著者
加藤 博文 石田 肇 吉田 邦夫 佐藤 孝雄 米延 仁志 ハドソン マーク 米田 穰 安達 登 増田 隆一 長沼 正樹 深瀬 均 木山 克彦 江田 真毅 岡田 真弓 木山 克彦 江田 真毅 岡田 真弓 長沼 正樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究では、アイヌの集団的・文化的形成過程において海洋狩猟民文化の強い影響が社会文化伝統にも、集団的にも、存在したことを示唆する豊富な資料を提供することができた。浜中2遺跡の調査では、海獣儀礼の伝統が先行する先史文化から連続して継承、発展されアイヌ文化の中へ取り込まれていくことが考古学的に提示された。集団的な系統性については、先行研究で示唆されていたオホーツク文化の関与を補強する資料を得ることができた。提示されたアイヌ民族の集団形成性の複雑さは、集団のアイデンティティの形成過程や変遷についても、社会・経済・政治的文脈での検討の必要性を示唆している。今後も得られた資料の調査研究を進めていく。
著者
吉田 邦夫
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

現生の日本産漆液資料については、前年度に測定した岩手県、兵庫県、岡山県に続き、北海道網走、福島県、茨城県、京都府、岡山県の漆液資料を入手し、一定条件で酸化重合により硬化させ、漆塗膜を作成した。必要量を処理して、ストロンチウム同位体比を測定した。北海道の値がやや低<、^<87>Sr/^<86>Sr=0.705を示したが、他の資料は、0.7065-0.709の範囲に収まり、日本の8産地から入手した日本産漆はすべて、中国産の値が分布する0.712〜-0.715の範囲とは、明確に分離できることを確認した。漆塗膜のストロンチウム濃度に関して、中国産4資料は、5〜6ppmの値で、ほぼまとまった値を示すのに対して、日本産は、2〜5ppmのグループと、11〜14ppmを示す比較的高濃度のグループに二分されている。二つのグループは、列島における地域的な特徴を示しているわけではない。いくつかの産地について、栽培土壌のストロンチウム濃度を分折中である。縄文漆についての試行的な分析を行った。新潟県胎内市の野地遺跡(縄文時代後期後葉〜晩期前葉)から出土した漆資料を用いた。漆容器と思われる土器に付着した黒色漆について、漆塗膜と同様な処理を行い、同位体比の測定を行った。ストロンチウム濃度は、1.9ppmと低い値であった。ストロンチウム同位体比の値は日本産漆の領域、0.710以下を示している。資料が土器に付着した漆であったため、土壌が混入している恐れがあり、資料調製の方法に課題が残っているが、残渣のストロンチウム濃度が僅少であることを確認している。この資料は約3000BPの年代を示す資料で、埋蔵中の続成作用による影響はそれ程大きくないことが推定される。縄文時代の漆が列島産であることを、初めて明らかにすることが出来た。同遺跡の漆資料についでは、年代測定、熱分解-ガスクロマトグラフィー-質量分析計、FT-IR、断面分析、EPMA分析など、多方面からの総合的な分析を行っている。
著者
吉田 邦夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.624-627, 2003-10-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
6

加速器質量分析(AMS)法を用いると,ほんのわずかな量でも炭素14年代測定が出来る。その結果,考古遺物だけでなく,これまで年代測定が許されなかった美術工芸品についても測定が可能になり,思わぬ結果が得られることもある。美術品鑑定者を欺くことが出来ても,科学分析はその虚を暴くことになるかもしれない。逆に,鑑定眼のもろさを,白日の下にさらすこともある。奇々怪々の世界である。
著者
中井 俊一 佐藤 正教 武藤 龍一 宮腰 哲雄 本多 貴之 吉田 邦夫
出版者
日本地球化学会
巻号頁・発行日
pp.228, 2013 (Released:2013-08-31)

