著者
山根 健治
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

カーネーションを20%CO2で12時間処理すると鮮度保持効果が認められたが。12hの5℃,50% CO2処理はカーネーション切り花のエチレン生成と呼吸を低下させ,日持ちを延長した。RNAseqの結果,高CO2 処理が他の区に対して遺伝子発現の変動が大きく,酸化還元に関する遺伝子群の発現促進や抑制が認められた。短期CO2処理の実用化には,種(品種)によって好適条件を設定する必要がある。
著者
山根 健治 猪爪 亜希 和田 義春 林 万喜子 清水 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.115-121, 2008-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

鉢花カーネーションの流通・消費段階での収穫後品質向上のために低照度下での生理および品質の変化について調査した.個葉の光補償点は'マイフェアレディ'ではPPFD 10.3 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>,'スカーレット'12.9 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>と算出された.Fv/Fm,&Phi;PSIIおよび葉のクロロフィル含量は120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では維持されたが,10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(16時間日長)においては著しく低下した.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>において花弁の糖含量とアントシアニン含量の低下が認められた.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>の鉢と比較して開花数が減少し,鉢花の日持ちも短かった.これらのことから,光補償点前後の弱光下ではクロロフィルの分解と葉の黄化が進行し,光合成量が著しく低下して糖含量が低下した結果,個々の小花と鉢花全体の日持ちが短縮されたものと推察された.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>条件下の'スカーレット'では30 ppm 5-アミノレブリン酸(ALA)処理により葉の&phi;PSII値およびクロロフィル含量の低下と黄化が緩和され,開花数,小花および鉢花の日持ちが改善される傾向にあった.PPFD 5 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(24時間日長)条件下の'マイフェアレディ'では30 ppmおよび150 ppm ALA単独処理で鉢花の日持ちが有意に延長された.PPFD 15 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(12時間日長)条件下の'マイフェアレディ'において,30 ppm ALA処理はクロロフィル含量の低下を緩和したが,光合成速度や光補償点には影響しなかった.<br>
著者
山根 健 蓮尾 高志 末光 厚夫 森田 昌彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.933-944, 2007-03-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

シンボルグラウンディング問題やフレーム問題に起因する古典的人工知能の限界を超えるには,もともとパターンで表現される外界の情報をパターンのまま処理するパターンベースの推論が有効だと考えられるが,シンボルやそれに類するものを全く用いる必要のない推論エンジンはこれまでなかった.本論文では,非単調神経回路網が構成する大自由度力学系のダイナミックスを利用して,完全なパターンベースの推論を行うモデルを提案する.このモデルでは,情報はすべてパターンとして分散的に表現され,適切な推論結果を表すパターンへの状態遷移が生じるよう,力学系のある部分空間に軌道アトラクタを形成することが知識の学習に相当する.簡単な推論システムを構築したところ,全く未知の問いに対しても類推によって適切に答え,非単調推論も自然な形で実現できるなど,従来の推論方式にはない特徴が示された.まだ研究の初歩的段階ではあるが,本モデルは推論方式や性質が脳に似ており,大きな可能性をもつと考えられる.
著者
柳沢 忠 米山 弘一 吉田 雅夫 菅野 長右エ門 山根 健治 沖野 龍文 TRAGOONRANG ソンボング KETSA Saicho
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

タイ国では暑い気候も幸いして農水産物はかなり大量に収穫されている。しかしながら、暑い気候のために腐敗して捨ててしまっている一次産物も多い。高度利用のたのPostharvest studiesが要求されている。本計画ではタイ国における農水産物の高度利用研究のための基盤をいかに築いていくかを調査し、具体化する方策を探ることを目的とした。本研究は2つのプロジェクトから成り立つ。1.タイ国の代表的で豊富に栽培されている園芸作物(例えばカトレアなど花類)を長期に保持させるために、内生植物生長調節物質を特定すること、および化学薬品をどのように処理するかについての観察調査。この研究には、吉田、米山、山根、Saichol Ketsaがあたる。2.タイ国の代表的で豊富に養殖されているエビ類の耐病性や過密養殖に耐えられる種類を特定すること、およびDNA分析によってどのDNAが関与しているかを特定すること。この研究には、柳沢、菅野、沖野,Somvong Tragoonrungがあたる。両大学の研究者が共同して考察検討を行い、対処法をカセサート大学側の研究分担者が行う。得られた結果について宇都宮大学において共同で検討してこの問題の解決にあたる。3年間に渡ってお互いに相互訪問をした。特に2年目の1999年にはチェンマイ市郊外のロイヤルプロジェクト農場(宮内庁農場にあたる、カセサート大学の農場実習の場でもある)を訪問した。3年目の2001年にはプーケット島(エビの養殖試験場)および近くのカセサート大学クラビキャンパス(7番目)を訪問した。協力研究者のSaichol Ketsa教授は宇都宮大学で山根健治助教授らと共同研究を行うとともに、バナナのポストハーベストの方法について宇都宮大学において講演をして頂いた。最後の2001年1月には日本側6名(柳沢、吉田、山根、米山、菅野、沖野)全員がバンコク市のカセサート大学を訪問して、今後の研究について検討した。
著者
山根 健治 河鰭 実之 藤重 宣昭
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.798-802, 1999-07-15
被引用文献数
5 18 24

