著者
三好 雅也 長谷川 ゆりの 佐野 貴司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.379-385, 2023-07-08 (Released:2023-07-08)
参考文献数
20

We report the petrographic characteristics, major and trace element compositions, and K-Ar ages of Miocene intrusive rocks from western Fukui, central Japan. The intrusive rock samples were basaltic to dacitic (SiO2 = 51.1-69.6 wt.%) and were divided into four different rock types based on their modal and major element compositions: basalt and basaltic andesite, andesite, pyroxene dacite, and hornblende dacite. The compositions of the samples showed a tholeiitic trend and were plotted in the medium-K field. The MORB-normalized trace element patterns of the intrusive rock samples were similar to those of the Kunimidake Volcanic Rocks and Ichinose Rhyolite, which are located in the same area. The K-Ar ages of the plagioclase in the samples from the NNW-SSE-trending dike (pyroxene dacite) and stock (andesite) were 14-12 Ma and were slightly younger than those of the Ichinose Rhyolite and Kunimidake Volcanic Rocks (15-14 Ma). These observations indicate that multiple supplies of basaltic to dacitic magmas occurred subsequent to the activities of the Ichinose Rhyolite and Kunimidake Volcanic Rocks after the opening of the Japan Sea.
著者
佐野 貴司 テハダ マリア ルイサ 中西 正男 羽生 毅 三浦 誠一 末次 大輔 利根川 貴志 石川 晃 清水 健二 淸水 祥伽
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.559-584, 2021-08-25 (Released:2021-09-23)
参考文献数
163
被引用文献数
2 4

Large Igneous Provinces (LIPs), such as the Ontong Java Plateau (OJP) in the western equatorial Pacific, provide information on mantle processes and composition, and their formation may have global environmental consequences. The OJP is the largest oceanic plateau and is probably the most voluminous igneous edifice on Earth. Despite its importance, the size, volume, and formation rate of the OJP are not yet well constrained. The maximum extent of OJP-related volcanism may be even greater than currently estimated, because volcanological studies indicate that long lava flows (or sills) from the OJP may have reached the adjacent Nauru, East Mariana, and possibly Pigafetta basins. Moreover, the similarity in age and some geochemistry of lavas from the Ontong Java, Hikurangi, and Manihiki plateaus suggests that they once may have been part of a single LIP (Ontong Java Nui, OJN). If true, the massive volcanism may have covered > 1% of the Earth's surface. The lack of detailed knowledge of the size, age, and composition of the OJP has given rise to various models, such as a surfacing mantle plume head, bolide impact, and fusible mantle melting, but no model satisfies all observational data and no consensus has been reached on its origin. The OJP is divided into the High Plateau to the west and the Eastern Salient to the east. The basaltic basement of the OJP was cored at seven sites during Deep Sea Drilling Project (DSDP Site 289) and Ocean Drilling Program (ODP Sites 289, 803, 807, 1183, 1185, 1186, and 1187) expeditions, but all sites are exclusively located on the High Plateau. In order to examine the true extent of the OJP (i.e., whether the flows in the Nauru, East Mariana, and Pigafetta basins, as well as the Manihiki and Hikurangi plateaus are parts of the OJN), we propose drilling in the Eastern Salient and adjacent basins to recover basement samples. We also propose drilling through the sedimentary section on the Magellan Rise, a small plateau that formed > 20 Myr before the proposed OJN emplacement. Because of its greater age, the sedimentary sequence on the Magellan Rise may preserve ash layers or other chemical tracers that cover the entire eruptive history of OJN. The sediment layers from the Magellan Rise are also useful for evaluating environmental effects of OJN emplacement, including older and younger perturbations related to other LIPs.
著者
佐野 貴司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.4, pp.207-223, 2017-04-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
126
被引用文献数
1

21世紀に入ってから,2つの海洋LIPs(オントンジャワとシャツキー海台)で基盤溶岩を採取する掘削が行われた.基盤溶岩は大陸洪水玄武岩の塊状層状溶岩流と類似していた.元来,両LIPsはプルーム頭部がプレート境界に衝突して生産されたと考えていたが,40Ar-39Ar年代は熱プルームモデルから想定されるよりも長期間の活動を示した.岩石学的に見積もられたマントルの温度(ポテンシャル温度)も熱プルームモデルから期待される温度(>400°C)よりは低温であった.両LIPs溶岩には様々に肥沃化した微量元素および同位体組成が認められ,これはプルームに起源を持つことを示していが,明瞭な下部マントルの特徴(例えば,高3He/4He比)は確認できなかった.また両LIPsの形成後の沈降量は熱プルームモデルから推定される値に比べると少ないことが分かった.単純な熱プルームモデルでは,両LIPsのマグマ成因を説明できなく,まだ沢山の課題が残っていることが分かった.
著者
宮下 敦 堤 之恭 佐野 貴司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.511-522, 2016-10-15 (Released:2017-01-20)
参考文献数
39
被引用文献数
1

