著者
藤村 治夫
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.101-112, 1970-02-10 (Released:2010-06-30)
参考文献数
10

1. 錦川上流域, 錦町付近に生息するアマゴについて得られた標本を調査し, その分布, 成長, 成熟およびアマゴ, 降海型アマゴ, 溯河マスの相互関係を明らかにした。2. 鱗による年令査定の結果, 年令の形成完了時期は11-12月で, 無輪のものは当才魚1輪のものは2年魚, 2輪のものは3年魚である。3. 降海型アマゴおよび溯河マスの各部形態, 鱗の形状および朱点を有する点でアマゴと差が認め難い。従ってこれら三者の関係は早栗によるサクラマスとヤマメの関係同様で, 溯河マス, アマゴの雌雄から降海型アマゴおよびアマゴがそれぞれ出現するものと考えられる。溯河マスは大島のビワマスの降海型と一致する。4. 降海型アマゴは満1年経過後の12-3月に産卵生息域である支流から錦川本流に降河し, 体表が銀白化する。このアマゴは5-7月に錦町付近に溯上しマスと呼ばれる。降河と溯河の時期から考えると海中生活の期間は2-3ケ月である。アマゴでも降下, 溯上は見られるが, 海までは降下しないと思われる。5. アマゴの成長は満1年で最大尾叉長16.3cm, 満2年で20cm, 2年6ケ月で24.0cmである。降海型アマゴでは満1年2ケ月で18cm, 1年8ケ月で30cmでニジマスより優れた成長を示す。6. アマゴならびに溯河マスの成熟は雌雄とも満2年であり, アマゴの雄では満1年で成熟するものもある。7. アマゴでは雌雄とも産卵放精後生き残るものがある。
著者
岩井 保
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.199-200, 1990-06-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
著者
鎌田 篤 廣瀬 一美
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.377-378, 1998-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

A fungus was isolated from the regions of dermatomycosis on Japanese pond turtle, Mauremys japonica. The fungus was tentatively identified as Aphanomyces sp.of Saprolegniaceae. However, we could not define it at species level because the fungus did not produce any syngenetic organs. The optimal growth temperature for Aphanomyces sp. strain AK11 was estimated as 25-30°C. This is the first report of Aphanomyces sp. infection in Japanese pond turtle.
著者
邱 嘉仁 酒井 清 隆島 史夫
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.343-351, 1991-12-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2

1988年9月から1989年8月までの間, 印旛沼におけるオオクチバスの産卵期, 卵形成過程および精子形成過程を組織学的に調べるとともに, LHRH-aによる催熟促進や低温処理による3倍体魚の作出を試み, 以下の結果を得た。1) 組織学的に本種の卵母細胞の発達過程は10期に分けられた。2) 組織学的に本種の精子形成の発達過程は3期に分けられた。3) 卵母細胞の発達様式は非同期発達型に属した。4) 産卵期は排卵痕の出現時間より4月下旬から6月上旬と推定された。5) 精子形成には春と秋の年2回のピークが認められた。6) 体重1kgあたり15~80μgのLHRH-aコレステロールペレットを腹腔内に投与することにより, 投与後31.5~55時間で排卵させることができた。7) 媒精後3~7分経過時に0℃の低温に受精卵を20~30分間浸漬することにより, 3倍体魚の作出が可能であった。
著者
鈴木 伸洋 柵瀬 信夫 杉原 拓郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.277-289, 1989-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
3

