著者
竹濱 朝美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

固定価格買取制の経済効果と太陽光発電系統連系の制度設計を日独比較した。1)ドイツ買取制は,発電・送電分離に基づき,系統運用者に優先給電義務と系統拡張義務を課し,出力抑制に95~100%の経済補償がある. 2)15年間で原子力発電量2800億kWhを再生可能エネルギーに代替する投資費用と天然ガス輸入費用節約を推定した.投資費用と天然ガス輸入費用節約の収支は14年目に均衡する.3)風力・太陽光大量連系の系統運用をドイツ50Hertz区域について分析した.風力・太陽光は110kV以下配電網に優先給電されるため,風力・太陽光出力変動に対応して,在来電源出力の柔軟な調整と広域系統運用が重要である。
著者
有本 卓 平井 慎一 小澤 隆太
出版者
立命館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

冗長自由度系に関するベルンシュタイン問題に挑戦し、手先拘束が無い多関節到達運動に関しては、作業空間における仮想スプリング・ダンパー仮説(Virtual Spring-Damper Hypothesis)に基づく方法が有効に機能することを、理論的かつロボットの腕を用いた実験により、実証した。この仮説は、運動生理学の分野において唱えられた平衡点仮説、仮想軌道仮説、および逆ダイナミクス生成仮説と異なり、逆動力学の不良設定性を解消することなく、従って人為的な最適化のためのコスト関数を導入する必要のない全く自然な運動生成法を導く。また、冗長関節系による書字作業のように、重力下で手先拘束がある場合、仮想スプリング・ダンパー仮説が有効に機能し得るか、検証した。この場合、二つの重力補償法を考案し、良好なシミュレーション結果を得たが、決定的な方法と断定するまでには至っていない。また、理論的な検証についても、現時点では結論し得ていない。本年度は、冗長関節系について、理想運動が繰返し学習によって獲得できることを理論的、かつ、実験的に示すことに成功した。この結果は、幼児の到達運動に関する学習の様式と対比させ得る。幼児が初めて、目の前の物体を取ろうとして手を伸ばすとき、腕や手の関節の動きを見ずに、手先のみを見ていることが観察されている。冗長関節系の場合、手先空間の次元は関節空間の次元より低くなる。この低次元作業空間で与えた理想軌道と学習更新則に基づいて、繰返し学習が有効に機能し得ることを見出した。しかも、低次元の作業空間のみに理想軌道を与えたとき、高次元の冗長な関節運動と理想の制御入力信号が一意的に定まることを理論的に示すことに成功した。この結果は、冗長関節系にも繰返し学習の理論体系があり得ること、また、これらの力学的本質が運動能力の獲得に関する発達心理学や脳科学の知見と対比し得ることを示唆する。
著者
中村 義孝
出版者
立命館大学
雑誌
立命館法學 (ISSN:04831330)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-61, 2011
著者
千葉 雅也
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、「ポスト構造主義以後」の存在論の顕著な動向である「思弁的実在論」の分析と紹介を行った。なかでもフランスのカンタン・メイヤスーを中心的に扱い、英語圏のグレアム・ハーマンらと比較しつつ、思弁的実在論の核心を「絶対的無関係」として明確化していった。かつ、その考察のなかで、ジル・ドゥルーズにおける関係の「切断」の重要性を示す議論の練り上げもなされた。最終的には、思弁的実在論における「無関係論」は、事物についての多様な解釈可能性を擁護する従来の人文学からは区別され、それに並置される哲学的観点として、事物の「無解釈的」な存在様態を捉えるものである、という結論に至った。