漆はウルシ属樹木であるウルシが分泌する樹液を脱塵,脱水などの処理をした後,空気にさらし,酸化酵素ラッカラーゼの働きにより硬化させ,塗料や接着剤として用いられてきた.ウルシ属の樹木は日本の他,中国,ベトナム,タイなどに自生している.現在,日本の漆工芸で使われている漆は大部分が中国,ベトナム産である.日本では縄文時代早期の遺跡から,漆塗の髪飾り,腕輪などが出土し,古い時期からの利用を示している.漆塗料の産地を決めることができれば,漆文化の起源や,時代による交易圏の変遷を考える手がかりになりうると予想できる.漆の主成分である有機化合物の分析により,日本産の漆をタイ,ベトナム産のものと区別することはできるが,日本産の漆を中国,韓国産のものと区別することはできない.そこで土壌の源岩の年代により変動する87Sr/86Sr同位体比を用いて漆の産地推定を行うことを検討してきた.
著者
西田 泰民 宮尾 亨 吉田 邦夫 八田 一 ピーター マシウス
出版者
新潟県立歴史博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

これまで国内では報告例がなかったが、旧石器時代石器・縄文時代遺構埋土・縄文時代石器・縄文時代珪藻土塊・擦文時代遺構埋土・縄文土器炭化付着物いずれからもデンプン粒を検出することができた。これにより日本のような中緯度温暖湿潤地域でも長期間デンプン粒が保存されていることが明らかになった。各考古学資料からのデンプン抽出作業をおこなう一方で、堅果類、根菜類を中心に在来食用植物の対照現生サンプル作成をおこない、240件作成した。遺物からの抽出方法や取り扱い、同定方法については先駆的研究が行われたオーストラリアよりシドニー大学フラガー博士を招聘し教授を受けた。デンプンの分解過程を解明をするため国立民族学博物館および新潟県立歴史博物館で実験石器の埋没・放置実験を半年間実施した。土器からの食性分析の手がかりとなる炭化物のモデル生成実験をおこなった。30種類の異なる食材を縄文土器に見立てた素焼き土器で薪燃料により煮沸し水分がなくなるまで加熱する実験を計60回行った結果、それぞれ性状の異なる付着炭化物が生成した。一部を採取して炭素、窒素安定同位体分析を行い、炭化前後の同位体比の変動を計測した。その結果を実際の出土炭化物と比較した。縄文時代において主たる炭水化物源となっていたと考えられ、旧石器時代も利用されていた可能性がある堅果類の加工法の一端を探るため、あく抜きをしていない堅果類と他の食材の混合比率を変えた材料を用意し石蒸しによる調理実験を行い官能検査によって可食化の可能性を検討した。タンパク質が渋みの軽減に寄与することが明らかとなった。縄文時代中期の石皿類・磨石類の集成から各属性の分析を行い、中期に食物加工用具としての意識の転換が生じた可能性があることが判明した。
著者
吉田 邦夫
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.624-627, 2003-10-20
被引用文献数
1
著者
吉本 充宏 宮坂 瑞穂 高橋 良 中川 光弘 吉田 邦夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.336-347, 2008-07-15 (Released:2009-03-25)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