Morphological development of the oriental goby, Acanthogobius flavimanus reared from eggs to juveniles in the laboratory at Sagami Bay, Japan is described. During mid February ovarian maturation is successfully induced by injection of the LH-releasing hormone of Gonadotropin. The dose of the hormone was 5IU/g body weight and was injected 4 times at an interval of one day for ovulation at water temperature of 12 to15°C. Artificial fertilization was accomplished on the first of March, 1985. The numberof ripe eggs removed artificially was about 25, 000. The eggs immediately after insemination are spherical in shape, measuring 0.99-1.10 mm in diameter. They have a bundle ofadhesive filaments at their basal end and a cluster of small oil globules. The egg membrane elongates to form a perivitelline space when the inflation ceases about 30 minutes after insemination. The eggs alter ellipsoid shape and measure about 3.93 mm on the long axis. Hatching began about 18 days after insemination at water temperature of 15.0-15.4°C. Soon before hatching, embryos fold down the tail at the basal end region of eggshell. The newly hatched larvae are 4.13-4.86 mm in total length (TL), with 31 (13+18) myomeres. The larvae usually lay on their body on the bottom of the aquarium. Many melanophores and guanophores are distributed on eye cups, gas bladder, intestine and in the caudal region. Complex of pigments form a band in the caudal region, but the band is never connected with the pigments on intestine. This character is not shared with larvae of A. hasta and A. lactipes. Seven days after hatching the yolk was completely absorbed and the larvae attained a total length of 5.73-6.10 mm.The larvae swim actively in the aquarium and start to practice feeding on the rotifer. Twenty days after hatching, the larvae averaged 9.01 mm in TL and the caudal notochord flex at 45°. Rudimental second dorsal, anal, caudal and ventral fins are also formed. The larvae attained 11.00-15.00 mm in TL, thirty five after hatching, are found to transit the bottom-life and first dorsal and ventral fins are completely formed. During the late postlarval stage, the fish is nervously to develop the free neuromast on the skin surface. The larvae reached the juvenile stage at 45-50 days after hatching and attained 13.85-24.90 mm in TL. At this period all scales appeared on the body. A clear black spot on the first dorsal fin is characteristic at the immature stage of the fish. The larvae and juveniles were reared by feeding them with the rotifers, Artemia nauplii, krill meat and lugworm meat for one year. The growth of larvae and juveniles in 1985 is expressed by the following equations.Y1=4.697×1.034x (0≤X≤45)Y2=0.716X-14.123 (46≤X≤170)Y3=160.18lnX-715.90 (171≤X≤330)where Y is the total length (mm) and X is number of days after hatching. The fish grew to 189.55-232.70 mm in TL and became mature in one year. Most of the individuals attained gonadal maturation and died after spawning.
著者
池末 弥 志垣 誠一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.68-74, 1976-09-25 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
2

マシジミの生租法, 特に排卵と保育幼生の放出状況および幼生生と卵生生に関して飼育実験を行ない, 次の点を明らかにした。1) 約6ヵ月の飼育期間中70%の個体が大量の体外排卵を行ない, さらにその20%が2回の排卵を行なった。飼育水温などの環境変化が排卵の刺激となるようであり, 個体の成熟盛期は少なくとも年2回あるが, 環境条件によっては周年生殖を行なうようである。2) 体外に排出された卵はすべて自家受精しており沈性卵, すみやかに卵発生が進み, 水温23-25℃では40-45時間でD型幼生になり, 浮遊期は全くみられず底生生活を行なう。3) 体外排卵と同時にその10-20%程度に相当する卵が母体に保育され, 3-5日までにD型幼生として放出される。その後は引続き少量ずつの排卵が起り, 体内に保育, 幼生になって放出される過程が約1ヵ月間も続く個体が多い。マシジミはこれまで幼生生の生殖を行なうとされていたが, 同時に卵生型の生殖法も行なっていることを確認した。4) 体外排卵数は1回1-5万, 放出幼生数は2-6千個程度で, 前者は後者の7-8倍にも達する。しかし, 何れが再生産に大きく貢献しているかは今後の研究にまたねばならない。
著者
宮崎 泰幸 藤岡 侑祐
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.189-194, 2012-06-20 (Released:2015-03-23)
参考文献数
17
被引用文献数
3

海藻食性魚類の筋肉の香気成分を比較した。山口県下関市蓋井島の海岸で2008年12月に採取したアイゴ,2009年1月および5月に採取したメジナおよび鹿児島県中甑島で2008年12月に採取したアオブダイ,イスズミおよびニザダイを実験に用いた。普通筋香気成分を固相マイクロ抽出を用いたガスクロマトグラフィー質量分析装置および電子嗅覚装置で分析するとともに,香気強度の官能検査を行った。ほぼ同時期に採取した5魚種は EN 分析でそれぞれ異なる香気成分組成を示しており,その中でもヘキサナールを多く含むアイゴならびに 3-メチル-1-ブタナール,2-メチル-1-ブタナールおよび 3-メチル-1-ブタノールを多く含むアオブダイは特異的であった。また,採取時期の異なるメジナは互いに大きく異なる香気成分を示した。官能的にはメジナが最も香気が弱いと判断された。
著者
田子 泰彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.479-483, 1997-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

大量放流用の標識として切除したサクラマスの背鰭及び腹鰭の再生状況を明らかにした。背鰭切除後約8~9カ月経過した群では, 再生が認められた個体割合は71.9~79.5%で, そのうちほぼ完全に再生した割合は5.2~27.7%であった。腹鰭切除後約8~9カ月経過した群では, 再生が認められた個体割合は50.7~86.4%で, そのうちほぼ完全に再生した割合は8.1~38.3%であった。鰭切除後約27~28カ月経過したサクラマス親魚では, 51.5%の腹鰭がほぼ完全に再生していた。これらの結果は, 背鰭や腹鰭標識によって放流した幼魚の回帰率は実際よりも低く算定されたことを示しており, 放流魚のより正確な回帰率を得るためには, 脂鰭切除標識に加えて耳石標識やCoded Wire Tagなどの内部標識を組み合わせて用いるべきだと考えられた。
著者
許 波濤 平田 八郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.207-213, 1992-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
22

