著者
徐 勝 赤澤 史郎 生田 勝義 市川 正人 大久保 史郎 松本 克美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

07年度は、本研究課題にかかわり、2回の日韓共同研究会および過去3年間にわたる共同研究の成果刊行を行った。まず、07年6月22、23日に第5回日韓共同研究会「現代日本と韓国の情報化・情報通信技術(IT)の発展と法的問題」(立命館大学BKCエポック21)を開催した。本共同研究は、1990年代半ば以後の日韓の情報化の到達点と法的諸問題を総合的に検討することを目的に、以下のような日韓の研究者が報告・討論を行った.第一部「インターネットにおける表現の自由と制限」(22日)では、(1)市川正人(立命館大学)「ネットワーク社会における表現の自由」、(2)黄ソンギ(東国大学校)「韓国のIT発展と民主主義」など、第二部では杉村豊誠(日本電信電話株式会社)「日本のIT企業の法的対応」、朴ソンホ((株)nhn)「韓国社会のIT発展と企業の対応」など、第三部では、(2)園田寿(甲南大学)「わが国におけるサイバー犯罪と刑事法制」、(3)黄承欽(誠信女子大学校)「インターネットポータルサービスによる名誉毀損の被害救済システム」など、2日間で計11本の報告を行い、資料集を作成・配布した。08年2月14日には第6回日韓共同研究「現代韓国の民主主義の新展開」(韓国・ソウル大学校湖厳会館)を開催した。本共同研究では「現代韓国の民主主義の評価」として李国運(ハンドン大学校)「盧武鉉政権下の民主改革の法的評価」、丁海亀(聖公会大学校)「盧武鉉政権下の民主改革の政治的評価」などの報告を行い、また05年〜07年度までの本共同研究の総合的評価を行うとともに、継続研究の今後の展望および計画について議論・検討を行った。また『立命館国際地域研究』26号(08年2月)に特集として第4回日韓共同研究の報告論文4本などが掲載された。成果刊行としては、過去5回の日韓共同研究会で報告された45本の論文から15本を加筆・修正した上で編集し、『現代韓国民主主義の新展開』(御茶の水書房、08年3月)として出版した。第5回共同研究会の成果刊行は、08年秋に刊行予定である。
著者
陶 萍
出版者
立命館大学
雑誌
論究日本文学 (ISSN:02869489)
巻号頁・発行日
no.98, pp.1-14, 2013-05
著者
野田 岳仁
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は後に詳しく説明するようにコモンズの“排除性”という機能に注目し、分析を行った。前年度で検討したように、アクアツーリズムが対象とする地域の湧水や洗い場は地域の人びとのコモンズであることが観光資源としても意味を持ってきたのだが、それらを手入れしてきた管理組織は著しく弱体化しているため、アクアツーリズムに乗り出すにあたって、管理組織を強化するか、あるいは別の組織に管理を肩代わりさせる必要が生じるようになっている。すなわち、アクアツーリズムの現場では、地域のコモンズを開放することが政策的にも期待されるようになっているのである。ここで悩ましいことは、コモンズをただ開放すればよいかといえば決してそうではないことである。コモンズはある集団内で同質な構成員に限定されていたからこそ、合理的な資源管理が成り立ってきたからである。つまり、コモンズに内在する“排除性”という機能こそが資源管理能力を高めてきたのである。しかしながら、管理組織の弱体化という現実をふまえてみれば、資源管理に関心を示す異質で多様な担い手を新たに招き入れる必要があり、そうすると規範や規制の共有化は難しく、一時的であれ管理能力は低下することになってしまう。コモンズの資源管理能力を高めようとすれば、排除性を強めればよいのだが、そうすると新たな担い手を受け入れることが難しくなる。アクアツーリズムが対象とするような現代的なコモンズはこのような矛盾を抱えていることが明らかになった。そのうえで、コモンズを開放するにあたってもコモンズの排除性を損なうことなくどのように新たな担い手を受け入れることができるのか、各地の管理組織の論理の分析を行った。
著者
石上 阿希
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
2008

