著者
下村 久美子 谷井 淑子 猪又 美栄子 小原 奈津子 ファン ハイ・リン
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 = Gakuen (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.909, pp.52-61, 2016-07-01

For the purpose of preserving traditional clothing and recording its history of Vietnam, the authors visited Hoi An and Tan Chau Village in 2014 and in 2015. This paper offers a brief history of Hoi An and reports the result of interviews with 25 Hoi An residents including experienced elderly ex-tailors; the paper also details figures and describes traditional clothing such as the ao ba ba(jackets)and the quan(bottoms)and formal traditional clothing for funeral attendants and the dead; the paper also discusses ritual practices found mainly in Hoi An. In addition, the report looks at the process of traditional manufacturing of a silk dye work using mac nua(ebony fruits)and other materials. This includes chemical analysis and explanation of the dying handicrafts.
著者
辻 量平 杉原 奈津子 寺林 大史 森腰 恵 大下 裕夫 天岡 望 種村 廣巳
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>がん患者に対するリハビリテーション(以下リハ)は多くの施設で提供され、がん拠点病院や緩和ケア病床、ホスピスでの活動も活発である。当院のような施設基準を有さない民間病院であっても、がん拠点病院の指導を受けながら、がん緩和ケアについてより質の高い医療とケアを提供できるかを模索することは大変重要なことである。今回、術中に腹膜播種などが確認できバイパスのみとなった切除不能がん患者に対し、周術期リハチームの方から、緩和ケアチームに対し予後も含めた情報提供を行い、周術期リハチームと緩和ケアチームがともに早期介入ができ、良好なかたちで在宅へ移行できた症例を経験したので、当院の今後の方針も含めて報告する。なお、ご本人・ご家族に本件の主旨を口頭および当院所定の文書で説明し、署名による同意を得た上で病院長の許可も頂いた。<br><b>【方法】 </b>症例は86歳男性。入院1か月前に食欲不振、嘔吐で近医受診し、当院紹介され、胃前庭部癌と診断され手術となった。手術1週間前のカンファランスにて手術方針や告知状況など情報を共有した。術前リハビリにより患者とのコミュニケーションを図り、患者が早い時期に在宅への移行を希望していることを知った。開腹の結果、腹膜播種が確認できたため、胃切除不能、胃空腸吻合に終わった。予後は3~6ヶ月との情報を得た。手術翌日に緩和ケアチームの早期介入を依頼した。<br><b>【結果】 </b>緩和ケアチームの早期介入によって術後の苦痛緩和が図れ、周術期リハは効果的に進んだ。術後の食欲不振、摂食障害は緩和ケアチームの一員である管理栄養士による食事相談や内容変更により術後第14病日には全量摂取可能となった。患者からの在宅復帰への強い希望もあり周術期リハの実施と緩和ケアチームとの連携により、高齢でしかも切除不能胃癌患者の術後としては比較的早い術後26病日に退院できた。なお地域連携の看護師やMSWによって術後19病日から退院や退院後調整が行われた。<br><b>【考察】 </b>当院では平成22年11月より緩和ケアチームが発足し、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、MSW、訪問看護師、理学療法士、作業療法士で構成されている。このような施設は少なくなく、がん緩和医療への質の高いリハの需要は高まっている。今回、進行胃癌患者に対し、術前からのリハを通してコミュニケーションがとれたこと、周術期に手術情報、予後情報、その他の患者情報をがん緩和ケアに携わる他職種と理学療法士とで共有でき、余命短い本患者が求める在宅へという希望を実現するため、早い時期から多職種が同じベクトルでそれぞれの専門職としての役割を果たすことで、患者の希望である早期在宅へ誘導でき、ひいては患者のQOLに益したものと考えられる。このような進行がん患者をケアするにあたり、それぞれの専門職でのチーム医療がいかに重要であるか痛感させられた1症例である。今後も本症例での経験を生かし、がん治療の早期から多職種が情報を共有することで、患者のQOLを高める実績づくりを行っていきたい。
著者
下村 久美子 谷井 淑子 猪又 美栄子 小原 奈津子 ファン ハイ リン
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 2005年からベトナム北部・中部・南部の農村にて、伝統的な衣服の着用実態や形態の変化などを解明することを目的として現地調査を実施している。これらを基盤として、2014年から商業地区の中部ホイアンにて現地調査をした結果、葬儀用の衣服について詳細な知見を得た。 <br><b>方法</b> ホイアン遺跡管理センターの協力を得て、2014、2015年に現地調査を実施した。かつて伝統的な葬儀用の衣服を仕立てていた高齢者を対象に、ホイアンの伝統的な形式の葬儀において、死者および親族が着用した衣服の種類、色や素材、着装方法などについて聞き取り調査を行なった。 <br> <b>結果</b> (1)死者に着用させる伝統的な衣服は、上衣に白いアオ・ババ、その上に赤いアオ・ザイを重ね、下衣に白いクアンを着用させる。男性は7つ、女性は9つの命が宿るとする考え方から、男性は7本、女性は9本の紐で縛る。女性の場合は、幅90cm、長さ150cmの布を3枚に切り分け、両端から途中までを短冊状に裂き、裂いてない部分を死者の下に敷き、裂いた布で身体を包むように結ぶ。(2)親族の衣服は、伝統的な形式の白いアオ・ババとクアンで、死者との血縁関係によって、衣服の形式や被り物、杖など持ち物に決まり事がある。(3)葬儀用の衣服は、かつては仕立屋が縫製していたが、1990年代以降は葬儀会社が利用されている。 <br>本研究は科学研究費基盤(C)(26350080)の助成による。
著者
小原 奈津子 宮島 美穂
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.123, 2009 (Released:2009-09-02)

