著者
紺野 智之
出版者
横浜市立大学
巻号頁・発行日
2017-09-21

2017年度
著者
長谷川 真里
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、幼児、児童、青年における道徳感情帰属を検討した。(1)幼児にHappy Victimizer反応がみられたが、被害者情報の強調などの場面操作により減少した。(2)入り混じった感情理解はHV反応の調整要因となる可能性が示唆された。(3)仲間関係のジレンマ場面では青年期になってもHV反応が見られた。(4)類似の欧米の研究と異なり、日本の青年はHappy Moralist反応が少なく、比較文化研究の必要性が示唆された。(5)道徳感情帰属と行動の関連性について弱い証拠が得られた。幼児でも、道徳的意思決定に道徳感情を利用することが示唆された。またそれは感情の種類によって発達の様相が異なった。
著者
熊谷 直樹
出版者
横浜市立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

結膜炎を伴わないアトピー性皮膚炎患者および、アトピー性角結膜炎患者の結膜組織、眼脂の培養を行った.それぞれ約1/3の症例で何らかの細菌が培養された.その内、約8割が黄色ブドウ球菌で他に表皮ブドウ球菌、コリネバクテリウムがみられた.自他覚症状をスコア化し、角結膜所見の重症度と培養陽性率の比較を行ったが、両者に相関関係はなかった.湿潤な活動性の眼瞼炎を併発している症例で黄色ブドウ球菌の培養陽性例が多くみられ、角結膜所見よりはむしろ皮膚所見の重症度と細菌感染が関連していると考えられた.涙液中の細菌性スーパー抗原の検出については、患者群では流涙を伴っており充分な検体採取が出来るが、コントロール群で充分な涙液採取が出来ない症例が多く、現時点では結論は出ていない.
著者
松井 道昭 永岑 三千輝 廣田 功 上杉 忍 浅井 良夫 小野塚 知二
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

松井は、普仏戦争において、最初の国民戦争=総力戦の要素を抉り出した。この戦争において交戦国双方において兵站力が増せば、自ずと戦争は長期化し、持久消耗戦に転化していく可能性がすでに存在したことを摘出できた。永岑は、ヒトラーの戦略と領土膨張構想を秘密文書と国会演説で解きほぐし、第一次大戦と戦後再建のあり方の相互連関を明らかにすると同時に、戦争と復興が内面的に関連することを摘出した。廣田は、「連続性」を指摘されるフランスの福祉国家成立史において、第1次大戦がフランスの経済社会に与えた影響の重要性を明らかにした。小野塚は、1930年代中葉から戦時にかけて、社会主義・労働運動系の音楽運動が活力を回復した要因と、その過程に表れた新たな特質を明らかにして、戦後復興のもう一つの国際連帯の側面を明らかにした。本宮は、横浜における戦後復興の過程に関して、市内神奈川区大口地区を事例に採り上げ、それをとりまく地域社会との関係性も意識しながら、戦後復興過程の具体的様相を考察し、都市横浜における戦後復興過程の研究に奥行きを持たせる上での詩的素材を豊かにした。浅井は、ワシントンの国立文書館で占領後の対日援助政策とその実態に重点を置いて検討を行ない、占領後においても、対日援助が重要な役割を果たしたことを明らかにした。上杉は、冷戦期の黒人公民権運動とその圧力を受けて進められたとされてきた連邦政府の公民権政策の転換に関する近年の研究動向を概観し、(1)この公民権政策の外交戦略的側面への注目が重要であること、(2)冷戦下の「赤狩り」によって公民権運動の軌道が規定されたこと、(3)さらに直接的大衆行動に立ち上がった南部の頑迷な白人人種差別主義者をアメリカ史の逸脱としてとらえるのではなく、アメリカ社会の基本的構成要素としてこれを社会史的に分析することが求められていること、を指摘した。上原は、第二次世界大戦後のフランスが、国力の疲弊という構造的制約のもとで、いかにしてpuissanceパワーを獲得するために、近代化優先政策を展開したプロセスを分析した。小島は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって占領され,戦後に経済復興を遂げたベルギーについて,欧州統合との関係を視点として検討し、ヴァンゼーラントを発掘して、ベルギーの戦後復興にけるイニシアティヴを解明した。
著者
野坂 和則
出版者
横浜市立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

