著者
梶原 祥平 中村 滋延
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.15-20, 2008-08-06
参考文献数
6

筆者が、「誰でも矢沢永吉のライブのステージにおける気分を体験することができる」というコンセプトで制作を行っているインタラクティブ・メディア・アート作品《独りスーパースターマシン》について解説を行う。30年以上に渡り、ファンを魅了し続けている矢沢の魅力を、詳細に調査・分析し、インタラクティブ・メディア・アート作品として完成させることで、矢沢が持つステージにおける魅力を新たな視点から、さらに深く理解することができると考えた。本研究報告においては、作品の表現的側面だけでなく、音楽情報科学分野にとっても有益と考えられるシステム的・技術的側面にも焦点を当てて論じる。
著者
中村 滋延 矢向 正人 西田 紘子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

作曲家今史朗(コン・シロウ)は1940年代から1977年に没するまで創作活動を福岡で行っていた.早くから電子音楽に取り組み,前衛的な音楽を次々と作曲・発表していた.しかし彼は福岡以外ではまったく知られていない.福岡においても,死後,彼は忘れられた作曲家になってしまった.私は偶然のキッカケで彼の作品の楽譜と録音を預かることになった.そこではじめて彼の作品に触れ,その作品のレベルの高さに驚嘆した.彼の作品の素晴らしさを多くの人に知らせたい.そのために,本発表では,彼の作曲活動の軌跡を明らかにし,代表的な作品を分析紹介した.今史朗は当時の前衛音楽の歴史を体現した作曲家である。
著者
中村 滋 杉山 滋郎
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.45, no.240, pp.209-219, 2006-12-01
参考文献数
61
被引用文献数
2

HOSHINO Kasui (1885-1939), who graduated in mathematics from Tokyo Higher Normal School, wrote and published The Study of Geometry by the CHART System, a math study book for entrance exams, in 1929. Since then, the study books, which are named CHART System, have been published for over 75 years. Therefore, it can be said that the CHART System is an established method of study used in study books. However, there exists no previous research on the CHART System or its founder, HOSHINO Kasui. This paper clarifies the following two points: 1) Origin of the CHART System: The CHART System was developed by Hoshino Kasui in cooperation with his business involving the publication of a monthly magazine and several study books for entrance exams as well as through his managing and teaching experiences in a cramming school. 2) Features of the CHART System: The features of the CHART System become evident upon comparing the solution provided by Hoshino and that provided by a previous study book with regard to the same question. Hoshino led students to the solution by providing CHARTs, which were precepts based on solution scenarios that did not require dependence on rare inspiration. Hoshino's CHART System, which he extracted from numerous solution scenarios, was the first step in the compilation of solutions to questions in study books into a manual.
著者
梶原祥平 中村 滋廷
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.78(2008-MUS-076), pp.15-20, 2008-07-30

筆者が、「誰でも矢沢永吉のライブのステージにおける気分を体験することができる」というコンセプトで制作を行っているインタラクティブ・メディア・アート作品《独りスーパースターマシン》について解説を行う。30 年以上に渡り、ファンを魅了し続けている矢沢の魅力を、詳細に調査・分析し、インタラクティブ・メディア・アート作品として完成させることで、矢沢が持つステージにおける魅力を新たな視点から、さらに深く理解することができると考えた。本研究報告においては、作品の表面的側面だけでなく、音楽情報科学分野にとっても有益と考えられるシステム的・技術的側面にも焦点を当てて論じる。
著者
中村 滋 杉山 滋郎
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.240, pp.209-219, 2006 (Released:2021-08-11)

HOSHINO Kasui (1885-1939), who graduated in mathematics from Tokyo Higher Normal School, wrote and published The Study of Geometry by the CHART System, a math study book for entrance exams, in 1929. Since then, the study books, which are named CHART System, have been published for over 75 years. Therefore, it can be said that the CHART System is an established method of study used in study books. However, there exists no previous research on the CHART System or its founder, HOSHINO Kasui. This paper clarifies the following two points: 1) Origin of the CHART System: The CHART System was developed by Hoshino Kasui in cooperation with his business involving the publication of a monthly magazine and several study books for entrance exams as well as through his managing and teaching experiences in a cramming school. 2) Features of the CHART System: The features of the CHART System become evident upon comparing the solution provided by Hoshino and that provided by a previous study book with regard to the same question. Hoshino led students to the solution by providing CHARTs, which were precepts based on solution scenarios that did not require dependence on rare inspiration. Hoshino's CHART System, which he extracted from numerous solution scenarios, was the first step in the compilation of solutions to questions in study books into a manual.
著者
中村 滋
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1-2, pp.45-54, 2008 (Released:2020-04-21)

