著者
後藤 晃
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.10-16, 1991-02-25

In recent years, cooperative research programs have become popular in Western Countries.These programs help participating firms to increase the efficacy of their research activities and use of funds, and reduce the hesitation to support basic research stemming from fear of the inevitable spillover of research results.On the other hand, cooperative research programs have draw backs such as the cost of organizing and operating research institutions, and disturbing free competition in the market place. Therefore, pre- and post-evaluations for programs are indispensable.Finally, we have to pay attention to the danger that this tide of cooperative research may lead to an undesirable increase in "Techno-nationalism".
著者
幡鎌 博
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.249-262, 2014

本稿では,サービス分野のイノベーション創造を促進するため,ビジネスモデル構築の発想や検討のための方法について考察・提案を行う。その際ビジネスモデルキャンバスの手法を,サービス分野のビジネスモデル構築の方法論に適用する。まず,サービス分野のイノベーションの特徴を,製造業との違いを示しながら考察する。次に,ビジネスモデルの主なパターン(アンバンドル,垂直統合,ロングテール,マルチサイドプラットフォーム,フリー戦略成功報酬)に沿って,サービス分野のビジネスモデル構築について考察する。しかし,そのようなパターンは収益構造や事業構造の面で枠にはめてビジネスモデルを検討する手法であるため,発想する上では限界がある。そのため,広くビジネスモデル創造を伴うサービスイノベーションを生みだす発想法として,5つの方策を提案する。その5つの方策とは,(1)顧客への価値提供が同時に自らへ効果をもたらすかを検討,(2)取り除いたり分離することで新たな価値を提供できないかを検討,(3)多層構造のビジネスモデルを検討,(4)ITとその他のリソースの組み合わせ方を検討,(5)ソーシャルメディアや仲介ビジネスにおいて顧客間の相互作用を検討,の5つである。なお,ビジネスモデルのパターンと発想法の検討の中では,実際の事例とともに,それらの事例に関係するビジネス方法特許も参考にする。
著者
梶川 裕矢
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.49-58, 2013-09-30

Scientific papers and patents are important information on science and technology for innovation. They are medium to disseminate latest research output and means to protect intellectual property, and also resource to comprehend status and trend of research and development. However, it is becoming hard to grasp a comprehensive view because of exponential growth of papers and patents publications accelerated by increasing importance of science and technology and also global competition. The role of information science in science of science, technology and innovation policy is to assist and enable efficient and effective analysis of a vast amount of information and to feed structured knowledge which is necessary and fitted at different level and phase of policy making process like policy, policy measures, programs, and projects. In this paper, I illustrate recent achievement of academic research by focusing on support system of research project design, and discuss a way to implement those research and tools in policy making process.
著者
澤谷 由里子 藤垣 裕子 丹羽 清
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.281-291, 2014-02-26

「経済のサービス化」という社会の構造変化が進んでいる。しかしながら,サービス・イノベーションの実態調査では,サービスの雇用および経済規模に対してサービスにおける研究開発活動の貢献が過小評価されている。本研究では,これまで製造業においてイノベーションの原動力となってきた理工学,主に情報技術を基礎とした研究開発が貢献したサービス・イノベーション事例を分析した結果を報告する。製品開発を目的とする研究からサービス研究へ移行した研究開発者に対しアンケートおよびインタビュー調査を行い,製造業のサービス化によって研究開発者の行動がどのように変化するのか,顧客と研究開発者との価値共創による研究開発の成果について明らかにする事を目的とする。調査の結果,顧客とのコラボレーションによって研究開発者の行動が変化し,顧客の使用価値視点からのサービス・システムの創造を重視し,新しい研究領域を作り出す行動(使用価値を出発点とする新規研究開発)を示すようになることが示唆された。また,サービス研究において研究開発者によって創造された成果は,技術だけではなく,顧客の使用価値の具現化のために技術をサービス・システムに埋め込むための統合・デザイン手法や顧客やサービス組織の保持する知識から得られた現場知にまで至る事が示された。
著者
氏田 壮一郎 玉田 俊平太
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.292-302, 2014-02-26

製品開発において価値形成は,重要な経営課題である。価値形成には,顧客ニーズに合致した便益を製品の中に同化するプロセスが必要であり,市場の顧客ニーズを認識する過程が重要となる。本研究では,価値形成を実現する手法を探るため,「もみ味」という感覚的で曖昧な便益を実現するマッサージチェアの開発プロセスを分析した。事例分析の結果,「共創同期プロセス」と「仮想顧客同期プロセス」の二つの開発モデルに分類することができた。前者は,試用者などの共創相手とともに開発を行うことで正確な顧客ニーズの把握を目指すプロセスである。後者は市場に精通したマネージャーが仮想顧客となり,そのイメージに基づき価値形成を実施するプロセスである。この両プロセスの違いは顧客ニーズを収集する対象にあり,共創同期プロセスは共創相手に仮想顧客同期プロセスはマネージャーにその収集対象を設定している点である。市場における顧客ニーズとの乖離のリスクを回避する場合は共創同期プロセスが有利であり,革新的な製品開発や短期間に低コストで開発したい場合,仮想顧客同期プロセスが効率的である。
著者
中山 茂
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.131-135, 1994-06-30

