著者
中村 幸代 堀内 成子 桃井 雅子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.190-200, 2012 (Released:2013-08-31)
参考文献数
32
被引用文献数
3 2

目 的 日本人女性を対象に,妊娠時に冷え症であることでの,前期破水発生率について,冷え症でない妊婦と比較分析し,冷え症が前期破水の誘因であるかについて,因果効果の推定を行うことである。対象と方法 研究デザインは後向きコホート研究である。データ収集期間は,2009年10月19日から2010年10月8日までの約12カ月である。調査場所は,首都圏の産科と小児科を要する総合病院6箇所である。研究の対象は入院中の産後の女性2810名であり,質問紙調査と医療記録からの情報を抽出した。また,分析方法には,傾向スコア(propensity score)を用いて交絡因子のコントロールを行い,その影響を調整した。結 果 前期破水であった662名(23.6%)のうち,冷え症がある女性の割合は348名(52.6%)であり,冷え症でない女性の割合は314名(47.4%)であった。冷え症でない妊婦に比べ,冷え症である妊婦の前期破水発生率の割合は,1.67倍(共分散分析)もしくは1.69倍(層別解析)であった(p<.001)。結 論 冷え症と前期破水の間の因果効果の推定において,因果効果がある可能性が高いことが示唆された。
著者
清水 かおり 片岡 弥恵子 江藤 宏美 浅井 宏美 八重 ゆかり 飯田 眞理子 堀内 成子 櫻井 綾香 田所 由利子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.267-278, 2013
被引用文献数
3

<b>目 的</b><br> 日本助産学会は,「エビデンスに基づく助産ガイドライン―分娩期2012」(以下,助産ガイドライン)をローリスク妊産婦のスタンダードケアの普及のため作成した。本研究の目的は,助産ガイドラインで示された分娩第1期のケア方針について,病院,診療所,助産所での現状を明らかにすることを目的とした。<br><b>方 法</b><br> 研究協力者は,東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県の分娩を取り扱っている病院,診療所,助産所の管理者とした。質問項目は,分娩第1期に関するケア方針18項目であった。調査期間は,2010年10月~2011年7月であった。本研究は,聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認を受けて行った(承認番号10-1002)。<br><b>結 果</b><br> 研究協力の同意が得られた施設は,255件(回収率37.3%)であり,病院118件(回収率50.2%),診療所66件(20.8%),助産所71件(54.2%)であった。妊娠期から分娩期まで同一医療者による継続ケアの実施は,助産所92.9%,診療所54.7%と高かったが,病院(15.3%)では低かった。分娩誘発方法として卵膜剥離(病院0.8%,診療所3.1%,助産所1.4%)および乳房・乳頭刺激(病院0%,診療所1.5%,助産所5.6%)のルチーンの実施は低かった。入院時の分娩監視装置による胎児心拍の持続モニタリングの実施は,助産所の38%が実施していた。硬膜外麻酔をケースによって行っているのは,病院の31.6%,診療所の31.3%であった。産痛緩和のための分娩第1期の入浴は,助産所では92.7%,病院48.3%,診療所26.7%で可能とされていた。産痛緩和方法として多くの施設で採択されていたのは,体位変換(95%),マッサージ(88%),温罨法(74%),歩行(61%)等であった。陣痛促進を目的とした浣腸をケア方針とする施設は非常に少なかった(病院1.7%,診療所9.1%,助産所1.4%)。人工破膜をルチーンのケア方針としている施設はなかった。<br><b>結 論</b><br> 分娩第1期のケア方針について,病院,診療所,助産所における現状と助産ガイドラインのギャップが明らかになった。本研究の結果を基準として,今後助産ガイドラインの評価を行っていく必要がある。本研究の課題は,回収率が低かったことである。さらに,全国のケア方針の現状を明確化する必要がある。
著者
田中 利枝 岡 美雪 北園 真希 丸山 菜穂子 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-26, 2018
被引用文献数
3