慣れていない運動や久しぶりの運動を行った後には筋肉痛が生じ,その痛みはしばらくの間持続する。筋肉痛が安静を促す危険信号だとすれば,筋肉痛が消失するまでは,痛みのある筋肉を動かすような運動は控えるべきであると考えられる。しかし,痛みがあっても運動することはあり,痛みをこらえて運動するうちに痛みが軽減されるといった経験的な事実もある。本研究では,筋肉痛がある状態でさらに運動を負荷した場合の筋肉痛の程度や,筋機能の変化について検討した。実験モデルには,最大等尺性筋力の50%に相当するダンベルを,負荷に抵抗しながら肘の屈曲位から伸展位にゆっくり降ろす上腕屈筋群のエクセントリック運動を用いた。この運動を一方の腕では10回3セットのみ行い,他方の腕では10回3セットを1日おきに3回実施した。運動に伴う,筋肉痛,筋力,関節可動域,血漿CK活性値,Bモード超音波画像の変化について両腕間での比較を行った。その結果,エクセントリック運動を1日おきに3回行った腕における各指標の変化と,1回のみ運動を行った腕での変化との間には有意な差が認められなかった。筋肉痛がある状態で運動を負荷しても新たな筋肉痛が生じないばかりか,運動後には筋肉痛の程度が顕著に軽減した。また,2回目,3回目の運動直後に筋力は1回目の運動直後と同様に低下するが,その翌日までには,2回目,3回目の運動負荷がなかった腕と同様に回復を示し,関節可動域については,運動前に比べ運動後に有意に大きくなった。また,超音波画像や血漿CK活性値においても回復過程が遅延したり,新たな損傷が生じたと考えられるような所見は見られなかった。これらのことは,筋肉痛がある状態で,その筋に対してさらに筋損傷を誘発するような運動を負荷しても,筋の回復過程には影響がないということになる。しかし,筋肉痛がある部位の運動はしてもよいということにはならず,運動の有効性や効果の側面からは,その部位の運動を敢えて行う必要性はないものと考えられた。今後,組織学的な検討を加え,なぜ,筋損傷が生じている筋にさらなる損傷誘発刺激を負荷しても損傷が生じないのか,また回復過程に影響がないのかについて明らかにしていきたい。
著者
塩尻 智之
出版者
横浜市立大学
雑誌
横浜市立大学紀要. 体力医学編 (ISSN:09115277)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-9, 1999-02-01

健康な成人男性4名を被験者として, 負荷強度が80%LTに相当する自転車運動時のペダル回転数(40,60,80rpm)が運動開始時の呼吸・循環応答に及ぼす影響について検討した。ペダル回転数の増加に伴ってV_E, VO_2,VCO_2およびHRの増加がみられるが, 運動開始時のVO_2,QcおよびTPCの応答性には, ペダル回転数の影響はみられなかった。これらのことから, 自転車運動時のペダル回転数の増加は, type II線維の動員割合を増加させるが, LT以下の運動強度では, 酸素の供給と利用のバランスが保たれ, VO_2の応答性に差を生じないことが示唆される。
著者
田村 智彦 加藤 隆幸
出版者
横浜市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

