著者
砂田 安秀 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-11, 2021-04-09 (Released:2021-04-09)
参考文献数
37

近年,マインドフルネスが効果をもたらすためには,他者に害を及ぼさず,思いやることを良しとする倫理(危害/ケア)を必要とする知見が提出されている。また,危害/ケアを欠いた場合,マインドフルネスが有害な結果をもたらす可能性が指摘されている。本研究では,想定される有害な行動として能動的攻撃を取り上げ,マインドフルネスと能動的攻撃の関連に対する危害/ケアの調整効果を検討した。大学生179名を対象とした質問紙調査を実施し,階層的重回帰分析を行った結果,危害/ケアが低い場合,マインドフルネスが高いほど,能動的攻撃性が高かった。この結果より,マインドフルネスは危害/ケアが欠如した中では有害な行動にむすびつく可能性が示唆された。以上を踏まえて,今後の研究では,マインドフルネスにもとづく介入による有害事象の可能性を検証する必要性が示唆された。
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.253-262, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.150-159, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.2.13, (Released:2019-10-24)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。
著者
杉浦 義典
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.167-177, 2008 (Released:2008-12-17)
参考文献数
36
被引用文献数
19 7 6

Potential benefits of the construct of mindfulness for the research in two interactive fields (emotion regulation and psychological treatment) are discussed. Mindfulness has a two-fold meaning. A mindful state represents “paying attention in a particular way: on purpose, in the present moment, and nonjudgmentally” (Kabat-Zinn, 1994, p.4). In contrast, mindfulness meditation denotes specific intervention to actively control one's attention. Three directions for future investigation were suggested by these characteristics of mindfulness. (1) Detached coping as a common working ingredient of diverse psychological interventions, together with its attentional underpinning. (2) Potential benefit of focusing on one's body. (3) The importance of commitment to one's values in psychological well-being. Mindfulness intervention differs from existing psychotherapies in several respects. For example, it does not deliberately focus on distressing thoughts and does not mandate a standard interview format. In addition, it is easy to operationalize (to measure and to manualize). These unique features are expected to work as catalysts for generating new ideas in future investigations.
著者
杉浦 義典
出版者
JAPANESE PSYCHOLOGICAL REVIEW
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.104-131, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
99
被引用文献数
1

The transdiagnostic approach to psychopathologies was introduced as a solution to high comorbidity and weak differentiation of psychological disorders. Factor analytic studies have revealed a hierarchical structure with the highest single p-factor (i.e., psychopathology), which parallels the results in the personality studies of general factor of personality over the Big 5 dimensions. The etiology of the single super-factor is considered in the life history strategy in evolutionary psychology. Two strategies to clinically utilize the p-factor are discussed, as follows: (1) setting the p-factor as a predictor to probe the relevant mediators (i.e., endophenotype) of symptoms and (2) moving across the levels of hierarchy to enhance flexible responding. The final topic discussed is the cybernetic principle with goal hierarchy, which will enhance studies on personality, psychopathology, and well-being.
著者
田村 紋女 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.38-48, 2017-07-01 (Released:2017-04-10)
参考文献数
39
被引用文献数
1

サイコパシーは向社会的行動の低さや攻撃性の高さと関連する。共感性の欠如は一次性サイコパシーの特徴である。共感性は向社会的行動と攻撃性の双方を予測する要因として知られており,情動的共感性と認知的共感性にわけられる。しかし,サイコパシーと向社会的行動,攻撃性の関連に対して,共感性の下位次元が特異的に与える影響は不明確である。本研究では,一次性サイコパシーと向社会的行動の関連を情動的共感性が媒介し,一次性サイコパシーと身体的攻撃の関連を認知的共感性が媒介することを検討した。大学生132名が,サイコパシー,共感性,向社会的行動,攻撃性の指標で構成される質問紙に回答した。その結果,予想された媒介効果は双方とも有意であり,一次性サイコパシーの向社会的行動と身体的攻撃は共感性の異なる側面によって媒介されることが示された。本研究の結果は,サイコパシーの向社会性や反社会性のメカニズムの解明に寄与するだろう。
著者
向井 秀文 高岸 幸弘 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.263-272, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
36