<p><b>目 的</b></p><p>産科看護者に向けた,早産児の母親の産褥早期の母乳分泌を促す教育プログラムを開発する端緒として,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアについて探索する。</p><p><b>対象と方法</b></p><p>PubMed,CINAHL Plus with Full Text,医学中央雑誌Web, Ver.5を用い文献検索を行った。さらにCochrane Libraryに掲載されている搾乳に関するレビューに用いられている文献を追加した。その中からタイトル,抄録,本文を参考に,早産児の母親の母乳分泌量をアウトカムとする文献を抽出し,Cochrane Handbook,RoBANS,GRADE Handbookを用い,文献の質の評価を行った。また,研究目的,方法,結果について整理し,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアを抽出した。</p><p><b>結 果</b></p><p>35文献が抽出され,介入研究24件,観察研究11件であった。無作為化,隠蔽化,盲検化に関する記述が不十分で,サンプルサイズが検討されていないなど,ランダム化比較試験の質は低く,交絡変数の検討が不十分なために非ランダム化比較試験の質も低かったが,観察研究から実践に活用可能と考えられるエビデンスが得られた。早産児を出産した母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアでは,分娩後,可能な限り1時間以内に搾乳を開始すること,1日7回以上の搾乳回数,1日100分以上の搾乳時間を確保すること,手搾乳と電動搾乳の両方について十分な説明を行い,乳汁生成II期に入るまで電動搾乳に1日6回以上の手搾乳を追加すること,カンガルーケアを実施することが有用だとわかった。</p><p><b>結 論</b></p><p>今後は,産科看護者による早産児を出産した母親への搾乳ケアに関する実態把握を行い,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアが実践できるような教育プログラムを開発していく。</p>
著者
桃井 雅子 堀内 成子 片岡 弥恵子 江藤 宏美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.507-512, 2009-01-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

妊婦68名を対象に「下肢の冷え性の有無」と「皮膚温(深部温および表面温)」との関係を分析するとともに「腰痛の有無」と「皮膚温」との関係についても分析した。対象者のうち冷え性の自覚がある妊婦は38名,ない妊婦は30名であった。冷え性の自覚あり群は自覚なし群にくらべて"足底部深部温"と"足拇指表面温"がともに低く,"前額部深部温"と"ふくらはぎ表面温"は,差はなかった。また,"足底部深部温と前額部深部温との較差"において,冷え性の自覚がある群は,ない群に比べて有意に大きかった(p<0.05)。腰痛の有無と皮膚温の関連では,腰痛のある群のほうが"足底部深部温"(p<0.05)と"足拇指表面温"(p<0.001)ともに,ない群に比べて有意に温度が高かった。また"前額部深部温と足底部深部温との較差"は,腰痛のある群のほうが小さかった(p<0.05)。"前額部深部温"と"ふくらはぎ表面温"に関しては,両群とも違いはなかった。今後,妊娠中の体温や子宮増大による腰部神経への負担などの身体的特徴を考慮した検討の必要性が示唆された。
著者
清水 かおり 片岡 弥恵子 江藤 宏美 浅井 宏美 八重 ゆかり 飯田 眞理子 堀内 成子 櫻井 綾香 田所 由利子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.267-278, 2013 (Released:2014-03-05)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