フリーラジカル捕捉剤である安息香酸ナトリウムおよび没食子酸n-プロピル処理により, 切り離されたグラジオラス小花における花被のしおれの開始がわずかに遅れた.花被のスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性は花被の完全展開後2日間で著しく低下し, その後, 花被のしおれが開始した.300μMシクロヘキシミド(CHI)処理により花被のSOD活性の低下は緩和され, しおれは抑制された.花被のしおれが開始したとき, カタラーゼ(CAT)の比活性はほぼ一定であり, 花被当たりのCAT活性は低下した.CHI処理によってCAT活性はわずかに低下した.花被のペルオキシダーゼ(POD)活性は完全展開1日後から著しく上昇した.この上昇はCHI処理によりほぼ完全に抑制された.これらの結果から, フリーラジカル, SOD活性の低下およびPOD活性の上昇はグラジオラス花被の老化過程に関与することが示唆された.
著者
吉川 瑛治レオナルド Robson Ryu Yamamoto José Luiz Petri Fernando José Hawerroth 山根 健治 本條 均
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.143-153, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

ニホンナシ‘幸水’と‘豊水’の鉢植え樹を供試し,2007,2009,2010および2011年度の4か年にわたりシアナミド剤の散布処理を行った.その後22°Cの自然光ガラス室に移動させ,発芽・開花状態を調査した.ニホンナシの自発休眠覚醒の指標とされる7.2°C以下低温遭遇時間と,発育速度(DeVelopmental Rate, DVR)モデルによる発育指数(DeVelopmental Indexes, DVI)を対比させ,シアナミド剤の散布時期の有効範囲の設定を試みた.なお,DVI1は大谷(2006),杉浦(1997),が定義している,自発休眠覚醒期中の-6~12°Cの温度範囲を対象としたものである.そのDVI1は本研究でDVI(old)と定義した.一方,杉浦ら(2003)は自発休眠覚醒期中の21~24°Cの温度域は低温積算の一部を打ち消して自発休眠を逆進させる効果があると報告している.その報告に基づき求めたDVI1をここではDVI(new)と定義した.その結果,7.2°C以下の低温遭遇400~600時間処理の時点でシアナミド処理をすると,両品種の自発休眠打破の促進効果が認められた.両品種ともにDVI(new)(杉浦ら,2003)が0.65~0.70の範囲内でシアナミド処理すると,発芽および開花が改善され,開花日も促進した.DVI(old)(杉浦,1997)とDVI(new)において,発育ステージが進行し,DVI(old)では,1.03以上,DVI(new)では,0.80以上では処理の効果は弱まる傾向を示した.2011年度の秋冬季(10~2月)では他の年次より21°C以上に遭遇した時間が68時間長かったため,低温遭遇時間のみでシアナミド剤の散布時期を特定することは困難であったが,高温時の打ち消しを考慮したDVI(new)は,発育ステージを適正に評価した.以上の結果から,低温代替技術として,シアナミド処理を行う場合,気候温暖化に対応可能なDVI(new)モデルによる散布時期の予測が有効であることが示唆された.
著者
ピパタナウオン ナロンチャイ 藤重 宣昭 山根 健治 居城 幸夫 尾形 亮輔
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.101-105, 1996-09-01
参考文献数
23

中性イチゴは生育期を通して連続的に開花するため, ランナー生産性は低い.中性イチゴのランナー生産を改善することを目的として, GA_3,BAおよびGA_3+BA葉面散布処理並びに施肥量が3つの品種('サマーベリー', 'みよし'および'円雷')のランナー生産, 開花および生長パラメータに及ぼす影響について検討した.50ppmGA_3,50ppmBAおよび50ppmGA_3+50ppmBA処理によって'みよし'のランナー生産が2から3倍に有意に促進された.GA_3およびGA_3+BA処理により'円雷'および'サマーベリー'のランナー生産がそれぞれ約8および4倍に増加した.葉柄長は'みよし'と'円雷'ではGA_3処理により, 'サマーベリー'ではすべての散布処理により増加した.葉数は'みよし'においてはGA_3処理, 'サマーベリー'ではBA処理により増加した.花序数と葉面積はすべての散布処理によって増加しなかった.2週間ごとの1植物体当たり100mgのCDU化成(NPK(15-15-15))施用は50mgの施用よりも3品種の花序生産, 生長パラメータおよび植物体重を増加させた.また, '円雷'のランナー生産を有意に促進した.生長調節物質処理と施肥量によってランナー生産を改善しうるが, 品種によって反応の異なることが示唆された.これらの結果は熱帯におけるイチゴの栄養繁殖の問題に対しても示唆を与えると考えられる.
著者
山根 健治
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

Modified Atmosphere(MA)包装と1-メチルシクロプロペン(1-MCP)の組合せ処理はカーネーションおよびインパチェンス鉢花の室内での観賞期間を延長させた.カーネーション鉢花への能動的MA包装(10%O_2,2.8%CO_2)と1-MCP処理は鉢花の呼吸とエチレン合成関連遺伝子の発現およびエチレン生成を抑制するとともに炭水化物含量の減少を緩和し,鉢花品質を改善することが示唆された.