北海道駒ヶ岳火山北西~北東山麓部に露出する噴出物の層序,14C年代,岩石学的特徴を検討した.これまで40~6 cal kaの間には4層の噴火堆積物が識別されていたが,今回新たに7層の噴火堆積物(P7~P1)を識別した.それらの噴火年代は,約19 cal ka(P7),約17.7 cal ka(P6),約17.4 cal ka(P5),約14.8 cal ka(P4),約12.8 cal ka(P3),約6.5~6.3 cal ka(P2,P1)である.北海道駒ヶ岳火山の活動は,6,000年以上の長い休止期によって少なくとも4つの活動期(39 cal ka 以前, 20~12.8 cal ka, 6.8~6.3 cal ka, 1640 AD以降)に区分される.これら4つの活動期は本質物質の全岩化学組成も異なっている.最近3回の活動期は,4~6回のマグマ噴火からなり,規模の大きな噴火で始まり,その後より規模の小さい噴火を繰り返していたことが明らかになった.
著者
藤本 強 小林 達雄 西本 豊弘 松井 章 佐川 正敏 吉田 邦夫
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は世界各地の土器の出現について、土器を発明・受容していく社会背景を解明することにその主眼を置いている。これまでの土器出現の問題は最古の土器の存在を突き止める研究に集約されていたが、本研究では地域ごとに異なる、生活の中に土器を取り入れていく人間活動の解明に努める。土器の用途は容器だけでなく、調理具・食器として、また鑑賞用や死者への副葬品、棺として使われてきた。ほかの素材に比べ土器が優れる点は、素材の粘土が入手しやすいこと、可塑性に富み自由な成形ができること、焼成後は硬く、耐火性を持つことである。衝撃を与えると粉々にでき、都合がよい素材である。これらの特性は、同じ形の土器が2つとない一方で、モチーフが特定の人間関係内で共有されることに繋がるのである。個性的な形は用途に応じてある程度のカタチを保たれながらも、様々に変化する。これらの共通性と独自性を時間軸に沿って整理し、地域毎の土器との向き合い方を研究していくことが中心となる。また、その土器保有していた集団の残した遺跡から検出された諸属性の分析から、当時の環境やそれに基づく生業活動を整理し、土器の受容形態を解明する。既存資料のデータの集成、整理分析を行ない各地域の土器出現の様相を解明してきた。世界的なデータベースの構築は困難なため東アジアを重点とした。また特定地域に絞って、土器を生活に組み込むシステムのモデル構築を試みた。一は土器自体に含まれる属性を分解し整理することにより、人間の製作物としての土器を徹底して分析し、製作モデルであり、他方は土器に付随するその他の遺物類や土器が検出された遺構・遺跡についても土器の使用痕跡と併せて解釈から土器の使用モデルの構築である。研究終了後の現在は、土器の出土状況の把握に重点をおいた発掘調査に継続的に取り組み、モデルの検証を図り、研究の位置づけを進めている。
著者
高槻 成紀 吉田 邦夫 須田 知樹 佐藤 雅俊 佐藤 喜和
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

研究の目的は野生馬タヒを自然復帰した保護区におけるギルドの解析であった。草食獣については大型のタヒとアカシカの群落選択と食性比較をおこない、タヒは草原をアカシカは森林を利用し、食物もタヒはイネ科を主体とし、アカシカはイネ科と双子葉を半々程度食べていることがわかった。最終年には当初予定していなかったユキウサギとシベリアマーモットを含めた比較ができた。肉食動物については鳥類は営巣崖値の調査が危険であるためにサンプルの確保ができず、断念した。しかしオオカミとキツネの比較はできた。ただし糞分析法を採用したため、アカギツネとコサックギツネの区別はできず、「キツネ類」としてまとめた。この分析によりオオカミはもっぱら哺乳類を食すが、キツネは夏は昆虫をよく食すことがわかった。またオオカミは保護区外の家畜をよく採食していることがわかり、保全上の問題が浮上した。タヒ個体数の順調な増加は保護区の設立目的からして歓迎されているが、保護区を生態系保全という視点でみた場合、草食獣による影響が強くなりつつある。そこで森林群落での影響調査を実施したところ、構成樹木の非常に高い枯死率、ディア・ラインの形成、若木の生長阻害が認められた。資源利用とこれらの結果から、タヒ・草原系とアカシカ・森林系の関係において、タヒ・草原系には有利に葉たらしているが、アカシカ・森林系が縮小・退行していることが懸念される。全体としては初期の目的をほぼ達成することができたが、食肉鳥類が分析できなかったこと、肉食獣の同定に限界があった点は課題を残した。これらの成果は順次論文として公表する予定であり、資源利用の基礎となるバイオマス推定についてはすでに投稿中であり、食性などは論文準備中である。