著者
本田 尊正
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.69-98, 1958-11
著者
今野 日出晴
出版者
岩手大学教育学部社会科教育科
雑誌
岩手大学文化論叢 = The report of social studies, the Faculty of Education, Iwate University (ISSN:09123571)
巻号頁・発行日
vol.7-8, pp.145-159, 2009-03-31

筑波大学附属高校の教壇に立って,日本史を教えていたころ,1989(平成元)年3月に告示された「高等学校学習指導要領」の「第1章 総則」の「第2款 各教科・科目の標準単位数等」に示された「その他の科目」の規定を拠り所にして,「東アジア史」を科目として設定できないかと同僚たちと話し合ったことがある。「東アジア史」とすることによって,世界史と日本史という枠組みとは別の構想で歴史を考えてみようということではあったが,いざ,具体化しようとすると,「東アジア史」の内容も方法も曖昧なままで,実施にうつすことはできなかった。 2004年10月23日,日本学術会議歴史学研究連絡委員会の主催によって,歴史教育シンポジウム「歴史教育における東アジア像-近現代を中心に-」が早稲田大学教育学部大会議室で開催された。目良誠二郎「日本の歴史教育・歴史教科書における東アジア像」,杉山文彦「中国歴史教科書における東アジア像」,田中正敬「韓国の歴史教科書における東アジア像」の三氏の報告があり,井口和起氏が「日・中・韓3国の東アジア史像を考える」として総括的な報告をおこなった。ここでの「東アジア」とは地理的にどこを指すのかという,一参加者からの質問に応答するかたちで,李成市氏は,いま議論すべきなのは地理的な領域としての「東アジア」ではなく,「主体的な歴史認識としての東アジア」であり,「自らの歴史認識を検証する場」としての「東アジア」ではないのかと,語気鋭く応答した。新しい思考が生まれてくるような〈トポス(場所)〉としての「東アジア」の意味づけに魅力を感じつつも,この用語が前提としている構図そのものを問題として前景化し,吟味することの難しさにたじろぐ思いがした。 2005年3月5日,歴史教育研究會・歴史學會・韓國歴史研究會の3学会共同の学術シンポジウム「日本の歴史教科書に対する韓・日両国の視角と共同対応方案」がソウル博物館で開催された。韓国からは,安秉佑(韓神大)・宋相憲(公州教育大)・朴星奇(河南高)の各氏が,日本からは,君島和彦氏と私が登壇して報告した。『新しい歴史教科書』の改訂版が検定審査中であったことから,私は,「新しい歴史教科書をつくる会」の会誌『史』や藤岡信勝・西尾幹二氏らの著作を用いながら,まだ見ることのできない改訂版の特徴を類推して批評した。質疑応答のときに,一人の老人が激昂した口調で発言した。通訳の方に訳してもらおうとすると,「俗語が多くて,わかりません」として申し訳なさそうに眼を伏せていた。その老人の口調と通訳の方の様子から,私と,そして日本人に対する非難であろうことは理解できた(会の終了後,日本の留学生から確かめることができた)。また,シンポジウムが終わったあと,テレビ局の取材をうけたが,インタビュアーは,今回の改訂によって歪曲が如何にひどくなったのかということを私に語らせようと幾度も尋ねてきた。しかし,先に述べたように,未だ検定審査中であり,白表紙本を見ることができない状況で不確かな発言をすることはできなかったし,何よりも,そのときの報告で指摘したように,公刊された著作や資料などからは,むしろ,「表現は『洗練』されて簡潔になり,客観性の高いものであるかのように装われ」るであろうと考えていた。そのためインタビュアーの望むような回答にはならなかった。そこには,自らが聴きたい声だけを聴きだそうとする作法があった。そして,日本に戻ってきてインターネットなどで眼にしたのが,公開前の白表紙本を流出させたとでもいうような事実無根の非難であった。事実を検証することもなく浴びせられる言葉の激しさに困惑した。私がこの報告の最後に紹介したのは,「日本人は韓国人の声を『他者の声』として傾聴し,韓国人は日本人の声を『他者の声』として聴く」ことの重要性を述べた都正一氏の言葉であった。相互に「他者の声」に耳をすますことから始めるべきだという私のメッセージは,二つの国の激しいナショナリズムの立場から挟撃され,それぞれのポリティクスによって,受け入れられずに,宙づりにされたような感覚におそわれた。 「東アジア」や「東北アジア」(「北東アジア」とする議論もある),そして,それらのなかにある交流や対抗の歴史に向きあうということは,具体的な授業レベルから歴史研究のレベル,そして,激しい政治のレベルまでを含み込んで,考えなければならない難問に満ちている。それらの難問を解きほぐすために,その前提をつくるために,本稿では,まず,これまでの「歴史対話」「歴史教科書対話」とはどのようなものであったのか,代表的なものを簡略に紹介しながらその意義を明らかにしてみたい。そして,歴史科目としての「東アジア史」の可能性について検討するなかから,歴史教育と社会科歴史の交差するところを考えてみたい。
著者
梶並 知記 小田 凌平
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-15, 2022-02-28