血球系特異的転写因子Interferon Regulatory Factor 8(IRF8)は、ミエロイド系前駆細胞からマクロファージへの分化を促進する一方、好中球への分化増殖は抑制する。また、IRF8欠損マウスが慢性骨髄性白血病(CML)様の病態を呈し、多くのヒト骨髄性白血病においてIRF8の発現が失われていることから、IRF8はヒト白血病において重要ながん抑制因子である事が示唆されている。当研究は、IRF8の機能解析を通して自然免疫細胞の分化機構、ひいては細胞分化の基本原理を理解し、ヒト白血病に対し新しい病態理解と治療法を確立するための基盤を築くことを目指している。本年度は、IRF8と顆粒球系のマスター転写制御因子C/EBPαが結合する事を生細胞においてBiFC法(Bifluorescence Complementation Assay)のみならずFRET法(Fluorescence Resonance Energy Transfer)でも確認することができた。また前年度見出した新しい細胞分化制御転写因子であるが、これはIRF4であり、IRF8とIRF4という二つの血球系IRFがミエロイド系細胞分化において似通った活性を持つ事を、in vitro分化系のみならず、IRF8, 4ダブル欠損マウスの作製によって証明することができた。CML患者ではIRF4の発現も低下している事が報告されており、この結果はCML病態や治療を考える上でも興味深い。今後、本挑戦的萌芽研究で得た結果をさらに発展させ、ミエロイド細胞における転写因子複合体の精製等によってより包括的な理解に繋げて行きたい。
著者
平井 美佳
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は,中国,韓国,台湾,アメリカ,日本の大学生を対象として,自己と他者の要求が葛藤するジレンマ場面における両者の調整について,文化の共通性と差異を明らかにすることを目的とした。調査の結果,場面の深刻度が高いほど自己優先的な程度が増すことがすべての国の大学生で共通して認められた。一方で,文化差については,より深刻度が高い場面では日本と韓国において,あまり深刻ではない場面ではアメリカと台湾においてより自己優先的な傾向が高かった。また,家族に対してはアメリカ・日本・台湾において,友人に対しては韓国・台湾・アメリカにおいて,より自己優先的であることが示された。
著者
吉本 和生 中原 恒 佐藤 比呂志
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,小型・低消費電力の強震動観測システムの開発,地震波形データ取得のための地震観測,波形データの解析による関東平野の大深度地盤構造の推定,及び大規模な堆積盆地構造と長周期地震動の関係に関する以下の研究を実施した.①乾電池で動作する小型・低消費電力の強震動観測システムを製作した.②関東平野北東部の計11地点での臨時地震観測を実施した.③地震波干渉法により地下構造の時間変化を検出した.④地震波干渉法に基づいて近地地震波形を解析し,地震基盤までの地盤構造を詳しく推定した.また,大深度地盤構造モデルを構築し,関東平野北部における長周期地震動(ラブ波)の励起の特徴の説明に成功した.
著者
市野 素英 田村 智彦 西山 晃 堀田 千絵
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

寄生虫感染症のマラリアでは、免疫応答で重要な役割を果たす樹状細胞(DC)の成熟阻害が起こり、宿主が免疫抑制状態に置かれることが知られている。しかし、その分子メカニズムはよく判っていない。本研究では、マラリア原虫感染赤血球が宿主の骨髄細胞に作用し、DCの分化に必須の転写因子IRF4/IRF8の発現を転写レベルで抑制してDCの分化異常を起こすことを、マウスマラリアモデルを用いた解析により明らかにした。
著者
山田 俊治
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

新聞と文化が接続する問題系を問うことを目的として、「東京日日新聞」の創刊から悉皆調査した結果を年表化することによって、文明開化期と内国勧業博覧会以後との間で絵画評価に落差があることが判明した。それは、「美術」概念を適用することで、文明開化期の写実的な西洋油画一辺倒の評価が、日本画の精神性が評価されるようになる変化であった。そればかりではなく、古典講習科の設置や漢籍の出版など古典回帰と見られる現象も観察できた。
著者
大関 泰裕 安光 英太郎
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果の概要(和文):従来知られていなかった全く新規な一次構造を持つα-ガラクトシド結合性レクチンMytiLecのアミノ酸配列を決定し、グロボトリオース(Gb3)糖脂質糖鎖結合性、Gb3発現Raji細胞に対する増殖抑制を見出した。SUEL/ラムノース結合レクチンファミリーでGb3に結合したナマズ卵SALレクチンは同細胞の増殖に影響せず、多剤耐性トランスポーター遺伝子の発現を抑制した。両結果を総合すると、同一糖鎖に結合するレクチンでも、その結合力や価数の違いから、異なるシグナルを細胞内に伝達することが判明した。細胞増殖の調節に応じて適切なレクチンを投与することで、細胞研究における機能制御が可能と示唆された。
著者
長嶋 洋治 秋本 和憲 石黒 斉 青木 一郎 稲山 嘉明 上村 博司 佐藤 美紀子 谷口 多美代 水島 大一 泉澤 裕介 加藤 真吾
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞極性の異常はがん細胞の主要な性質の一つである。本研究では細胞極性制御因子細胞極性制御因子atypicalprotein kinaseλ/ι(aPKCλ/ι)の各種癌組織、がん細胞における発現と局在を免疫組織化学的に検討した。また、前立腺癌においてaPKCλ/ιの下流に存在し、再発に促進的に働くことが細胞レベルで確認されたインターロイキン6(IL6)の発現についても検討した。これにより、胃癌、メラノーマ,膵臓癌,口腔癌,子宮頸癌についてもaPKCの過剰発現と転移や前癌状態からの進行との臨床的な相関を認めている。我々は前立腺癌ではaPKCとIL6の過剰発現との相関性を臨床検体で証明した。
著者
殿﨑 薫
出版者
横浜市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

