著者
鄭 雅英 呉 弘敏 権 香淑 宮島 美花 出羽 孝行 林 梅 玄 善允
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代以降に急増する中国朝鮮族の国境を越えた移住労働現象の中で、男性より先駆的な役割を果たしたと評価される朝鮮族女性の国外移住に至るプロセス、彼女たちの移住労働における生活戦略と結果として手にした社会的な利益/損失、および出身地に残した家族やコミュニティとの関係維持/再構築の現状について、最新の知見を獲得した。とりわけ中国、韓国、日本(東京、大阪など)各地における朝鮮族インタビューの蓄積により、トランスナショナルな移民生活における女性と家族の問題に関する新たな理論構築に資する多面的な議論と研究成果を残すことができた。
著者
青木 千帆子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

書籍アクセシビリティを確保するための支援技術や制度、道具など、必要な要素は既にそろっている。しかし、現実には読書障害者に対する円滑なデータ提供は行われていない。そこで解決の手がかりを得るため、(1)書籍アクセシビリティの国際比較、(2)支援技術の活用の分析、(3)関係機関の連携のあり方の検討を行った。著作物へ接近する努力は「障害者の問題」として処理されてきた歴史がある。故に、読書障害者の読書を可能にする法や技術が整備されたとしても、それがどのように維持活用されているかは、一般に共有されていない。今後、データ提供のための関係機関による連携や、ルールに関する具体的な対話が強く求められる。
著者
坂元 博昭
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、1滴の血液から高効率に血漿分離を行うことを目的とし、毛細管力のみを駆動力とした血漿分離チップの開発を行った。2μmの隙間を微細加工技術により形成させ赤血球と血漿を分離することを企図した。作製したマイクロデバイスへ血液を導入すると3分以内に200ナノリットルの血漿を得ることに成功した。本デバイスは、毛細管力を駆動力とするためシステム全体の小型化およびポータブル装置として最適である。
著者
天目 隆平
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,モーションキャプチャ(MoCap)を用いて俳優の生の演技を予めアーカイブしておいたアクションデータ(基本要素)を接合して,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを構築する手法を提案した.また,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを組み合わせて整合の取れたアクションシーンを構築する手法を提案した.さらに、構築したアクションデータを利用して,キャラクタの視点でアクションを体験することが可能な複合現実感システムの開発を行った.
著者
岩間 優希
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では、日本のヴェトナム戦争報道を、複数のジャーナリストの報道に着目しながら比較研究を行った。その結果、報道の初期・中期・後期で見られた報道の違いには、実際の戦況だけでなく、ジャーナリストの戦争体験・占領体験や先行する報道を乗り越えようとする意思が反映されていることが明らかとなった。
著者
市川 正人 大久保 史郎 倉田 原志 倉田 玲 北村 和生 渡辺 千原 和田 真一 吉村 良一 松宮 孝明 山田 希 毛利 透 木下 智史 渡辺 康行 田村 陽子 須藤 陽子 斎藤 浩 森下 弘 佐上 善和 渕野 貴生 村田 敏一 多田 一路 水野 武夫
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

最近の最高裁判決を分析した結果、法分野ごとに最高裁の役割が異なり、また、最高裁の人的構成の影響が異なることが、明らかになった。最高裁裁判官の選任のありようについて、下級裁判所裁判官人事(「司法官僚」の形成)と関連させながら検討する必要性が明らかになったため、最高裁裁判官データベースの作成を進めた。アメリカ、カナダ、ドイツ、韓国、フランス、オーストラリア、イギリスに対する実地調査を行った結果、日本の最高裁・司法制度の特質と、他方、現代国家の司法・裁判所の共通点が明らかになった。以上を踏まえ、最高裁について人的、制度的な改革案をまとめた。
著者
児島 孝之 高木 宣章 尼崎 省二
出版者
立命館大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

