著者
大場 知穂 竹内 淳 鈴木 瞭 上杉 正人 加藤 祐司 渥美 達也 三好 秀明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.27-35, 2021-01-30 (Released:2021-01-30)
参考文献数
33

今回我々は内科クリニックで無散瞳眼底写真撮影と光干渉断層計を施行し,クラウドを用いて眼科医が読影するシステムを導入し,糖尿病初診患者と眼科受診を促しても受診しない再診患者に対して実施した.患者背景は全277例,初診122例,再診155例,罹患期間7.5±8.2年,HbA1c 8.0±2.1 %.全症例の35.7 %,初診29.0 %,再診45.1 %で所見を指摘され,網膜症9.0 %,黄斑浮腫3.6 %,緑内障20.2 %,白内障3.2 %で指摘された.所見を指摘された再診患者のうち90 %以上がその後眼科を受診した.このシステムの利点として(1)糖尿病診断時に急を要する眼科疾患を速やかに発見し眼科に紹介できる点,(2)眼科受診指示に従わない患者の眼底を評価し,受診行動を惹起できる点などが挙げられる.今後このような内科と眼科の連携により,眼科受診率の向上と糖尿病関連眼疾患の早期発見に繋がることを期待する.
著者
辻 誠一郎 小杉 正人
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.419-426, 1991-12-25 (Released:2009-08-21)
参考文献数
21
被引用文献数
5 4

In this paper we discuss the effects of Aira-Tn Ash (AT) eruption on ecosystem, based on fossil pollen and diatom assemblages obtained from central and northern Honshu in Japan. This eruption occurred during the Last Glacial Maximum (21, 000-22, 000 or 24, 000 years ago) in the Aira Caldera in southern Kyushu. The fossil pollen accumulation rate and pollen assemblages from AT deposits show that the ash fall occurred in the spring. We conclude that the AT fall occurred during, and accelerated, the last stage of climate change to a colder phase, and of attendant vegetation change to coniferous forests, that began about 30, 000 years ago. The AT fall also caused a rise in level and a change in pH from acid to alkaline of the sedimentary environment water. Some of these phenomena changed in proportion to volume or thickness of ash. It seems that the AT eruption caused widespread dry climatic conditions that were felt, at least to some degree, over long distances.
著者
小杉 正人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.359-374, 1989-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
46
被引用文献数
8 10

縄文海進によって形成された古奥東京湾において, 13地点から得られた珪藻化石群集の層位分布の検討により,各地の前浜-海岸線-後浜の環境系列の変=遷を復原し,完新世における海岸線の形態,移動,周囲の環境などの特徴を明らかにした. 海進期 (10,000-6,500年前)には,地形勾配が急であったため,谷の形状に規制された細長く,入り組んだ海岸線がみられた.海進最盛期 (6,500-5,300年前)の海岸線は,現在の海岸線から50km以上奥部の館林~古河付近に達した.海退期(5,300年前~現在)には,湾の浅海化が進んでいたため,前後に広い後浜干潟・前浜干潟を伴う単調な形態を呈する海岸線がみられた.
著者
杉 正人 川村 隆一 佐藤 信夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.717-736, 1997-06-25
参考文献数
51
被引用文献数
15

気象庁全球モデルを用いて、アンサンブル気候実験を行い、海面水温 (SST) 変動に強制されて起きる大気の長期変動と、季節平均場の予測可能性について調べた。モデルの34年時間積分を3回実行した。3つの時間積分はいずれも1955-1988年の実測のSSTを境界条件としているが、大気の初期状態が異なっている。季節平均場の全変動のうち、SSTの変動で強制されて起きている変動の割合 (分散比) を計算した。この分散比は、SSTが完全に予測された場合の最大予測可能性 (ポテンシャル予測可能性) を示すものと考えられる。気圧場の分散比は一般に熱帯では高い (50-90%) が、中高緯度では低い (30%以下)。このことは、季節平均気圧場の (ポテンシャル) 予測可能性は、熱帯では高いが、中高緯度では低いことを示唆している。一方、季節平均降水量の分散比は、ブラジルの北東部の74%、インドモンスーンの31%というように、熱帯の中でも地域によって大きく異っている。全球平均の陸上の地表気温の分散比は高い (66%) が、ほとんどの陸上の地点での局地的な地表気温の分散比は低く (30%)、海面水温予測にもとづく局地的な陸上の気温の予測可能性が小さいことを示唆している。
著者
室井 ちあし 豊田 英司 吉村 裕正 保坂 征宏 杉 正人
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.91-95, 2002-01-31
被引用文献数
2
著者
若生 理佳 西本 尚樹 上杉 正人 寺下 貴美 小笠原 克彦
出版者
日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1025-1031, 2009-08-20

The purpose of this study was to develop an automated acquisition support for the semantics of abbreviations and evaluate its performance with respect to academic articles. Our goal was to support the maintenance of an institution-specific semantics inventory for abbreviations on a continuous basis. We retrieved articles from MEDLINE with the keyword "Liver [MeSH]," and 100 abstracts were randomly selected. Abbreviations and their full forms were retrieved using original Java software based on the following rules. (1) Searching the parentheses in the abstracts, the words inside the parentheses were retrieved as "INNER" and the words in front of the parentheses were retrieved as "OUTER." (2) Matching rules, such as whether the first characters of INNER and OUTER were the same. (3) If the words satisfied the conditions stated at (2), INNER was saved as the abbreviation and OUTER as the full form. Performance was manually evaluated by two graduate students and a radiologist. Of the 165 pairs of abbreviations and full forms that were obtained, 145 (87.9%) constituted correct matches.
著者
岩崎 俊樹 中野 尚 杉 正人
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.555-570, 1987
被引用文献数
39

本論文では新しく開発中の台風進路予報モデルの概要とその予報性能について述べる。この実験モデルは北半球モデルに1-way で接続された局地モデルである。間隔50kmの一様な水平格子と8層の鉛直格子によって構成され,その予報領域は4000km&times;4000kmである。積雲対流スキームには Kuo 方式を採用している。各計算スキームは台風が良く維持されるように調整されている。初期場には適切なモデル台風が客観解析に重ね合わされている。<br>このモデルは1985年に観測された台風の中心示度や移動を精度よく予報した。また,衛星による雲画像と比較すると,台風と梅雨前線の間に強い相互作用があるケースでも,複雑な降水分布の振舞を良く予報できた。<br>インパクトテストによれば,主観解析の精度や北半球モデルの性能は実験モデルの予報精度に大きな影響を及ぼすので,それらにも十分配慮する必要があることが示唆された。