著者
山根 承子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.68-72, 2022-02-28 (Released:2022-04-16)
参考文献数
8

近年政府や自治体・企業の取り組みとして注目を集める「ナッジ」だが,誤解も多く,危険な使われ方も散見される.本稿ではナッジの根本に存在する経済学の考え方を改めて示し,主に倫理的な問題点を整理することで,よりよいナッジの普及に貢献しようとするものである.本稿では,インフォームド・コンセントの倫理的な重要性と,同意のあるデフォルトナッジの効果が大きいことから,「本人が知らぬ間に行動変容させる」ようなナッジは慎むべきであると主張する.また,サンスティーンらの著書で「慎重型ナッジ支持国」に分類されている日本でナッジを行うことに対する注意を喚起する.最後に,昨今のパーソナライズドナッジの流れを汲み,健康行動に関わるいくつかの研究を紹介する.パーソナライズドナッジは一律に与えるナッジよりも効果的であるという研究が多いが,パーソナライズするということは距離の近い介入を行うということであり,より倫理的な観点が必要になるだろう.
著者
山根 承子 山本 哲也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
巻号頁・発行日
pp.1D4OS22a3, 2015 (Released:2018-07-30)

ビニール傘に仕掛けを施すことによって、盗難を防ぐことができるのかを実証した。施した仕掛けは、名前シールを貼る、アニメキャラのシールを貼るなどの簡便なものである。これらの傘を大学構内の傘立てに置き、約3ヶ月にわたって実験を行った。
著者
山根 承子 山本 哲也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.1D4OS22a3, 2018-07-30

<p>ビニール傘に仕掛けを施すことによって、盗難を防ぐことができるのかを実証した。施した仕掛けは、名前シールを貼る、アニメキャラのシールを貼るなどの簡便なものである。これらの傘を大学構内の傘立てに置き、約3ヶ月にわたって実験を行った。</p>
著者
岡 駿一郎 山根 承子 松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究は仕掛けによる食生活の改善を目指す。まず、生協食堂年間利用定期券(ミールカード)のデータを用いて大学生の食生活の実態を把握した。その結果、カードの利用限度額ちょうどで商品を購入する傾向があることがわかった。この傾向を利用し、「目につきやすい場所に南瓜の小鉢を置く」という簡易な仕掛けを設置した。実験の結果、この仕掛けはより健康的な食選択に誘導する効果をもつことが明らかになった。
著者
山根 承子
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.156-159, 2010 (Released:2011-05-17)
参考文献数
3

本稿ではリファレンスグループの内生的設定を行う相対所得モデルを作成し,その妥当性を実験室実験によって確認した.本モデルは心理学の知見を利用しており,(1)リファレンスグループはパフォーマンスに影響する,(2)その影響の方向には個人差があると考えていることが特徴である.実験の結果,本モデルの妥当性は支持され,新しい相対所得モデルとしての可能性が見出された.
著者
松村 真宏 山根 承子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.39-40, 2013-02-25

仕掛学では巷にあふれる人の意識や行動を変える「仕掛け」の原理を理解し、それを体系的に整理することを試みている。その仕掛けの方法論を利用することによって、誰でも仕掛けの設計ができるようになることを目指している。ゆくゆくは、老若男女、子供から大人までを巻き込んで、仕掛けによって社会を良くする草の根イノベーションを起こすことを考えている。
著者
佐々木 俊一郎 山根 承子 マルデワ グレグ 布施 匡章 藤本 和則
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.57-71, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
19

本稿では、大学生を対象としたアンケート調査によるデータと大学から提供を受けた学生の学業データを紐づけることによってパネルデータを構築し、大学生の学業成績の規定因について分析した。固定効果モデルによる分析結果では、取得単位数は交友関係に正の影響を受けるが、学習姿勢から受ける影響は限定的であることが確認された。一方、履修科目の平均点は交友関係には負の影響を受けるが、意欲的な学習姿勢には正の影響を受けることが確認された。こうした結果は、履修科目の平均点は意欲的な学習姿勢に裏付けられているものの、取得単位数は必ずしもそうではないことを示唆しており、大学生の知識・技能の総量を正確に評価する場合には、取得単位数よりも平均点を使用する方がより適切であると考えられる。
著者
山根 智沙子 山根 承子 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-26, 2008 (Released:2011-12-03)
参考文献数
31
被引用文献数
5