博士論文
著者
福田 一史
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

FRBRは資源の内容とキャリアの区別を提案したが、その中で著作は属性と関連を精密に記録するための機能を持つ実体として明確化され、目録作成の主要な論点の一つとなった。本研究は、ボーンデジタルであり伝統的図書館資料と異なる特性を有する資料であるビデオゲームを対象に、その著作目録の構築・公開を目指す。そのために、以下を展開する。1) 事例調査とインタビュー調査を通じて、内容を記述する書誌的実体の定義・解釈・記述単位などの情報要求を抽出する。2) サンプルの分析を通じて、著作目録に必要な属性や関連など仕様を確立する。3) 著作目録を公開し、目録に対するユーザ評価の収集ならびに有効性検証を実施する。
著者
鐘ヶ江 秀彦 谷口 仁土 石橋 健一 大槻 知史 城月 雅大 熊澤 輝一 豊田 祐輔
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、人工環境ならびに社会環境に着目し、逆都市化におけるコンパクトシティの自然災害への脆弱性を補完し頑強性を保つための要件を検討した。その結果、災害発生時の地域経済の回復力(レジリエンス)は、地域からの人口移動が発生しないことに左右されることを明らかにし、人口移動に影響を与える社会関係資本に着目したレジエントなコンパクトシティ戦略について考察した。特に人工環境においては経済指標の時系列分析に基づく間接被害額の推定を行い、被害額と人口移動の関係性を明らかにした、社会環境ではレジリエントな都市を地域コミュニティから実現していくための方策を検討した。
著者
金森 絵里 兵藤 友博 小久保 みどり 中瀬 哲史 佐野 正博 山崎 文徳 慈道 裕治 横田 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では福島第一原発事故がなぜ起こってしまったのかを領域横断的に分析し,以下の点を明らかにした。1.被爆国日本が原子力を社会的に受容したのは夢のエネルギーだという考え方が浸透していたからである。2.原子力政策は日本学術会議などの議論を十分に反映しなかった。3.大型化・連続化による経済性追求が安全性軽視につながった。4.歴史的に形成された「国家との戦い」「企業を護る」という意識と経営行動が事故につながった。5.緊急時における組織的対応が不十分だった。6.原発は総括原価方式のもとで電力会社経営を安定化したが,事故やバックエンドのコスト議論は自主的自律的におこなわれなかった。
著者
田野中 恭子
出版者
立命館大学
雑誌
立命館人間科学研究 (ISSN:1346678X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.75-89, 2011-07
著者
山田 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、以下の4つであった。1「かわいい」とは何か、ビジュアル・ナラティヴを用いた多文化比較をもとに、生き生きした実感に即した方法で説明し、国際発信する。2ビジュアル・ナラティヴに適用できる新しいメディアミックスの質的方法論を開発する。3「かわいい」と関係づけた心理的理論モデルを提案する。4「かわいい」に関連する新しい視点を発見し、新しいデザインの可能性を提案する。平成29年度は、上記の目的にそったビジュアル・ナラティヴの資料収集と分析および国際発信に加えて、「ビジュアル・ナラティヴとは何か」「ビジュアル・ナラティヴの方法論」「ビジュアル・ナラティヴの幅広い実践的応用」に関して、理論的考察と新しい方法論の提案を行った。それらの成果は、「ビジュアル・ナラティヴ-時間概念を問う」「ビジュアル・ナラティヴとは何か」「糖尿病患者のビジュアル・ナラティヴ」等の論文で発表した。また「N:ナラティヴとケア」誌でビジュアル・ナラティヴ特集の企画・編集を行い、「かわいい」を超えて医療分野など幅広い領域と連携し社会実践とむすびつけた。また、国際理論心理学会で”Time and the life cycle: Visual narratives and cultural representations”と題した招待講演を行った。アメリカと国内でビジュアル・ナラティヴに関する多様な資料収集を行い、日本心理学会、日本発達心理学会、日本質的心理学会などでビジュアル・ナラティヴに関するシンポジウムを企画し、理論的・方法論的検討に関する発表を行った。新しい用語である「ビジュアル・ナラティヴ」は、本年度の研究で理論的・方法論的にめざましい進展をみると共に広い分野に多くの関心を呼び起こした。
著者
大山 敷太郎
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
1950

博士論文
著者
宮下 敬志
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アメリカにおける人種マイノリティ教育実践が、19世紀末以降に内外の植民地に転用していったことを明らかにすることを目的とした。研究の結果、19世紀半ばのハワイ先住民教育を参考に作られたアメリカ本土のアフリカ人・先住民(インディアン)学校における手作業教育偏重の教育実践が、官僚や教育者の移動や交流を通じて、フィリピンや日本の先住民教育などに地域を越えて転用していったことについて、歴史学的な実証分析の手法を用いることで明らかにすることができた。
著者
趙 慶済
出版者
立命館大学
雑誌
立命館法學 (ISSN:04831330)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.4, pp.1417-1454, 2010
著者
大谷 いづみ 川端 美季
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本課題の第3年度に当たる2017年度は、研究代表者である大谷が体調不良で3ヶ月病気欠勤することとなった。とはいえ、2016年7月におきた相模原障害者殺傷事件の1周年にあたる7月から9月にかけて、諸方面から、相模原障害者殺傷事件と優生思想、安楽死思想についての招待講演の依頼を受け、「安楽死・尊厳死論の系譜と相模原障害者殺傷事件」をテーマに、一般市民を対象とした学習会、自立生活を営む重度障害者とその支援者を対象とした学習会、福祉行政や実務家を対象とした研修講座等において研究成果を還元するとともに、その成果を一般市民の目から検証することができた。また、日本医学哲学・倫理学会第36回研究大会(於・帝京科学大学)のワークショップ「正常さと異常さの境界」において、「「生きるに値しない生命」殺害の医療化と規範化」と題する研究発表を行った。フロアには50名ほどの参加者があり、活発な討議が行われた。同年度後半には、ナチスドイツ政権下で実行されたT4「安楽死」政策の事実がアメリカや日本に知られるようになった経緯について資料収集の緒に就いた。これは、本研究の主題の中核をなす、J・フレッチャーの安楽死思想の淵源をさぐると同時に、本研究を日本を含む東アジアと欧米キリスト教圏の歴史的経緯において検討するという、さらなる研究への発展を企図している。また、研究分担者の川端は、安楽死・尊厳死論につながる日本の文化的土壌の成立および変容過程について検討し、「近代日本の国民道徳論における「潔白性」の位置づけ」として『人間科学研究』37号において成果を発表した。加えてキリスト教・西欧の医学の日本への影響を視野に入れ、ドイツ・イタリア・イギリスを中心に医学史・身体史に関する調査、日本で医学史と教育史における言説の資料調査を行った。