受験勉強の枠を超えて,数学教育上の意義を認められていた受験数学参考書がかつてあった。それが岩切晴二著の『代数学精義』である。旧制第六高等学校の数学教授であった岩切晴二は,分厚い演習型参考書の形式を確立した。教員のいない参考書上でも演習が成立するように,例題の配列と,例題と練習問題の密接な連携に工夫をこらした。また,割り算における0の吟味を厳密に行い,受験参考書の数学的厳密性のレベルアップを図った。岩切は,高等教育機関で行われていた数学演習と0の吟味を受験数学に対して適用させたのである。『代数学精義』の数学教育的意義について,先行して出版されていた藤森良蔵の受験数学参考書と比較して論じる。
著者
長濵 裕太郎 中村 滋延
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.17, pp.1-4, 2013-12-16

ゲーム音楽は,使用される場面に相応しい楽曲か否かが重要となるが,「場面に相応しい楽曲が有するべき音楽的特徴」 は未だにまとめられていない.そこで本研究では,一定の歴史と人気があるゲームシリーズの音楽を場面ごとに分類し,共通する音楽的特徴を 「場面に相応しい音楽が有するべき特徴」 として抽出した.その抽出結果をもとに,原曲データと場面名を入力することで,入力された場面に相応しい楽曲となるよう原曲データの各種音楽的要素の値を変更して出力する自動編曲ソフトウェア 《SYGMA》 を制作した.It is important for video game music to be appropriate to a game scene; however, features that appropriate game music should possess are typically poorly organized. This study classifies music used in popular games according to game scenes, and determines the common features that the game music should have for a scene. Accordingly, <<SYGMA>>, automatic arrangement software, is developed, which changes input music data into more appropriate music for a particular scene.
著者
中間 亮佑 中村 滋延
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.16, pp.1-4, 2013-12-16

本稿は筆者が制作した演奏システム 《GURURI》 について解説していくものである.《GURURI》 は,主にライブ録音された音源を素材として,それをマルチチャンネル再生することで,音像移動によって演奏を行うライブ・パフォーマンスシステムである.さらに,音像移動や変調される様子がスクリーンに映し出される.鑑賞者はその視覚的情報と,どの方向からどの音が鳴っているかという聴覚的情報との対応性をもとに,音の空間性を強く意識しながら耳を傾けることができる.This paper introduces a rendition system called "GURURI," which carries out multi-channel spatialization in live performances using sound movement and recorded sounds. It projects images that expresse sound movement and other sound information on a screen. On the basis of this relation between visual and auditory information, the audience can concentrate on a sound space.
著者
中村 滋延
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
no.2, pp.25-36, 2004-11-25

ビデオソフトがDVD 化されていることと関連しているのかどうか不明であるが,ここわずか数年の間にアート・アニメーションの名作がDVD ビデオとして次々と発売されている。短編が主流であるアート・アニメーションにおいては,ランダムアクセス可能なDVD ビデオはたしかに扱いやすいメディアであろう。アート・アニメーション先進国と言われるチェコや旧ソ連,カナダの名作を質の良い画像で, しかも手近で見ることができるのはまことにありがたい。アート・アニメーションの定義はあいまいである。アニメーション映画の中で,ディスニーや宮崎駿などに代表される商業映画アニメーションとは対極にあるものを指す。短編が主流で, 多くの作品が上映時間10 分から20分程度である。商品としての採算を無視して作られることが多いので,芸術表現上の新しい試みが行いやすく,アートとしての表現欲を満たすことのできる領域である。芸術表現上の新しい試みは映像表現のみならず,音表現においてもなされている。2002 年から箪者が収集した多くのDVD ビデオの中から,音表現において新しい試みがなされていると思われるアート・アニメーション作品を4つ取り上げて,それぞれについて音表現に焦点をしぼって論述する。作品名は; / 1. 久里洋二《G線上の悲劇》1969, 『久里洋二作品集』Pionner, PIBA-3036 / 2. コ・ホードマン《シュッシュッ》1972, 『NFB FilmWorks Co Hoedeman』Pioneer, PIBA-1343 / 3. ヤン・シュヴァンクマイエル《男のゲーム》1988,『シュヴァンクマイエルの不思議な世界』iMAGE FORUM VIDEO, DAD99001 / 4. イジー・バルタ《見捨てられたクラブ》1989, 『闇と光のラビリンス』iMAGE FORUM VIDEO, DAD0104 / であり,いずれもアート・アニメーションとしてよく知られた作品である。それぞれの作品についての論述の項目は以下のとおりである: / 1. 基本情報 / 2. 論述の焦点 / 3. 作品の分析 / 4. 分析結果に基づく考察 / 5. 考察のまとめ / なお,それぞれの評論は独立したものであり,本稿はいわば「評論集」である。
著者
中村 滋延 Nakamura Shigenobu
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-44, 2011

