著者
安冨 歩 深尾 葉子 脇田 晴子 長崎 暢子 中村 尚司 生田 美智子 千葉 泉 西川 英彦 中山 俊秀 葛城 政明 苅部 直 渡辺 己 星 泉 小寺 敦 上田 貴子 椎野 若菜 與那覇 潤 黒田 明伸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

人間を含む生命の生きる力を「神秘」として捉え、その発揮を阻害する要因たる「暴力」を合理的に解明する研究戦略を「合理的な神秘主義」として見出した。こうして発揮される神秘的な力こそが秩序形成の原動力であり、それは個々人の魂の脱植民地化を通じて実現される。この側面を無視した秩序論は必然的に暴力を正当化することになる。
著者
鈴木 亮子 遠藤 智子 中山 俊秀 横森 大輔 土屋 智行 柴崎 礼士郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-07-18

「言語の定型性」という、従来の言語研究では殆ど顧みられてこなかった側面が、実際の言語使用では広汎に見られることが近年指摘されてきている。定型性の理解に向けて、実際の人々の言語使用を記録したデータをもとに観察・分析・記述を蓄積しつつ、言語の定型性を中軸に据えた文法理論の構築を試みることが、私たちのもつ言語知識の全体像の理解に不可欠であると考え、本研究では日中英3言語の会話をはじめとするデータの分析に取り組んでいる。定型性の分析に向けての情報収集を行った初年度に続き、2018年度はデータと向き合い個々のメンバーの専門性を生かした研究活動を進めることができた(業績参照)。2018年5月に年間活動予定を定め二通りのデータセッションを行った。まず同じ動画データ(大学生の会話)を見ながらメンバーそれぞれの定型性と言語使用に関する気付きを共有し合った後、個々のメンバーが日・中・英語のデータから短いセグメントを持ち寄り議論をした。定型性を分析する上でポイントになるリサーチクエスチョンのリストを作成した。これらが研究をまとめる際の糸口になる。9月には国際学会(Referentiality Workshop)などに複数のメンバーが研究発表を行い海外の学者との研究交流を深めた。2018年12月に海外研究協力者のHongyin Tao氏(UCLA)と大野剛氏(U of Alberta)を招聘し東京外国語大学で国際ワークショップを開催し、言語の定型性を中心に据えた理論化を見据えた発表を聞くことができた。2019年3月6日から7日にかけて九州大学で行った第3回目の会合ではこれまでの研究会合を振り返り今後の方向性を議論した。相互行為分析からは少し離れた立場の方々を招いて言語の定型性に関する議論を深める案などが出された。2020年3月には定型性研究の先鞭をつけたAlison Wray氏をイギリスから招いて国際ワークショップを開催する方向で動き出している。
著者
中山 俊秀 大島 稔 中山 俊秀
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

本研究最終年度である平成14年度は、研究成果の取りまとめに力を入れる一方、引き続き現地調査も行い、言語資料の量・質両面でのよりいっそうの充実をはかり、古アジア諸語研究の基盤整備をすすめることができた。また、これまで蓄積されてきた古アジア諸語の記述研究の成果をより広いコンテクストにおくべく、北太平洋を挟んで対峙する北米北西海岸地域の言語・文化の記述研究も並行して行った。チュクチ・カムチャツカ語族のアリュートル語に関しては、研究協力者の永山ゆかり(北海道大学大学院)が、ロシア連邦カムチャツカ州のコリヤーク自治管区においての現地調査を実施した。アリュート語については、研究協力者の大島稔(小樽商科大学教授;H14文部科学省在外研究員)がコマンドルスキー諸島ベーリング島においてアリュート語ベーリング島方言及びメドヌイ島方言に関する調査を実施した。研究代表者および研究協力者の中山久美子(カリフォルニア大学大学院)は北米北西海岸側の調査をカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー島西岸で行った。これらの現地調査で得られた言語の一次資料はこれまでの調査研究による資料とともに電子化した。語彙・文法データはデータベース化し資料の利用価値・利用効率を高め、音声はデジタル化し音質の劣化を防ぐとともにやはりデータとしての扱いやすさを向上させた。調査研究の成果刊行物としてはさらに文法概説およびテキスト集3編をまとめ、さらに、ロシア人研究者の著したアリュートルの言語と民話についての記述の翻訳作業を進めた。