目 的 日本助産学会は,「エビデンスに基づく助産ガイドライン―分娩期2012」(以下,助産ガイドライン)をローリスク妊産婦のスタンダードケアの普及のため作成した。本研究の目的は,助産ガイドラインで示された分娩第1期のケア方針について,病院,診療所,助産所での現状を明らかにすることを目的とした。方 法 研究協力者は,東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県の分娩を取り扱っている病院,診療所,助産所の管理者とした。質問項目は,分娩第1期に関するケア方針18項目であった。調査期間は,2010年10月~2011年7月であった。本研究は,聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認を受けて行った(承認番号10-1002)。結 果 研究協力の同意が得られた施設は,255件(回収率37.3%)であり,病院118件(回収率50.2%),診療所66件(20.8%),助産所71件(54.2%)であった。妊娠期から分娩期まで同一医療者による継続ケアの実施は,助産所92.9%,診療所54.7%と高かったが,病院(15.3%)では低かった。分娩誘発方法として卵膜剥離(病院0.8%,診療所3.1%,助産所1.4%)および乳房・乳頭刺激(病院0%,診療所1.5%,助産所5.6%)のルチーンの実施は低かった。入院時の分娩監視装置による胎児心拍の持続モニタリングの実施は,助産所の38%が実施していた。硬膜外麻酔をケースによって行っているのは,病院の31.6%,診療所の31.3%であった。産痛緩和のための分娩第1期の入浴は,助産所では92.7%,病院48.3%,診療所26.7%で可能とされていた。産痛緩和方法として多くの施設で採択されていたのは,体位変換(95%),マッサージ(88%),温罨法(74%),歩行(61%)等であった。陣痛促進を目的とした浣腸をケア方針とする施設は非常に少なかった(病院1.7%,診療所9.1%,助産所1.4%)。人工破膜をルチーンのケア方針としている施設はなかった。結 論 分娩第1期のケア方針について,病院,診療所,助産所における現状と助産ガイドラインのギャップが明らかになった。本研究の結果を基準として,今後助産ガイドラインの評価を行っていく必要がある。本研究の課題は,回収率が低かったことである。さらに,全国のケア方針の現状を明確化する必要がある。
著者
飯田 真理子 片岡 弥恵子 江藤 宏美 田所 由利子 増澤 祐子 八重 ゆかり 浅井 宏美 櫻井 綾香 堀内 成子
出版者
Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.73-80, 2018-06-29 (Released:2018-06-29)
参考文献数
14
被引用文献数
4

周産期を通して安全で快適なケアを提供するには助産実践指針が必要である。日本助産学会は健康なローリスクの女性と新生児へのケア指針を示した「エビデンスに基づく助産ガイドライン―妊娠期・分娩期2016」を刊行した。この2016年版は2012年版に新たに妊娠期の臨床上の疑問(Clinical Question,以下CQ)を13項目加え,既にある分娩期のCQ30項目には最新のエビデンスを加えた。このガイドラインでは助産実践を行う上で日常助産師が遭遇しやすい臨床上の疑問に答え,ケアの指針を示している。推奨は最新のエビデンスに基づいているため,ここに示している内容は現時点での“最良の実践”と考える。本ガイドラインに期待する役割は次の3つである:1)助産師がエビデンスに基づいたケアを実践し,女性の意思決定を支援するための指針としての役割,2)助産師を養成する教育機関において,日進月歩で進化していく研究を探索する意味を学び,知識やケアの質が改善している事実を学ぶ道具としての役割,3)研究が不足し充分なエビデンスが得られていない課題を認識し,研究活動を鼓舞していく役割。そして本稿においてガイドラインの英訳を紹介する目的は次の通りである:1)日本の助産師が編纂したガイドラインを世界に紹介・発信すること,2)日本の研究者が英語で本ガイドラインを引用する際の共通認識として用いること。2016年版では,合計43項目のCQに対して推奨を示しているが,次の6つに関しては産科領域で広く用いられているものの,医行為に関わるため推奨ではなく「エビデンスと解説」にとどめている:CQ1分娩誘発,CQ2卵膜剥離,CQ7硬膜外麻酔,CQ21会陰切開,CQ26会陰縫合,CQ28予防的子宮収縮薬投与。2012年版から推奨が改訂されたCQは次の通りである:CQ3乳房・乳頭刺激の分娩誘発効果,CQ9指圧,鍼療法の産痛緩和効果,CQ14指圧,鍼療法の陣痛促進効果。なお,本論文の一部は「エビデンスに基づく助産ガイドライン―妊娠期・分娩期2016」からの抜粋であり,推奨の部分は翻訳である。
著者
飯田 真理子 新福 洋子 谷本 公重 松永 真由美 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.187-194, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
20

