- 著者
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森田 脩
岩渕 慶
後藤 正和
江原 宏
- 出版者
- 日本草地学会
- 雑誌
- 日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.4, pp.429-436, 1995-01-31
- 被引用文献数
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表面播種されたマメ科牧草の発芽種子が主根を土壌中に進入させ,定着に成功する過程を明らかにする目的で,播種箱に充填した水田黄色土壌(含水率20%)の表面に7草種を播き,25℃,相対湿度約100%の定温器内で発芽過程を5日間調査して,マメ科牧草の発芽行動に及ぼす根毛の固着の影響並びに固着と主根の形態的形質との関係について検討した。1.土壌表面におけるマメ科牧草種子の発芽過程をみると,最初に主根が発芽孔付近から出現し,地表面を這いながら伸長を続け,順次発生する根毛が表面に固着した後,先端が土壌中に進入を始めた。2.マメ科牧草の主根は,出現してから先端が土壌中に進入するまでの間に,根毛帯が表面に固着する程度(固着度)によって,次の3種類のいずれかの行動を示した。I:根毛帯の大部分が土壌表面に固着して,主根が表面に密着している芽生え(以後,全固着型と略記)。II:根毛帯は部分的に固着して主根の一部が表面から浮き上がっている芽生え(部分固着型と略記)。III.根毛帯は全く固着せず,主根全体が浮き上がっている芽生え(無固着型と略記)。3.3種類の発芽行動のうち,シロクローバ,バーズフットトレフォイルは全固着型が,アルサイクローバ,アカクローバ,クリムソンクローバ,アルファルファは部分固着型が,そして,コモンベッチは無固着型の割合がそれぞれ多く,草種によって特徴が見られた。4.全固着型の割合は,主根の根毛長/根径比と有意な正の相関関係があり(r=0.873,p<0.05),根径に比べ根毛が相対的に長い草種が高かった。各草種とも,全固着型は部分固着型に比べて,根毛の固着面積が有意に大きかった。5.以上から,表面播種されたマメ科牧草の主根根毛の固着は,定着の前提となる土壌中への主根の進入を助ける働きのあることが示唆された。