本稿は,地域間格差を測るには,所得よりも住民の幸福度を用いるべきであると主張し,大阪大学21世紀COEが2003年度∼2006年度に実施したアンケート調査を用いて,所得と幸福度による地域間格差を分析した.まず,県の平均値の多重比較,ジニ係数,県ダミー変数への回帰という3つの方法によって,幸福度の格差は所得の格差より小さいことを見出した.次に,回帰分析によって,性別,年齢をはじめとする個人属性,並びに所得のうち個人属性に由来する部分を調整した場合,県別での幸福度の差はほとんど解消することを見出した.2003年∼2006年に,所得の全国平均値は増大する一方,所得格差は拡大したこと,幸福度の全国平均値は低下したが,幸福度の格差は拡大していないことを示した.
著者
山根 智沙子 山根 承子 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.2, pp.145-148, 2009

本稿は,大阪大学21世紀COEが実施したアンケート調査を用いて,所得と幸福度による地域間格差を分析した.まず,幸福度の格差は所得の格差より小さいことを見出した.次に,個人属性に由来する部分を調整した場合,県別での幸福度の差はほとんど解消することを見出した.また時系列でみると,所得格差は拡大したが,幸福度の格差は拡大していないことを示した.
著者
大西 修平 山川 卓 赤嶺 達郎 筒井 義郎 山根 承子
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.720-727, 2018

<p> 漁業者行動は通常,合理性に基づいてモデル化される。一方,個々の漁業者は不確実性下で異なるリスク態度をとる事実も知られる。不確実性下の意思決定の観察結果は,期待効用仮説による説明としばしば異なる。過度に単純化された漁業者行動モデルは,漁業管理方策への適用にあたり注意が必要であろう。行動経済学の研究成果は,意思決定の合理性の破れがプロスペクト理論で説明できることを示したが,理論の有用性は漁業管理研究では十分に知られていない。本研究ではプロスペクト理論の可能性を概観し,漁業者の様々な性向を探究する。</p>
著者
山根 承子 林 良平
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では、チーム全体の生産性を高めるにはどのようにすればよいかを、個人が他者から受ける影響(ピア効果)から明らかにすることを目的としていた。新しくスイミングチームに加わった人の属性によって、そのチームに元々いた選手の成長がどのように変化するのかを明らかにした。優れた選手が来た場合と、平均以下の選手が来た場合で、受けるピア効果が異なっていることがわかった。新しい選手がチームに加わることで、元々いた選手のパフォーマンスが向上していた。特に、新しく来た人が優れていると、この効果がより大きくなることがわかった。
著者
山根 承子 山本 哲也
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

ビニール傘に仕掛けを施すことによって、盗難を防ぐことができるのかを実証した。施した仕掛けは、名前シールを貼る、アニメキャラのシールを貼るなどの簡便なものである。これらの傘を大学構内の傘立てに置き、約3ヶ月にわたって実験を行った。
著者
笠井 昌人 山根 承子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

3階に行くためのエレベーター利用は、健康の観点からもエコの観点からも問題である。本研究では「階段を使いましょう」というような直接的なメッセージではなく、所要時間をポスターで示すことにより、3階までのエレベーターの利用人数が減少するかどうかを調査した。ポスター掲示の前後で、3階のエレベーター利用者数は有意に減少していた。
著者
奥井 一仁 和田 諒馬 岡本 和樹 岡本 寛典 山根 承子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

効果的な仕掛けを創り出すためには、どのような仕掛けがどのような人に有効かを知る必要がある。本研究は仕掛けと個人特性との関連をみるものである。本研究では約60名にアンケート調査を行い、インターネット依存度に応じて、購買行動に影響を与える広告宣伝文が異なることを発見した。
著者
山根 承子 松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究は、時計の音がタスクパフォーマンスに与える影響をみた。 具体的には秒針の速度を操作できる細工時計を作成し、時計が速い場合と遅い場合のパフォーマンスの差を実験室実験により捉えた。 本稿では時計という、日常生活では特に注意を払うことのないありふれた刺激に焦点をあて、周囲の環境がパフォーマンスの向上に及ぼす影響を検討した。