著者
臼杵 勲 佐川 正敏 松下 憲一
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.102, pp.31-51, 2017-10-30

遊牧国家を建設した匈奴の領域では,遊牧生活的ではない定住的な城郭や集落が形成された。本稿では,匈奴国家の実態を探ることを目的に,それらの構成要素である建造物を取り上げ,その内容を示し,それらが匈奴国家に導入された系譜を明らかにすることを目的とした。 匈奴の建造物は,平地式と竪穴式の二種に区分された。平地式については瓦の使用などから漢代中国建築の影響が強いが,一部に西方の中央アジアの影響がうかがえることを指摘した。また竪穴式については,中心部ではなく中国の北辺からの影響を想定した。また,中国からの技術導入,中央アジアとの関連については,歴史史料にも,関連する記述があることを確認した。また,このような技術導入は,匈奴国家が,国家経営上,組織的意図的に実施した可能性が高いことを指摘した。論文Article
著者
佐川 正人
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.441-459, 2004-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

北海道の寿都地方では,例年5月から7月頃にかけて南ないし南東寄りの「寿都のだし風」,「寿都だし」などと呼称される局地的な強風が吹走する.本研究ではこの期間に合わせ,強風の吹走が予想される地域に風向・風速計を設置して数ヵ月間気象観測を行い観測値を解析した.また併行して寿都測候所の資料を基に数年間の風の吹走傾向についても,天気図型に区分するなどして総観気候学的解析を試みた.その結果,寿都地方の強風吹走時には,白炭~南作開(狭窄部)を境として風の吹走傾向の異なることが判明し,加えて,北作開(開放部中央)の風速が7ms-1前後を境に樽岸(開放部東)における風速の現れ方に違いのあることが認められた.また,北作開の風速の増大に対し,樽岸の風速の増大が大きくなる場合には,オホーツク海高気圧型に限られることが明らかになった.
著者
塚本 記子 佐藤 百合絵 八木 有子 平塚 志保 荻田 珠江 佐川 正
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.345-350, 2011-07

本研究の目的は,基礎体温の測定の継続にかかわる要因を明らかにし,女性の健康を促進する教育への一助とすることである。調査対象は,基礎体温の測定を6ヵ月以上継続しているA大学の女子学生4名とし,半構成的面接を行い分析した。その結果,【基礎体温の測定を行動化に結びつける知識と動機がある】【確実な排卵・月経日の予測で,生活の質の向上が図れる】【妊娠・避妊のコントロールにより自尊感情が高まる】【女性としての機能が正常に働いていることを実感できる】【測定行為に対する気楽さと,それを支えるツールと活用法をもつ】の5つのカテゴリーが抽出された。基礎体温の測定の自発的な開始には,基礎体温がどのように役立つかという情報や,自分の身体について知りたいという動機が関係し,生活の質やセルフケア能力が向上しているという実感が測定の継続を支えていた。また,気楽な気持ちで取り組み,手軽なツールを活用することで負担感を軽減し,さらに女性としての機能をもっている喜びや自立感が継続を助長していた。
著者
臼杵 勲 山越 康裕 鶴丸 俊明 D.ツェヴェンドルジ 董新林 佐川 正敏 千田 嘉博
出版者
札幌学院大学総合研究所
巻号頁・発行日
2010-03-31

開催:札幌学院大学総合研究所・モンゴル科学アカデミー考古学研究所 研究協定締結記念 国際シンポジウム 開催日:2009-12-23 開催場所:札幌学院大学G館 SGUホール
著者
佐川 正敏 さがわ まさとし Sagawa Masatoshi
出版者
奈良国立文化財研究所
雑誌
奈良文化財研究所年報
巻号頁・発行日
no.1991, pp.42-43, 1992-03-31

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著者
小林 謙一 こばやし けんいち Kobayashi Kenichi 佐川 正敏 さがわ まさとし Sagawa Masatoshi
出版者
奈良国立文化財研究所
雑誌
奈良文化財研究所年報
巻号頁・発行日
no.1989, pp.51, 1990-03-13

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著者
佐川 正人
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.50, pp.13-25, 2003
被引用文献数
1