HUG(Help-Understanding-Guidance)Your Baby育児支援プログラム(以下HUGプログラム)は米国,ノースカロライナ州のファミリーナースプラクティショナーであるJan Tedder氏により開発されたプログラムである。このHUGプログラムは,新生児を家族に迎えたばかりの両親に分かりやすく新生児の行動を説明し,育児のスキルを伝え,両親が児の行動を正しく理解し,出産後に肯定的な育児行動を継続することを目標としている。今回HUGプログラムを日本において実施するにあたり,日本語版の教材を作成しプログラムを開発したので,その内容を報告する。作成にあたり,原版開発者との協働で英語版HUGプログラムを日本語へ翻訳した。英語版を研究者らが日本語へ翻訳し,そのバックトランスレーションが行われ,英語のプログラムとの内容妥当性を確認された日本語版HUGプログラムを開発した。翻訳した教材はHUGプログラム内で使用するスライド,2つのスキルを紹介したリーフレット,母乳育児の道のりを示したリーフレット,新生児の行動をまとめたDVDである。HUGプログラムの構成は次の通りである:育児に使える2つのスキル「新生児のゾーン」「新生児の刺激過多の反応」の紹介,新生児が示す刺激過多の反応への対処方法,順調な母乳育児のコツ,2つの睡眠パターンの紹介である。そしてその後はおくるみと赤ちゃん人形を用いたおくるみレッスンと育児経験者から子育ての苦労やヒントを聞く,という構成である。HUGプログラム内で使用している教材は参加者に配布し,自宅で繰り返し活用できるようにしている。現在はプログラムの目標の達成度を測定している。参加者の反応等の分析を経て,日本の子育て文化を考慮した日本語版HUGプログラムの更なる発展と普及に向けて,教育活動を続けていく予定である。
著者
園田 希 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.72-82, 2012 (Released:2012-08-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

本研究は,正常分娩において人工破膜が実施された状況を振り返ることで,正常分娩における人工破膜の実態を明らかにすること,そして人工破膜と分娩経過,児の娩出方法,児に与える影響を明らかにすることを目的とした。なかでも,児の娩出方法に関しては検証されておらず,明らかになっていない。そのため,これらを明らかにすることは,長年伝統的に行われていた人工破膜を,根拠に基づき実施するための一助となると考える。 調査対象は,助産所,病院で正常妊娠経過を辿った初産婦326名,経産婦435名の計761名とした。過去の診療録や助産録などより情報を収集し,自然破水群,人工破水群に分類した。分娩経過として,分娩第 I 期,第II期,分娩所要時間,促進剤の使用の有無,を比較した。分娩第 I 期,第II期,分娩所要時間,については,Mann-Whitney U検定を,促進剤の使用の有無に関しては,χ2検定を実施した。また,児の娩出方法として,医療介入の有無,新生児の予後について比較した。医療介入の有無,新生児の予後についてはχ2検定を,度数が5以下の場合は,フィッシャーの直接確率検定を採用した。 その結果,破水から児娩出までの所要時間に関して,初産婦においてのみ,自然破水群は中央値74分,人工破膜群では中央値58分で人工破膜群が有意に短かった(p=.029)。 分娩第II期の所要時間は,経産婦でのみ,自然破水群は中央値18分,人工破膜群では中央値16分で,人工破膜群が有意に短かった(p=.002)。 児の娩出方法は,自然破水群の初産婦と比較すると,人工破膜群の初産婦で【圧出分娩】【圧出分娩および器械分娩の併用】が有意に高率であった(χ2=5.420, p=.020, χ2=7.071, p=.001)。 初産婦において,破水から児娩出までの所要時間の平均は,人工破膜群が有意に短かったが,初産婦の人工破膜群において【促進剤の使用】が有意に高率であったこと,促進剤の使用時期は人工破膜後からが最も多かったことが,破水から児娩出までの所要時間の平均が有意に短いという結果をもたらしたと考えられる。 そのため,人工破膜による分娩促進の効果は,初産婦・経産婦とも必ずしも効果があるとは言い難く,分娩促進目的での人工破膜の実施は,頸管開大度から判断するだけでなく,産婦の身体的,精神的状態,産婦の希望を考慮し,慎重に判断していく必要がある。 なかでも,初産婦では,人工破膜後に圧出分娩や促進剤の使用などの医療介入を必要とする可能性が示唆された。そのため,初産婦に対して人工破膜を実施する際には,人工破膜後に生じる可能性のある弊害を考慮し,その必要性を慎重に判断していく必要がある。
著者
中村 幸代 堀内 成子 毛利 多恵子 桃井 雅子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.205-214, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

