ワクチンが実用化されてこなかった原因となるいくつかの課題をクリアし、さらに、腸管免疫の研究をより詳細に解析することの出来る有用なシステムとなる。
著者
小久保 安朗 大木 央 杉田 大輔 中嶋 秀明
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.405-412, 2016-04-25

はじめに 仙骨骨折は,交通外傷や高所からの転落などによる高エネルギー外傷により発生し,骨盤輪骨折の23%に伴うと報告されている12).著者らの施設において,完全不安定型骨盤輪骨折の27%に仙骨骨折を伴っていたが,仙骨横骨折は全骨盤輪骨折224例中5例(2%)とまれであった20).不安定型骨盤輪骨折は高エネルギー外傷により発生するのに対し,仙骨横骨折は転倒などの比較的小さい外力でも発生することがある.また,最近は非常に軽微な外力で発生する骨脆弱性骨盤骨折が注目されており高頻度に仙骨骨折を伴うが,高エネルギー外傷で発生する仙骨骨折とは骨折の機序が大きく異なるため,同一の骨折として論ずることはできない.一方,仙骨骨折の約半数に神経損傷を伴うとの報告4)も存在する.本稿では,高エネルギー外傷に伴う仙骨・尾骨骨折の診断と治療について論述する.
著者
中澤 努 中島 礼 植木 岳雪 田辺 晋 大嶋 秀明 堀内 誠示
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.349-368, 2006 (Released:2006-09-14)
参考文献数
58
被引用文献数
7 12

大宮台地の地下に分布する更新統下総層群木下層の形成過程について,コアの層相および産出する化石群集を基にシーケンス層序学的な検討を行った.大宮地域の木下層は,開析谷システムにより形成された下部とバリアー島システムによって形成された上部に分けられ,下部および上部のそれぞれに上方細粒化と上方粗粒化のセットからなる堆積相累重様式が認められる.花粉化石とテフロクロノロジーおよびMISカーブの対比に基づくと,下部はMIS6~5e前期,上部はMIS5e後期に対比され,下部の開析谷システムは低海面期堆積体および海進期堆積体,上部のバリアー島システムは高海面期堆積体と解釈される.
著者
松嶋 秀明
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.449-459, 2013

わが国の発達心理学研究と,発達にかかわる臨床実践の双方がよりよい結びつき方になることを模索するために,著者自身が非行少年の更生をテーマとしておこなってきた2つの研究(松嶋,2005, 2012)を素材として紹介しつつ,それらが臨床実践に対してどのように寄与すると考えられるのかについて論じた。非行へのリスク因子として発達障害や被虐待体験に注目したこれまでの諸研究の流れをふまえながら紹介された2研究は,それぞれに共通する特徴として,(1)特別な治療的セッティングではなく,生活をともにすることで営まれている臨床実践であること,(2) 少年の「問題」を自明なものとせず,周囲との関係のなかでいかにそれが見いだされているのかを検討したものであることが挙げられた。これらの研究は,(1)質的研究の方法論をいかして実践を詳述することにより,実践者を疲弊させがちな「問題」状況の相対化をはかれること,(2) 協働性の基盤として機能しえる記述がえられることを寄与として挙げて考察した。
著者
中澤 努 中里 裕臣 大嶋 秀明 堀内 誠示
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.49-63, 2009-02-15
被引用文献数
7

関東平野中央部,埼玉県越谷(こしがや)市大杉(おおすぎ)で掘削したGS-KS-1コアにおいて,層相,テフラ,花粉化石,珪藻化石の解析を基に,房総半島の上総-下総層群境界に相当する海洋酸素同位体ステージ(MIS)12層準の特定を試みた.検討の結果,掘削地点でのMIS12層準は,内湾相基底のベイラビンメント面に相当すると考えられ,河川チャネル成の粗粒堆積物は伴わないことが明らかになった.また,MIS 12層準直下の上総層群上部相当層は,下総層群と同様の陸成層と海成層の互層からなり,関東平野中央部では,房総半島の上総-下総層群境界に相当する層準の上下で,房総半島でみられるような層相の大きな違いはないことが明らかになった.