関東山地の木呂子角閃岩は,白亜系跡倉ナップと御荷鉾緑色岩類の境界に挟まれている小さいブロックで,角閃石K-Ar年代が約400Ma(竹内・牧本, 1995)という古生代前期を示すことで知られている.この角閃岩は,主にmagnesiohornblendeと曹長石からなり,他に高変成度を示す指標鉱物は含まない.また,角閃岩の全岩化学組成は,周囲のMORB組成を持つ御荷鉾緑色岩類とは異なっている.この角閃岩のジルコンU-Pb年代は約480Maを示し,これは火成年代を示していると考えられる.また,変成作用の時期を示す角閃石の40Ar/39Arプラトー年代は,約430Maが得られた.これらの年代値は,木呂子角閃岩が日本列島のカンブリア紀-オルドビス紀の火成岩-変成岩複合岩体に属することを示している.
著者
佐野 貴司 Sano Takashi 和田 秀樹 Wada Hideki 海野 進 Unimo Susumu 中村 俊夫 Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.3, pp.67-75, 1992-03

We obtained radiocarbon datings of 29,209±554 yrBP. for shell sample from Pukaki and 30,230±413 yrBP. for that from Motukorea in the Auckland Volcanoes, New Zealand. When we supply the ages of indivisual volcanoes and compositional change with time, it can be possible to elucidate the magma system of the Auckland Volcanic Field.
著者
辻原 諒 小木曽 哲 佐野 貴司 石橋 秀巳
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

箱根火山は首都圏から最も近く,カルデラ形成噴火を数回繰り返してきた活動的な火山のひとつである.箱根火山における最大規模の噴火は,約6万年前に発生した,箱根火山における最新のカルデラである強羅潜在カルデラを形成した噴火(VEI 6)である.この噴火はプリニー式噴火で開始し,続いて火砕流が発生した.プリニー式噴火による降下軽石(箱根東京軽石)は南関東の広域でみられ,火砕流は噴出源から約50km遠方まで到達した(笠間・山下,2008).この噴火の準備過程を詳細に検討することは,同規模の噴火が今後も起こるリスクを評価する上で非常に重要である.そこで本研究では,降下軽石と火砕流堆積物中の本質物質を対象に噴火準備過程を検討した. 本研究で用いた試料は,神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯の谷底露頭から採取した.本質岩片として軽石とスコリアがみられ,軽石にはマフィックエンクレーブを持つものがみられた.本研究ではXRF(国立科学博物館)を用いた全岩主成分・微量元素組成分析を行い,偏光顕微鏡とSEM(京大理学部)を用いた組織解析と,EPMA(京大理学部)を用いた主成分化学組成分析を行った. 軽石は流紋岩からデイサイト(SiO2 =64-71wt.%)で,斜長石,斜方輝石,単斜輝石,磁鉄鉱,チタン鉄鉱,燐灰石,橄欖石の斑晶が見られた.スコリアは安山岩(SiO2=58-60wt.%)で,斜長石,斜方輝石,単斜輝石,磁鉄鉱,燐灰石,橄欖石の斑晶がみられた.マフィックエンクレーブは玄武岩から玄武岩質安山岩で(SiO2 ~52 wt.%),斜長石,磁鉄鉱,橄欖石の斑晶がみられた.ガラスと斑晶鉱物の化学組成から,斑晶鉱物と平衡共存するメルト組成が4種類存在することが示唆され,この噴火の直前のマグマだまりには組成的に異なる4種類のマグマが存在したことが考えられる.全岩化学組成はSiO2 ~67 wt.%で組成トレンドが異なり,SiO2 > ~67 wt.%の全岩化学組成トレンドと斜長石斑晶の組成累帯構造パターンから,噴火前のマグマは結晶分化作用を経験しており,SiO2 < ~67 wt.%の全岩化学組成トレンドと斜長石と橄欖石斑晶の組成累帯構造パターンから,噴火前のマグマはマグマ混合を経験していることが示唆される.Fe-Ti酸化物温度計と斜長石-メルト温度含水量計を用いると,噴火前のデイサイト質〜流紋岩質マグマの温度は820-880 ℃,含水量は4.2-7.2wt.%と見積られ,メルトが水に飽和していると仮定した場合,噴火前のマグマだまり最浅部の深さは5.5-10.5 kmと見積られる.橄欖石のFe-Mg拡散モデリングにより,最後のマグマ混合から噴火までの時間は30日-1年と見積られた. 以上より,次のような噴火準備過程を考察した.結晶分化したデイサイト質〜流紋岩質マグマが深さ≧5.5-10.5kmに存在し,そこに苦鉄質マグマが貫入・混合した.最後のマグマ混合から30日から1年程度経過後に噴火が開始した. 当時のマグマだまり最浅部の深さは,地球物理学的に見積られている現在のマグマだまりの深さ(~10 km: Yukutake et al., 2015) と概ね一致する.このマグマだまりが,今後“箱根東京軽石噴火”と同規模の噴火を起こす可能性を正確に評価するためには,“箱根東京軽石噴火”以降の噴火準備過程の変遷を明らかにする必要がある.
著者
清水 祥伽 中西 正男 佐野 貴司
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