1) ヒラメ幼稚魚の生残, 成長, 飼育環境に及ぼすアナアオサ変異種のフィードバック効果を知るため, 供試魚とアオサの併用培養によるフィードバック投餌区 (A) , 無アオサ併用培養による無フィードバック区 (B) 及び毎日約85%ずつ自然海水と交換した海水交換区 (C) の3実験区を設定し, 22±1.0℃の恒温室で90日間にわたり飼育実験を行った。2) A・B・C区における実験によりは, ヒラメの生残率はそれぞれ92.9%, 14.3%および85.7%, 日間成長率はそれぞれ2.19%, 2.04%および2.17%, また, 飼料係数はそれぞれ0.95, 6.34および1.16であり, いずれもA区のほうがB・C区より優れた結果が得られた。3) A・B・C区における三態窒素およびPO4-Pの実験期間の平均濃度は, NH4-Nでそれぞれ4.4, 26.0および4.5, μg-at・l-1, NO2-Nでそれぞれ0.8, 8.5および1.1μg-at・l-1, NO3-Nでそれぞれ7.0, 35.3および5.8μg-at・l-1, またPO4-Pでそれぞれ3.8, 6.7および2.6μg-at・l-1であり, アオサの併用培養によるヒラメの飼育環境保全に効果が得られた。
著者
山木 克則 小河 久朗 吉川 東水 難波 信由
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.347-351, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

アマモ場の再生に向けたアマモの苗の大量生産に向けたシステムの構築を行うために, アマモの種子を短期間に高率で発芽させる条件を見出すために発芽試験を行った。試験に用いたアマモの種子は東北地方と関東地方の4産地で採取し, 20℃の暗黒条件下で2か月間保存したものを用いた。試験は, 塩分と温度を一定条件にした水溶液中で行った。塩分は0 (淡水) , 5, 10, 15, 20, 25, 33psu, 設定温度は5, 10, 15, 20℃とした。試験の結果, 全ての産地に共通して20℃の淡水条件 (0 psu) で高い発芽率が見られ, 10日間で60%以上であった。発芽種子をTTC溶液で染色したところ活性が見られた。しかし, 淡水浸漬14日以上では発芽種子に胚軸の生育阻害及び腐敗が見られ30日でほぼ全ての発芽種子が腐敗した。種子の保存期間と淡水による発芽促進効果の関係を調べるために種子の保存期間 (20℃) を1, 7, 21, 30, 60, 180, 360日として発芽試験を行った結果, 保存期間が長くなるほど発芽率が高くなる傾向を示し, 60日以上の保存期間で高い発芽率を示した。
著者
村田 修 家戸 敬太郎 那須 敏朗 宮下 盛 和泉 健一 熊井 英水
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.677-678, 2000-12-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Chemical compositions of the dorsal muscle of hybrids, yellowtail, Seriola quinqueradiata _??_ × goldstriped amberjack S. aureovittata _??_ (termed as YG) and purplish amberjack S.dumerili_??_ × goldstriped amberjack _??_(termed as PG) were compared with each parents fish species. The lipid content of YG was remarkably higher than that of goldstriped amberjack. In collagen content concerning texture, though YG was lower than goldstriped amberjack, it was significantly higher than yellowtail. Crude protein, total extractive nitrogen and collagen content of PG showed the intermediate value of the parents fish species.
著者
川辺 勝俊 木村 ジョンソン
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.613-617, 2008-12-20 (Released:2012-09-15)
参考文献数
23

アカハタ仔魚期の鰾開腔率改善のために,油膜回収器を使用して水面の油膜を連続的に除去する飼育実験をふ化後20日目まで行った。油膜回収器は鰾の開腔が始まる6日齢から鰾開腔率が80%に達した7日齢までの照明点灯時に設置し,そのとき以外は浮上斃死防止のために,水面にフィードオイルを添加して油膜を形成させた区(油膜除去区)と,実験期間中常時油膜を形成させた区(対照区)をそれぞれ1区ずつ設定した。油膜除去区の鰾開腔率は,開腔開始の6日齢が20.2%で,7日齢以降は73.3~87.5%で推移した。対照区は6日齢が3.3%で,7日齢以降では0~22.2%で推移した。この結果,油膜回収器による連続的な油膜除去方法は本種仔魚の鰾開腔率改善に有効であることが判明した。実験終了時(20日齢)における生残率は,油膜除去区が12.8%であり,対照区が18.1%であった。20日齢での全長は,両区の間で有意差は認められず,約8.7 mm であった。
著者
中島 祥 山本 淳
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.525-530, 2009-12-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
20

