出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.858, pp.125-127, 1996-09-23

1200万人の会員を擁する巨大公益法人に,国税当局のメスが入った。会員誌の発行が非課税事業ではなく,収益事業と判断された。社会的意義を主張するものの,事業の見直しは避けて通れない。このたび,私が会長を務める「社団法人日本自動車連盟(JAF)」が東京国税局の税務調査を受け,1995年3月期までの3年間で,総額約70億円の申告漏れを指摘されました。
著者
德永 光俊
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.205-218, 2016-01

本稿では,日本農法史からみる農業の未来についてお話ししたいと思います。最初に農業をどのように見ていくか,次いで江戸農書の概要と特徴,そして日本農法の大まかな流れをお話しします。自然の循環に従う天然農法から,人間の力で自然を変えていこうとする人工農法,そして自然の循環を人間の力で再復興しようとする,天然と人工を融合させた天工農法へという流れです。さらには現在の状況と有機農業の位置づけをお話しして,最後にこれからの日本農業の展望を私なりに述べてみたいと思います。
著者
古賀 康士
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.42-68, 2016

本稿の課題は、近世初期細川小倉藩の鋳銭事業の全体像を再構成し、その歴史的位置づけを明らかにすることである。小倉藩による鋳銭事業は短期間で頓挫したものの、幕府の寛永通宝の導入に先立つ大名領主の本格的な銭貨鋳造として、早くからその歴史的意義が注目されてきた。だが、既存の研究では新銭の流通開始直後に現れる「にせ銭」と不良銭の撰銭の問題などを始め、鋳銭事業の全体像はなお未解明であった。そこで本稿では、(一)新銭の鋳銭体制の復原、(二)新銭を含む銭貨の流通形態の解明、(三)新銭のベトナム輸出の実態分析という三つの分析課題につき検討した。<br>第一の新銭の鋳銭体制については、複数の銭屋による競争的な請負制が明らかとなった。銭屋の操業は分業による一元化がなされず、各自の採算性に基づいて鋳銭が行われた。そこでは新銭の競売による価格圧力も存在したため、低品質な銭貨が大量生産され、不良銭の撰銭現象が惹起した。これに対応し、小倉藩は新銭一貫文=銀五匁とする公定の固定相場制を導入し、価格競争的な鋳銭体制を修正した。<br>第二の新銭の流通形態については、流通開始直後の「にせ銭」の問題から、小倉藩が新銭を公式の銭貨とする専一流通策を採用したこと、また近世初頭の中国西部・九州北部において、新銭と同等ないしそれ以下の低品質な銭貨が地域的貨幣として広く鋳造・流通したことを導出した。<br>第三の新銭のベトナム輸出に関しては、ベトナム輸出の可能性が鋳銭事業の廃止を小倉藩に決定させる主要因となったことを示した。また日本では低品質な銭貨として位置づけられた新銭も、ベトナムでは精銭範疇に属する「大銭」として認識されたことが確認された。<br>以上の結論からは、寛永通宝の「銭座」体制の歴史的前提となる鋳銭体制の組織面・経営面での革新や初期藩札との貨幣政策上の類似性といった問題が新たな課題として示唆された。
著者
古賀 康士
出版者
史学会 ; 1889-
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.42-68, 2016-01