目 的 ブラジル在住のブラジル人妊婦を対象に,冷え症の自覚がある妊婦の体温及び,妊娠中の随伴症状や日常生活行動の特徴の実態を分析する。対象と方法 妊娠20週以降のブラジル在住ブラジル人妊婦200名を対象とし,体温測定と質問紙調査を行った。調査期間は2007年10月から2008年2月である。結 果 1,冷え症の自覚があった妊婦は114名(57%)であった。前額部深部温と足底部深部温の温度較差の平均は,冷え症の自覚がある妊婦は,2.8℃,冷え症の自覚がない妊婦は2.0℃で,2群間に有意差が認められた(p=0.018)。2.冷え症の自覚と冷え症を判断する基準(寺澤,1987)との比較にて,冷え症の自覚がある妊婦のうち,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症である妊婦は70.2%であり,冷え症の自覚がない妊婦のうち,89.5%は冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症ではないと判断できた。3.妊婦の冷え症と随伴症状・日常生活行動との関連性では,「冷えの認識」と「冷えに関連した妊娠に伴う症状」は相互に因果関係は認められなかった。「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」に正の影響を与えていた(β=0.41, p=0.049)。さらに「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」を介して「陰性食品の摂取」に正の影響を与えていた(β=0.38, p=0.021)。結 論 1.冷え症の自覚がある妊婦の,前額部深部温と足底部深部温の温度較差は,冷え症の自覚がない妊婦に比べて有意に大きい。冷え症の自覚は,客観指標となる温度較差を反映している。2.冷え症の自覚がない妊婦と,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)の一致率は約8割と高かった。3.ブラジル人妊婦は,「深部温温度較差」や「冷えの認識」と,「冷えに関連した妊娠に伴う症状」や「不規則な生活」や「陰性食品の摂取」との間に因果関係はなく,日常生活行動が冷え症に影響を与えない。
著者
中村 幸代 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.94-99, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
11
被引用文献数
3 6

目 的 冷え症と早産,前期破水,微弱陣痛,遷延分娩,弛緩出血との関連性について分析することである。対象と方法 研究デザインは対照のある探索的記述研究であり,後向きコホート研究である。調査期間は,2009年10月から2010年10月,調査場所は,早産児の収容が可能な首都圏の産科と小児科を要する総合病院6箇所である。 研究の対象者は,入院中の分娩後の日本人女性2810名である。調査方法は,質問紙調査と医療記録からのデータ収集であり,質問紙の回答の提出をもって承認を得たものとした。結 果 2810名を分析の対象とした。冷え症と異常分娩である5因子を観測変数として,構造方程式モデリングを施行し,パス図を作成した。冷え症から早産へのパス係数は0.11(p<0.001),冷え症から前期破水へのパス係数は0.12(p<0.001),冷え症から微弱陣痛へのパス係数は0.15(p<0.001),冷え症から弛緩出血へのパス係数は0.14(p<0.001),冷え症から遷延分娩へのパス係数は0.13(p<0.001)であり,いずれも正の影響を与えていた。また,前期破水から早産へのパス係数は0.05(p=0.013),前期破水から微弱陣痛へのパス係数は0.07(p<0.001),微弱陣痛から弛緩出血へのパス係数は0.08(p<0.001)であった。そして,微弱陣痛と遷延分娩の誤差間のパス係数は,0.24(p<0.001)であり相互に影響を及ぼしあっていた。結 論 冷え症は,早産,前期破水,微弱陣痛,遷延分娩,弛緩出血のすべてに影響を与えている。各異常分娩間の関係では,前期破水は早産に影響を与えており,さらに前期破水は,微弱陣痛に影響を与え,微弱陣痛は弛緩出血に影響を与えている。また,微弱陣痛と遷延分娩は相互に影響し合っていた。
著者
永森 久美子 土江田 奈留美 小林 紀子 中川 有加 堀内 成子 片岡 弥恵子 菱沼 由梨 清水 彩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-27, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
4

