著者
松木 祐馬 向井 智哉 近藤 文哉 金 信遇 木村 真利子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-19, 2020-04-27 (Released:2020-04-27)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

This study examined the relationship between images of religious believers and tolerant attitudes toward them. A questionnaire was administered to 220 respondents via a web survey. Exploratory factor analysis revealed that images of religious believers consisted of three factors: “mentally vulnerable,” “pious,” and “virtuous.” Furthermore, hierarchical multiple regression analysis indicated that, regardless of whether the respondents were themselves religious or not, virtuous images were associated with tolerant attitude toward them. In contrast, the relationship between mentally vulnerable and pious images and a tolerant attitude was different, depending on respondents’ religiousness.
著者
向井 智哉 松木 祐馬 貞村 真宏
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.2210, (Released:2023-06-22)
参考文献数
36

現在の日本では,被害者のプライバシーに関する証拠(情報)のうち,関連性が低いものが裁判に顕出することを禁じる「レイプ・シールド法」を導入することの是非が論じられている。このような議論を背景に,本研究は,被害者関連情報として,被害者の性的前歴(多×少×記述なし)と職業(風俗従事者×医者×記述なし)がその被告人に対する量刑に及ぼす効果を検討することを主な目的として調査を行った。ドメイン知識を活用しつつ,被害者関連情報の効果を検討するために,分析にはベイズ的アプローチを用いた。分析の結果,被害者関連情報の量刑判断に対する主効果の95%確信区間には0が含まれており主効果は認められなかった。ただし,性的前歴多×風俗従事者に交互作用効果が見られ,被害者は性的前歴が多く,かつ風俗従事者であると記述された場合には,性的前歴や職業に関する記述がなされない場合および風俗従事者であるという情報のみが提示された場合と比較して,被告人に重い量刑が求められることが示された。上記の結果から得られる政策的示唆について論じた。
著者
松木 祐馬 下司 忠大
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.47-49, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
8

The purpose of this study is to develop the General Group Identification Tendency (GGIT) scale that measures individual tendency to identify with ingroups regardless of the type of group and examine its reliability and validity. Results of questionnaire surveys that were conducted with university students showed sufficient internal consistency and validity, which was estimated in terms of the relationship with contextualism, degree of identification with the university, collective self-esteem, and allocentric tendency. These results indicated that the GGIT scale is valid.
著者
向井 智哉 松木 祐馬 貞村 真宏 湯山 祥
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.71-81, 2022 (Released:2023-07-31)

アスペルガー障害は従来の刑事司法ではあまり知られてこなかった。しかし、近年アスペルガー障害を有するとされる被告人に対する量刑は学術的に見ても社会的に見ても広い関心を集めている。このような状況を背景に本研究は、(a)アスペルガー障害を有するとされる被告人と、そうでない被告人ではどちらがより重い量刑を求められるのか、および(b)被告人のアスペルガー障害の有無と量刑判断はどのような要因によって媒介されるのかを探索することを目的とした。分析の結果、(a)アスペルガー障害を有するとされる被告人はそうでない被告人よりもより軽い量刑が求められることが示された。また、(b)再犯可能性、社会秩序への脅威、非難、責任を媒介変数とした媒介分析を行ったところ、傷害致死罪条件における社会秩序への脅威のみが被告人のアスペルガー障害の有無と量刑判断を有意に媒介することが示された。以上の結果が得られた理由およびその実践上の示唆を論じた。
著者
松木 祐馬 西川 開 向井 智哉
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.29-38, 2020 (Released:2021-02-02)
参考文献数
43

