著者
滑川 道人 井上 由紀
出版者
埼玉県立大学保健医療福祉科学学会
雑誌
保健医療福祉科学 (ISSN:2186750X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.21-27, 2020-03-31 (Released:2020-04-03)
参考文献数
30

「新型たばこ」は、タバコの葉そのものを使用する「加熱式たばこ」と、使用しない「電子たばこ」に分類される。加熱式たばこのエアロゾルには、紙巻たばこに含まれる有害性物質が(程度の差こそあれ)含まれ、従来からのたばこと変わらない。紙巻たばこから加熱式たばこに切り替えることが「リスク・リダクション」になるかは未解明である。 一方、本邦で販売許可されている電子たばこにはニコチンは含まれない。しかしニコチン入りの海外製品を個人輸入して使用している例が少なからずあり、本格的な喫煙・ニコチン依存症へと進展する危険性がある。また電子機器の爆発による死亡事故も報告されている。 さらにごく最近、電子たばこ使用者(主に若年者)に急性肺障害(EVALI)が発症することが知られ、2019年10月末時点、アメリカ全土で1600名(うち死者34名)を超えた。新型たばこの有害性は未解明な点が多く、安全性が確認できるまでは使用しない方が賢明である。
著者
茎津 智子 井上 由紀子 岩本 喜久子 田中 さおり
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

死別した子どもを持つ親の語りの分析では、子どもは死別した人との新たな関係を構築するプロセスとして家庭内の仏壇の存在や墓参りなどが、わが国においては重要な役割を担っていることが示唆された。一方で看護職への調査では普段から子どもに関わる現場の看護職か否かに関わらず、家族と死別する子どもへの関わりに戸惑いや難しさを感じており、子どもの死の理解や子どもと死の問題を語ることの意味を考える機会がないことが背景にあった。また、小中学校教員への子どものグリーフに関する研修会への参加者が少なさからも、子どものグリーフに関して理解や関心が十分でない実態がみえてきた。以上から子どもと死の問題に関する学習会や事例検討を積極的に展開する必要があることが示唆された。
著者
前原 文雄 井上 由紀子 池田 淳 伊藤 学 長谷川 文雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.601-608, 2000-04-20
参考文献数
9
被引用文献数
11

膨大な映像データベースの中から自分の意図する素材の高速検索や加工編集を可能とし, 同時に映像素材が多目的に利用できるペタ (百万G) バイト級の大容量映像アーカイブシステムと, その視覚的検索方式を開発した.大容量アーカイブでは, アクセス速度の向上から容量, 処理速度の異なる複数種類のサーバ, もしくはアーカイブを組合せて, これらを統合管理する必要がある.また, 大容量画像データを利用者が内容を確認しつつ効率的に検索する必要がある.このため, マルチ画面同時表示によるブラウジング方式, ならびに画像データのシーン変化点を自動検出し, ダイジェスト映像を作成し検索に供する方式を開発した.ここでは, 大規模磁気テープ自動装填ロボット (7200巻) を中心とした大容量アーカイブシステムと, マルチ画面表示, シーン検出方式によるダイジェスト映像を併用した視覚的情報検索方式について報告する.
著者
井上 由紀子 山根 一人 大河 俊博
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-4, 1991 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7

健常人の反応時間に対する学習効果を筋電計とパーソナルコンピューターを用いて検索した。刺激パターンは学習前後で同一とした。また、対象は男性9名、女性11名の20名とし、平均年齢は26.8歳であった。測定回数を重ねるにしたがって、反応時間も短縮される傾向にあった事から、測定の中間に反応時間の変動要因を置き、反応時間の短縮が認められても、その全てを促通効果と見なすには一考を要すると思われた。
著者
西浦 郁絵 中野 智津子 能川 ケイ 藤原 智恵子 丸山 浩枝 服部 素子 小西 真千子 井上 由紀子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.24, pp.91-99, 2005-03

