著者
吉田 信明 田中 正之 和田 晴太郎
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.36-45, 2017-02-22

動物園の主要な社会的役割に環境教育・命の教育があるが,学校の遠足・校外学習を含め,多くの来園者は動物を単に眺めるにとどまり,十分な観察・学習ができていないと指摘されている.この課題に対し,著者らは,動物の行動やその意味への理解を促す教育プログラムでの利用を想定し,単に動物を「眺める」にとどまらない,より深い動物観察の機会を来園者に提供するための,動物行動観察支援システムを開発した.このシステムでは,プログラムへの参加者は,タブレット端末を用い,観察対象の動物の位置・行動を時系列データとして記録する.このようにして記録された行動データは,システムによりデータベースに集約される.著者らは,本システムの評価実験を行い,被験者の動物への理解が高まったことを検証した.その一方で,本システムを用いた教育プログラムの開発に向けた課題も明らかになった.
著者
荻窪 光慈
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.51-60, 2010

The device that makes a cathode-ray tube (CRT) type television an oscilloscope was developed. The conventional analog broadcasting will be stopped to shift to the digital broadcasting completely on July 24, 2011. Therefore, a large number of cathode-ray tube type televisions will become unnecessary, and they would be discarded in large quantities. They would become the great pressure to the environment. To reduce such social anxiety, and to use such televisions as oscilloscopes effectively for the learning of the electric and electronic technology in a technology education course in a junior high school, the device that makes a television anoscilloscope was developed.The result of production of this device, the expected purpose of observing an electric signal on the television could be achieved under the limited condition. Further several improvements will be added to the device in the future.
著者
疋田 輝雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.728-735, 2008-07-15

コンピュータ科学カリキュラム標準J07-CSは,1997 年のJ97すなわち「大学の理工系学部情報系学科のためのコンピュータサイエンス教育カリキュラムJ97」の後継である.米国のコンピューティングカリキュラムコンピュータ科学CC2001CSを形式および内容の面から参考にし,これに多数の変更と追加を加えたものである.カリキュラム標準を規定するにはまず,コンピュータ科学知識体系CS-BOK-J 2007を規定する.知識体系は専門エリア,ユニット,トピックの3レベルからなる.専門エリア(area)は15分野からなり,さらに,エリアを構成する各ユニットは,トピックと,ユニットの学習成果からなる.エリアやユニットの内容は,米国案をもとにして,日本の技術および大学教育の実状と最新技術の動向を踏まえて多数の改変を加えた.個々の授業科目(course)はこの知識体系をもとにして,ユニットを組み合わせて構成する.今回のCS カリキュラム標準の目標は,J97の後継として,既存の理工系情報学科を想定することに加えて,国際的な整合性,日本の科学技術の特徴を活かすこと,および最新技術への考慮である.カリキュラム標準の提示形式の上でこれまでのJ97との違いは,米国版にならって,科目ではなく学問的な知識体系(Body of Knowledge)を最初に与えることと,コアユニットとして必修の項目を導入したことである.成果主義教育としての各ユニットにおける学習成果が設定されている.さらに,24の具体的な科目構成例が提示されている.
著者
江見 圭司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.263-263, 2018-02-15

組込み技術協会主催ETロボコンの関西地区実行委員長を引き受けて,2017年で10年を迎えました.10年間の雑感を述べた.
著者
成林 晃 南里 豪志 天野 浩文
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2016-HPC-155, no.34, pp.1-9, 2016-08-01

近年,大規模化する並列計算機において,集団通信による通信時間の影響を減らす手法として,非ブロッキング集団通信による通信時間を計算時間で隠蔽する高速化手法が注目されている.非ブロッキング集団通信において,計算と並行して通信を進めるための実装の一つに,スレッドを用いる手法がある.これは progress thread と呼ばれる,通信専用のスレッドを利用するものであり,この手法は他の実装に比べ,利用が容易で,かつ通信を隠蔽しやすいという特徴がある.現在,この手法による非ブロッキング集団通信の実装を選択できる MPI ライブラリはいくつかあるものの,通信隠蔽の効果が十分検証されておらず,実用性が不明である.そこで本稿では,それらの実装による通信時間隠蔽の効果を調査した.実験の結果,メッセージサイズが小さいと progress thread を利用することによるオーバヘッドによりかえって遅くなる場合がある,等の傾向を確認できた.
著者
池田 大輔 山田 泰寛 廣川 佐千男
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG2(TOM11), pp.56-66, 2005-01-15

本論文では,複数の文字列に共通な部分を見つける問題を考察する.まず,この問題をパターンから生成された文字列の集合が与えられたときに,そのパターンの定数部分を見つける問題(テンプレート発見問題)として定式化する.パターンとは定数と変数からなる文字列で,パターンが生成する語は変数を定数文字列で置きかえて得られる.置きかえに用いられる文字列中の部分文字列の頻度分布はベキ分布に従うことを仮定し,高確率でテンプレート発見を解くアルゴリズムを構築する.共通部分の発見問題の1 つである最長の共通部分列を探す問題はNP 完全であることが知られているが,問題の再定式化,部分文字列の集合による定数部分の表現方法,部分文字列の頻度と総出現数から共通部分を発見する手法により,テンプレート発見問題は高確率でO(n) 時間で解けることを示す.ここで,n は入力文字列の長さの和である.さらに,このアルゴリズムがノイズに対し頑健であることと,複数のテンプレートが混在する場合でも有効であることを,Web 上の実データに適用することで実証する.