著者
牧野 公子 Mack Eric. J. 岡野 光夫 Kim Sung. Wan.
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.191-195, 1992

Hydrophilic nylon microcapsules containing concanavalin A and succinyl-amidophenyl-glucopyranoside insulin (SAPG-insulin), whose average diameter was 70 <I>γ</I>m were prepared to achieve a self-regulating insulin delivery system. The microcapsules were enclosed in polymer membranes for <I>in vitro</I> assessment and the release of SAPG-insulin was evaluated under a flow condition of glucose solution. The amount and the rate of SAPG-insulin released from this pouch were dependent upon the external glucose concentration around the pouch. Also, SAPG-insulin was quickly released from a pouch in response to the change of the external glucose concentration. In addition, to optimize this self regulating insulin delivery system, we studied the kinetics of solute permeation through a membrane separating two compartments : donor and receiver under the condition that the receiver compartment was continuously eluted.
著者
上杉 薫 秋山 佳丈 浅野 豪文 秋山 義勝 大和 雅之 岡野 光夫 森島 圭祐
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2014 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._3A1-I02_1-_3A1-I02_3, 2014-05-24 (Released:2017-06-19)

In this study, we measured mechanical properties of cell sheet by using uniaxial tensile test system which we developed. We applied kelvin model (viscoelastic model) which applied single cells for deriving mechanical properties such as elastic modulus and viscous modulus. Mechanical properties of Fibroblast (NIH-3T3) cell sheet and myoblast (C2C12) cell sheet were derived by fitting equation which related kelvin model to measured stress-strain curves of cell sheet. Furthermore, for confirming drag response on cell sheet mechanical properties. By deriving mechanical properties of cell sheet, we confirmed mechanical properties of cell sheet which are different from that of single cells.
著者
原口 裕次 清水 達也 大和 雅之 菊池 明彦 岡野 光夫
出版者
日本再生歯科医学会
雑誌
日本再生歯科医学会誌 (ISSN:13489615)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.83-92, 2004-12-30
被引用文献数
3

最近,欠損または機能不全に陥った組織・臓器に対する新たな治療法として細胞を用いた再生医療が注目され,すでにいくつかの治療法が臨床応用されている.また歯学分野においても幹細胞を用いた細胞移植により歯周組織の再生を目指した研究などが行われている.再生医療には細胞を注射針で不全部に注入する細胞移植療法と細胞から組織を再構築した後,移植する組織工学(Tissue engineering)的手法がある.後者は生命医科学分野だけでは実現が困難であった研究領域であり理工学的な技術との連携により急速に進歩しつつある.当研究所では,独自に開発したユニークな組織工学的手法「細胞シート工学(Cell sheet engineering)」を用い,種々の組織の再構築および再生医療への応用を目指し研究を行っており,一部の組織においてはすでに臨床応用もされ画期的な治療効果を得ている.
著者
内村 英一郎 宮崎 浩明 片岡 一則 岡野 光夫 桜井 靖久
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.472-475, 1997-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
13

我々は、糖鎖認識部位であるフェニルボロン酸基を側鎖に有する水溶性ポリアクリルアミド誘導体がリンパ球増殖活性を示すことを明らかとしてきた。しかし、フェニルボロン酸のpKaは8.6付近のため、生理的pH7.4においては、細胞膜上にある糖鎖と結合可能な4価のボロン酸基の数が必ずしも充分ではない。そこで本研究では、この結合能を上げるためにボロン酸ポリマー中にアミノ基を導入した。すなわち、アミノ基をボロン酸基に配位させることにより生理的pH7.4においても糖鎖との安定なコンプレックスを形成させるという概念である。アミノ基含率の異なるボロン酸ポりマーを調製しリンパ球増殖活性評価を行なった。その結果、アミノ基含有ポリマーは、アミノ基のないものに比べて、低い濃度においても活性を示し、その活性化能の増大が観察された。これより『、アミノ基導入による配位効果により効率的にリンパ球の活性化が可能であることが示された。
著者
岡野 光夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

