著者
成田 健一 植村 明子 三坂 育正
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.545, pp.71-78, 2001
被引用文献数
15 5 8

Water bodies in urban area have been expected to mitigate the urban heat island as well as green space. In this paper, we showed the results of observations about heat budget at river water and moving observations to clarify horizontal extent of its thermal effects. Diurnal variations of sensible heat flux estimated by several methods corresponded closely with each other, though these values didn't exceed 100W/m2 even in the peak about midday. Estimated heat storage term occupied more than 90% of net radiation during daytime. According to the numerical simulation, observed water temperature variation required equivalent heat conductivity for actual stirred water about forty times as much as that of stagnant water. This heat balance is completely different from that of green space characterized large latent heat flux. On the other hand, horizontal sensible heat flux from adjacent built-up area to the river space also estimated by eddy correlation method at riverside terrace. Turbulent heat flux across the river-edge amounted to 250W/m2 in daytime, which greatly surpassed vertical sensible heat flux at water surface. The horizontal limits of river-effect along the street crossing the river were about 300m from river-edge, and there was no clear relation between this limits and wind speed.
著者
森山 正和 宮崎 ひろ志 吉田 篤正 竹林 英樹 足永 靖信 成田 健一 依田 浩敏 土井 正一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.15, pp.199-202, 2002-06-20
被引用文献数
2

The thermal environments of the three types of urban blocks were observed on the street in Osaka in the summer season. Air temperature and surface temperature of each urban block were high in comparison with Osaka Castle Park. Temperature differences of urban blocks in the daytime were bigger than those in the early morning. MRT was influenced by the sky and green cover ratio strongly, and in the street whose sky cover ratio was small that it was surrounded by a high-rise building MRT became small. And in the street whose green cover ratio was big by the street trees MRT was small compared with other streets. SET each urban block takes the influence of MRT strongly, SET of small, and it was improved as a thermal environment because the comparatively big amount of ventilation was secured in the street whose width was big like OBP (Osaka Business Park) in the daytime.
著者
三上 岳彦 成田 健一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

緑地規模や土地被覆構成と緑地内の気温低下量との関係を明らかにするために、2006年夏季に都内11箇所の公園緑地(対象の緑地は皇居、明治神宮と代々木公園、新宿御苑、自然教育園、小石川植物園、小石川後楽園、芝公園、戸山公園、六義園、新宿区立甘泉園公園、港区立有栖川宮記念公園)にて気温の長期連続観測を行った。その結果、以下の成果が得られた。1.都内の主要な緑地における連続的な気温観測記録を得た。それにより、夏季の緑地内外の気温差は最大で5℃に達するほどであることなど、都市内緑地の熱環境緩和効果が明らかになった。2.緑地内外の気温差は、緑地総面積や樹林面積の対数に近似される曲線で近似できることが分かった。このことは、都市内緑地の熱環境緩和効果を論じるうえで近年課題となっているSLOSS(Single large or several small)問題に答えたことになる。また、緑地内の樹林面積と樹林率からなる、公園緑地における気温低下量を説明できる指標を提案した。3.高時間分解能での観測を生かし、時刻ごとに公園の土地被覆構成と気温低下量との関係を表す重回帰式から、どのような土地被覆構成要素がどの時間帯にどの程度の熱的効果(気温低下量への寄与の大きさ)を持っているのかを明らかにした。
著者
谷本 潤 萩島 理 成田 健一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

一連の風洞模型実験,Large Eddy Simulation(LES)に基づく数値実験により,建築物を主体とする地上の粗度要素が大気境界層下端への熱・空力学フォーシング(強制力)として如何に作用するかに関して,その素過程解明の端緒を得た.[流体物理科学への貢献]また,都市キャノピーモデルへの適用,更には街区内歩行者レベルの温熱環境予測評価大系への応用を念頭に置き,上記の熱・空気力学フォーシングを実際には複雑系である都市や建築の幾何形状を適切にパラメータライズすることで,バルク輸送係数としてモデル化した.[都市環境工学への貢献]
著者
成田 健一
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、都市内に存在する緑地のもつ環境調節効果を多角的に把握する目的で、以下の二つの測定を実施した。一つは、夏季に行った短期集中観測で、グラウンドから樹林を通って市街地へとつながる側線を設定し、夏季における卓越風向に沿った緑地内部とその周辺の詳細な気温分布を測定した。その結果、これまでの数値モデル計算では表現されていなかった、平均流に逆らって乱流で輸送される水平熱輸送の存在が指摘された。このことは、たとえ風下側に位置するとしても、周辺市街地は緑地内部の熱環境に大きく影響を与えていることになり、緑地計画において緑地の規模を論議する場合にも、このような現象は無視できないと考えられる。二つめは、設計データとしての緑地効果の定量的な把握を目的に行った、1年間にわたる長期気温測定である。これまで我が国では「みどり」の熱的効果というと夏季の暑熱緩和機能のみが注目されてきたが、実際の設計を考える上では、冬季も含めた年間の環境把握がまずもって必要である。今回、1年間を通してのデータを解析することにより、落葉樹林における日中の気温低下には樹木の落葉・展葉と対応した明確な季節変化があること、それに対し夜間の気温差は年間を通して一定していること、緑地と周辺市街地との日最高気温差は盛夏には日中の最高気温時、秋以降は日没後の夕方から夜間にかけて出現頻度が高いことなど、興味深い成果が数多く得られた。
著者
天野 和孝 ゲーラト フェルメイ 成田 健
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series = 日本古生物学会報告・紀事. 新篇 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.171, pp.237-248, 1993-09-30
被引用文献数
4

北海道の中新統から産出したアクキガイ科の腹足類, Nucellaの保存の良い標本はN. tokudai (Yokoyama)とN. freycineti saitoi Hatai et Kotakaに同定される。N. tokudaiは中新世前期にカリフォルニアに出現し, 中期中新世初期までに, 西方へ日本およびカムチャッカに分布を広げた。N. freycineti saitoiは中新世中期に日本に出現し, 本亜種から中新世末期または鮮新世前期に現生のN. freycineti (Deshayes)が進化した。初期の地理的分布や初期のすべての種に小歯をともなう厚い外唇が見られることから, Nucella属は北東太平洋の温暖水起源であることが推定される。北米西岸の温暖水に起源をもち, その後東アジアに分散したNucellaの分布の変遷は, 北太平洋の温帯浅海域の他の多くの貝類やフジツボの分布の変遷史に類似している。