ねじりを受けるプレストレスト鉄筋コンクリ-ト(PRC)部材の終局耐力、変形性能に及ぼす導入プレストレスの影響を、軸方向鋼材量、横方向鉄筋量を要因とした一方向あるいは正負交番純ねじり載荷試験を行なうことにより検討した。得られた研究成果は、次のとおりである。1.ひびわれ発生ねじりモ-メントは、導入プレストレスの増加に伴い増加する。その増加率は、プレストレス係数にほぼ等しいものの、導入プレストレスが大きいとプレストレス係数より大きい傾向にある。2.土木学会「コンクリ-ト標準示方書」のねじり耐力式における終局時の軸方向鋼材と横方向鉄筋のせん断流q_1q_wがほぼ等しく、両者の鋼材比もほぼ等しい比較的大断面を有するPRC部材であっても、導入プレストレス量の増加に伴い終局ねじり耐力を増加する。3.ねじり耐力式における終局時の軸方向鋼材と横方向鉄筋のせん断流q_1とq_wがほぼ等しいねじり型配筋であっても、両者の鋼材比のつまり剛性の差による変形破壊のために実験値が理論値より小さくなることがある。4.ねじりモ-メントの増加によりPC鋼棒のひずみはほとんど増加せずに、最大ねじりモ-メントに達する。最大ねじりモ-メント後、荷重繰返しに伴いPC鋼棒のひずみは増加するものの、ねじり耐力は増加しない。そのため、導入プレストレスの少ないPRC部材の終局ねじり耐力の理論値は、実験値より大きく危険側になる。5.高強度せん断補強鉄筋は、最大ねじりモ-メント時に非常に小さいひずみしか生じず、降伏していない。最終グル-プまでに数本の高強度せん断補強鉄筋が降伏するものの、全般的にひずみの増加が少なく、普通強度のせん断補強鉄筋に比較してねじりに対して必ずしも効果的に抵抗しない。
著者
稲葉 哲郎
出版者
立命館大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