本稿では,対戦型格闘ゲームを対象とし,プレイヤの視線情報を用いた試合の振り返りを支援するインタフェースを提案する.対戦型格闘ゲームは,2名のプレイヤがそれぞれ格闘家を模したキャラクタを操作し,相手と闘うゲームである.対戦型格闘ゲームの典型的なゲーム画面のレイアウトは,リングを横から見たカメラ視点であり,キャラクタ2体が同一軸上に左右に並んで向かい合う形となる.2名のプレイヤは,同一内容のゲーム画面を見てプレイする.プレイヤは,自分達が行った試合の動画を見直して,戦略/戦術について議論する振り返りをする場合がある.しかしながら,プレイ中のプレイヤの視線情報を用いた,試合の振り返り支援はあまり行われていない.本稿では,2名のプレイヤの視線情報を用いて,ゲーム画面上のプレイヤの着目箇所や視線の移動軌跡の類似性/差異性を強調して可視化する4つの機能を備えた,試合の振り返り支援インタフェースを提案する.対戦型格闘ゲームの経験者を被験者とした評価実験を行った結果,提案インタフェースが振り返りの際の議論のきっかけを与え有効であることと,提案機能ごとに有効性が異なることを示す.
著者
沖田 瑞穂
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.285-308, 2013-10-10

日本の昔話の「花咲爺」は,殺されて死体から有用植物を発生させるハイヌヴェレ型神話の要素を持つと同時に,中国の「狗耕田」,中国や台湾の「蛇むこ」などの説話とも同じ構造を持っており,古栽培民的要素と焼畑雑穀農耕に由来する要素の二層から成り立っているということが,古川のり子の研究により明らかにされている。本稿ではこの古川説に加えて,比較対象をルーマニアの「リンゴ姫」,インドの「ベル姫」,さらにはエジプトの「アヌプとバタ」の説話に広げ,これらの説話に共通した構造を抽出した。その特徴は,主人公が次々に変身する「連続変身」であり,おそらくエジプトのものが最も古く,エジプトから中国,日本へと伝播し,ルーマニアとインドの話はエジプトから中国への伝播の途中で分岐したものと考えられる。また,連続変身の本来の形は,「人間→動物→木→木製品→(灰)→再生」というものであったと推定される。
著者
馬場 喜敬 中地 万里子 川合 貞子 加藤 優子 Baba Yoshiyuki Nakachi Mariko Kawai Teiko Kato Yuko ババ ヨシユキ
出版者
東京家政大学生活科学研究所
雑誌
東京家政大学生活科学研究所研究報告 (ISSN:09145192)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.27-67, 1989-03

寓話と「海上の道」 : 日本と西サモア [第Ⅲ報 : その1].馬場喜敬.「アリとキリギリス」再考 [第Ⅲ報 : その2].馬場喜敬, 中地万里子, 川合貞子, 加藤優子.児童書に採用された伝承文芸 : イソップ寓話を中心に [第Ⅱ報(その1)に続く].中地万里子, 川合貞子, 加藤優子.
著者
岸本 俊祐
出版者
National Institute of Technology, Tsuyama College
雑誌
津山工業高等専門学校紀要 = Bulletin of Tsuyama National College of Technology (ISSN:02877066)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.59-64, 1993-10-30

A software system to study C-programming was assembled for beginners. It consists of several Free-Softwares that are a screen text editor, a full set of C-compiler, an object file linker and some utility programs. The compiler system conforms to the new standard, known as ANCI C. The dos-shell is modified functionally for the users to operate this system easily. To help the users operation in the training, this system provides many online manuals and an online help file which can be read directly on the CRT display. This system is also useful for developing applications in the C programming language.
著者
岸本 俊祐
出版者
National Institute of Technology, Tsuyama College
雑誌
津山工業高等専門学校紀要 = Bulletin of Tsuyama National College of Technology (ISSN:02877066)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.43-48, 1992-10-30