目 的 母乳育児中および母乳育児の経験がある母親の体験から,混乱や不安を招き,母親の自信を損なうなどといった効果的でなかった保健医療者のかかわりを探索する。対象と方法 研究協力者は都内の看護系大学の母乳育児相談室を利用した母親35人と,第2子以降の出産をひかえた家族ための出産準備クラスに参加した母親5人の計40人であった。データ収集は研究倫理審査委員会の承認を得て,2007年8月~11月に行った。データ収集方法は半構成インタビュー法で,内容は,「授乳や子どもの栄養に関して困ったこと,不安だったことは何か」,「それらの困ったこと・不安だったことにどのように対処したか」などであった。録音されたインタビュー内容を逐語録にしたものをデータとし,母親が受けた支援で,「混乱を招いた」,「不安になった」などというような医療者のかかわりを抽出した。抽出された内容をコード化しサブカテゴリー,カテゴリーに分類した。結 果 母乳育児をしている母親が混乱や不安を招くような保健医療者のかかわりとして,【意向を無視し押し付ける】,【自立するには中途半端なかかわり】,【気持ちに沿わない】,【期待はずれなアドバイス】,【一貫性に乏しい情報提供】の5つのカテゴリーが抽出された。母親は保健医療者から頻回授乳や人工乳の補足を強いられているように感じ,授乳の辛さや不安を受け止められていないと感じていた。その結果,母親は後悔の残る選択をし,授乳に対して劣等感や失敗感を抱いていることがあった。また,母親が自分で判断・対処できるようなかかわりでなかったために,自宅で授乳や搾乳の対応に困難を抱えたままでいることもあった。結 論 母親は母乳育児への希望を持っていたが,保健医療者のかかわりにより混乱や不安を感じていることがあった。保健医療者には,母親の意向を考慮した母親主体の支援,母親が自立していくための支援,母親の気持ちを支える支援,適切な観察とアセスメント能力,一貫性のある根拠に基づいた情報提供が求められていると考えられた。
著者
片岡 弥恵子 須藤 宏恵 永森 久美子 堀内 成子
出版者
Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.158-169, 2008

<B>目 的</B><br> 研究目的は,性の健康クラスに参加した母親のクラス前後の気持ちおよび行動について記述することで,クラスに参加した母親と子どもおよび家族にどのような変化があったかを明らかにすることである。<br><B>対象と方法</B><br> 研究デザインは,質的記述的研究であった。クラスに参加予定の母親10名を対象に,クラス前と終了後の2回,半構成的インタビュー法によりデータを収集した。データからクラス前後の変化ととらえられた部分を抽出し,コード化しカテゴリーに分類した。<br><B>結 果</B><br> 母親の語りは,性教育の第一歩,新しい家族を迎えること,家族で迎える出産に分類された。性教育の第一歩として,クラス前の母親は,子どもへの【性に関する正しい知識の伝授】を望んでいたが,性について【どこまで話したらよいかという悩み】を持ち,【子どもに理解しやすい方法の探求】を試みていた。クラス後には,【性について子どもに伝えていく自信】を高め,【子どもの理解への手ごたえ】を得ていた。同時に,自分自身の受けた性教育について振り返り【母親自身が受けた性教育への疑問】を感じていた。新しい家族を迎えることについては,クラス前【上の子どもへの対応の難しさ】を感じ【無理のない弟妹の受入れ】を望んでいた母親は,クラス後に【赤ちゃん返りを受止める】,【子どもの成長の実感】を得ていた。家族で迎える出産に関することでは,【家族で迎える出産への期待】から【子ども立会い出産の準備】がクラスを受ける動機になっており,クラス後は【家族で共有知識を持つ心強さ】を持ち,クラスは【今回の出産に向き合う】契機になっていた。<br><B>結 論</B><br> 上の子どもや家族で迎える出産に向けての母親の気持ちは,クラスの前後で肯定的に変化していたことがわかった。これは,クラスの影響と推測することができる。対象者を増やし,家族への長期的な影響を踏まえてクラスの効果を明らかにすることが今後の課題である。
著者
小澤 道子 森 明子 久代 和加子 桃井 雅子 片桐 和子 堀内 成子 園城寺 康子 菊田 文夫
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.28, pp.39-49, 2002-03
被引用文献数
1