応神ライズ海山群はシャツキーライズと天皇海山列の間に位置する海山群である。シャツキーライズはプルームヘッドによる多量の噴火によって148 Ma以降に形成されたと考えられている(Nakanishi et al., 1999)。シャツキーライズには3つの高まり(海台)、南からタム山塊、オリ山塊、シルショフ山塊が存在する。深海掘削試料の放射性年代から、タム山塊は144 Ma頃、オリ山塊は 134 Ma頃、シルショフ山塊は128 Ma頃に形成されたとされている(Geldmacher et al., 2014; Heaton and Koppers, 2014)。応神ライズ海山群周辺のプレートの年代は134 – 125 Maである(Nakanishi et al., 1999)が、その地形的特徴や形成時期についてはわかっていない。応神ライズ海山群は、シャツキーライズの主活動期の後しばらくしてから起こった火成活動で形成されたという仮説が提案されている(Sano, 2014)。応神ライズ海山群とシャツキーライズの形成の関係性が明らかになれば、マントルプルーム活動の変遷、特に主活動期の後の火成活動を理解することにつながる。2014 年7月に研究船「かいれい」による海底地形,重力,地磁気の地球物理学観測およびドレッジによる岩石採集が応神ライズ海山群において行われた(KR14-07航海)。本発表では、重力および海底地形の解析から明らかになった、応神ライズ海山群周辺の海洋地殻構造について報告する。使用したデータは、KR14-07航海で得られたマルチビームデータとSager et al. (1999)で作成された海底地形グリッドデータ、Sandwell and Smith (2009)で作成された衛星高度計観測から作成されたフリーエア重力異常データである。これらを用いて、地殻の厚さ及びアイソスタシーの状態、弾性層厚を求めた。海洋地殻の厚さはKuo and Forsyth (1988)の方法を用いてもとめた。また、アイソスタシー及び弾性層厚は海底地形とフリーエア重力異常に関するadmittance解析(McKenzie and Bowin, 1976)から求めた。解析結果から応神ライズ海山群の平均的地殻の厚さは12km程度であることが判明した。これは平均的な海洋地殻の6kmと比べ2倍も厚い。また、弾性層厚は2.6 kmであり、エアリータイプのアイソスタシーが成り立っていることが分かった。これらの解析結果から、応神ライズ海山群の形成年代は、周辺の海洋プレートの年代とほぼ同じであることが明らかになった。すなわち、応神ライズ海山群の形成時期は134 – 125 Maであると推定される。このことから、シルショフ海台形成と同年代にオージンライズ海山群が形成されたと考えられる。
著者
栃内 文彦 研谷 紀夫 玉井 建也 山本 博文 佐倉 統 宮本 隆史 佐野 貴司 添野 勉 飯野 洋
出版者
金沢工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

近現代科学史資料の体系的・効率的な収集・保存のための方法論の確立に向けた実践的考察を、東京大学大学院情報学環社会情報研究資料センター収蔵の地質学者・坪井誠太郎に関する資料(以下、「坪井資料」)の調査を通して行った。資料調査の結果、坪井資料が日本地質学史研究において高い価値を有することが示された。こうした資料の収集・保管に際しては、資料の付加価値を高めるためにも、研究者に着目して<研究者資料>として資料を体系化することが有効であることを実証することができた。
著者
佐野 貴司 南 成敏 小谷 忠 荒木 博和 三田 正裕
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, 2004-04-01

高耐衝撃性腕時計(商品シリーズ名"The G")に、長波帯標準電波の時刻情報を受信し時刻を合わせる、いわゆる電波時計機能を付加する事を実現しました.電波受信用アンテナ鉄心材に従来のフェライトに替えて耐衝撃性に優れるアモルファス金属積層材を採用、アンテナケース構造にも耐衝撃を高める工夫を加え、アモルファス金属自体も特注材を使用し、金属のしなやかさによる耐衝撃性と、電波の受信特性の両立を図りました.日本国内及び米国での電波受信が可能です.