著者
佐々 充昭
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1992年中韓国交正常化の後、中韓の歴史学者を中心に中国内にある韓国系独立運動関連史跡に関する調査が行われた。その後、中韓関係の緊密化により、それらの中の重要なものが韓国系資本によって整備・復元された。特に中国東北部には数多くの関連史跡が存在し、それらは今や多くの韓国人旅行者たちが訪れる有名な観光地となっている。またこの地域は、高句麗の帰属をめぐって中韓間で歴史認識論争が行われている場所でもある。本研究では、中韓間で先鋭化している歴史認識論争や中国内の朝鮮族コミュニティーの動向と関連づけながら、中国東北部において観光地化が進んでいる韓国系独立運動関連史跡の実態について明らかにした。
著者
立命館大学校友会
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
no.(221), 2005-07
著者
寺澤 優 (2016) 奈良 優 (2015)
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

戦前日本の都市(東京)性風俗を分析し、当時の風俗管理の社会的意義を考察する本研究は、今年度は当初の予定を多少変更し、前年度の成果のアウトプットとともに、芸妓の実態把握・分析と1930年代に高揚する廃娼論の検討を進めた。芸妓については、先行研究を通読した上で、1930年代までの花街が内部でどのように構成され、いかなる問題を抱えていたのかという分析はいまだなされてこなかった事に着目し、それを解明することに努めた。その結果得られたのは、1920年代までに東京の各花街では内部紛争が頻発しており、死者が出るような抗争がおきていたという事実であった。この内部紛争は関東大震災の復興過程で花街指定地と新規参入業者の増加により同者間競争が激化したこと、そしてそれまでの秩序が乱れはじめたことが主な要因であった。つまり、1930年代の芸妓と花街の衰退はカフェーの台頭以前に、すでに内部で大きな構造的問題を抱えており、単純にカフェーの台頭が性風俗産業界の変化をもたらしたのではなかったと結論付けた。また、研究目的の一つである官憲による管理統制は芸者に関しては、非常に緩い取締しか行われておらず、売買春を黙認しているような状態であったということも明らかになっている。次に廃娼論については、労働運動の傍ら大正期に花街・遊郭遊びを経験しながらも、1930年代には廃娼論者となった村嶋帰之の思想を彼の著作を使って追跡した。遊興を通じて、芸妓がブルジョアジーに独占されていることに対し、憤慨しつつも娼妓買い、芸者遊び止められなかった村嶋が遊興を止めるに至ったのは、自身の病気と「遊興が虚弱体質をつくる」という優生学的見地に触れたことであった。そして、「絶娼論」を唱えるが、1930年代のカフェー女給に関しては融和的な姿勢をとり、部分的支援を行ったことが明らかになった。その成果は研究会等で報告した。
著者
HUANG Qianwen
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
2017

立命館大学
著者
立命館大学校友会
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
no.(200), 2000-04-01
著者
神田 孝治 遠藤 英樹 須藤 廣 松本 健太郎 吉田 道代 高岡 文章 藤巻 正己 藤木 庸介 濱田 琢司 鈴木 涼太郎 山口 誠 橋本 和也
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は,近年におけるツーリズム・モビリティの新展開に注目し,それを特定の地域に焦点をあてるなかで検討するものである。その際に,「科学技術の進展とツーリズム」,「ダークツーリズム」,「サブカルチャーとツーリズム」,「女性とツーリズム」,「アートとツーリズム」,「文化/歴史遺産とツーリズム」という6つのテーマを設定している。本年度は初年度であったが,各テーマに関連するいくつもの成果が生み出された。特に,「科学技術の進展とツーリズム」に関わるものは,神田孝治・遠藤英樹・松本健太郎編『ポケモンGOからの問い─拡張される世界のリアリティ』(新曜社, 2018)を筆頭に,多数発表されている。本研究課題の成果が,モバイルメディアがもたらす新しいツーリズムに関する研究を牽引するものとなっていると考える。また,研究会も積極的かつ有益な形で実施された。第1回研究会は,観光学術学会や人文地理学会地理思想研究部会と共催するなかで,Durham UniversityのMike Crang氏による“Traveling people, things and data: borders and global flows”と題した講演とそれを受けたシンポジウム「ツーリズム,モビリティ,セキュリティ」を実現した。第2回研究会は,観光学術学会との共催によるシンポジウム「おみやげは越えていく―オーセンティシティ・ローカリティ・コモディティ」と,和歌山大学・国際観光学研究センターのAdam Doering 氏による“Mobilities for Tourism Studies and “beyond”: A Polemic”と題した講演会を実現した。こうした取り組みが,モビリティに注目した先端的な観光研究の知を,広く関連する研究者に提供する役割を果たしたと考える。