著者
小友 進
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.606-612, 1992
被引用文献数
1

ミノキシジルは血管拡張作用を有し, その作用は代謝物であるミノキシジルサルフェートのK<sup>+</sup>チャンネル開放作用にもとづくことが知られている. 一方, ミノキシジルは発毛効果も示し, その効果は臨床試験においても確認されているが, 作用メカニズムに関してはかならずしも完全に解明されているとはいい難い. ミノキシジルの動物実験での発毛効果は, サル・ラット・マウス等において発現し, この効果の一部には, 皮膚血管の拡張による血流増加が関与するものと考えられている. しかし, これ以外に毛包に対する直接作用があることが, <i>in vitro</i>の皮膚細胞や毛包の培養試験から明らかにされてきた. しかも, これにはミノキシジルから毛包スルホトランスフェラーゼによって変換されたミノキシジルサルフェートが関与し, さらに血管拡張作用と同じく, そのK<sup>+</sup>チャンネル開放作用が重要な役割を果たしていることが示唆されてきている.
著者
小尾 公美子 籠橋 麻紀 波田 野琢 藤島 健次 北田 徹 服部 信孝 大熊 泰之
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-72, 2010-02-28 (Released:2014-11-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

破傷風は先進国では稀な疾患となったが, ひとたび発症すると致死率が高い神経緊急疾患である. 当科ではこの9年間に7例の破傷風患者を経験したが, 本稿では中高年齢で発症し示唆に富んだ4例について報告した. 開口障害より嚥下障害が目立つと, 脳卒中と誤診されやすく注意を要する. 少しでも開口障害があれば外傷歴がなくとも破傷風を考慮し, 高齢者, 重症者では合併症も多いので, 十分な全身管理が必要であると考えられた.
著者
稲葉 裕 野尻 宗子
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.319-333, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
61
被引用文献数
1 1

アスベスト (石綿) は古くから人の生活と関係していたが, 建設資材や断熱材として急速に需要は増加した. 6種類の鉱物の総称であるが, 主なものは青・茶・白石綿の3つである. 石綿による健康障害は, 石綿肺, 肺癌そして胸膜・腹膜中皮腫である. 石綿と中皮腫の関連については1960年頃から鉱山労働者, 次いで断熱材製造・解体・修理業労働者などで認められ, さらに最近では労働者の家族, 工場周辺の住民など傍職業曝露へと拡大してきた. リスク比は傍職業曝露でも4.8-11.5とかなり高い. 職業性曝露でも診断されるまでの期間は通常30年以上であり, 使用禁止になってからも患者の発生は増加を続ける. 日本では1970年代から患者発生がみられ, 増加傾向がいちじるしい. しかし, その研究はまだ始まったばかりであり, 2006年の新制度の発足とともに疫学研究の充実が期待されている.
著者
豊田 一恵 谷本 光生 松本 昌和 合田 朋仁 堀越 哲 富野 康日己
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.387-394, 2011-08-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

目的: オウギ (黄蓍;astragali radix) は, マメ科のギバナオウギ, ナイモウオウギの根から調製される生薬で, 血圧低下・利尿・肝保護・免疫増強・抗菌・強壮・鎮静作用などを有し, 種々の漢方薬に調合されている. 慢性腎不全患者において, オウギ投与により血清クレアチニン値の低下することが報告がされている. しかし, そのメカニズムは十分には解明されていない. また, 腎不全では, 酸化ストレスマーカーの一つである一酸化窒素合成酵素 (NOS) が腎組織で過剰発現しており, 腎不全の進展・増悪因子の一つとして知られている. 今回, 腎不全モデルである5/6腎摘ラットを用い, オウギ投与による腎機能ならびに腎組織におけるNOSの発現抑制効果について検討した. 方法: 8週齢で5/6腎摘出術を施行した雄性SDラットを, 12週齢から12週間 (1) オウギ10g/kg体重/日を混餌投与したオウギ投与群 (n=5), (2) 未治療群 (n=5) の2群に分け, (3) 非腎摘出群 (n=5) を対照とした. それぞれの群に対して, 尿中アルブミン/クレアチニン比 (ACR), 血清クレアチニン, 血中尿素窒素 (BUN), クレアチニンクリアランス (CCr), 尿中8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG) を測定した. また, 24週齢で腎組織の糸球体硬化指数 (Sclerosis Index) をPAS染色により算出し, 血管内皮型NOS (eNOS), 誘導型NOS (iNOS) および酸化ストレスマーカーであるニトロチロシンの発現を腎免疫組織染色により検索した. 結果: CCrは, オウギ投与群で有意な改善が認められた (p<0.05). 血清クレアチニン, BUNは, オウギ投与群で未治療群と比較し低下傾向がみられた. しかし, ACRや尿中8-OHdGには有意な差はみられなかった. オウギ投与群の腎糸球体硬化指数 (Sclerosis Index) は, 未治療群に比べ有意な低下が認められた (p<0.0001). また, オウギ投与群におけるeNOS, iNOSおよびニトロチロシンの発現は, 未治療群に比べ有意な低下が認められた (p<0.0001). 結論: オウギは, 腎におけるNOS (eNOS, iNOS) およびニトロチロシンの発現抑制を伴って, 腎糸球体硬化病変の進展を抑制する可能性が示された.
著者
福田 哲也
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.128-132, 2006