本学は少子高齢化社会の進展を背景に、神戸市立看護専門学校を前身として、1981年4月に兵庫県下初の看護学単科の公立短期大学として関学した。その後、看護大学の開学に伴い、神戸市看護大学短期大学部へと名称変更し、第2看護学科の廃止、看護学科の定員減少をへて、平成17年3月に閉学を迎えるに至った。1993年以降卒業生を対象とした動向調査は行われていない。そこで、閉学を迎えるにあたり本学で学んだ閉学時までの全卒業を対象に調査しその動向を把握し、専門職者としての自立とキャリアアップについて本学の果たした社会的役割や貢献を明らかにするために2004年の8月から9月にかけて2593名の卒業生を対象に、アンケート調査を実施した。本報ではその結果の中から有効回答数668名の卒業生の動向および就業状況について明らかにした。
著者
相良 康子 後藤 信代 井上 由紀子 守田 麻衣子 倉光 球 大隈 和 浜口 功 入田 和男 清川 博之
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.18-24, 2014-02-28 (Released:2014-03-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本邦におけるHTLV-1感染者は108万人と推計されており,HTLV-1は成人T細胞性白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)といった重篤な疾患の原因として知られている.日本赤十字社血液センターでの抗HTLV-1抗体の確認検査としては,2012年9月よりウエスタンブロット(WB)法が採用され,検査結果の通知を希望される献血者への通知に際しての判定基準となっている.しかしながら,WB法では判定保留例が多く確定に至らない事例が蓄積されている.今回,我々はWB法における判定保留事例を対象として,複数の方法による抗体検出ならびにHTLV-1プロウイルス(PV)検出を試み,性状解析を行った.その結果,WB法判定保留事例239例中89例(37.2%)でHTLV-1 PVが検出されたが,そのうち4例は化学発光酵素免疫測定(CLEIA)法で,また2例は化学発光免疫測定(CLIA)法で陰性を示した.また,PV陰性150例中19例(12.7%)では複数の抗体検出系で特異抗体が認められたことから,末梢血中のPVが検出限界以下を示すキャリアの存在が示唆され,精確なキャリア確定判定のための抗原同定と検査系確立を要すると考える.
著者
井上 高良 井上 由紀子 浅見 淳子 寺川 洋平 江草 早紀 平賀 孔
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、生後間もないマウス大脳皮質の接線軸方向に沿ってユニークな発現様式を示すシナプス・細胞間接着分子カドヘリン遺伝子群に着目し、それら発現制御機構や領野形成に果たす役割を探索することから、これまで不明であった大脳皮質機能領野個々の発生に関わる細胞・分子機序に迫ることを主目的とした。その結果、生後1週間の短期間に視床からの入力やバレルIV層神経細胞自身の活動に依存してカドヘリンサブクラスの発現動態が精妙に調節され、各サブクラスのもつ選択的な接着特異性が動的かつ協同的に神経細胞体の配置や樹状突起の配向性を制御することによってバレル領野特異的な組織構築様式を表出することが明白となった。
著者
茎津 智子 岡田 洋子 菅野 予史季 井上 ひとみ 井上 由紀子 志賀 加奈子
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-12, 2005-09-30

This study discussed how to do Death Education for school-aged children and evaluated intervention in Death Education. The subjects were 80 children - the 4^<th> grade of elementary school. As the teaching material for Death Education a documentary film was prepared; the story of a school-aged boy living and fighting against his disease. The subjects wrote two reports about "the meaning of life" or "life now", before and after of the Death Education. Their reports were analyzed using the constant comparative method. Analysis revealed that there were four major categories before intervention (#1-4), and five major categories after intervention (#5-9). 1. the preciousness of life, 2. their feelings about daily life, 3. their thought about life and death regarding other person's circumstances, 4. the significance of life and death, 5. the absurdity of death, 6. their new leaning about the preciousness life, 7. their impression about living and life, 8. attitudes to life, 9. their emotional response to the unreasonable death of other. As a result, compared with categories before and after intervention, children have an opportunity to think and to feel about "life", "death" and "daily life" more familiarly after the intervention. This teaching material for Death Education was easy to comprehend for them, because the character in the film was a school-aged child of the same generation. It was extrapolated that children were concerned about "life", "death" and "daily life", but they had no chance to talk or reflect about this theme with their families, teachers or friends. We still have to continue to discuss and evaluate methods of Death Education, but in greater dialogue about this theme with children.
著者
井上 高良 井上 由紀子
出版者
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では細菌人工染色体を解析単位とした独自かつ効率的な遺伝子発現制御領域特定法の適用により、マウス前脳コンパートメント形成に関わる分子機序を明白にすることをめざした。その結果、まず細胞接着分子Cdh6のマウス前脳コンパートメントに対応した発現様式に転写開始点上流およそ40-kbに位置する110-bpの断片が必要なことがわかった。また、この110-bp断片と前脳特異的なマスターコントロール遺伝子Pax6の結合モチーフを含まないゲノム領域が協同的に働くことが前脳コンパートメントに対応したCdh6発現様式に十分であることが示された。本成果は複雑な細胞構築と機能をもつ前脳発達基盤を規定する遺伝的調節カスケードの組み合わせを初めて明らかにしたため意義深い。