近年、違法ダウンロードの取締りは社会的に大きな関心を集めている。それをめぐる議論では、違法ダウンロードは「人のもの」を盗むという点で万引きと同じ程度に取り締まるべきであるというレトリックが提示されている。本研究はこのレトリックに着目し、著作権法について特別の知識を持たない一般の大学生が、違法ダウンロードに対してどの程度の刑罰を求めるかを万引きとの比較から検討することを目的とした。大学生282 名から得られたデータを対象にベイズ推定によって違法ダウンロードに対する量刑判断と万引きに対する量刑判断がどの程度異なるかを比較したところ、万引きに対しては約半年程度長い懲役刑が求められることが明らかにされた。本研究の結果は、違法ダウンロードと万引きを同視する上述のレトリックは一般市民の意識の上では必ずしも受け入れられていないことを示唆している。このような差が生じた理由について、保護客体の相違の観点から考察を行った。
著者
松木 祐馬
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1822, (Released:2019-09-25)
参考文献数
27

本研究は,集団極性化の説明理論に基づき,テキストベースで進行する集団討議への接触が個人の態度変容に与える影響について検討することを目的とした。具体的には,討議参加者が内集団成員であるか匿名者であるかと,実験参加者の意見が討議中において多数派意見であるか少数派意見であるかを操作し,内集団成員性と意見の優勢性が個人の態度変容に与える影響について,ベイジアンANOVAを用いて検証した。実験は2度に渡って行われ,分析には1回目の実験と2回目の実験両方に参加した68名のデータのみ使用した。分析の結果,接触した討議において自身の意見が少数派意見であった場合には態度の軟化が生じ,自身の意見が多数派であった場合には,討議が匿名者間で行われた場合のみ,態度の極化が生じることが示された。以上の結果から,テキストベースで進行する集団討議への接触においても,集団極性化現象と類似した態度変容が生じることが示唆された。
著者
向井 智哉 松木 祐馬
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.95-103, 2020-05-30 (Released:2020-06-05)
参考文献数
62
被引用文献数
2

This study aimed to explore how emotional reactions toward criminals and victims affect punitiveness, with special attention to fear, anger, and empathy. Past research on punitiveness has long emphasized the role of emotion in determining individual levels of punitiveness. However, these studies have at least two limitations: 1) varying definitions of punitiveness among studies, and 2) limited scope of research—mainly limited to Western countries. We addressed these limitations by using a validified scale measuring punitiveness in the Japanese context. Questionnaires were distributed to 330 individuals. The results showed that fear of crime, anger toward criminals, and empathy toward criminals and victims were all correlated with two sub-constructs of punitiveness (support for harsher punishment and criminalization). However, once other variables were controlled, only anger toward criminals and fear of crime showed a significant relation with punitiveness, suggesting that these two emotion-related variables play an important role in determining punitiveness. The implications of the study are discussed.
著者
松木 祐馬 松本 芳之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.141-143, 2020-12-18 (Released:2020-12-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

This study examined the effect of personality similarities on interpersonal attraction, focusing on the characteristic personality traits of persons evaluated by study participants. A total of 373 university students evaluated the attractiveness of four “stimulus persons,” described as scoring highly on each of the Big Five traits. For high-extraversion and high-agreeableness stimulus persons, the greater their similarity in characteristic personality traits to the evaluating participant, the higher the interpersonal attraction was rated. These results suggest that similarities in characteristic personality traits play an important role in the similarity effect in personality.
著者
向井 智哉 松木 祐馬 木村 真利子 近藤 文哉
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.19211, (Released:2020-07-30)
参考文献数
58
被引用文献数
1

This study aims to explore how the relationship between punitiveness and attributional style differs between Japan and Korea. Data from 330 Japanese and 339 Koreans were analyzed. Multi-group structural equation modeling showed that in both Japan and Korea, punitiveness consisted of three factors (support for harsher punishment, greater criminalization, and use of the death penalty) while the attributional style consisted of two factors (dispositional attribution and situational attribution). In both countries, dispositional attribution was related to punitiveness. Regarding differences, the scores for punitiveness on all three subscale scores and for dispositional attribution were higher in Korea whereas the negative relationship between punitiveness subscale scores and situational attribution was stronger in Japan. This suggests that Japanese are less likely to support punitive measures for criminals and to attribute the causes of crime to the criminals themselves than Koreans. In addition, when deciding on the severity of punishment, Japanese are more likely to take situational causes into consideration.
著者
向井 智哉 松木 祐馬
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-135, 2022-10-27 (Released:2022-10-27)
参考文献数
27
被引用文献数
3

