著者
塩田 雄太郎 森 由弘 青山 重男 原田 淳一 瀬崎 達雄 長田 高寿 高橋 清 木村 郁郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.289-293, 1988-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15

消化器並びに呼吸器症状を呈する19歳白人の膵嚢胞性線維症の1症例を報告する. 患者は生来健康であったが, 19歳より咳嗽, 喀痰, 下痢を繰返すようになった. なお患者の兄はすでに膵嚢胞性線維症と診断されている. 胸部X線写真ではびまん性の小結節状陰影があり, 両側肺野に気管支の走向に一致した線状陰影が認められた. 肺機能検査では軽度の閉塞性換気障害が認められた. 膵外分泌機能の低下があり, 腹部のCTでは膵の萎縮が認められた. 汗のナトリウム, クロールは高値を示した. また成人の膵嚢胞性線維症に多い合併症とされる鼻ポリープ, 耐糖能の低下も認められた. 本邦では本症の報告は少なく, また成人になって症状が出現するのは稀とされているが, 本症例においては全体に症状が軽いためにこのような経過をとった可能性が考えられた.
著者
南部 雅幸 中島 一樹 川原田 淳 田村 俊世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.99, pp.31-36, 2000-05-20
参考文献数
11
被引用文献数
2

高齢者の自立生活を促進し、看護・介護の負担を軽減する目的で, 情報通信ネットワーク技術を用いた高齢者支援環境の構築を提案した.支援の対象となる高齢者の住環境・経済環境を考慮し, 新規の設備投資を最小限に留めるため, 本システムでは, 電灯線を用いたネットワークシステムを採用した.本研究では, 電灯線LANを既存の住宅へ実装する際の問題となる, 通信速度等の評価を行った.さらに, このネットワークを用いて高齢者の生体機能モニタリングを可能とするWWW上のアプリケーションとして, 遠隔心電モニタを開発し, 獲得したデータの転送に関する実験を行った.その結果, 本システムは, 従来の専用線を用いたネットワークシステムと等価な機能を有するという知見を得た.
著者
中村 和弘 原田 淳子 塩田 茂雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.604-612, 2009-09-01
被引用文献数
4

数列がグラフ的であるための必要十分条件を与える「Havel-Hakimiの定理」を用いて,与えられた次数列を再現するネットワークを構成できることが知られている.本論文ではHavel-Hakimiの定理を利用して次数列を再現するネットワークを構成したとき,構成されたネットワークと現実のネットワークとの間に,2点間距離,クラスタ係数,周辺ノードの平均次数等の特徴量の点でどのような違いが存在するかを分析する.Havel-Hakimiの定理によるネットワーク構成には様々なバリエーションが存在するが,バリエーションの違いが構成されるネットワークに与える影響についても調査する.
著者
山口 一太郎 斎藤 建夫 塚田 章 川原田 淳 佐々木 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.46, pp.33-40, 1997-05-17
参考文献数
7

レーザ組織血流計は無侵襲で簡便に末梢循環状態を連続モニタする機器として広く使用されている.しかし,体動の影響を受け易く,測定範囲・深度が局所に限定され,定量性の面においても問題を残している.本研究では,近赤外レーザ光を用いて局所的な組織血流量を定量的に測定する方法に関する基礎的検討として,まず生体組織に対するモデルとして血液,肝臓,ミルクに近赤外レーザ光を照射しモデル内で散乱したレーザ光の光量分布について検討を行った.次に静脈圧迫等により測定部の血液量を変化させたときに生じる生体内の吸光度変化から組織中のヘモグロビン量を求める装置を試作し,これに定量的組織血流計測に利用されているラバーストレインゲージプレチスモグラフィーや水素クリアランス組織血流計を組み合わせて,簡便に実効光路長を求める方法の可能性について検討した.
著者
大澤 真木子 近藤 恵里 鈴木 暢子 平山 義人 原田 淳子 鈴木 典子 斎藤 加代子 福山 幸夫 石原 傳幸
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.95-109, 1996-03-25

先天性筋ジストロフィー(CMD)という語は,生下時または生後数ヵ月以内に筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を示す乳児に対し広く用いられてきた.本邦では知能障害を伴う福山型CMDが知られ症例も多い.欧米例は,一般に知能障害は伴わず,筋症状だけを示すと考えられてきた.Nogenが知能は正常であるがCT上白質の瀰漫性の低吸収域を呈するCMD例を報告し,続いて同様の症例が報告され,知能障害は伴わないが中枢神経系に異常のあるCMDの存在が注目を浴びるようになった.1994年にこれらと臨床像が一致する例でメロシンの欠損が認められ,遺伝子座は6q2に存在することが判明した.我々は,生下時より著明な筋力低下を呈し,知能正常,瀰漫性白質低吸収域を呈するCMD例を経験し1981年CMDII型として報告した.さらに,知能正常,生後まもなく筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を呈する同様な例を3例経験した.いずれも生後3ヵ月以前に発症し,定頚が7ヵ月以降と遅れていた.しかしながら,1例を除き坐位保持は1歳未満で獲得しており,いざり這いも可能となった.仮性肥大を認めず,顔筋罹患は軽度に止まり,年長時には顔が細長く見える.1例は, 22歳まで経過観察したが,4歳時および19歳時の頭部CTではいずれも瀰漫性白質低吸収域を認め,両所見に差は認めなかった.最高運動機能はいざり這いで,2歳6ヵ月より11歳まで可能であった.同様の本邦報告例は散見されるが,16年間という長期経過を観察可能であった例は他になく,本邦および欧米例の文献展望を加え,本症の位置付け,分類上の今後の問題点などを検討報告した.
著者
原田 淳 宇佐美 繁 野見山 敏雄 谷口 吉光 久野 秀二 中島 紀一 大木 茂 細川 允史 原田 淳
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では対象とした事例はいずれもWTO体制下にあっても確実な成長を実現してきた産直産地組織と総称される農家グループである。その特徴は、新政策がサブ戦略として打ち出した環境保全型農業を早い時期から経営の基本戦略に位置づけ、主として生協との産直という形で、卸売市場への無条件委託販売ではなく、産地組織自身の手で消費をつかみ、継続的な事業システムを構築してきたという点にあった。産直産地組織は環境と安全性重視の農業生産体制の確立と戦略的マーケティングによる農産物販売を機軸とした農家の連合組織であり、法人形態としては農事組合法人、有限会社、株式会社、系統農協、法人格のない任意組織などさまざまである。既存の農業組織のなかでは組織形態や活動内容は農協に類似している。本来ならば系統農協が果たすことを期待された諸機能を、現実には多くの農協が果たし得ていないなかで、意志のある生産者たちが自ら農協類似の組織を作り上げ、時代を生き抜く道を拓いてきたと理解できる。マーケティングを軸とした戦略的経営についてのこれまでの議論は個別経営に視点をあてたものが多かったが、本報告の事例は意志のある農家によるグループとしての組織的な経営展開である。環境・安全など新時代農業のポリシーが確立されているという点、先端的マーケティングを展開する活力ある集団的経営構造が構築されているという点、地域における幅広い農家の結集などの諸点に際だった特色があり、個別経営主義に傾斜しがちだった戦略的経営論と農業を面として集団として捉えようとする地域農業論・産地形成論との断絶を埋める方向としても注目すべき取り組みである。