種間交雑では,しばしば胚乳発生異常など種子形成時の生殖的隔離が障害となる.ハクサイやカブ等を含むBrassica rapaとダイコンを含むRaphsnus sativusの種間交雑では,胚乳発生の異常が生じる.しかしながら,B. rapa品種の「聖護院カブ」を種子親として用い,R. sativusの花粉を交雑した場合には,例外的に低頻度ながらも種間の生殖的隔離が打破される.これまでに,雑種形成能力を有する「聖護院カブ」と雑種形成能力のない「チーフハクサイ」を用いた遺伝解析から、B. rapaの雑種形成能に関わる3つのQTLを同定し,その内、2つのQTL領域内に座乗するBrFIE及びBrMSI1の2つの遺伝子において,機能に影響を及ぼすと推定されるフレームシフト変異を見出している.BrFIEおよびBrMSI1は,ポリコーム複合体構成因子をコードしている.ポリコーム複合体は、MADS-box転写因子であるPHE1やAGL62の発現を抑制することで正常な胚乳発生を制御している.そこで,B. rapaのポリコーム複合体標的遺伝子と推定されるBrPHE1及びBrAGL62について,自殖種子及びR. sativusとの雑種種子での発現解析を行った.自殖・雑種種子に関わらず「聖護院カブ」由来のゲノムを持つ場合,標的遺伝子の発現レベルは「チーフハクサイ」のそれらより低い傾向にあった.このことから「聖護院カブ」では,恒常的にポリコーム複合体による標的遺伝子の制御が強く,それによって種間交雑でも胚乳発生に関わる遺伝子を正常に制御することができているため,生殖的隔離を打破している可能性が考えられた.ナチュラルバリエーションの中から,生殖的隔離を引き起こす因子としてポリコーム複合体の関与を示したのは初めての結果である.ポリコーム複合体の種内変異の重要性を示した例はこれまでになく,本研究成果から種間交雑で見られる生殖的隔離の分子機構に関与する重要な知見を得ることができた.
著者
内山 繁樹 塚田 尚子 若狭 紅子 池邉 敏子 塚田 尚子
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