近年の遺伝子診断の発達に伴い,Anisakis I型幼虫は1種類ではなく様々な同胞種で構成されており,少なくともA. simplex sensu stricto,A. pegreffii,A. simplex C,A. ziphidarum,A. typicaの5種が存在することが知られている。しかし,これらの同胞種の日本近海における地理的分布や疫学については知見が少ない。このため,日本近海(東シナ海)と南シナ海(中国,フィリピン)のAnisakis I 型幼虫をrDNAのITS1-5.8S rRNA-ITS2領域におけるPCR-RELP法を用いた分子生物学的特徴の点から識別し,地理的分布を調査したところ,A. simplex sensu stricto,A. pegreffii,hybrid genotype,A. typica-like larvaeの存在を確認した。A. typica-like larvaeについては,さらにITS領域のシークエンスを行い,A. typicaであることを確認したが,塩基配列にわずかな相違が認められた。また,アニサキス症患者から得られたAnisakis I 型幼虫は,A. simplex sensu strictoであった。
著者
木曾 克裕
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.521-528, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
25

1983年4月から1989年3月にかけて牡鹿半島周辺海域で漁獲されたサクラマス成魚の胃内容物を観察した。胃内容物組成を月別および尾叉長階級別に整理して個体数法, 重量法, 出現頻度法の3方法で表示し, これらの総合評価の一つの方法であるIRI (Index of Relative Importance) も併用して解析した。成魚の主な食物は大型プランクトンのニホンウミノミやツノナシオキアミ, 魚類のイカナゴ, カタクチイワシ, スケトウダラ稚魚, マイワシなどであった。重量と出現頻度では季節を問わず, 魚類が最も多く, 特にイカナゴは3~6月に卓越した。個体数では4月および5月にはニホンウミノミが多かった。大型個体と小型個体の食物を比較すると大型個体のほうが魚類への依存度が強く, 大型プランクトンへの依存の度合が低かった。サクラマス幼魚の食物と比較すると, 幼魚も成魚もイカナゴとニホンウミノミを主な食物としていたが, 成魚が摂っている動物の方が大型であった。そのほかの餌生物では, 成魚が外洋性の比較的大型の魚類とツノナシオキアミ, 幼魚が汽水性の魚類やThysanoessa longipes, カニ類幼生, ヨコエビ類などを摂っており, 両者の大きさに基づく捕食能力と微小棲息場所が異なることを示唆していた。
著者
森田 哲男 今井 正 山本 義久
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.399-402, 2016-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
24

We investigated the removal of the monogenean parasite Benedenia epinepheli and survival of commercially-reared host red-spotted grouper Epinephelus akaara under immersion at salinities (0-20 psu) at 28-29 ℃. Replicate samples of juvenile grouper did not die in salinities of 6 psu and above for 2 hours. All parasites were removed from fish at <10 psu. Immersion time required for the complete parasite removal in 6 and 8 psu waters was 30 and 120 minutes, respectively. Our results suggest immersion into 6 psu salinity water for 30 minutes is a practical and effective treatment to remove B. epinepheli without significant mortality.
著者
竹内 俊郎 廣田 哲也 吉崎 悟朗 酒井 清
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.547-555, 1998-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

循環濾過飼育におけるティラピアの成長と水質変動との関係を調べた。循環濾過において, サンゴ砂を用いなければ, pHが急速に6を下回り, 亜硝酸化成細菌の働きの低下に伴い, アンモニア態窒素が漸増し, その状態が持続されることにより, 硝酸化成細菌の活動も鈍り, 亜硝酸態窒素も蓄積すること, 水質の悪化に伴い, 飼育水の着色が目立つことが明らかになった。一方, サンゴ砂を用いることは, pHの低下を防止でき, 硝化細菌全般の活動の活発化に極めて有効に作用することが判明した。なお, 水質悪化に伴い助長される着色成分 (黄色色素) は, 8時間程度の活性炭による処理により速やかに吸着・除去できた。濾材を比較検討した結果, バイオアルファ, シポラックス, ゼオライトとも, 魚体に影響を及ぼすほどの大きな差は認められなかった。また, 本実験においてアンモニア態窒素の増加による, ティラピアの増重率や日間成長率の低下は認められなかった。なお, 成長と総窒素濃度との間に相関がみられたが, 今後更なる検討が必要である。今回の結果から, ティラピアを循環濾過式水槽で飼育する場合には, アンモニア態窒素濃度81mg/l, または硝酸態窒素濃度616mg/lまでに達する飼育水中 (初期値はそれぞれ0) で70日間ほぼ正常に飼育できることが明らかとなった。