著者
井上 啓子 清水 和栄 平賀 恵子 吉川 妙子 梅村 聡美 大瀧 香織 高橋 恵理香 徳永 千賀 古田 久美子 若山 真規子 水野 晴代 松村 香里 高井 千佳 加藤 静香 宇野 千晴 出口 香菜子 榊原 知世 高橋 宏 伊藤 恭彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.493-501, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
20

維持血液透析患者のprotein-energy wasting (PEW) の実態とPEWとの関連因子を検討した. 透析導入後6か月以上409例の合併症, 身体計測値, 血液検査, 食事摂取量を調査. 国際腎疾患栄養代謝学会による区分に従いPEWを判定し, Logistic回帰分析により関連因子を求めた. 年齢64±11歳, 透析歴8 (3~14) 年, 高血圧合併74.3%, BMI 21.1±3.4kg/m2, 血清Alb 3.7±0.3g/dL, エネルギー30±6kcal/kg IBW, たんぱく質1.01±0.22g/kg IBWであった. PEWは3項目以上該当17.1%, 年齢, 透析歴, 高血圧がPEWとの独立した背景因子であった. 食品群別摂取量との関連は, 肉類, 魚介類, 砂糖類摂取量が独立因子となった. さらにROC解析によるカットオフ値 (肉類46.7g, 魚介類41.7g, 砂糖類9.0g) 未満の摂取のオッズ比は肉類2.74 (95%CI 1.55-4.85, p=0.001), 魚介類2.04 (95%CI 1.16-3.61, p=0.014), 砂糖類1.88 (95%CI 1.05-3.37, p=0.033) であった. 通院患者の17.1%がPEWであり, 肉類, 魚介類, 砂糖類の摂取不足とPEW発症との関連が示唆された.
著者
小倉 俊一郎 中山 沢 山本 新九郎 福原 秀雄 花﨑 和弘 井上 啓史
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.238-248, 2023-01-15 (Released:2023-01-15)
参考文献数
40

5-アミノレブリン酸(ALA)は生体内で合成されるアミノ酸の一種であり,ポルフィリンやヘムの前駆体である.がん患者にALAを経口投与した場合,腫瘍特異的なプロトポルフィリンIX(PpIX)の蓄積が認められる.ポルフィリンが蛍光物質であること,さらには可視光照射下において活性酸素種を発生させることを利用して,がんの光線力学診断(ALA-PDD)や光線力学療法(ALA-PDT)へ応用されている.休眠がん細胞は,腫瘍内の微小環境などの影響によって,細胞増殖が抑制されたがん細胞である.周囲の環境変化により再増殖をするうえ,化学療法や放射線療法に対して抵抗性を持つため,がんの再発と密接な関わりがあると考えられている.本研究では,ヒト前立腺がん由来細胞株PC-3を用いて,細胞密度に着目したin vitroにおける休眠がん細胞モデルを構築した.また,休眠がん細胞モデルにおけるALA添加後のPpIX蓄積およびPDT感受性の評価を行い,休眠がん細胞のALA-PDTに対する感受性が高いことを示した.さらに,休眠がん細胞モデルに対してマイクロアレイ解析を行うことにより,休眠状態への移行に付随して脂質代謝が亢進することを明らかにした.Acyl-CoA synthetase(ACSs)の抑制剤(triacsin-C)を添加することによって,PpIX蓄積が減少し,ALA-PDTに対する感受性が低下した.以上のことから,休眠状態への移行に付随するALA-PDTの殺細胞効果の亢進は,脂質代謝の亢進と相関するものであることが判明した.
著者
北島 知夫 赤司 有史 山口 泉 北島 正親 大久保 仁 井上 啓爾 小原 則博 前田 潤平
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.223-228, 2009 (Released:2009-06-25)
参考文献数
20
被引用文献数
4

胆嚢捻転症の1例を経験した.胆嚢捻転症は,特異的な症状に乏しく比較的希な疾患であるが,画像診断の進歩により術前診断例も増えてきている.一方で,捻転により血行障害を来し,壊死性変化が急速に進むこともあり治療は緊急を要する.症例は高齢の女性で,急性胆嚢炎症状で発症し,手術時の所見で胆嚢捻転症と診断した.360°の捻転を呈する完全型の胆嚢捻転症で壊疽性胆嚢炎に陥っていた.胆嚢捻転症においては,高齢の痩せた女性に多いなどの特徴的な疾患背景や画像所見上,著明な胆嚢腫大に胆嚢管の先細り様の途絶や渦巻き像の描出などがないかを念頭におき診療にあたることが重要であると考えられた.また,胆嚢捻転症の根本は遊走胆嚢であることから,治療に際しては胆嚢穿刺は控え,緊急での手術,特に腹腔鏡下胆嚢摘出術の良い適応になると考えられた.
著者
井上 啓
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.329-335, 2012 (Released:2012-07-04)
参考文献数
44
著者
中山 義久 西田 一彦 西形 達明 井上 啓司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.638, pp.207-215, 1999-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
2

非常に幅広い物理・強度特性を有するまさ土の液状化特性を総合的に把握することを目的として, 関西地区で産する複数のまさ土を対象として繰返し三軸試験機で液状化試験を実施した. 液状化強度に及ぼすまさ土の物性値として粒度特性 (細粒分含有率, 50%通過粒径, 均等係数), 風化度 (強熱減量), コンシステンシー特性 (流動限界) を選び, それぞれの物性値と液状化強度との関連を調べた. その結果, まさ土の液状化特性はその採取場所によって大きく異なるが, コンシステンシー特性 (流動限界) と圧密後の間隙比を用いて簡易的に液状化強度を推定できることが明らかになった.
著者
井上 啓史 辛島 尚 鎌田 雅行 執印 太郎 倉林 睦 大朏 祐治
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.719-729, 2006-07-20
被引用文献数
10 4

(目的)5-アミノレブリン酸(5-ALA)膀胱内注入による蛍光膀胱鏡を用いた膀胱癌に対する光力学的診断の有用性および副作用の検討.(対象と方法)膀胱癌18例(男性15例女性3例,年齢中央値71(44〜84歳),初発症例8例,再発症例10例)を対象とした.検査前に5-ALA溶液を膀胱内注入し,白色光源および蛍光光源を用いて観察し,膀胱生検を行った.本法の有用性は蛍光励起の程度とその部位の病理組織像との対応で評価した.またROC曲線下面積(AUC)を算出し,通常の白色光源下膀胱鏡診断法と比較検討した.(結果)全129生検検体(隆起病変部45検体,非隆起部84検体)中,76検体(内,上皮内癌19検体)が悪性,21検体が異形成と病理学的に診断された.全検体における本法の的中精度は77.0%で,感度89.5%,特異度58.5%であった.AUCはいずれの場合も本法が通常の白色光源下診断法を上回り,特に全症例(p=0.010),非隆起病変(p=0.007),再発症例(p=0.002)において有意な差を認めた.5-ALAの膀胱内貯留時間(中央値80(30〜150)分)は診断精度には影響しなかった.副作用は軽度の膀胱刺激症状のみで,全身的な副作用は認めなかった.(結語)本法は有用かつ安全であり,今後,膀胱癌に対する標準的検出法の一つとなりうると考えた.