The author has carried out a ten-year project on science, technology and society in postwar Japan during which he looked into the publishing activities of the industrial, governmental and academic sectors. Till the 1970s science and technology journalism aimed at rendering science and technology understandable to the general public; later however, it focused on issues that became the concern to the general public such as pollution. The author describes the various stages science and technology journalism have gone through, from its incipient role in the nineteenth century when it was used as a way to enlighten the general public and as a public relations tool for the scientific community, to the atomic age when journalism became aware of both the positive and negative aspects of science and technology by remained at a loss on how to go about reporting it, to the space age when enlightenment aim became predominant again, to the antipollution campaigns that used the visual mass media to great effect, to the debate on gene recombination with scientists addressing the general public on the issue. Science, the author points out, needs now feedback from the general public since it has acquired a new and expanded ability to control people's lives.
著者
岩田 弘三
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.98-105, 1995-10-01
被引用文献数
4

Many literatures pointed out the fields of science and engineering tend to lose attractiveness for university applicants in Japan. To verify that it is true or not the data on the university entrance examination is empirically analyzed in this paper. The conclusion is as follows: Al-though there are many plausible evidences showed such a trend, it is possible to give another persuasive explanation to the respective ground considered of this. Moreover, it is not enough only to show many circumstantial evidences, if anyone wants to point out this kind of trend. It is necessary rather to show the framework to explain these evidences systematically as a whole.
著者
OKUBO Yoshiko MIQUEL Jean-Francois
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.261-280, 1992-10-15
被引用文献数
2

1981年から86年までの科学引用索引データを基に2国間の共著論文数を指標化し,日本と世界97カ国との共同研究を定量的に測定した。また,日本の共同研究状況をマクロとミクロの両方から分析した。日本の基礎研究における国際化の水準は低いが進んでいた。共著の相手国は米国の比重が大きいもののアジア諸国及び西ヨーロッパ諸国との研究が増加していた。共同研究は分野により国際化の状況が異なり,相手国によっても共同研究様式が違っていた。8科学分野における日本と10数カ国間の関係構造を検討し,各国々の日本における位置および日本の各国における位置を示した。具体例として日本とスウェーデン,イタリア,スイス,フランス,中国との科学技術活動を検討し,さらに神戸大学とフランスとの共同研究を取り上げて国際ネットワークの事例を分析した。
著者
岡本 信司
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.99-114, 2013-01-31

地域科学技術政策は我が国の重要政策課題として,これまで第3期科学技術基本計画等に基づき関係府省及び地方公共団体で関連施策が推進され,2009年9月の政権交代後には新成長戦略及び第4期科学技術基本計画において,地域における国立大学法人等大学の機能強化が推進戦略の一つとして位置付けられている。このような地域科学技術政策における大学への大きな期待に対して,国立大学法人については,運営費交付金・人件費削減,大学間格差等の問題提起もなされている。本稿では,地域科学技術政策において重要な役割を担っている国立大学法人に着目して,地域科学技術関連施策の中核である産学官連携施策が開始された1980年代から国立大学法人化を経て,これまでの地域科学技術政策での国立大学に関連する施策及び機能の変遷と国立大学法人化の課題について,産学官連携をはじめとした「大学開放機能」の観点から分析することにより,地域科学技術政策における国立大学法人の機能強化に関する課題と展望について考察した。その結果,今後目指すべき産学官連携と「大学開放機能」は「グローカル対応戦略的多角機能連携型産学官連携:総合的大学開放機能新展開期」であり,強化すべき大学機能としては,地域活性化に資する産学官連携支援人材等幅広い人材育成機能,地域に密着した個性と特色ある研究機能,地域連携における戦略的中核拠点機能であるとの示唆が得られた。
著者
二宮 和彦
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.167-175, 1992-09-15
被引用文献数
10

先報のシュミレーション用モデルを適当な近似関係の導入により改変し、シュミレーション解析に便利な2組の関係式群を得た。その結果、まず主要な政策パラメターについて、各企業とも共通して目指すべき変動方向を示すことができた。次に税前利益は、政策ぱらめたー間に特定の関係条件が成立する場合に極大化することを示し、その条件を明らかにした。また限界利益と研究開発費の比率は、企業間の自由競争の結果次第に平準化し、製造業を通じて共通の特定値に収斂する可能性を示し、そこから研究開発費の適値は限界利益の12%程度であると推定した。次に日本の大部分の企業では経営合理化の努力の結果、税前利益はほぼ極大化していると推定し、そこから例えば物的固定費支出の適値は税前利益の2.3倍程度であると推定した。また、研究開発投資効率について新しい考え方を提案し、それについての統計的平均値を示した。さらに従業員1人当たりに換算した研究開発費が、企業の将来性を判断するための尺度になるという統計的な調査結果は合理的な根拠を持つことを示した。