EBP プログラムである IMR(Illness Management and Recovery:疾病自己管理とリカバリー)と FPE(Family Psycho Education:家族心理教育)を並行して実施することで,家族間の負担感の軽減や自己効力感など相補的・相乗的な効果を実証的に示すことを目的とし,当事者とその家族を対象に介入を行った。 リカバリーゴールの達成に向けて前向きな行動変容が見られることで QOL の改善傾向や再発予防として示唆された。また,家族はエネルギーの使い方が減少し,体験の共感や苦労の分かち合いから心理的サポートの実感が得られていた。
著者
西山 晃 田村 智彦 市野 素英 堀田 千絵
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞分化には、各系譜に特異的な転写因子による適切な遺伝子発現が必須であり、その破綻が免疫不全やがんなどの疾患を引き起こしうる。転写因子IRF8は単球を含む血球細胞分化に必須であり、慢性骨髄性白血病の重要な制御因子と考えられている。本研究ではIRF8の機能解析を通じて血球細胞の分化機構を明らかにし、ひいては白血病の新規治療法の可能性を探ることを目標とした。IRF8の遺伝子導入等の複数のマクロファージ分化系で遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、共通に発現が誘導される転写因子を同定し、それらの遺伝子導入によりIRF8を介さないマクロファージ分化を達成した。
著者
小玉 亮子
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、1920年代において、家庭教育がどのように議論され、どのような役割が求められたのかを、明らかにすることを目的とした。このことは、列強の競合する時代に、国民国家としてのアイデンティティの強化が求められるなかで、近代家族がどのような役割を果たしたのかを分析するものである。本研究におけるキーワードは<母の日>である。1920年代という時代に、国際的にどのように議論されたのか、また国民国家内部でどのように議論されたのか、多くの国家で母の日が制度化されていく際の議論をその相互の関連性を検討した。母の日が創出されたアメリカでの議論、国民国家の再建という課題をおったドイツにおいて母の日が果たした役割を、ドイツとアメリカとの緊張関係に注目しながら分析し、国民国家と近代家族の緊張関係を明らかにすることを試みた。研究成果は大きく分けて二部構成となっている。第一部では、1920年代前後における母の日と家族に関する議論をまとめた。Kodama, 2003のMather's Dayの論文は、2003年にミネソタ大学比較女性史ワークショップにおいて報告したものを、ワークショップ参加者の助言をふまえて再構成した。小玉2006の「母の日」の論文では、議会資料を追加して議論をすすめ、小玉2007の「父の日」の論文は、父の日の成立過程を明らかにすることにより、いっそう母の日の役割が浮かびあがることから執筆されたものである。さらに、小玉2004の「少子化」に関する論文は、ドイツで母の日が普及する背景となった、出生率低下という社会問題を検討したものである。さらに、小玉2007の「ヴァイマル憲法」の論文は、母の日がドイツで普及したヴァイマル期の国制のなかで、家族と母性に関する議論を分析した。第二部では、親子関係、家族関係に関する、現代日本における言説分析をおこなった。1920年代の比較家族史研究は、現代日本における家族分析を考慮することによりいっそう現代的意義が浮き彫りになると考えている。今日的問題を射程にいれて歴史を検討する、その試みのための現代分析の論文も執筆した。
著者
根本 明宜 水落 和也 大西 正徳
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

欧米で20年ほど前より施行されていたバクロフェン髄腔内治療が本邦に導入され、欧米並みの痙縮治療がようやく可能になった。しかし、高価な治療法であり、治療効果を確実に評価する必要性も高まっている。欧米では痙縮の評価にターデュースケールという、他動運動の速度を加味した評価法が見直され2000年頃より論文での使用が増えているが、本邦ではまだ一般的とは言い難い状況である。今回の研究の目的はターデュースケールを日本語化し、他動運動の速度に依存するという痙縮の生理学的な特徴を評価できる評価法を導入することが目的である。今年度については、ターデュースケールの日本語化をほぼ終え、妥当性を検討するための計測系の確立を行った。計測系の充実のため、本学附属病院が有する3次元動作解析装置のキャリブレーションキットの更新を行っている。角速度計を用いた痙縮の計測を行い、ターデュースケールの妥当性を検討する基礎実験を行った。角速度計での計測と標準的な方法である3次元動作解析装置とほぼ同等の結果が得られた。計測系について2007年6月10〜14日に韓国で行われた第4回国際リハビリテーション学会(ISPRM)で発表した。ターデュースケールに日本語化については、共同研究者の意見も参考にしながら行った。角速度計での計測と臨床での評価を比較する準備を行っていたが、計測系の問題が見つかり、計測系の見直しを行った。計測系を見直す中で、角速度計の計測機器の特質による誤差が生じており、一定の動作を繰り返す際には補正が可能であるが、いくつかの方向の計測を行うと、誤差が補正仕切れなくなることが判明した。計測系をビデオを用いた計測に切り替えることとし、計測を行ったが、開始が遅れたこと、本務が多忙になり十分な症例数が確保できず、論文としてまとまった形にできていない。現段階ではターデュースケールの日本語化が終了し、妥当性の検討が一部行えた。日本語化については痙縮の総論、学会でのシンポジウム、教育講演などで報告を行い周知した。