2003年以降高校では新しい指導要領にもとづく教育がおこなわれており, 大学としても入学者のうけてきた教育内容を十分に意識した講義, 実習のくみたてを行わなければならない. 指導要領の改訂はほぼ定期的におこなわれているが, 今回のそれはかなり大幅なものであった. 大学設置基準の大綱化がおこなわれてからひさしいが, その波が高校教育にも及んだとも考えられるほど大きな改変であった. また, 本学の入試も一部にセンター入試をとりいれるなど従前よりは複雑になった. そんななかで受け入れた学生の教育を最初に受け持つのは主として一般教育の担当者であるから, 入学者の間の学力のアンバランスを解消するための努力もおこなわなければならない.
著者
長岡 功
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.152-162, 2013-04-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
38
被引用文献数
1

変形性関節症 (osteoarthritis;OA) は, 軟骨破壊によって局所の痛みと慢性的に増強する運動機能障害をきたす疾患であり, とりわけ変形性膝関節症 (膝OA) が多い. 近年, 従来の運動療法や薬物による保存的治療に加えて, 軟骨代謝を改善してOAの進行を抑制する構造修飾効果 (structure-modifying effect) または軟骨保護効果 (cartilage protecting effect) をもつ新たな治療法が期待され, その有力な候補としてグルコサミンやコンドロイチン硫酸などいくつかの食品成分が注目されている. 一方, OAの病態を客観的に評価するために様々な関節マーカーが研究されてきたが, 特にII型コラーゲンは関節軟骨に特異的に存在するため, II型コラーゲンの分解・合成をみることは, 関節疾患の病態や, それに対する薬物, 食品の効果をより正確に客観的に評価できると考えられている. そこで, 本稿では, OAの病態変化と関節マーカーによる膝OAの評価について概説し, さらに, 関節マーカーを用いてグルコサミン含有食品の膝OAに対する効果を評価した例について紹介する. そして, グルコサミンが抗炎症作用を示すとともに, 軟骨成分 (グリコサミノグリカン, II型コラーゲン) の分解を抑制する一方で, 合成を促進することによって軟骨保護的に作用する可能性について述べる.
著者
鈴木 宏昌
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.520-528, 2010-12-31 (Released:2014-11-21)
参考文献数
54

かつて働き盛りの過労死の死因に急性心筋梗塞が多かったように, ストレスと循環器疾患, 特に虚血性心疾患発症との関連性は大きい. 最近, 心筋梗塞に酷似しているが似て非なるストレス性心疾患が新たにわかった. 家族の突然死や事故遭遇など予期せぬ出来事がストレスとなり, 突如胸痛や息切れを生じ, ST上昇や深い陰性T波, 心筋逸脱酵素上昇を認め, 急性心筋梗塞の疑いで心臓カテーテル検査を行うが冠状動脈は正常で, 左室心尖部が瘤状拡大し, 心基部は過収縮しばしば駆出路狭窄を生じる. 冠状動脈の支配領域に一致しない収縮障害で, 多くは1週間程度で自然回復する. 心筋逸脱酵素上昇は心筋梗塞に比べ軽度である. 本疾患は日本で初めて認識され, 急性期の左室収縮末期像が古来蛸漁で使われた蛸壺の形状に似ており「たこつぼ心筋症」と命名された. 多くが情動ストレスで生じることや閉経期以降の中高年女性に好発することが特徴である. 2004年の新潟中越大地震では震災直後に急増しそのほとんどが女性であった. 予後はおおむね良好であるが, なかには低血圧や心原性ショックを併発する. 気管支喘息重積発作, 肺炎, 重症筋無力症クリーゼ, てんかん発作, 人工透析中や気管内挿管後, 外科周術期など非心臓疾患や侵襲的検査, 治療などの様々な身体的ストレスでも発症する. 原因不明だが, 交感神経系亢進やカテコラミン過分泌の関与が疑われている. まれな疾患とはいえ, 幅広い医療領域で遭遇する可能性があり, まずは本疾患の存在を広く周知することが大切である.
著者
秋元 洗二
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T8, no.553, pp.87-114, 1919-01-01 (Released:2015-06-12)
著者
堂前 章
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-11, 1956-02-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
15

ニコチンの呼吸作用殊にその惹起する無呼吸の機序を検討し, 次の様な結果を得た. ニコチン靜注後に来る一過性初期無呼吸は犬, 猫では呼息性, 兎では吸息性で, 肺から発して迷走神経中を上行する反射による. 二回目の長い無呼吸は呼息性で, 従来謂われた様な先行する過呼吸の代償ではなく, ニコチンの中枢作用に基ずくものと思われる. ニコチンの反覆投与による呼吸反応の減退は, 少くも一部は中枢乃至上行性経路の興奮性変化により, 従来の如くニコチンのクラーレ様末梢作用のみでは説明しきれない. 大量のニコチンによる呼吸停止は, 中枢麻痺によるものではなく, 筋神経接合部のブロツクによる. 上述のエコチンの諸呼吸作用--初期無呼吸一過性呼吸興奮, 第二無呼吸, 更に大量のニコチンによる筋神経接合部麻痺-これらは皆ヘキサメトニウムによつて拮抗消失される。
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.M21, no.36, pp.36_36-36_37, 1888-06-30 (Released:2015-06-18)
著者
秋元 洗二
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T3, no.494, pp.89-93, 1914-02-25 (Released:2015-06-13)
著者
下坂 幸三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.519-525, 1972-01-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
41