パソコン通信等で、自由に手に入れることのできる“フリーソフトウェア”という形態のソフトウェアを用いて、パソコン実習の導入部分を教育するためのソフトウェアシステムを構築した。タイピングの練習、日本語を 含むテキスト処理の実習、簡単なファイルやディレクトリ操作の実習等が行える。このシステムを用いて、本校の情報工学科と電気工学科の1年生に導入実習を実施した。まだ、実習途中の中間段階ながらかなりの成果が見られ、ほとんど無償のフリーソフトウェアを中心にまとめたシステムでも、教材として有効であり十分実用になることがわかった。
著者
笹田 耕一 松本 行弘 前田 敦司 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SIG2(PRO28), pp.57-73, 2006-02-15

本稿ではオブジェクト指向スクリプト言語Ruby を高速に実行するための処理系であるYARV: Yet Another RubyVM の実装と,これを評価した結果について述べる.Ruby はその利用のしやすさから世界的に広く利用されている.しかし,現在のRuby 処理系の実装は単純な構文木をたどるインタプリタであるため,その実行速度は遅い.これを解決するためにいくつかの命令実行型仮想マシンが提案・開発されているが,Ruby のサブセットしか実行できない,実行速度が十分ではないなどの問題があった.この問題を解決するため,筆者はRuby プログラムを高速に実行するための処理系であるYARV を開発している.YARV はスタックマシンとして実装し,効率良く実行させるための各種最適化手法を適用する.実装を効率的に行うため,比較的簡単なVM 生成系を作成した.本稿ではRuby の,処理系実装者から見た特徴を述べ,これを実装するための各種工夫,自動生成による実装方法について述べる.また,これらの高速化のための工夫がそれぞれどの程度性能向上に寄与したかについて評価する.
著者
松野 良一
出版者
中央大学政策文化総合研究所
雑誌
中央大学政策文化総合研究所年報 (ISSN:13442902)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.269-293, 2022-08-30

This article aims to reflect on the student-produced CATV (Community Antenna Television, Cable Television) program "Tama Tankentai (Tama Area Expedition)" and to consider its significance from three perspectives. (1) Why was it possible to continue the program for 15 years? The first reason is that the production system was established. Like a professional TV station, a systematic organization was completed, and program production activities were conducted efficiently. Additionally, the format of the program was clear, and the production schedule was proactive. Furthermore, the students were selected from all faculties of the university, and their motivation was extremely high. (2) Why was the program suspended even though the audience numbers have grown to 2.6 million households? The main reason is the difference between TV and YouTube. Television has a "frame" and a "deadline." However, YouTube does not fill the "frame" because the "scale" of the content is free. Moreover, there is no "deadline" for delivery, and we can upload contents at any time. Due to this ample freedom, we decided to switch the media from CATV to YouTube for distributing contents. (3) What kind of educational effects did the program production activities provide to the students? First, by communicating with people in the local community, students can grow and gain maturity. Second, the cycle of "planning-shooting-editing-outputting"fostered the following abilities: planning, negotiation, communication, sensitivity, expression, cooperation, responsibility, and self-efficacy.
著者
小島 穂菜美
出版者
武庫川女子大学
巻号頁・発行日
pp.1-68, 2020-03-20

本論文は, 臨床における問題として, 高齢者にも頻用される塩基性薬物のゾピクロン, エスゾピクロンおよびアムロジピンベシル酸塩の苦味に及ぼす様々な酸性物質の苦味抑制効果を味覚センサ測定およびヒト官能試験により評価し, 1H-NMRスペクトル解析により薬物-酸性物質間の苦味抑制機序について検討を行った. また, 嚥下補助と苦味抑制の 2 つの性質を有する γ-ポリグルタミン酸ハイドロゲルを調製し, 物理化学的性質の評価, テクスチャー測定による嚥下のし易さの評価, 味覚センサ測定およびヒト官能試験から γ-ポリグルタミン酸ハイドロゲルによる薬物の苦味抑制効果を評価した. 3 種類の薬物の苦味に対して飲料, 配合薬, 添加剤と様々な酸性物質が苦味抑制効果を示すことを明らかにした. また, その苦味抑制機序として, 薬物-酸性物質間の分子間相互作用が寄与していることが推定された. さらに, γ-ポリグルタミン酸ハイドロゲルが苦味抑制と嚥下補助の 2 つの性質を有し, 高齢者の服薬アドヒアランス維持に寄与する可能性が考えられ, 苦味抑制と嚥下補助を併せ持った新しい剤形として, 今後の製剤開発に貢献することが期待される.
著者
西淳 にしあつし
雑誌
阪南論集. 社会科学編
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.55-70, 2001-09