著者
福島 真人
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.163-171, 2010-03-01

The present work aims at reviewing the concept of knowledge transfer and proposing a new interactive model of it on the basis of findings from a long-term field investigation in a leading biological laboratory. While the idea of "knowledge transfer" implies a false analogy with spatial movement of a tangible object, actual knowledge consists of intricate network of a variety of concepts. This paper models this concept as a space in which different hierarchies of skills interact, and conducts ethnographic analysis of its function in an actual biological laboratory. The laboratory occupies a leading position in the intermediate area between chemistry and biology. In such a circumstance, the "scientific knowledge" being searched is uncertain, and researchers' job is to render it robust. What "knowledge transfer" means is unclear here. Analysis of the actual processes suggests that the interaction produces what could be called the "semiotic margins." This case study indicates the necessity of a more interactive understanding of knowledge transfer.
著者
柴田 高
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.10-15, 1993-10-22
被引用文献数
1
著者
橋本 正洋 坂田 一郎 梶川 裕矢 武田 善行 松島 克守
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.302-305, 2007-10-27
被引用文献数
1

イノベーションという概念は、経済学、経営学等という学問分野だけでなく、経済政策の運営にとっても、近年とみに重要性を増し、学術と政策との連関が深まっているが、他方で、学術の世界におけるイノベーションに関する議論については、これまで、どういう視点で何が議論されてきたのか、今後の研究の重点課題は何かということについて、必ずしも明確になっていない。筆者らは、学術論文の引用分析という手法により、イノベーションに対する学術研究の俯瞰を試みた。具体的には、論文のタイトルやアブストラクトといった書誌事項に「イノベーション」という用語を含むものを抽出した。4万件近い学術論文が該当した。次に、それらの間の引用分析を行った。これら論文群によって構成される引用ネットワーク中、最大連結成分に含まれる論文について、Newman法を用いてクラスタリングをし、主要なクラスターの特性の一部を明らかにした上で、可視化(俯瞰マップの作成)を行った。更に、各クラスターの平均年齢の特定も行った。主要なクラスターには、イノベーション創成の環境、技術経営、組織のイノベーションなどの横断的テーマのほか、ヘルスケア、環境問題、サービス、農業などの分野別テーマがみられる。また、時系列的にみると、イノベーション研究そのものは70年代以前から行われてきたが、90年代初頭から活発となり、論文数は急速に増加している。その傾向は、最近一段と顕著になっている。分野別には、技術経営は、特に成長が著しい。また、大学とイノベーションとの関係に関する論議も、90年代初頭から活発化していることが判明した。このように、学術論文の引用分析という手法を用いることで、イノベーションに関する研究動向を客観的に捉えることが可能となった。
著者
桑原 輝隆 光盛 史郎
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.164-169, 2007-06-29
参考文献数
10
被引用文献数
1

Technology foresight has been practiced in various levels including enterprises, industrial organizations, scientific associations, local authorities, government agencies, states, and even on an international level. It varies in time scale from near to far future, as well as in participants, processes and techniques according to different purposes. Technology foresight in Japan has been applied to prioritizing R&D investments in Science and Technology Basic Plan. Foresight methodologies have evolved reflecting changes in social and economic circumstances of science and technology, including the recent global trend to emphasis on innovation which demands outcomeoriented science and technology policy. Each methodology has its own merits and demerits; the fittest for the purpose of a study must be chosen. Sometimes more than one methodology is combined in a complementary manner, as in the eighth Technology Foresight Survey, which comprised socio-economic needs analysis (vision of society in future and its needs by nonscientists), study on rapidly developing research areas (based on bibliometric analysis), and scenario analysis of major areas in science and technology by outstanding individuals, in addition to the standard Delphi survey. This was the first attempt of comprehensive foresight on a national level based on a combination of various methodologies. Science and technology foresight should evolve to cope with the everchanging environment as an important tool of policymaking.
著者
山田 英夫
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.233-240, 1993-11-05
被引用文献数
1

これまでの企業経営において,OEM (Original Equipment Manufacturing : 相手先ブランドによる生産)は,主に市場の成熟期に多用される戦略とされてきた。この時期におけるOEMの狙いは,受託・委託企業共に,コストダウンにあった。しかしエレクトロニクスを中心とする規格・標準化がからむ分野においては,市場の導入着にOEMを戦略的に活用することが,競争上重要になってきた。これは単にコストダウンのためではなく。さまざまな狙いをもっている。ケース分析をもとにこれらのOEMの狙いを製品ライフサイクル別に見ると,OEM委託側企業(販売側企業)においては,市場導入期は「機会模索」,市場成長期は「製品ライン拡張」,市場成熟期は「製品ライン維持」がある。他方受託側企業(生産側企業)においては,導入期は「良い競争業者づくり」,成長期「得意分野の強化」,成熟期「競争業者減らし」などがあげられる。
著者
宮城 和宏
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.105-116, 2007-03-29
被引用文献数
1

台湾,韓国は同じ東アジアNIEsの一員として,かつての労働集約的な経済から資本集約的,そして近年は技術・知識集約的な経済へと目覚しい発展を遂げてきた。それにもかかわらず,両国の技術特化のパターンやイノベーションの実態について特許等を利用した分析は非常に限られている。また数少ない先行研究における分析期間は,NBERのデータ・ベースを用いているため1999年までに限定されており,それ以降の最近の変化をフォローしていない。本稿では,米国特許商標庁(USPTO)のデータを2003年まで延長,独自に集計した上で,近年の台湾,韓国における技術特化パターンの相違点あるいは類似点や技術イノベーションの実態についての比較分析を試みる。台湾,韓国のUSPTOにおける特許登録数は,それぞれ1980年の第21位,第37位から,2003年には第4位,第5位と大きく上昇しており,世界的な技術イノベーション大国へと成長した。一方,分析結果より,両者の技術特化や技術集中度に関するパターンは,双方の産業構造やイノベーション・システムの違いより必ずしも同じではないこと,両国における技術イノベーションの主体は大きく異なること等が明らかとなった。