外部環境に応答して構造変化、物質変化(透過性変化)を引き起す刺激応答型ハイドロゲルは、熱のあるときにのみ解熱剤を放出し、熱が下ると放出が直ちに停止するような新しい薬物送達システムを開拓するものである。ポリイソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)は温度変化に対し敏感に応答し、著しい膨潤変化を生じる。本研究ではIPAAmとアルキルメタクリレ-トとの共重合ゲルを合成し、抗炎症剤のインドメタシン透過性および放出性に及ぼす温度変化の影響を調べた。20℃で平衡膨潤に達した共重合ゲルを30℃に変化させると、ゲルは速やかに内部の水を押し出し収縮する。初期の速い変化の後、水の押し出しは遅くなり、1カ月後においても30℃の平衡膨潤値に達しなかった。これは温度変化によってゲル表面が最初に収縮したスキン構造を形成し、この表面全体の密になった層が内部からの水の流出を著しく阻害するためであると考えられた。この収縮過程はアルキル鎖長により異なり、IPAAmとブチルメタクリレ-ト(BMA)共重合ゲルは2〜3時間で8割程度収縮するのに対し、IPAAmとラウリルメタクリレ-ト(LMA)共重合ゲルでは2割程度しか収縮しないことが明らかとなった。このことから、アルキル鎖長が長いほどゲル表面に薄くて密なスキン層ができると考えられた。このようなゲル膜中のインドメタシンの透過を調べると、20℃では大きな透過性を示すのに対し、30℃では完全に透過性が停止することがわかった。とくに30℃〜20℃に温度低下させたとき、薬の透過速度の遅れ時間に及ぼすアルキル鎖長の影響を詳細に調べ、IPAAm-LMA共重合ゲル膜では薄いスキン層の形成のためきわめて速いON-OFF透過制御が可能となった。さらにインドメタシンの放出についても同様の結果が得られ、応答時間の短い完全な薬物のON-OFF制御が実現されることが明らかにした。
著者
岡野 光夫 大和 雅之 菊池 明彦 横山 昌幸 秋山 義勝 清水 達也 KUSHIDA Ai 青柳 隆夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、温度変化に応答して水溶性を大きく変化させる温度応答性高分子のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)とその誘導体で修飾した温度応答性パターン化表面を、電子線重合法を用いて作製し、これら表面の物性解析と異なる細胞種を用いた共培養、ならびに共培養細胞シートの作製への応用可能性を追究した。今年度は、パターンサイズの異なるパターン化温度応答性表面を作製した。具体的には、電子線重合法によりPIPAAmであらかじめ修飾された表面に、疎水性モノマーのブチルメタクリレート(BMA)溶液を塗布、パターンサイズの異なるマスクを介して電子線照射し、パターン化温度応答性表面を調製した。このとき、パターンサイズが100μm程度では、照射電子線の潜り込み等によりパターンサイズがマスクに比して変化する可能性が示唆された。この手法で、温度制御により部位特異的に親水性/疎水性(細胞非接着性/接着性)を制御しうる表面が調製できた。これらの表面を用い、肝実質細胞と、血管内皮細胞のパターン化共培養系を構築した。さらに、培養皿表面全体が親水性を示す20℃ですべての細胞を、パターン化形状を維持したまま1枚のシートとして回収できた。次に、共培養による肝実質細胞機能の変化をみるために、肝実質細胞から産生されるアルブミンの定量、ならびにアンモニア代謝に伴う尿素合成能を解析した。パターン化共培養により、いずれの機能も肝実質細胞単独培養系に比して高い数値を示した。さらにパターンサイズが小さいほど機能亢進することが明らかとなった。このとき、より小さなパターン化共培養系で肝実質細胞の培養期間が延長できる点も明らかとなった。以上の結果は、肝実質細胞と内皮細胞シートとの重層化によって得られた知見とよく一致していたことから、細胞-細胞間の距離がきわめて重要な影響を与え、細胞機能の発現につながるものと考えられる。
