著者
松井 洋
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.101-114, 2000

国際比較調査の結果から, 日本の若者の問題点について他の国と比較検討を行った。調査対象は, 日本, アメリカ, 中国, 韓国, トルコ, キプロスの中学生と高校生5634名である。質問調査の内容は対人関係, 親子関係, 非行許容性, 愛他性, 道徳意識, 価値観学校関連についての136項目である。分析方法は, 各質問項目の回答の選択肢のうち, 最も望ましくない選択肢を選んだ割合を6ヶ国の間で比較した。結果は, 日本の若者は人間関係に顕著な問題を抱えているということが明らかなった。日本の若者は愛他性, 共感性, 社会的スキルなどの人間関係についての個人的要因に問題があり, そのために人間関係に問題や悩みを抱えることとなるようだ。このような傾向は中学生男子で最も強い。その他にも, 日本の若者は性などの非行的行為に許容的であり, 物質志向, 外的統制などの価値観に問題があり, さらに, 自制心や情緒性, 意欲等も問題があり, そのようなことが悩みや人間関係の問題の原因にもなっていると考えられる。さらに, 親子関係についても親一子間が心理的に遠いという問題があり, このことが人間関係の問題の原因ではないかと推定できる。以上のような日本の若者の問題は, 人間関係を中心としてかなり顕著なものであり, 日本の若者は悪い意味でかなり「へん」だと言え, その問題を一言でいうと「社会性」の問題と言える。このような日本の若者の問題の原因は広く日本社会全体にあるともいえるが, 若者の問題は特に親子関係の問題と関連すると考えられる。そのため, まず親子関係の改善などの対策をはじめることが必要と考える。
著者
小林 俊雄
出版者
家政教育社
雑誌
家庭科教育
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.74-78, 2000-09
著者
阿部 洋子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A101-A122, 2007-03-15

日本人の通学制女子大学生209名の中から、社会的望ましさの得点の高い者を除いた191名を対象に、道徳に関する行為について、その「善悪の程度」「当為性」「領域判断」「実行の程度」について質問紙を用いて、検討した。その結果、悪さについては、それほど悪くなく、しても構わない行為で、個人領域に属すると判断されたものは、自分自身を大切にしない行為、男女・性に関する行為であることが分かった。ところが、「悪さ」については、その行為が「道徳」領域に属する行為だとして判断されることによって、「しても構わない」が「悪い」と判断する傾向が認められ、悪いことは悪いという意識を保持できる傾向にあることが分かった。このことから、ある行為を「道徳」領域のものであると教えることが、様々な問題行動を抑止することに繋がるのではないかと考えられる。「善さ」については、道徳領域だと判断された行為は1つもなく、すべて社会的慣習あるいは個人領域に属する行為だと考えていることが分かった。これらは現代の若者が自律的になったということではなく、むしろ気分や好き嫌いによって様々な行動を決定する傾向があると考えられる。挨拶や敬語を使用することができるようになることが躾でないことは分かっている。それでは何を根幹として道徳心向上のための教育をすればよいかということになるが、「悪さ」については「いじめ、虐待」「大量消費を美徳する」などは、むしろ大人社会が喪失している問題であり、若者社会の中では「すべきでない道徳に属する行為」だと考えられていることが分かった。一方、「善さ」については、それほど善くなくて、するべきだと感じている者が少ない行為で、個人領域に属する行為は、家族との関係、祖先崇拝、神仏崇拝、などであることが分かった。こうした行為が減少したことは、日本が封建的で、軍国主義的な国家から脱却できた証だと考えることもできるが、他方、対人関係の基礎を成す、家族内の対人関係を希薄化させることになったと考えることもできる。今後、詳細な検討をする必要があると考える。