政治的知識,マスコミ接触,法定選挙媒体接触,政治広告に対する評価を主要な内容とする意識調査を総選挙後に大学生312人に対しておこなった。政治的知識は,政策争点や政治制度とは直接関連のないような「ソフト」な政治的知識(例「橋本首相の趣味」「理系出身の党首」)を6項目,政策争点や政治制度と関わる「ハード」な政治的知識(例「新しい選挙制度の呼び名」「消費税据え置きと減税を公約に掲げた政党」について6項目の調査をおこなった。正答率の低かった1項目を除く11項目について対応分析をおこなったところ,第1軸の固有値が高く,政治的知識はおおむね1次元を成しているといえる。ただ,第2軸について検討をしてみると,1項目を除き,あらかじめ想定された「ソフト」と「ハード」な知識を分離する軸となっていた。従って,政治的知識は,たがいに相関が高い2つの次元から形成されていると考えられる。次いで,これらの「ハード」な知識と「ソフト」な知識についてマスコミ接触や法定選挙媒体接触との関連を検討した。法定選挙媒体との関連では,「ハード」な政治的知識の知識量は政見放送,政党のテレビコマーシャル,新聞広告への接触との相関が「ソフト」な政治的知識の知識量より高かった。また,マスコミ接触では,「ハード」な知識,「ソフト」な知識とも新聞,テレビニュースへの接触量との相関がともに高かったが,「ハード」な知識は「家族との話」との相関が高く,「ソフト」な知識は雑誌への接触との相関が高かった。「ソフト」な政治的知識の話題の情報源として考えられていたワイドショーへの接触は相関が低かった。今後の課題としては,政治的知識を筆記において測定する場合における中間回答の判断の問題,成人の政治的社会化に伴う政治的知識の次元の分化,があげられる。
著者
河角 直美
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近代の災害を対象とし、被災地がどのようにして復旧されてきたのか、その一端を明らかにしようとした。課税台帳である土地台帳には、災害で被災した土地が免租地となったことが記されており、その免租地の記録を基に被災地域を詳細に示し、さらに免租期間から復旧にかかる時間を想定した。その結果、昭和三陸津波や濃尾地震など災害で被災した土地が一筆毎に復原され、それぞれの土地で復旧期間が異なっていたことが明らかとなった。
著者
深尾 浩次 中村 健二
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高分子積層薄膜のガラス転移およびα過程のダイナミクスを誘電緩和スペクトル法により調べた.対象とした高分子はポリ2クロロスチレンで,アニール過程での時間変化を追跡した.その結果,誘電損失プロファイルがアニール時間とともに,シャープになり,緩和時間の分布が積層したままの薄膜では単一高分子薄膜と同様にブロードになっているが,アニールとともにバルクな状態での緩和時間分布に近づくことがわかった.一方,α過程の緩和時間の温度依存性は積層したままの状態では,アレニウス型に近いが,アニールとともに,より強い温度依存性へと移行することが確認された.これらの結果はバルク系でのこれまでの研究の結果とは異なり,積層高分子薄膜における特異な現象であることがわかった.
著者
高村 学人 安枝 英俊 齋藤 広子 秋山 靖浩
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我が国の住宅市場でマンションに関しては、新築購入よりも中古購入が割合として上回るようになったが、マンションの居住環境を大きく左右するのは、マンション全体の管理の質である。しかし、この情報は、情報の非対称性の問題のため購入者に届きにくい。そこで本研究は、管理の質の情報が実際にどのように提供され、それを促進するにはどのような法制度が必要か、国内での購入者アンケート調査、米仏との比較法研究を通じて探求した。結論は、仲介業者の役割強化の立法が有効であるというものであるが、しかしこのような立法を持つ仏米でなお問題が残ることも同時に明らかとなった。
著者
天田 城介
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、アメリカ合衆国(以下、米国と記す)において様々な高齢者団体・組織からの要求や異議申し立てとそれに対応する当該政府の政治的判断・選択・交渉を通じて形成される<高齢者医療福祉制度>をめぐる政治を構築主義の視点から読み解きつつ、米国の高齢者はいかにして諸制度を利用し、またそれらが人々の語りによって表象されているのかを明らかにすることを通じて「米国の高齢者医療福祉制度における老いと死をめぐる表象の政治」を解明することである。平成19年度においては、米国においてインテンシブな調査研究ならびに研究報告を行なった。また、平成17年度・平成18年度に引き続き、米国ならびに日本における高齢者医療福祉制度に対する社会政策に関する資料分析を中心に進め、広範な先行諸研究の文献研究を行った。その具体的成果としては、第一に、研究の認識論的ベースを確定するにあたり、老いの哲学的・倫理学的研究を行なった。実際に、日本倫理学会第58回大会シンポジウム「老い」にてシンポジストとして報告したところである。その成果も『倫理学年報』で報告した。第二に、米国における老いの倫理や政策をめぐる議論を踏まえつつ、2006年10月29日に開催された第25回日本医学哲学・倫理学会大会のシンポジウムの報告の成果として『医学哲学 医学倫理』に論文としてまとめた。上記以外にも上記のような老いをめぐる倫理学的研究を下地に幾つかの論文を報告しており、現在、その集大成として米国における高齢者医療福祉政策をめぐる老いと死をめぐる表象の政治学をまとめているところである。
著者
山田 廣成 霜田 光一 高山 猛 伊藤 寛 保坂 将人 浜 広幸 西沢 誠治 三間 國興
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

