- 著者
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小西 徹
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.8, pp.802, 2015 (Released:2018-08-26)
- 参考文献数
- 4
近年,幻覚・暴言・攻撃的行動・不安といった認知症の周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に対して抑肝散が有効であることが報告され,大規模臨床試験におけるデータも集積されてきている.抑肝散のBPSDに対する作用機序の1つに,グルタミン酸(Glu)過剰による毒性から神経細胞を保護する作用が考えられている.神経毒性発現のメカニズムにはNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸,N-methyl-D-aspartic acid)型グルタミン酸受容体を介するものと,システムXc-(シスチン/グルタミン酸アンチポーター)を介するものが提唱されている.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Iwasaki K. et al., J. Clin. Psychiat., 66, 248-252 (2005).2) Matsuda Y. et al., Human Psychopharmacol., 28, 80-86 (2013).3) Kawakami Z. et al., Neurosci., 159, 1397-1407 (2009).4) Kanno H. et al., PLoS One., 9, e116275 (2014).