- 著者
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小杉 正人
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.5, pp.359-374, 1989-05-01 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 46
- 被引用文献数
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8
10
縄文海進によって形成された古奥東京湾において, 13地点から得られた珪藻化石群集の層位分布の検討により,各地の前浜-海岸線-後浜の環境系列の変=遷を復原し,完新世における海岸線の形態,移動,周囲の環境などの特徴を明らかにした. 海進期 (10,000-6,500年前)には,地形勾配が急であったため,谷の形状に規制された細長く,入り組んだ海岸線がみられた.海進最盛期 (6,500-5,300年前)の海岸線は,現在の海岸線から50km以上奥部の館林~古河付近に達した.海退期(5,300年前~現在)には,湾の浅海化が進んでいたため,前後に広い後浜干潟・前浜干潟を伴う単調な形態を呈する海岸線がみられた.