By analyzing the structures of the sound tracks of JUDOU, this thesis aims to reveal Zhang Yimou's high sensitivity and his cinematic expertise. The structural analysis of these sound tracks aims to explain the relationship between the sound tracks as the audio expression and the stroy itself. The audio component of this movie is characterized by its restrained usage―only two musical melodies and sound effects such as Chinese gongs, jingling of horse bells, running water, birds calling, and dying machines rattling. These sounds connote a certain meaning, similar to a leitmotif. Therefore, these sounds are not intended to only accompany the visual content but also narrate the story more clearly. JUDOU, despite its seemingly predictable plot, contains many bold experimental challenges in terms of its audio effects.
著者
中村 滋延
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 : 九州大学大学院芸術工学研究院紀要 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.19-26, 2012

This paper is a discussion about how the sounds (sound effect or noise) that constitute the sound track characterize the story structure in the movie "Tokyo Story" directed by Yasujiro Ozu. "Tokyo Story" is based on the story structure as "Go and Return". An antinomy for "Here" and "There" exists in this structure. "Here" includes the concept of locality (Onomichi), elderly couple, dream, and death, and "There" includes the concept of central (Tokyo), children, reality, and life as an opposite axis. Each concept is characterized by the sounds. Furthermore, the story structure with "Go and Return" necessarily defines the composition on temporal axis as a cyclic form. Each part that constitutes the cyclic form is also characterized by the sounds.
著者
中村 滋延
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.24, pp.23-28, 2004-03-04

筆者は、1970年代半ばにミュージック・シアターと出会い、視覚的要素を持つ音楽に興味を持った。視覚的要素は音楽構造にも変化を与え、あらたな表現の可能性をもたらすように思われた。しかし、ミュージック・シアターの実践を通して、演奏動作の視覚的要素としての制約を問題として感じ始めた。その問題を解決するためにコンピュータを用いたインタラクティブ・システムを利用するようになった。このことによって演奏動作が視覚的要素として表現力を増すようになった。しかし、視覚的な表現力としては映像に勝るものはない。そこでインタラクティブ・システムが音響に対してだけでなく、映像に対しても及ぶような作品を制作するようになった。そのような作品を「音楽系メディアアート」と命名した。そうした中で、映像と音響の関係を緻密なままにメディアに固定した作品を「映像音響詩」という名で制作するようになった。視覚的要素は聴覚的要素に影響を及ぼして、音だけでは次への予測が困難な無調性の音楽にも次への予測を可能にし、集中して音の推移を鑑賞者が追いかけていくことを可能にする。
著者
小濱 優子 中村 滋子
出版者
川崎市立看護短期大学
雑誌
川崎市立看護短期大学紀要 (ISSN:13421921)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.39-47, 2016-03

本研究の目的は、看護学生が企画・運営したアロマセラピーのボランティア活動に対して、その体験からどのような学びを得たのかを明らかにすることである。方法は、質的記述的研究デザインである。アロマセラピーのボランティア活動に参加した看護学生7名を対象とし、「ボランティア活動で学んだこと」について、無記名自由記述方式で調査し、意味のある文章のまとまりをコード化、カテゴリ化し、質的に分析した。その結果、「学び」は、【コミュニケーションの学び】、【相手の反応を観て対象を理解すること】、【相手に合わせた環境への気づき】、【ボランティアの意味への気づき】、【自己の看護への動機づけ】の5つのカテゴリに分類された。看護学生は、手を用いた"触れる"ケアを行うことによって、対象と相互に癒される関係を築くことができた。また、ボランティア体験を通して、チームの一員としての責任感を自覚し協働作業の意識向上に繋がったと考え、看護学生の自主性や社会性を育成する意義ある学びの体験であったと考える。
著者
中村 滋延
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.24(2003-MUS-054), pp.23-28, 2004-03-05

筆者は、1970年代半ばにミュージック・シアターと出会い、視覚的要素を持つ音楽に興味を持った。視覚的要素は音楽構造にも変化を与え、あらたな表現の可能性をもたらすように思われた。しかし、ミュージック・シアターの実践を通して、演奏動作の視覚的要素としての制約を問題として感じ始めた。その問題を解決するためにコンピュータを用いたインタラクティブ・システムを利用するようになった。このことによって演奏動作が視覚的要素として表現力を増すようになった。しかし、視覚的な表現力としては映像に勝るものはない。そこでインタラクティブ・システムが音響に対してだけでなく、映像に対しても及ぶような作品を制作するようになった。そのような作品を「音楽系メディアアート」と命名した。そうした中で、映像と音響の関係を緻密なままにメディアに固定した作品を「映像音響詩」という名で制作するようになった。視覚的要素は聴覚的要素に影響を及ぼして、音だけでは次への予測が困難な無調性の音楽にも次への予測を可能にし、集中して音の推移を鑑賞者が追いかけていくことを可能にする。
著者
中村 滋延
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MUS-83, no.16, pp.1-5, 2009-11-28

“第三の音楽”と呼ばれる音楽がある.西洋芸術音楽 (クラシック) や “現代音楽” とは無関係であり,かつロックやポップスのような大衆音楽とも無関係な 「現代の音楽」 である.本発表ではその “第三の音楽” の紹介を通して,コンピュータ音楽の新しい傾向のひとつについて解説する.