本学は1995年度入学生より,改訂カリキュラムを採用した。改訂カリキュラムの特徴として,自学自習能力の育成,統合化学習の推進,科目配置の順序性があげられる。本報告は,改訂カリキュラム導入期の3年間における卒業時点での学生側から見たカリキュラムの満足度と教科カリキュラムの順序性,統合性に対する評価の推移を知ることを目的とした。調査方法は,調査日を卒業式前日とし,質問紙を配布しその場で回収をした。質問紙の構成は,教科カリキュラムの統合性を知るために「総合看護・看護研究II」と履修した科目との関連,教科目の順序性,カリキュラムの満足の度合,授業や教育システム,教育支援に対する評価などである。その結果は,次の如くである。(1)『総合看護・看護研究II』(いわゆる卒業論文)にこれまで履修した教養科目・基礎科目・専門科目の,各科目の関連のあるものを科目の出現率で検討すると,3年間とも基礎科目と専門科目の出現率が高く,教科カリキュラムの統合性が支持されていると解釈できる。(2)改訂カリキュラムでは,看護へめ高い志向をもつ学生に,あえて1年次では,教養科目に力を入れる科目配置にした。しかし3年間とも学生は,入学次から看護学の科目を求めていた。入学年次に教養科目と看護学の科目をどのように配置していくのかが課題として残された。(3)カリキュラム全体に対する満足度は,3年間ともその高い順に「総合看護i看護研究H」,「専門科目群」,「実習科目群」であり,全体の平均は,5段階の4:「やや満足」から3:「どちらでもない」の間に分布じた。(4)カリキュラム運用に間しては,「専門的知識が身につく」「自分の視野を広げるのに役立つ授業が多い」等が3年間ともに肯定的回答が高く,また,「本学の学生として経験したことは肯定的にとらえている」とした学生は,9割以上を占めていた。一方,「情報処理関係の教育が充実している」には,否定的回答が年次毎に徐々に増加していた。今後とも加速的に変化する情報技術革命に対する設備投資という大きな側面と,日常的な維持管理への対応の側面の両面からの取り組みが急務な課題であろう。以上,カリキュラムの受け手である学生側の3年間の評価は,一部に年次差が見られたが,総じて,カリキュラムの統合性と順序生が受け入れられ,満足できるものとして示された。そして,より実効あるカリキュラムのためには,このような評価活動の重要性が再認識された。
著者
西原 京子 堀内 成子 内田 直
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、産褥期うつ状態の母親の睡眠を知るためには、産褥期に適応している母親の睡眠の構造を検討する必要があった。適応群の睡眠の特徴は、以下のとうりである。1、産褥早期(1週から6週)では、母親の平均睡眠時間は、322分であり、睡眠率は77%と低いが、それは子供の世話による覚醒時間の増加によるもので、中等度の深さの睡眠が減少するが、深い睡眠やREM睡眠は減少せず、効率のよい睡眠をとっていることが明確となった。さらに、母親の中途の覚醒は、子供の動きとよく同期していた。2、子供の概日睡眠覚醒リズムができる9,12週では、Interrupted sleepとNon-interrupted sleepが存在した。、Interrupted sleepは、産褥早期の睡眠に類似するが、Non-interrupted sleepは、非妊娠女性と比べると大差がなく、むしろ深い睡眠が増加し、Interrupted sleepからくる断眠の回復睡眠をとっていた。すなわち適応している産褥婦は、眠れる時には良質の睡眠をとっていた。一方、産褥期うつ状態の生理学的研究は、症状が出ている時に患者から同意を得ることは、かなり困難であったが、睡眠ポリグラフィで1名、アクティグラフィで1名の協力を得られた。共通の知見として、第1点は、眠っていても睡眠の自覚的評価は低いこと、2点目は、子供の動きへの対応が遅いことであった。これらの所見は、例数が少ないので今後さらに例数を増やして検討する予定である。本研究でもう少し睡眠ポリグラフィに協力を願えるかと推測したが状況は厳しく、途中より方法を検討した結果、actiwatchを母子に装着する方が簡易で、被験者の協力を得ることができた。アクティグラフィが、今後、産褥期うつ状態の精神生理学的研究の有力な武器になるであろう。
著者
江藤 宏美 堀内 成子 中山 和弘 西原 京子 堀内 成子 中山 和弘 西原 京子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