九州地方の中央部にある阿蘇カルデラの火口瀬に位置する立野から瀬田にかけては、一般に「まつぼり風」と呼称される東寄りの局地的な強風の吹走することが知られている。2000年10月11日、現地にて「阿蘇おろし」に起因すると考えられる雲の流れを確認した。本研究ではこの事例について既存の気象観測資料を用いて解析、考察し、報告する。Abstract:A local easterly strong wind prevailsfrom the point of Tatento to that of Seta locatedin the western rim of Mt.Aso in Kyushu District.This local strong wind is well known as "Matsubori-kaze" or "Aso-Oroshi", which is restricted in the Tateno barranco of Mt.Aso. The purpose of this study is to investigate the characteristics of this local strong wind by using the meteorological data around the barranco of Mt.Aso. The meteorological data of this study include routine surface meteorological observations at AMeDAS observatories and observatory of Kyushu Electric Power Co., Inc and Ministry of Land, Infrastructure and Transport's observatories. While it is usually calm around the Toshita district on the barranco bottom of Mt.Aso, a weak wind is recognaized there during blowing of the local wind. When the local wind blows, the airflow runs down the barranco raising the potential temperature.The difference of potential temperature between Aso-Otohime and Tateno is lower than that between Tateno and the Kikuchi-minami Fire station.
著者
神林 勲 石村 宣人 小林 和美 佐川 正人 武田 秀勝
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 自然科学編 (ISSN:13442570)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.89-96, 2003-09-30

本研究では健康で活動的な成人男性6名と成人女性6名を被検者に,前腕の等尺性筋収縮を30%MVCの強度で維持させ,男女における筋持久力の差異を近赤外分光法(NIRS)によって測定された筋酸素動態[oxy(Hb+Mb)]の面から検討した.結果は以下の通りである.1)男性のMVC(55.1±8.7kg)は女性(34.2±2.5kg)よりも有意に高値を示した(p<0.05).2)運動継続時間は,男性で139.2±29.4秒,女性で175.8±23.7秒と女性の方が男性と比較して有意に長かった(p<0.05). 3)掌握運動中のoxy(Hb+Mb)の変化には明らかな男女差が認められ,男性では初期の直線的な低下後,20〜25%で疲労困憊まで推移したのに対して,女性では初期の直線的な低下後,漸増し,疲労困憊時には約75%にまで達した.4)初期脱酸素化速度には男女間に有意な差は認められず,また,運動継続時間との間にも有意な相関関係は認められなかった.以上のことから,30%MVC強度の筋持久力(運動継続時間)は女性の方が男性と比較し優れていた.この性差は筋の有酸素性代謝能の優劣ではなく,運動中の筋血流量の違いによってもたらされる有酸素性代謝の割合によることが示唆された.
著者
藤本 強 小林 達雄 西本 豊弘 松井 章 佐川 正敏 吉田 邦夫
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は世界各地の土器の出現について、土器を発明・受容していく社会背景を解明することにその主眼を置いている。これまでの土器出現の問題は最古の土器の存在を突き止める研究に集約されていたが、本研究では地域ごとに異なる、生活の中に土器を取り入れていく人間活動の解明に努める。土器の用途は容器だけでなく、調理具・食器として、また鑑賞用や死者への副葬品、棺として使われてきた。ほかの素材に比べ土器が優れる点は、素材の粘土が入手しやすいこと、可塑性に富み自由な成形ができること、焼成後は硬く、耐火性を持つことである。衝撃を与えると粉々にでき、都合がよい素材である。これらの特性は、同じ形の土器が2つとない一方で、モチーフが特定の人間関係内で共有されることに繋がるのである。個性的な形は用途に応じてある程度のカタチを保たれながらも、様々に変化する。これらの共通性と独自性を時間軸に沿って整理し、地域毎の土器との向き合い方を研究していくことが中心となる。また、その土器保有していた集団の残した遺跡から検出された諸属性の分析から、当時の環境やそれに基づく生業活動を整理し、土器の受容形態を解明する。既存資料のデータの集成、整理分析を行ない各地域の土器出現の様相を解明してきた。世界的なデータベースの構築は困難なため東アジアを重点とした。また特定地域に絞って、土器を生活に組み込むシステムのモデル構築を試みた。一は土器自体に含まれる属性を分解し整理することにより、人間の製作物としての土器を徹底して分析し、製作モデルであり、他方は土器に付随するその他の遺物類や土器が検出された遺構・遺跡についても土器の使用痕跡と併せて解釈から土器の使用モデルの構築である。研究終了後の現在は、土器の出土状況の把握に重点をおいた発掘調査に継続的に取り組み、モデルの検証を図り、研究の位置づけを進めている。