リングは、97年9月までにほとんどの要素の製作と単体テストを完了し、岡崎分子研の入射器室にて組立を開始して11月までに完成した。1ターンコイルであるパ-タベータの4500A励磁と加速空洞への平均500Wパワー投入に成功し、入射実験を開始した。クリスマスイブには少なくとも100μsの間電子が周回するのを確認した。蓄積電流値はあきらかではないが、遠赤外線モニターはピーク値で300mW以上を示した。パ-タベータによる電子のキャプチャーを確認したわけである。高周波加速は、ランプアップ時の反射の調整はまだ成功していない。パ-タベータは2台設置しおり、1台は外側の電子を外側へ、1台は内側の電子を外側へキックしている。パルス電源は、sin半波を生成し、ピーク電流4500Aのとき30kVの電圧が発生する。幅は4μsである。我々は、これをさらに磁気圧縮してパルス幅を0.4μsにすることに成功した。加速空洞は、特異な形をしているが、基本的にはリエントラント型であり、TM01モードの発生に成功した。加速周波数は、ハ-モニクス8に対して2.45GHzで、ソースとしてCWマグネトロンを使用している。2台の加速空洞へのパワーをT型同軸管で分岐して投入している。2台の加速空洞はカップリングしている状態であるために、2台の固有周波数は、正確に一致していなければならない点と、同軸管のカップリングも正確に等しくしなければならないが、我々はこの調整方法を見いだし、パワーの長時間投入に成功した。ミラーは、SiC焼結体で製作し、その真円度を1ミクロン以下に押さえることができた。ミラーを設置したレーザー発振実験は今後のスケジュールを待っている状態であり、残念ながら期間内に実験を終えることができなかった。一方、ハードX線の発生実験を東大物性研SORで行った結果、電子軌道に細線を挿入しても数秒のビーム寿命があることを確認した。これにより、高輝度小型X線源の道が開けた。
著者
西尾 信彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

データセンターにおいてホストの台数を増やすことでその分だけ性能を向上できるグラウド技術を、クライアントホストのLAN内にホストを増やすだけでプロセッサ性能とメモリ容量を容易に向上できるように拡張することを目標に、近年需要が爆発的に拡大しているWebアプリケーションをターゲットとしてそのタブを傍らのホストの台数に応じていくら増やしてもプロセッサ性能、メモリ性能が低下しないような実行環境をChromeブラウザを拡張することによって実現した。またこのブラウザの拡張機能を用いてWebブラウズの履歴を分析可能にし、Web閲覧時の個人特化された機能の実現にも寄与させた。
著者
西川 郁子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

タンパク質の代表的な翻訳後修飾であるリン酸化を対象に、サポートベクターマシンを用いた機械学習により修飾部位を予測した。対象部位をドメインと天然変性(ID)領域に分けて取り扱った点が新規であり、ドメインではアミノ酸配列情報のみで十分予測可能だが、IDでは部位特異的な進化的保存度情報が有効であった。配列保存性が低いIDにおいては部位ごとの保存度は非一様であり、リン酸化部位、その中でも機能性が明確なリン酸化部位での保存度が髙いことが分かり、翻ってそれらの予測に有効であった。
著者
シャーニー ジョージアンドレア
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では主に理論的研究を中心としながら、インタビュー等による実践的研究も行い人間の安全保障の新しい理論的枠組みについて考察を深めた。具体的な理論的研究の成果はISA学会(国際関係学会)等(平成21年2月15日〜18日New York, USA「Presentation at Annual Convention of the International Studies Association」)で発表し、論文においてもInternational Studies Reviewでポスト西洋型国際関係理論`(独自の概念)についての枠組みを発表した。
著者
出口 雅久 松本 博之 吉垣 実 本間 学
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、国際訴訟法学会(パリ大学第一大学法学部・Prof.Dr.Loic Cadiet理事長[http://www.iaplaw.org])をはじめてとする民事訴訟法学に関する国際的な学術会議に参加している世界の民事訴訟法学者・実務家のアドバイスを受けながら、アルゼンチン、ギリシャ、中国、韓国、ハンガリー、オーストリア、フランス、ドイツ、ロシアなどの主要国の最近の民事司法制度の状況について学説・判例・立法状況について現地調査し、民事訴訟原則におけるシビルローとコモンローの収斂」について海外調査を行い、2019年に予定されている世界訴訟法会議での準備資料として研究成果を公表してきた。