著者
岡野 光夫 大和 雅之 清水 達也 中山 正道 秋山 義勝 原口 裕次 菊池 明彦 串田 愛
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)をポリスチレン表面にグラフトした温度応答性培養皿を利用した、細胞シート工学的手法をさらに発展させることを目的として、(1)種々の生理活性因子を温度応答性表面に固定化し、ウシ胎児血清(狂牛病等の異種感染を完全には否定できない)や患者自己血清(患者毎に生理活性が異なりうる)を必要としない温度応答性培養床を開発、さらに本技術を応用し(2)細胞増殖を加速化し、短期間で細胞シートを作成することにも成功した。具体的には、温度応答性培養皿表面に、生理活性物質が固定化可能な結合サイトを導入し、RGDのような生理活性ペプチドを導入することで無血清培養条件下での細胞シート回収に成功した。また、スペーサーを介してPHSRN(RDGのシナジー配列)とをRDGと共固定することで細胞接着性が向上し、共固定の細胞培養における有用性を明らかにした。(2)さらに、RGDとインスリンの共固定した表面で細胞培養を行うことで、液中にインスリンが存在するよりも、細胞増殖が加速され短期間に細胞シートが作製できることを明らかにした。生理活性物質の固定にはアビジン、ビオチンケミストリーの利用も有効であることを明らかにした。今後、既に臨床応用をおこなっている皮膚表皮細胞シート、角膜上皮細胞シートの他、臨床応用を目指している角膜内皮細胞シート、網膜色素上皮細胞シート、心筋細胞シート、肺胞細胞シート等、それぞれの細胞種に最適化した固定化する生理活性子の組み合わせ、各々の因子の濃度を検討中である。
著者
石川 烈 吉江 弘正 村上 伸也 栗原 英見 和泉 雄一 西原 達次 岡野 光夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現在行われている歯周治療では歯周炎の進行を阻止することにとどまり、歯周炎により破壊された組織を健常な状態に戻す再生治療には至っていない。歯周組織の再生研究は3段階の過程として示すことができる。第1段階は組織再生誘導法と呼ばれる処置で、破壊された歯周組織への上皮の侵入を阻止し、周囲の組織からのその部位への細胞増殖を待ち、定着させる方法である。これに対して第2段階の進歩は単に待つのみではなく、成長因子等を加えることにより積極的に再生を導き出そうとするものである。本研究班では川浪らはBMP-2を、和泉らはGDF-5を、村上らはβ-FGFを用いて研究を進め、それぞれの成果を示しているが、いずれも期待させる成果を得ている。第3段階の進歩は再生を導く歯周組織細胞を欠損部に直接用い、更に確実に再生を導こうとする研究である。即ち自己細胞移植を軸とした組織工学を応用した新しい歯周組織再生治療法を世界に発信することである。栗原らは骨髄からの間葉系細胞を用いて、吉江らは骨膜間葉細胞を用い、五味らは歯髄細胞を用い、大石らはヘルトビッヒ上皮鞘細胞を用い、太田らは自己増殖細胞歯根膜組織を用いてその再生機構を追求した。石川らは岡野の開発した温度応答性培養皿を用い、ヒト歯根膜細胞のシートを用いた歯周組織の再生を試みた。この結果、自己歯根膜シートを歯周組織欠損部に移植することにより、ほぼ完全なセメント質とシャーピー線維を伴う歯周組織の再生が得られることを見出した。渡辺はその臨床応用を可能にするCPCを構築した。基礎研究として小方らは石灰化機構に重要な役割を果す骨シアロタンパク質の転写促進機構を明らかにし、西原らはムコ多糖類のコンドロイチン硫酸の破骨細胞分化抑制機構を明らかにした。これらの研究は2回にわたって研究成果報告会として発表され、公開された場で充分な討議を行い、真の再生治療への可能性が高まった。