アメリカで行われた先行研究は,社会的支配志向性(SDO)の2つの因子―SDO-DとSDO-E―がともに厳罰傾向と正に関連することを示している。しかし,非西欧的な文脈で行われた研究はこれまで存在しない。このような状況の下で,本研究は,日本と韓国という比較的類似した社会において,SDO-DならびにSDO-Eが厳罰傾向に及ぼす効果を検討することを目的とした。409名の日本人と417名の韓国人から得られたデータが,多母集団の共分散構造分析によって分析された。その結果,SDO-Dは日韓で厳罰傾向の各因子と概して正の関連を示すこと,ならびにSDO-Eは日本においては厳罰傾向の各因子と負の関連を示す一方で,韓国においては無関連であることが示された。SDO-Eと厳罰傾向の間に負の関連が見られたことについて,社会的支配理論の観点から議論を行った。
著者
向井 智哉 金 信遇 木村 真利子 近藤 文哉 松木 祐馬
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-16, 2020-06-30 (Released:2022-06-04)
参考文献数
44

本研究では、統合脅威理論(Integrated Threat Theory: ITT)に基づき、近接要因として現実的脅威、象徴的脅威、集団間不安を、遠隔要因として同化主義と接触経験を取り上げ、日韓におけるムスリムに対する受容的態度を予測する仮説モデルを構成し、その妥当性を検討した。日本(n = 330)と韓国(n = 339)のデータを用いて、現実的脅威と象徴的脅威を測定する項目を対象に探索的因子分析を行った結果、ITTの想定とは異なり、「全般的脅威認知」、「権利付与」、「類似性認知」の3因子が抽出された。また、共分散構造分析による多母集団分析を行ったところ、これらの3因子は同化主義と関連すると同時に、受容的態度とも関連することが示された。さらに、両国間で測定不変性が確認された。現実的脅威認知と象徴的脅威認知が区別されるというITTの想定は支持されなかった一方で、脅威認知の3因子はムスリムに対する受容的態度を規定するにあたって重要な役割を果たすことが示された。
著者
松木 祐馬 向井 智哉 金 信遇 木村 真利子 近藤 文哉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.71-74, 2020-08-19 (Released:2020-08-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1

This study aimed to investigate differences in the common factor of community consciousness between Japan and Korea. The scale included four subscales: “solidarity,” “self-determination,” “attachment,” and “dependency on others.” Web surveys were conducted in 669 adults (330 Japanese, 339 Koreans). Results of the survey showed that configural invariance was confirmed only for “self-determination” and its latent mean was higher in Korean participants. In sum, the results suggest that Japan and Korea have similarities and differences regarding community consciousness, which may be attributed to various factors such as social mobility and attitudes toward civil rights.
著者
松木 祐馬
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.61-73, 2020 (Released:2020-03-10)
参考文献数
27

本研究は,集団極性化の説明理論に基づき,テキストベースで進行する集団討議への接触が個人の態度変容に与える影響について検討することを目的とした。具体的には,討議参加者が内集団成員であるか匿名者であるかと,実験参加者の意見が討議中において多数派意見であるか少数派意見であるかを操作し,内集団成員性と意見の優勢性が個人の態度変容に与える影響について,ベイジアンANOVAを用いて検証した。実験は2度に渡って行われ,分析には1回目の実験と2回目の実験両方に参加した68名のデータのみ使用した。分析の結果,接触した討議において自身の意見が少数派意見であった場合には態度の軟化が生じ,自身の意見が多数派であった場合には,討議が匿名者間で行われた場合のみ,態度の極化が生じることが示された。以上の結果から,テキストベースで進行する集団討議への接触においても,集団極性化現象と類似した態度変容が生じることが示唆された。