著者
安冨 歩 深尾 葉子 脇田 晴子 長崎 暢子 中村 尚司 生田 美智子 千葉 泉 西川 英彦 中山 俊秀 葛城 政明 苅部 直 渡辺 己 星 泉 小寺 敦 上田 貴子 椎野 若菜 與那覇 潤 黒田 明伸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

人間を含む生命の生きる力を「神秘」として捉え、その発揮を阻害する要因たる「暴力」を合理的に解明する研究戦略を「合理的な神秘主義」として見出した。こうして発揮される神秘的な力こそが秩序形成の原動力であり、それは個々人の魂の脱植民地化を通じて実現される。この側面を無視した秩序論は必然的に暴力を正当化することになる。
著者
小倉 智史 海老原 志穂 杉山 雅樹 宮坂 清 星 泉 熊谷 瑞恵
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究課題は、インド・パキスタンに広がるヒマラヤ山脈西部に居住する、チベット系言語を母語とするムスリムの言語・社会・宗教状況を総合的かつ包括的に解明することを目的とする。具体的には、言語学・イスラーム学・人類学分野の研究者による文献調査、および現地でのフィールド調査を共同で行い、ともすればチベット人と言えば仏教、というようなステレオタイプな理解を乗り越えて、新たなチベット学の地平を切り開く。
著者
星 泉 岩田 啓介 平田 昌弘 別所 裕介 山口 哲由 海老原 志穂
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s2, pp.s164-s167, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
5

チベット・ヒマラヤ地域の人々は、様々な文化圏の影響を受けながら、冷涼かつ乾燥した高地という環境を活かした伝統的な生業を発達させてきた。周辺地域との影響関係については平田がユーラシア各地の乳製品の加工プロセスを広く調査し、説得力のある説を提示している。本研究では、乳加工プロセスの比較研究の手法をその他の資源にも応用し、周辺地域との影響関係や地域ごとの独自発展の様相を、より多層的に考察することを目的とし、チベット・ヒマラヤ牧畜農耕資源データベースを共同で構築中である。様々な言語の文献から当該地域における各種牧畜農耕資源の加工プロセスに関して収集したデータを共有し、地理情報や年代情報、コメントとともに入力し、地域間比較研究のために活用している。本発表では、このデータベースを活用した、乳加工・乳製品の地域間比較研究の事例紹介と、今後のフィールド調査に向けた調査票の準備状況について報告する。
著者
星 泉 岩田 啓介 平田 昌弘 別所 裕介 山口 哲由 海老原 志穂
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s198-s201, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
3

チベット高原では都市への移住と村落部の生活変化が急速に進み、家畜飼養と密接に結びついて長期間かけて形成されてきた民俗文化が、十分な学術調査がなされないまま、急速に失われようとしている。発表者らはこれを憂慮し、チベット高原東北部の青海省ツェコ県において、牧畜民出身の研究者と現地の人々とともに6年間にわたる現地調査を実施し、牧畜民の民俗文化を体系的に整理した『チベット牧畜文化辞典』を刊行した。調査の過程では、辞典には収録しきれない語り・映像・写真・音声・文学作品など多岐にわたる情報が得られ、発表者らの手元に残されている。これらを有機的に結びつけた形でアーカイブすることによって民俗文化を再現的に活写することを課題とし、現在実験的試みを続けている。本発表では、この一連のプロセスから成る研究の営みを「フィールド・アーカイビング」と位置づけ、その意義と可能性について論じる。