生後2週目から3か月の乳児の夜間の母児同室下における睡眠覚醒状態の特徴を明らかにするための録画・分析システムの開発を行い、国際的な睡眠研究者とのネットワークによるプラットホームを構築することを目的とした。その結果、録画システムは、非侵襲で、夜間の暗い環境状況下で安定した画像収録ができるような赤外線LED照明と超高感度モノクロカメラを実装した機械ができた。分析システムは、画像差分の算出をベースに自動判定アルゴリズムを作成した。情報共有プラットホームとして、研究者間で情報共有を行うインフラとして、大容量かつ高信頼性のサーバー構築を行った。システムの評価をした結果、自動判定アルゴリズムで乳児の睡眠状態をビデオ画像からロバストに自動判定できる可能性を確認した。
著者
土江田 奈留美 中川 有加 土屋 円香 永森 久美子 小林 紀子 堀内 成子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.33, pp.85-92, 2007-03

本稿は,聖路加看護大学看護実践開発研究センター主催,日本助産学会東京支部中央区分会の後援により2004年9月に開設した,ルカ子母乳育児相談室の2年間の事業報告である。本事業の主な内容は,病院,助産院などで勤務経験がある助産師で,大学院生と教員による,地域での母乳育児支援である。毎週金曜日に来室相談および随時訪問相談を行っており,2年間での総相談者は母児54組,総相談件数は289件であった。そして,主な相談内容は,「母乳分泌量の不足」「乳房のトラブル」「断乳・卒乳」「吸わせ方や抱き方」「哺乳拒否」であった。また,利用者の感想は,「不安が解消された」「子育てに自信がついた」「また利用したい」などであった。そして今後のルカ子母乳相談室の役割として,以下の3点を継続,拡大していきたいと考えている。1.授乳期全期にわたり悩みが尽きない母親たちの支援を行う場2.資源が少ない地域への貢献の可能性3.病院だけでは補いきれない育児支援を継続していく場
著者
堀内 成子 江藤 宏美 大隅 香 西原 京子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

研究者らは静電容量型加速度センサーを用いて、妊婦の腹部より胎動を記録する小型装置・自動解析システムを開発した。胎動監視装置FMAM(Fetal Movement Acceleration Measurement)は、(290g,77mmX27mmX140mm)で二つのセンサー(胎児・母親の体動をピックアップする)、生体アンプ、SDカードを内蔵し、40時間連続記録可能である。9名の健康な妊婦(29-39歳)の妊娠20週から36週の間の睡眠中の胎動変化を分析することができた。妊娠週数による胎動数の変化が把握できた。さらに胎動変化の個人差が大きかった。母親の呼吸運動がアーチファクトとして混入し、自動解析システムの課題が判明した。死産後の次子妊娠中の妊婦2名の家庭での胎動モニタリングを行い、コントロール妊婦の胎動の変動範囲に入っていることを確認した。睡眠中の胎動変動を見せることにより、妊婦の安心感を得た。こうした家庭訪問により、妊婦は不安を表出できた。妊婦は、胎動監視装置を用いて自分自身で簡単に胎動を記録することが可能であった。さらにデータを収集して、母親のアーチファクトを自動的に除外する解析システムに改善する必要がある。新胎動記録・解析システムは、胎児のwell-beingをみる妊婦による妊婦のための家庭胎動モニタリングとして期待できる。
著者
有森 直子 堀内 成子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

人工妊娠中絶につながる出生前検査や母乳を介して病気が感染する可能性のあるヒトT細胞白血病ウィルスI型(以後HTLV-1)の栄養方法選択は、当事者にとって苦渋の選択となる。本研究は、患者やその家族がよりよい決定ができるように支援する看護職のための教育プログラムを検証した。本プログラムは情報提供のみではなく、患者の価値観を考慮した支援のあり方を重視している。受講した看護職は支援について理解が深まり、今後このプログラムがより広く活用されるための示唆が得られた。