近年,様々な心理的症状を説明する診断横断的なプロセスとして,反復思考の存在が明らかにされている。これまでの研究において,反復思考はメタ認知的信念によって形成されることが報告されている。しかし,考え続ける義務感といった,不安に対する予測力が強いメタ認知的信念との関連は検討されていない。したがって,本研究では,考え続ける義務感と様々な心理的症状の関連に対する反復思考の媒介効果について検討することを目的とした。分析の結果,考え続ける義務感と様々な心理的症状の関連は,反復思考に部分媒介されることが示された。さらに,様々な心理的症状に対する考え続ける義務感と反復思考の予測力は強いことも示された。これらの結果から,考え続ける義務感は,反復思考や様々な心理的症状を予測するメタ認知的信念であることが示唆された。したがって,考え続ける義務感の低減をターゲットとした介入が有効であることも示唆された。
著者
田中 圭介 杉浦 義典
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.65-71, 2014-02-01 (Released:2014-06-04)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

The purpose of present study is to make Japanese version of the Repetitive Thinking Questionnaire (RTQ; McEvoy et al., 2010), which measures repetitive negative thinking (RNT). RNT is defined as attentive, perseverative, frequent, and relatively uncontrolled cognitive activity that is focused on negative aspects of the self and the world (Ehring & Watkins, 2008; Segerstorm et al., 2003). RNT such as worry, rumination, and post-event processing is seen as trans-diagnostic or trans-emotional phenomenon because it correlates with depression, anxiety, and various negative emotions. 107 undergraduate students completed Japanese version of RTQ and other self-report questionnaires. Exploratory factor analysis yielded one factor structure. RTQ and the short version of RTQ demonstrated high internal reliability and were associated with trait worry, negative mood, and non-adaptive metacognition for problem solving. These results suggest that Japanese version of RTQ and the short version have good psychometric properties.
著者
田中 圭介 神村 栄一 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.108-116, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
36
被引用文献数
4

近年,マインドフルネス・トレーニング(MT)は,全般性不安障害や心配への介入法として注目されている。MTは,マインドフルネス傾向や脱中心化,注意の制御を媒介して,不安や抑うつに作用することが示唆されている。しかし,これらの媒介変数が,心配に作用する過程については,いまだ検討されていない。本研究では大学生を対象に質問紙調査(N=376)を行い,心配に対する注意の制御,マインドフルネス傾向,脱中心化の影響について検討を行った。共分散構造分析の結果,注意の制御を外生変数とした場合に最もモデル適合度が高いことが示された。さらに,注意の制御は,マインドフルネス傾向と脱中心化を媒介して,心配の緩和に繫がることが明らかとなった。これらの結果から,MTが心配に作用する際には,注意の制御の増加が体験との関わり方(マインドフルネス傾向,脱中心化)を改善し,心配を低減させる作用プロセスが想定される。
著者
大隅 尚広 金山 範明 杉浦 義典 大平 英樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.117-120, 2007 (Released:2007-10-30)
参考文献数
16
被引用文献数
22 18

The purpose of the present study was to investigate reliability and validity of Japanese version of the Primary and Secondary Psychopathy Scales. First, similar to the original scales, exploratory factor analysis of the data from a sample of 475 revealed two factors for the scale items. In addition, a sample of 77 provided good indication of internal consistency as well as test-retest temporal stability. Correlations with BIS/BAS scales and PANAS also gave support for the scales' validity. These and other results suggested that, with some reservations, the Japanese version had usefulness of the original scales to measure psychopathic tendencies.
著者
高田 圭二 田中 圭介 竹林 由武 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-49, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
著者
佐藤 德 杉浦 義典
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.605-611, 2014-02-25 (Released:2014-04-15)
参考文献数
25
被引用文献数
7 7

Previous studies showed that incidental feelings of disgust could make moral judgments more severe. In the present study, we investigated whether individual differences in mindfulness modulated automatic transference of disgust into moral judgment. Undergraduates were divided into high- and low-mindfulness groups based on the mean score on each subscale of the Five Facet Mindfulness Questionnaire (FFMQ). Participants were asked to write about a disgusting experience or an emotionally neutral experience, and then to evaluate moral (impersonal vs. high-conflict personal) and non-moral scenarios. The results showed that the disgust induction made moral judgments more severe for the low “acting with awareness” participants, whereas it did not influence the moral judgments of the high “acting with awareness” participants irrespective of type of moral dilemma. The other facets of the FFMQ did not modulate the effect of disgust on moral judgment. These findings suggest that being present prevents automatic transference of disgust into moral judgment even when prepotent emotions elicited by the thought of killing one person to save several others and utilitarian reasoning conflict.
著者
杉浦 義典
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.240-252, 2001-06-30

