- 著者
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上地 広昭
竹中 晃二
鈴木 英樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.3, pp.288-297, 2003-09-30 (Released:2013-02-19)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
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本研究の目的は, 子ども用身体活動行動変容段階尺度および子ども用身体活動の恩恵・負担尺度を開発し, その尺度を用いて子どもにおける身体活動の行動変容段階と意思決定バランスの関係を検討することである。研究Iでは, 小学4-6年生男子201名および女子200名を対象に, 子ども用身体活動行動変容段階尺度を開発し, その信頼性および妥当性を検討した。その結果, 子ども用身体活動行動変容段階尺度は, 高い信頼性および妥当性を示した。研究IIにおいて, 小学4-6年生男子213名および女子205名を対象に調査を行った。因子分析の結果, 子ども用身体活動の恩恵・負担尺度は9項目2因子構造 (「身体活動の恩恵」因子および「身体活動の負担」因子) であることが明らかになった。また, 子ども用身体活動の恩恵・負担尺度の信頼性および妥当性が確認された。研究IIIにおいては, 小学4-6年生男子202名および女子201名を対象に, 子どもにおける身体活動の行動変容段階と意思決定バランスの関係を検討した。分散分析を行った結果, 身体活動の恩恵・負担尺度得点について, 身体活動の行動変容段階の主効果が認められた。不活動な子ども (無関心ステージ) は, 他の子どもに比べ, 身体活動の恩恵に対する知覚が弱く, 負担を強く知覚していた。標準得点を用いて, 身体活動の恩恵と負担の知覚の交差点 (恩恵の知覚が負担の知覚を上回るポイント) を検討した結果, 男子では「実行ステージ」, 女子では「維持ステージ」において認められた。本研究の結果から, 子どもにおける身体活動の行動変容段階と意思決定バランスの関係の一部が示された。