目的 ベトナムの伝統衣服であるアオザイは、長袖でゆとりが少なく体にフィットした形で腰から裾へ長いスリットが入った上衣と、幅広のパンツの組み合わせからなる。現在はポリエステル製のアオザイがよく見かけられるが、高温多湿な気候下でスリムなデザインの衣服素材として吸湿性の低いポリエステルが予想に反して定着していることから、ポリエステルとスリットがアオザイの衣服内気候に及ぼす影響を検討した。方法 試料服としてスリットのあるアオザイとスリットをふさいだアオザイを、厚さと織密度がほぼ等しいポリエステルと綿で製作した。30℃、80%R.H.の環境下で、5人の被験者が椅座安静(15分)、階段昇降運動(15分)、立位安静(30分)のプログラムで運動した。その間、8か所の皮膚温の変化、4か所の衣服内温湿度の変化を測定し、温度、快適、べたつきなどの官能評価を行った。これらの実験は各2回行った。さらに実験前後の衣服とタオルの重量差から発汗量を求めた。結果 皮膚温、衣服内温湿度および官能評価では被験者に共通した運動による変化がみられたが、分散分析の結果、素材とスリットはこれらの衣服内気候に影響する要因としては有意ではなかった。他方、汗の量は、スリットのない綿素材>スリットのないポリエステル素材>スリットのあるポリエステル素材>スリットのある綿素材の順となり、綿素材のアオザイではスリットの有無が汗の量の要因として有意であり、一方ポリエステルではスリットの有無は要因として有意でなかった。これらの結果から、本実験のような条件下で運動した場合の衣服内気候は、素材の吸湿性のみならず、吸湿による吸着熱の発生、素材の通気性、吸水性などに影響を受けることが明らかとなった。
著者
猪又 美栄子 谷井 淑子 下村 久美子 小原 奈津子 ファン ハイ リン
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.219, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 ベトナム北部~南部の5か所で伝統的衣服の調査を行ってきた。どの地域においても、伝統的衣服を日常的に着用しているのは、主に70歳以上の高齢女性であり、若い年代や男性ではほとんどみられない。その中で、アオ・ザイは現在でも晴れ着、儀礼服として着用されている。アオ・ザイの変遷について、被服構成を中心に報告する。方法 70歳以上の高齢者世帯を訪問して衣生活についての聞き取り調査を行った。調査内容は、高齢者の伝統的衣服の着用状況、子どもの時から現在までの伝統的衣服の着用経験、親・祖父母世代の伝統衣服の着用状況等である。伝統的衣服の種類および着装方法について確認した。結果 1.アオ・ザイの祖型として、アオ・トゥー・タン(四枚はぎの長い上衣)とアオ・ナム・タン(五枚はぎの長い上衣)があげられる。アオ・トゥー・タンにはボタンが無く、前身ごろを結んで着用した。アオ・ナム・タンは右下前として五枚目の布をつけた上衣で、前中心から右脇へボタンで留める形式である。北部ではボタンを留めずに前身ごろを結んだ着方もしばしばみられる。                                                     2.男性のアオ・ザイの形は現在までほとんど変化していないが、女性のアオ・ザイは様々に変化している。3.北部の古いアオ・ザイには、衿ぐりにラーセン(蓮の葉)と呼ばれる幅広の見返しがある。補強のためである。中部・南部ではアオ・ザイを祭礼服として着ていたのでラーセンは無かった。
著者
川原 奈津子 佐野 武仁 山口 温
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.766, pp.85-92, 2004-07-01

When young, one of the authors heard someone say 'In fact there's little difference between the refreshing waterfall sound and the traffic noise on roads.' So-called good sounds include insects' chirping, tinkles of the wind-bell and piano tunes. Bad ones include noises of trams or machinery. What makes the difference between a 'good sound' and a 'bad sound'? This paper intended to visually compare the frequencies of various sounds using Windows Media Player. The results obtained were as follows. 1. So-called good sounds generally had sharp fluctuations in their frequency ranges as shown on attached graphs. 2. So-called bad sounds had less sharp fluctuations in their frequency ranges, hence did not show a clear sound. 3. However, the fluctuations of the waterfall sound and the fluctuations of the traffic noise of the road were not very different, which suggests for some sounds the existence of other factors such as listeners' psychology; memories of the past, the milieu and connotations.
著者
佐藤 哲哉 阪井 康友 福原 奈津子 上田 眞太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-28, 1997 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

パーキンソニズムの姿勢反応障害は日常生活(ADL)の障害をきたし,転倒の誘因ともなっている。そこで我々はパーキンソニズムの立位姿勢反応障害の推定とその特徴の検討を目的に,後方外乱によるPostural Stress Testを施行した。後方外乱刺激には,1.0%体重量による60cmの落下エネルギーを用い,刺激直後の前後重心動揺を経時的に測定を行った。加えて,20秒間の静止立位の重心動揺測定も行った。対象はパーキンソニズム10例および健常者10例で,結果はパーキンソニズムのADL障害の重度化に伴って,後方外乱刺激から平衡反応までの潜時時間は遅延し,この時の後方重心移動距離も延長した。パーキンソニズムの姿勢反応障害の特徴は,静止時のS.D-Areaでなく,後方外乱によるPostural Stress Testに対しての反応を示唆し,臨床評価にその有用性を明らかにした。