心配は, 制御困難な思考であると同時に, 困難な問題に対処するために能動的に制御された過程でもある。心配研究の主要な課題は, 心配がなぜ制御困難性になるのかを説明することである。本論文では, 先行研究を, (1)心配の背後の自動的処理過程を制御困難性のメカニズムとして重視する流れと, (2)心配の能動性そのものの中に制御困難性の要因を見いだそうとする流れ, の2つに分けたうえで, (2)に重点を置いて概観する。(2)の立場からの研究の課題は, さらに, a.心配の機能や目標を明らかにするという大局的なものと, b.そのような機能や目標を実現するための方略を明らかにするという微視的なものとに区分される。本論文では特にb.のような微視的な視点に立った研究の必要性を提唱する。
著者
増永 希美 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.200-209, 2019-03-01 (Released:2019-03-12)
参考文献数
32

本研究では,全般性不安症状および抑うつ症状の素因としてネガティブなメタ認知的信念を扱い,これらの関連に対するウェルビーイングと感謝感情による調整(緩衝)効果を検討した。大学生173名に質問紙調査を実施し,階層的重回帰分析を行った結果,ウェルビーイングがネガティブなメタ認知的信念と全般性不安症状および抑うつ症状の関連を有意に緩衝した。一方,感謝感情は有意な緩衝効果が得られなかった。この要因として,日本人は身近な他者に社会的支援を求めることを快く思わないといったような潜在的に負の対人関係を有しているため,感謝をすると,感謝感情に伴って負債感情も生起することが考えられる。したがって,本邦においては,ウェルビーイングを高めることは全般性不安症状および抑うつ症状を低めるが,感謝感情を高める介入の効果は低い可能性が示唆された。
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.26.3.11, (Released:2018-01-30)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
大隅 尚広 金山 範明 杉浦 義典 大平 英樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.117-120, 2007
被引用文献数
18

The purpose of the present study was to investigate reliability and validity of Japanese version of the Primary and Secondary Psychopathy Scales. First, similar to the original scales, exploratory factor analysis of the data from a sample of 475 revealed two factors for the scale items. In addition, a sample of 77 provided good indication of internal consistency as well as test-retest temporal stability. Correlations with BIS/BAS scales and PANAS also gave support for the scales' validity. These and other results suggested that, with some reservations, the Japanese version had usefulness of the original scales to measure psychopathic tendencies.
著者
杉浦 義典
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.240-252, 2001
被引用文献数
1

心配は, 制御困難な思考であると同時に, 困難な問題に対処するために能動的に制御された過程でもある。心配研究の主要な課題は, 心配がなぜ制御困難性になるのかを説明することである。本論文では, 先行研究を,(1) 心配の背後の自動的処理過程を制御困難性のメカニズムとして重視する流れと,(2) 心配の能動性そのものの中に制御困難性の要因を見いだそうとする流れ, の2つに分けたうえで,(2) に重点を置いて概観する。(2) の立場からの研究の課題は, さらに, a. 心配の機能や目標を明らかにするという大局的なものと, b. そのような機能や目標を実現するための方略を明らかにするという微視的なものとに区分される。本論文では特にb. のような微視的な視点に立った研究の必要性を提唱する。
著者
竹林 由武 高垣 耕企 広瀬 慎一 大野 哲哉 小幡 昌志 川崎 友也 シールズ 久美 杉浦 義典 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.145-154, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、不安障害・大うつ病性障害の脆弱性と指摘されている「嫌悪的な事象に対するコントロールの知覚」を測定するAnxiety Control Questionnaire(ACQ)の日本語版を作成し、その妥当性を検討することであった。385名の大学生がACQ日本語版とそのほかの指標に回答した。探索的因子分析の結果、ACQ日本語版は「嫌悪的な刺激や状況に対するコントロールの知覚」と「不快な感情/身体感覚に対するコントロールの知覚」からなる2因子パタンであることが示された。ACQ日本語版は、高い内的整合性と再検査信頼性を示し、抑うつ・不安症状と負の相関、内的統制と正の相関があった。また、過剰な心配を統制した場合に、ACQ日本語版は不安症状との有意な負の相関を維持したが、抑うつ症状との相関は弱くなった。以上から、ACQ日本語版は、十分な信頼性と妥当性の一部をもつ尺度であることが明らかになった。